ノートルダム大聖堂、火災前の雄姿

 今日は、萩生田・自民党幹事長代行の「消費増税延期」発言について書こうかと思いましたが、何か、馬鹿らしくなってきました。

 萩生田さんと言えば、安倍晋三首相の側近中の側近。モリカケ問題華やかりし時に、加計学園の加計孝太郎理事長と安倍総理と3人一緒に缶ビール片手にバーベキューを楽しんでいるお姿の写真が出回り、その親密度が、日本中に強烈な印象を残しました。

 そんな最高権力者の懐刀とも言うべき政権中枢の御方が、勝手に、しかも、公に、個人的意見をわざわざ発言するわけないじゃありませんか。

 こういうのを業界では、「アドバルーン」と呼びます。つまり、観測記事です。重大な政策などを決定する際、世間の反応を様子見するために、事前に反応を確かめ、衝撃を和らげるために、周辺に語らせる手口です。与党幹部も「予定通り、増税します」と、萩生田発言を打ち消すことは、事前の打ち合わせ通り。まるで舞台劇ですよ。舞台裏が透けて見えるので、嫌になります。

 で、先ほどから御覧頂いている写真は、火災に遭う前のノートルダム大聖堂です。

 皆様御存知の松岡將氏が、小生が4月17日に書いた「嗚呼、ノートルダム大聖堂の大火災」をお読みになって、心配してたくさんの写真を送ってくださったのです。それらの写真のうち、厳選して公開させて頂くことにしました。

 ブログには「大聖堂のステンドグラスは大丈夫だったでしょうか」と書いたのですが、そしたら、松岡氏は「 大聖堂のステンドグラス。。。そう言えば、小生、確か写真を撮っていたはず、と、あちこち探したら、2007年に撮った写真が出てきました。小生一人で見るのは勿体ないので、先日のお礼を兼ねて、お裾分けします。往年の大聖堂の気分に浸って貰えば、幸甚です」と、こうして、見事なステンドグラスの写真も添付してくださったのです。

 現地からの報道によると、ステンドグラスはどうやら無事だったようですね。ただ、荘厳なパイプオルガンは、消火の際の水が被り、駄目になってしまったようです。修復には最低でも1年以上はかかることでしょう。

 マリアさまのピエタ像もかなり被害を受けました。

 ということで、大火災に遭う前の貴重な写真を送って頂きましたが、小生に送るということは、ブログで全世界に公開されるということを意味しておりました(笑)。悪しからず。。。

 今回の火災で、一番衝撃的だったのは、96メートルの尖塔が燃えて崩落してしまった場面でした。また、現地からの報道によると、この尖塔は「木製」で、19世紀にできたものだというのです。てっきり、中世からあるものと思っていました。19世紀ということは、恐らく、1830年の七月革命か、1848年の二月革命の際に、ノートルダム大聖堂が襲撃されて一部破壊された後に修復された時に造られたのでしょう。(細かい報道がなかったので、勝手な忖度ですが)

 今回は、ルイ・ヴィトンさんを始め、フランスの大金持ちさんが超多額の寄付をされ、マクロン仏大統領も5年以内での修復・復活を宣言されておりました。

 いずれにせよ、修復前の2007年の時点の貴重なノートルダム大聖堂内部の写真を送ってくださった松岡氏には感謝申し上げます。

  Tous les photos Copyright par Duc de Sousoumou Matsuoqua

 

 

建築ジャーナリスト淵上正幸氏の世界

 昨日4月14日(日)は、東京・大手町のサンケイプラザで開催された仏友会総会に参加してきました。仏友会とは、東京外国語大学でフランス語を専攻した人たちの同窓会で、大正時代からある伝統的な親睦会です。一時、というか、長らく「休眠」していたのですが、25年ほど前から田島宏先生の呼び掛けで復活したそうです。

 私自身は、何も知らずに15年ぐらい前から参加していたので、同窓会というのは普通のものかと思っていたら、同じ大学でも英米語を専攻して卒業した人から、「同窓会がないので参加したことがない」という話を聞いたので、驚いてしまいました。と、同時に仏友会を復活させて頂いた諸先輩方の努力と苦労には頭が下がる思いでした。

建築ジャーナリスト淵上正幸氏

 14日は、昭和31年卒のOB(ということは84歳ぐらい) から現役3年生(ということは20歳ぐらい)まで61人も参加しました。毎回、斯界で活躍する先輩卒業生による講演会が開催されますが、今回は建築ジャーナリストの淵上正幸氏。ちょうど50年前の昭和44年卒業ということですから、とっくに古希は過ぎておられますが、非常に若々しく50代にしかみえません。

 しかも、抜群の記憶力の持ち主で、世界各国の著名な建築家の「作品」をスライドで説明しますが、全く、メモも見ず、作品の規模から価格、歴史的背景、建築家の略歴まですべて細かい数字も頭の中に入っていて説明されていたので、恐れ入ってしまいました。こんな頭の良い人は、世の中にそういません。

 大学の卒業生の中には、本当に色んな方がいらっしゃいますが、「建築ジャーナリスト」なるものは初めて聞きました。そしたら、淵上氏は「建築ジャーナリストというのは、私がつくった肩書で、初めてでしょう」と仰るので、ずっこけてしまいました。大学卒業後、紆余曲折があって、結局「新建築社」という出版社に転職し、これまで、全く、建築に興味がなかったのに、会社の書庫で、世界中の多くの「建築写真集」を見ているうちに、異様に面白くなり、世界中の建築を見て回る仕事に没頭したといいます。この新建築社という会社、私は全く知りませんでしたが、大正14年創業の老舗でした。

 それにしても、建築士でも設計士でもない方が専門家にインタビューしたり、同等に渡り合ったりして、どんなことをするんだろうか、と思っていたら、淵上氏の話を聞いて、大枠が分かりました。ここでは詳しく書けませんが、かなり凄いこともやっておられました(笑)。

 とにかく、淵上氏は、今の日本の建築ジャーナリズムの世界ではナンバーワンの方で、「ヨーロッパ建築案内1~3」「アメリカ建築案内1~2」などの著書多数あり、昨年は、日本建築学会文化賞まで受賞されてます。当然ながら、現代建築界の「世界の巨匠」と呼ばれる方とも昵懇で、建築家と施行主、自治体、もしくは大富豪との間を取り持つコーディネーターの仕事もされております。吉祥寺のハーモニカ横丁をシマにして、お酒と女性をこよなく愛す大変ユーモアに溢れた方で、世界各地の著名建築を見る旅を主宰されたり、ノミニケーションで、世界の巨匠の一人から、御自宅の門をタダで設計してもらった特権まで披露されておりましたが、これは内緒の話でした(笑)。

 個人的ながら、私も建築は好きなので、バウハウスのグロピウスやル・コルビュジエらの作品など知っているつもりでしたが、彼らのような1900年から1967年ぐらいまで活躍した人たちの作品を「近代建築」と呼び、それ以降を「現代建築」と呼ぶということでした。この現代建築家として、世界的に有名な丹下健三をはじめ、磯崎新、安藤忠雄、隈研吾といった日本人は知っていましたが、世界の巨匠となると、ほとんど知らず、淵上氏のスライド紹介で初めてその輪郭が分かりました。


オーレ・シェーレン設計のシンガポールの「インターレイス集合住宅」

 約2時間の講演会の世界各地の建築紹介の中で、一番印象に残ったのは、ドイツのオーレ・シェーレン(1971~)設計のシンガポールにある「インターレイス集合住宅」でした。傍から見ると、不安定な積み木を組み立てたような変な集合住宅で、淵上氏も「酔っ払って帰ったら、自分の部屋が分からなくなる」と冗談を飛ばしておりました。でも実体は、六角形を基準になかなか精緻で緻密な計算で作られた設計で、中庭を配したり、プールをつくったり、風通しや日射を良くするために、一部の建物を割愛したり、「あっと驚く」工夫設計でした。

 2020年東京五輪の新国立競技場会場設計をコンペで獲得しながら、後で政府により白紙撤回されたイラク出身のザハ・ハディッド(1950~2006)も淵上氏とは昵懇の仲だったようで、少し長く紹介の時間を割いていました。

 建築費の高騰を理由に撤回され、猛烈な抗議の中で、ハディッド氏は、65歳で心労も原因で急死してしまいますが、彼女の作品が紹介されたスライドを見て、本当に類稀な才能で、惜しい人を亡くしたと思いました。新国立競技場問題の最中は、政府による巧みな世論操作で、日本人は、ハディッド氏がまるで我利我利亡者のような印象を植え付けられましたが、そんなんじゃなかったんですね。何か背後に「鶴の一声」があったのかどうかも真相は不明です。

 東京・汐留の電通本社ビルを設計したのがフランスのジャン・ヌーヴェル(1945~)で、淵上氏の親友でした。酔いに任せて彼の自宅の門を設計する約束をさせたのが、この人でした(笑)。この人を調べてみたら、私自身が昨年、スペイン・マドリードでピカソの「ゲルニカ」を見たあのソフィア王妃芸術センター新館を設計した建築家がこのジャン・ヌーヴェルだったんですね。驚きでした。

 有楽町の東京国際フォーラム(1996年)を手掛けたのがウルグアイ出身のラファエル・ヴィニオリ(1944~)で、これで一躍有名になり、世界各国で引く手数多だそうです。

 このほか、世界の巨匠として、104歳で亡くなったブラジルの天才建築家オスカー・ニーマイヤー(1907~2012)やメキシコの巨匠ルイス・バラガン(1902~88)、カナダ出身のフランク・ゲーリー(1929~)らも紹介してくれましたが、実際に現地に行って、実物を見たくなってしまいましたね。

東京駅 辰野金吾

 絵画や彫刻とは違って、建築物(美術館、大学、病院、駅舎、集合住宅、オフィス、モール街など)は持ち運べず、そこに行かなければ見られません。淵上氏は、建築見学ツアーも主宰されており、「現地にタダで行って、帰れば、講演会と執筆・出版もできます。一石二鳥どころか、一石三鳥です」と最後までユーモア溢れる講演会でした。

 それにしても、建築設計の世界は素人には全く分からない世界です。世界中のコンペ情報はどうやって入手するのか?どのように審査されるのか? 設計費やマージンやコーディネート代はいくらが相場なのか?-気になることばかりでしたが、知っても、茲では書けないでしょうね(笑)。同じジャーナリストなら、人間の業(ごう)や暗闇や負の側面ばかり見せつけられて、ひねくれてしまうジャーナリストより、世界中を飛び回れる建築ジャーナリストになればよかったかなあ。。。(一部敬称略)

【補遺】「人間には3種類しかいない」「長谷川家住宅」「使うな、危険!」、そして渋沢栄一

 ■映画「バイス」を観て、後から思ったのですが、主人公のチェイニー米副大統領には、彼を支えてくれる家族が頻繁に登場しますが、本当に心を割って話せるような親友がいない感じでした。

 そこで思い出したのが、かつて外務大臣を務めた田中真紀子さんが言った言葉です。

 「人間には3種類しかいない。家族か、敵か、使用人だ」

 いやあ、これは名言ですね。勿論、皮肉ですが。

 使用人というのは、普通の人は決して使う言葉ではありませんが、恐らく彼女は父親角栄さんの会社経営を一部引き継いだことがあり、それで、会社法の役員ではない社員を指す「使用人」という言葉がすぐ出てきたのではないか、と同情してしまいました。

 映画を観終わって、チェイニーさんも、彼の頭の中には「家族」と「敵」と「使用人」しか存在しないのではないかと思ったわけです。

Copyright par Kyoraque-sensei

 ■渓流斎ブログ2019年4月7日付「 京都『長谷川家住宅』で松岡氏の『在満少国民望郷紀行』スライドショーが開催 」で触れた「長谷川家住宅」ですが、講演を終えて、京都から東京の自宅に帰宅した松岡將氏から、メールで詳しい情報を寄せて下さいました。

 まず、この長谷川家住宅は、有形文化財に登録されていますが、幕末は、何と、あの「蛤御門の変」の際に会津藩士の宿舎だったというのです。現在の当主の中川氏は、松岡氏の農林水産省時代の後輩に当たる人で、開催に当たって全面的に支援してくださったようです。

 開催案内のパンフレットも添付して送って頂きましたが、何と、後援として、農林水産省近畿農政局、京都府、 朝日新聞京都総局、京都新聞、古材文化の会と、錚々たる名前が連ねておりましたから、かなりの規模だったことが分かります。

 参加者の中には、「近畿満鉄会」の会員で、歌手の加藤登紀子さん(満洲・哈爾濱生まれ)の御令兄(元大手金属会社副社長で現在、ロシア料理店社長)や東京帝大の「新人会の研究」などの著作がある日本の近現代史専門のヘンリー・スミス・コロンビア大学名誉教授らも臨席されたそうです。

関宿城

■4月8日付では「関宿城址を巡る旅」を書きましたが、遠足だというのに、手を拭くウエットティッシュを持って行くのを忘れてしまい、難儀してしまいました。

 そしたら、昨日読んだ小岩順一著「使うな、危険!」(講談社)を読んでいたら、コンビニやドラッグストアなどで売っているウェットティッシュには、人体に影響を与える塩化ベンザルコニウムやパラベン、グルコン酸クロルヘキシジンなどが含まれているというのです。

 ウエットティッシュで拭いた手で握った寿司を口にしようものなら、食中毒になりかねないといった警告も書かれていました。

 あらまーー。それなら、ウエットティッシュを使わずにそのまま、おにぎりを食べたことは、よかったということになりますね。衛生的にどうかと思いましたが、免疫力がついたかもしれません(笑)何せ、現代人は「無菌」だの「無臭」だのと、やたらとうるさすぎます。ウエットティッシュで殺菌されたと勘違いして、もし食中毒になったりしたら、本末転倒です。これは、笑えませんよ。

 この本では、ウエットティッシュの代わりとして、20度の焼酎甲類ミニボトルを買い、ティッシュペーパーに濡らして使えばいい、と書かれていました。手の消毒になりそうですね。次回はその手を使ってみましょう。

 この本には、他にも色々書かれていますが、ご興味のある方は、古い本ですから、図書館でも借りてみてください。

Copyright 財務省のHPから引用

■昨日は新紙幣のデザインが正式発表されました。1万円が渋沢栄一、5000円が津田梅子、1000円が北里柴三郎になることは、皆さん、御案内の通り。

 でも、新紙幣の発行は5年後の2024年。5年も前に発表しますかねえ?何でこの時期? 何か政治的臭いを感じますねえ。。。

 さて、この中で一番の注目は、1万円の渋沢栄一でしょう。私も東京都北区王子の飛鳥山公園内にある記念館を訪れたことがありますが、この人、怪物みたいな偉人ですね。「日本の資本主義の父」で、500近い企業を創業したというのですからね。

 出身は、現在の埼玉県深谷市。映画「翔んで埼玉」が話題になっている今、埼玉県人は大いに喜んでいることでしょう。何しろ、映画では「埼玉県人はそこら辺の草でも喰っていろ!」と虐待された県民ですからね(笑)。

 昨晩、天下のNHKラヂオを聴いていたら、女性アナが大興奮していて、「私は埼玉県出身なんですが、小さい頃、郷土の歴史で、渋沢栄一が如何に偉い人なのか習いました。そんな郷土の英雄が選ばれるなんて感無量です」と、ずっと喋り続けていたら、隣の男性アナが「渋沢栄一は、埼玉県の英雄というより、日本の英雄ですよ」と、たしなめていたので可笑しかったですねえ。

 渋沢栄一が関係した会社として、王子製紙、みずほ銀行、キリンビール、三井物産、日本経済新聞など今でも大活躍している企業が名を連ねています。

 王子の渋沢栄一記念館に行った後、あまりにも色んな所に渋沢栄一の名前が出てきたので、その後、しばらくの間、どこに行っても渋沢栄一の名前が頭の中に出てきて、夢にまで出てきたので少し困りました。

 ここまで、彼の偉業ばかり書きましたが、ひねくれた見方も書き添えておきます。渋沢栄一は、2回結婚してますが、他にお妾さんが数多いらっしゃって、子どもが20人ぐらいいたそうです。

 当時は、普通のことだったかもしれませんが、20人とは凄い。「英雄色を好む」と言いますか、それでも、よほどの資産がないと沢山の子どもたちを養育できないでしょうから、偉人だったことは確かです。

 渋沢栄一の最初の結婚は、従妹の尾高千代でしたから、現在でも渋沢家と尾高家とは濃厚な縁戚関係になります。クラシック音楽通なら誰でも知っている「尾高賞」の作曲家・指揮者の尾高尚忠、その長男の尾高惇忠(作曲家)、次男の尾高忠明(指揮者)らも渋沢一族だったんですね。

 最後に、天保年間生まれの渋沢栄一は、現在の埼玉県深谷市の豪農出身ですから、身分は農民です。それでも、幕末は「徳川慶喜に取り立てられて幕臣になった」と何処の本にも書かれていますが、どうやって幕臣になれたのか何処にも書いていません。恐らく、豪農でしたから、お金で、武士の株券でも買ったのではないでしょうか。それに、幕末は身分制度が曖昧になり出したと言います。最も武士らしいと言われた新撰組の近藤勇も土方歳三らも、元々は、日野村の農民でしたからね。

 

京都「長谷川家住宅」で松岡氏の「在満少国民望郷紀行」スライドショーが開催

少しご無沙汰しておりますが、ご存知、京洛先生です。

桜花爛漫の時季になりましたが、昨日6日午後、貴人の畏敬する松岡將さんが京都にお見えになって、市内南区の国登録有形文化財「長谷川家住宅」で、貴人が、渓流斎ブログで再三紹介している彼の自著の一つである写真集「在満少国民望郷紀行」(同時代社刊、本体価格3千円、B5変形上製246頁、カラー頁多数)のスライドショーが開かれました。

Copyright par Kyoraque-sensei

会場の長谷川家住宅は、幕末の「鳥羽伏見の戦い」の舞台になった竹田街道のそばにあり、江戸時代は寛保2年(1742年)に建てられた農家住宅で、下の写真をご覧になればお分かりになる通り、大きな土間を使ってのスライドショーになりました。

Copyright par Kyoraque-sensei

週末の土曜日でしたが、何と50~60人の方が見えて、松岡さんは、現在と昔の満洲の風景、建物の変貌ぶり、それに絡めて、自らの満洲での実体験談を4時間近く、休憩も取らず、喋られました。

とても、その語り口は、80歳半ばとは思えないほどエネルギッシュで、戦前の満洲や、日本軍についても言及、終戦から、命からがら大陸から引き揚げ、帰国するまでの経過、様子を話されました。年齢的に、戦前の在満体験者がドンドン少なくなっているだけに、在満者の“語り部“として、これからも大いに活躍してもらいたいものです。

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 「上映会」のあと、缶ビール、サンドイッチ、シャレたオードブルでの懇親会がありましたが、参加者の中からは「今の学校の授業の歴史は明治維新まで、その後の戦争や昭和や現代の歴史はほとんど触れません。今日は、満洲でどういうことがあったのか、よく分かりました」と松岡さんにお礼を言う人もいました。

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「平成」も残りわずか、来月5月からは「令和」です。昭和20年8月の終戦後に生まれた世代が大半になり、その戦後生まれが「日清、日露戦争」をはるか遠くに感じるように、今度は平成生まれが、満洲事変、太平洋戦争などを、それと同じくらい遠い昔の話になるのは確かです。

残念がら、「語り部」がいなくなると、同じ間違いをまた繰り返すわけで、「懲りない」とはそういうことです。

Copyright par Kyoraque-sensei

悔しいですが、人間は学習など全くしていないし、しないのです。「学習は刹那」です。

以上、京洛先生でした。

ゴーン容疑者は、ジャック・ウェルチGE元会長の真似をしたのだろうか?

 今朝のカルロス・ゴーン容疑者の4度目の再逮捕には驚きましたね。(朝毎読産は都内最終版で、再逮捕の可能性を報じてましたが)

 早朝5時50分、東京都渋谷区の自宅(と、日本の新聞は書かないのに、仏紙は書いちゃってました)に東京地検関係者がまさにゴーン容疑者の寝起きを襲った感じです。NHKのテレビカメラが入ってましたから、当局は事前にマスコミにリークしたのでしょうけど、それにしては、護送車を幕で隠したりして変な「捕り物」劇でした。

 4度目の逮捕容疑は、会社法違反(特別背任)でした。日産の子会社から中東オマーンの販売代理店の預金口座に振り込まれた資金の一部を、ゴーン容疑者が実質保有する会社の口座に送金する形で、2015年~18年、日産に計500万ドル(約5億6300万円) を損害を与えたというものでした。その一部は、家族が遊興する「社長号」と名付けられた豪華クルーザー(約16億円)や息子がCEOを務める米投資会社に流れたのではないかといわれてます。

 ま、私的流用ということですかね。私的流用なら、パリやレバノンなど世界各国の自宅や、ヴェルサイユ宮殿での再婚式などの費用を会社側に負担させていた、等々たくさんの疑惑もあります。

Espagne

 ゴーン容疑者は、どうやら、いまだに日本でも信奉者の多い米GE(ゼネラル・エレクトリック社 )の会長兼CEO(1981~2001)を務めたジャック・ウェルチ(1935~)の手口を学んだ節があります。

ネット情報のウィキペディアなどでは、ジャック・ウェルチについて、「伝説の経営者」とか、「1999年、『フォーチュン』誌で『20世紀最高の経営者』に選ばれ、最高時の年収は9400万ドルにも達した」なぞと英雄視し、ベタ褒めで終わってますが、昨日ご紹介した広瀬隆著「世界金融戦争」(NHK出版)の97ページにはこんなことが書かれています。

 「経営の良質さを誇ったGEにも、収益を水増しする会計操作のあったことが2002年半ばに判明したが、それほど大きな問題として取り上げられなかった。ところが、9月になってウェルチと離婚係争中の妻ジェーンがGE社内の秘密に属する報酬契約について裁判所に詳しい明細を提出したため、ウェルチの私生活が明るみに出た。

 何とマンション代から高級車、ワイン、食事代、旅費、コンピューター、オペラのチケット、ゴルフクラブ年会費、果ては家政婦、洗濯、新聞代まで1500万ドルも会社が生涯負担する契約などが表に出て、経済誌の表紙を飾ったヒーローが、いきなりタブロイト紙の離婚ゴシップ欄で叩かれるまで評判を落とした」

Granada, Espagne

 えーー!?何か既視感(デジャヴュ)を覚えましたが、逆でした。ウェルチGE元CEO の話は、今から20年も近い昔の話でした。ゴーン容疑者の容疑が事実なら、ウェルチ元CEOの顰に倣って同じようなことをしていたことになりますね。

 それとも、莫大な権力とカネを握った者は、誰でも同じようなこと(私的流用)をするということなのでしょうか。

 でも、ゴーン容疑者が莫大な権力とカネを握った背景には、リストラという名の首切りで、職を失った日産とその関連会社の元社員の犠牲があったことを忘れています。こうして、彼の容疑が次々と明るみに出たことは、首を切られた元社員の怨念が爆発したような感じがします。

チェイニー副大統領から、話はケネディ大統領、ドレクセル商会まで飛びました

 変貌自在の「カメレオン俳優」クリスチャン・ベールが 、20キロも増量して第46代副大統領ディック・チェイニーを演じる「バイス」(アダム・マッケイ監督)が今週末の4月5日に公開されるというので楽しみにしてます。

 その予習を兼ねて、広瀬隆著「世界金融戦争」(NHK出版、2002年11月30日初版)を読み返しております。

見沼遊歩道

 チェイニー副大統領といえば、「米史上最強で最凶の副大統領」(映画のコピー)との悪名高く、能力に秀でいないブッシュ(息子)大統領に「イラクは大量破壊兵器を隠し持っている」と嘘の報告書を信じ込ませて、米国をイラク戦争に導いたと言われてます。どれもこれも、自らCEOを務め、大量の株式を保有していた石油サービス会社ハリバートン(米テキサス州ヒューストン)のためだったといわれてます。ハリバートンは、石油や天然ガスなどの採掘から、米軍の食事や洗濯サービスに至るまで幅広く事業を展開し、子会社にこれまた政府や米軍などと密接な関係を持つテクノロジー企業KBR(ケロッグ・ブラウン・ルート)まであります。

 チェイニーの妻リン(エイミー・アダムズが演じる)は、この映画の公式ホームページでは「文学博士号を持つ著述家」で、酒癖の悪い夫の尻を叩いて政界に進出させたしっかり者のように書かれています。しかし、広瀬氏の「世界金融戦争」では、リン・アン・チェイニーは、普通の主婦ではなく、「世界最大の軍需産業ロッキード・マーティンの重役で、保守系シンクタンク、アメリカン・エンタープライズ研究所の幹部を務めていた」と暴露しております。映画ではそこまで描かれているのでしょうか?


見沼遊歩道

 さて、「世界金融戦争」にはあまりにも多くの欧米を中心にした世界の人名と企業が出てきますので、一回読んだだけではとても頭に入りきれません(苦笑)。ドストエフスキーの小説を読むより大変です。

 同書では、ロスチャイルド系のゴールドマン・サックスやメリルリンチ、リーマンなどウォール街のユダヤ資本と石油企業とホワイトハウスが三位一体で利権をたらい回ししている構造を明らかにしてます。

 この本は、2001年の「9・11事件」直後に書かれたので、米国とイスラム資本との対峙も描かれて、なかなか濃密な内容です。私は、学生時代は「イスラム教の預言者マホメット(ムハンマド)は、アラブの商人だった」といった程度しか勉強しませんでしたが、同書によると、ムハンマドを生んだハーシム家は、小規模ではなく、恐らく、日本の三井、三菱、住友、安田財閥を足して数百倍にもしたような超・大財閥だったようで、著者が作成した系図からは、その子孫としてサウジアラビアやイエメン、イラン、インドネシアなどイスラム圏の国王を生んでいたことが明かされています。実に驚きです。

 でも、私自身、頭が悪いせいか、もう既に、ここに描かれている「エンロン事件」も「ワールドコム倒産」などもすっかり忘れているんですからね。情けない。ま、20年前の話ですから、日本人の多くも忘れていることでしょうが…。


見沼遊歩道

 この本が書かれた2002年当時は、現在ほどネット情報が充実していなかったので、著者はよくぞここまで「手作業」で調べたと思います。例えば、「アメリカの政党や大統領で石油利権と無関係の政権は、1870年にロックフェラーがスタンダード石油を創業してから一度も出現していない」と自信たっぷりに書き、関係者の人間関係を明らかにします。

 その内容について、色々書きたいのですが、長くなるので今日は、ジョン・F・ケネディ大統領のことだけ書いておきます。その父、ジョゼフ・ケネディは1929年のニューヨーク株式大暴落の際、事前に持ち株を売り逃げて莫大な財産をつくり、その資金でルーズヴェルトを大統領に押し上げる最大な功労者だったと言われます。

 ルーズヴェルトは、その見返りにジョゼフをウォール街の番人とも言うべき米証券取引委員会(SEC)の初代委員長に任命します。ジョゼフは息子のジョン・フィッツジェラルド(JFK)の結婚相手にジョン・ブーヴィエの娘ジャックリーンを指名します。ブーヴィエの大伯父が、米国の産業界を支配するモルガン商会のパートナー、フランシス・ドレクセルだったからだと言われています。フランシスの弟のアンソニー・ドレクセルがジョン・ピアポント・モルガンとともに、ドレクセル・モルガン商会を設立し、のちにモルガン商会、J・P・モルガン・チェースに発展します。

 また、ドレクセル商会から生まれた投資銀行がドレクセル・バーナム・ランベールです。バーナムは、証券ブローカーを経営していたアイザック・バーナムのこと。そして、残りの共同創業者の一人、ランベールは、リュシー・ロスチャイルドと結婚したベルギーの男爵レオン・ランベールの孫だったと言われてます。

 同書では、このようなユダヤ系のウォール街の金融マフィアたちが、インサイダー取引や政界工作などで巨万の富を築く話が描かれ、さらに、後に逮捕されるアイヴァン・ボウスキーやマイケル・ミルケンといった超大物投機家も登場しますが、話が複雑になるのでこの辺でやめておきます。

また、次回ということで。

驚くべき全国の地域格差=シニアが住みやすい街ベストワンは東京都板橋区、ワーストは山口県萩市

 話題の荻原博子著「役所は教えてくれない定年前後『お金』の裏ワザ」(SB新書)を読了しました。

 知らなかったことが多く、それなりに勉強になりましたが、一番驚いたのは、全国の「地方格差」です。

京都・木屋町 高瀬川の桜 Copyright par Kyoraque-sensei

 例えば、水道料金(家庭用20立方メートル当たりの値段)。全国で一番安い自治体が兵庫県赤穂市で853円であるのに対して、一番高い自治体は、北海道夕張市で6841円。何と約8倍。6000円近くも高いのです。

 国民健康保険の保険料も全国一律ではないといいます。

 厚生労働省によると、保険料は、平均所得者の「標準化指数」と中高所得者の「応能割指数」と低所得者の「応益割指数」という3指標があり、これらを県別に見ると、「標準化指数」の最も高いのが徳島県で14万5991円(年間)で最も低いのが埼玉県の10万1977円。その格差は1・4倍。「応能割指数」 では最高の徳島県が最安の愛知県の1・8倍、「応益割指数」 は、最高の石川県が最安の埼玉県の1・7倍もの格差があるといいます。(2018年9月同省発表)

 映画「翔んで埼玉!」では、埼玉県は「人間が住むような所ではない」ような酷い県に設定されておりましたが、保険料が安いので住みやすいのではないでしょうか(笑)。


京都・木屋町 高瀬川の桜 Copyright par Kyoraque-sensei

 介護保険料も同様です。

 例えば、奈良県天川村は月額8686円ですが、鹿児島県三島村は2800円とその差は3・1倍だといいます。

 住民税も、税率が一律10%(道府県民税+市町村民税)になっているので、同じ所得ならどこでも同じかと思いましたら、住民税は、前年の所得金額に応じて課税される「所得割」と、一定以上の所得がある人が全員同じ額を払う「均等割」の合計で決まり、「均等割」には地域差があるといいます。例えば、最も高い宮城県と、最も低い北海道、青森県、埼玉県、東京都などと比べると、月額何と1200円の差があるというのです!


京都・木屋町 高瀬川の桜 Copyright par Kyoraque-sensei

 この本では、「日経グローカル」が2016年に発表した「シニアにやさしい街 総合ランキング」まで紹介しておりました。それによると、「医療・介護」「生活支援・予防」「社会参加」などの偏差値総合ランキングで、全国第1位が東京都板橋区なんだそうです。ちなみに、全国ワーストは、山口県萩市でした。

 気になる方は、引用させて頂きましたので、クリックして見てみてください。

 若い人たちは「自分たちには関係ない」と思っていることでしょうが、すぐあっという間にシニアになります(笑)。今の若い人がシニアになった頃は、今よりもっともっと酷い格差社会になっているかもしれませんよ。

新元号「令和」をことほぐ

 新元号は「令和」Reiwa に決まりましたか。まずは、ことほぎたい思いでいっぱいです。

 正直、全く、予想も、想像も、つかなかった年号でしたが、だんだん、徐々に、慣れていくことでしょう。平成の時もそうでした。最初はしっくりこなかったのですが、今では平成以外は考えられませんからね。

 令和の出典は、万葉集で、日本の古典から採用したのは初めて。「大化」以来、「平成」に至るまで1374年の間に247の元号が使われてきましたが、「令」の字も初という「初ものづくし」でした。これまでの元号は、すべて漢籍から採用されていましたが、今回は時の政権が保守勢力を忖度して、中国の古典を避けたのではないかという憶測もありますが、とにかく、世界中どこを見渡しても現在、元号を使用しているのは日本しかありませんから、私自身は誇りに感じます。

独り花見

 さて、話はがらりと変わりますが、ネット隆盛時代となり、既存の新聞、ラジオ、テレビは、「マスゴミ」と批判され、形無しです。

 しかも、年内にはネット広告の売上高がテレビ広告を上回ると言われておりますから、名実供に、メディア代表の地位をネットに譲った格好になります。

 私自身、既存メディアにいまだにほんの少し片足を突っ込んでいる身として、耳が痛いのですが、既存メディアの報道に関する批判は確かに認めざるを得ない部分があります。

 特に、私が気になっているのは、新聞がやたらと、ツイッターなどSNSの話題をフォローして報道する傾向が高まったことです。何かあった時に、すぐ手っ取り早く、「街の声」や「市民の反応」と称して、SNSを引用して報道したりします。昔々、ブン屋と呼ばれた新聞記者は、小耳に挟んだ話をゼロから足で稼いで当事者に当たって、記事を書いたものですが、今や、冷暖房の効いたオフィスでネットサーフィンして記事のネタを探す時代になりましたからね。

 新聞の記事なのに、何で、テレビの話題やネットの話題ばかり取り上げてお茶を濁すのでしょうかー。それなら最初からネットだけ見ていればいい。だから、今や、新聞も読まないし、テレビも見ない人が増えたのでしょう。

 
今回の新元号は、 忙しい人は、新聞やテレビよりも、ネットで知った人が平成の新元号発表時より増えたことは確実です。

 これから先、どんな時代になっていくのか皆目見当も付きません。

 でも、新元号「令和」は5月1日からです。「街の声」や「市民の反応」の中には、新元号は4月1日からで、平成は3月31日で終わると誤解している人も多くおりました。

 「街の声」なんぞは、その程度ですか。。。。

【追記】

毎日新聞は、新元号「令和」の考案者は、中西進・大阪女子大名誉教授(89)ではないか、と報じてます。中西名誉教授は、万葉学者の第一人者で、政府が委嘱した人の一人だったからです。

 また、個人的ながら、中西先生は、小生の予備校時代に習ったことがあり、(確か、当時は成城大学教授)しばらく、年賀状も交換しておりました。もし、毎日の報道が事実なら嬉しいですね。

ショーケンの死、NHK岩田解説委員、コンビニ営業時間、モノに執着しない生活

 今日は、種々雑多の心に浮かぶよしなしごとをー。

 ■ショーケンこと萩原健一さんが3月26日に亡くなっていたそうで、ご冥福をお祈り申し上げます。難病に掛かり、2011年から闘病されていたそうですが、まだ、68歳という若さですから御本人も無念だったことでしょう。

 テンプターズのヴォーカルとして「神さまお願い」や「エメラルドの伝説」などのヒットを飛ばした頃(古い!)、私の世代のアイドル的存在でしたから、ある時代が終わった感じがします。破天荒な人に見えましたが、私生活でも、女性遍歴やら薬物使用やら、破天荒だったようです。

 先日観た映画「翔んで埼玉」のことを書きましたが、ショーケンも埼玉県出身。旧与野市の鮮魚店の子息だと聞いたことがありましたが、今のようなネット時代は色んなことが書かれていますね。大スターというのは、色んなものを背負っていて、生まれ持った重い影が「暗ければ暗いほど、輝く」というのが鉄則だというのは、芸能担当記者だった頃に業界関係者から聴いた話でした。ショーケンは17歳でデビューして大スターになりましたが、その理由が分かった気がしました。

alhumbra, Espagne

 ■一昨日、このブログで「新元号」のことを書きましたので、少し責任感を感じて(笑)、「NHK熟年の美人記者が元号スクープという舞台裏」という見出しで、新元号のことを取り上げていた「週刊新潮」を買ってしまいました。私は、「新元号をスクープするメディアはどこになるか気になる」と書きましたが、「週刊新潮」は「首相官邸周辺は、NHK解説委員の岩田明子氏にスクープさせる動きがある」といった趣旨のことを書いてました。

 えっ?あの、世間では「安倍首相のお気に入り」と評判の岩田女史ですか。どうやら、安倍首相の自宅に近い所にあるマンションを購入して、安倍首相の母親の洋子さんとも親密になっている、とも書かれていました。

 なるほど。岩田さんが、4月1日の臨時閣議後の正式発表前に、恐らく5分ぐらい前に「新元号は○○です」とテレビカメラに向かってスクープするのでしょうか?

 岩田さんは、最高学府を出られたという噂は聞いてましたが、気になって調べたら、高校は名門県立千葉だったそうですね。いやあ、この高校、どうでもいいですけど、個人的に、心の傷が疼くほど、思い入れがある高校です。そうでしたかあ…。

Alhumbra, Espagne

■最近、と言っても、半年ぐらい前ですが、私が利用する最寄り駅の駅前の一等地にあったパチンコ屋さんが、コンビニになっていました。駅至近距離には既に4軒もコンビニがあるのですが、やはり、コンビニは、パチンコ店を席捲するほど勢いがまだまだあるんですね。

 最近、コンビニの「深夜営業」を巡って喧しいですが、私自身は、ほとんどコンビニを利用しないので、真夜中、未明までオープンすることはないと思ってます。少数意見かもしれませんが。

Espagne

■3年ほど前、病気になり車の運転ができなくなり、そのまま自家用車を売却してしまいました。

 生活的に不便にはなりましたが、でも、そのお蔭で、自動車保険や駐車場代などが一切掛からなくなり、家計的には大いに助かるようになりました。いざという時は、タクシーに乗ればいいと思いましたが、結構、健康のために歩くようにしたら、徐々に健康を取り戻すことができました。

 さて、何でこんなことを書いたかと言いますと、会社の同僚が、自宅に保管している蔵書が増えすぎたため、自宅近くにロッカールームを借りたという話を聞いたからです。畳二畳ほどの広さで、月額8000円。「わー高(たか)!、田舎の駐車場代並みだなあ」と思ってしまったのです。

 蔵書については、またまた個人的ながら、病気で読めなくなってしまった際、かなりの数、1000冊ぐらいの本を処分してしまったので、今や私の書斎にはほとんど残っておりません。

 やっぱ、モノに固執しなければ、お金も掛からないってところですかねえ?

新元号、スクープ記者は語り継がれる?

 今日は3月27日(水)。5日後の4月1日(月)に閣議決定を経て、今上天皇御退位に伴う新元号が発表されます。

 ワイドショーかなんかでは盛んに新元号名が予想されているようですが、見ていないので分かりません。

 でも、私が個人的に得た情報によると、現在の日本の国家の最高権力者の名前から一字取った「安」が入るのではないかという憶測が流れております。

ソニー生命保険が、2018年3月16日~19日に、全国の平成生まれの男女(20歳~28歳)と昭和生まれの男女(52歳~59歳)1000人に対し、「平成生まれ・昭和生まれの生活意識調査」をネットで調査したところ、新元号の予想として、「安久」が3位、「安寧」と「安泰」が10位に入ったため、この調査が基準となり、情報が一人歩きしたようですが。

 その程度の情報が拡散しているとしたら、こうなったら、四字熟語の「安心立命」から拝借して、「安立」とか「安命」とかいう元号になるかもしれません。えっ? 四字熟語? お相撲さんの口上じゃあるまいし、「まさか」でしょうね。恐らく、また、四書五経など中国の古典から引用されることでしょう。日本の古典からという説もありますが、当たったらどうしましょ。

 そもそも、こうして庶民が新元号を予想すること自体は、戦前なら「不敬罪」に当たり、逮捕されていたことでしょう。しかし、今回は生前退位であり、国民の象徴として、次第にタブー視されなくなったことから、元号予想が百花繚乱の趣を呈していると思われます。

Alhambra, Espagne

 ま、いずれにせよ、私が注目しているのは、どこのメディアが新元号をスクープするか、です。今から30年前の「平成」は、毎日新聞が発表の35分前にスクープしたのですが、「号外」を出さなかったといいます。なぜかというと、大正から昭和に改元される際に、毎日新聞の前身の東京日日新聞が「次の元号は光文」という大誤報の号外を出してしまった過去のトラウマがあったからでした。「二度と誤報は繰り返したくない」という、平成改元当時の毎日上層部の慎重な判断があったようです。

 しかし、今回は、首相官邸側が「新元号が事前に漏れ、報道されるようなことがあれば必ず差し替える」とメディアを恫喝していると言われます。となると、菅官房長官の大嫌いな美人記者のいる東京新聞は、まずスクープは無理でしょう。「大正」をスクープした朝日新聞や、毎日新聞は安倍首相に嫌われているので論外。日本経済新聞は、財界からの情報頼みか。となると、「御用新聞」面目躍如の読売新聞か、産経新聞のどちらかになるでしょう。でも、産経は「人手不足」ですから脱落。やはり、日本のメディアで一番政財界に食い込んでいて、読み応えのある読売が抜くかもしれません。

 とはいえ、30年前と違って、紙のメディアは著しく後退して、ネットメディアが台頭しています。取材力でいえば、人員豊富なNHKか共同通信、もしかして意外にも米国のAP通信辺りがスクープするかもしれません。

 えっ?5分や30分のスクープが何になる?くだらない、ですって? いやいや、スクープはジャーナリズムの醍醐味です。新元号をスクープした記者は、後々の世まで、代々語り継がれますからね。

 ちなみに、「大正」をスクープしたのは朝日新聞の政治記者だった緒方竹虎(1888〜1956)でした。後に同社の主筆兼副社長となり、退社後、情報局総裁、戦後は内閣官房長官、自由党総裁などを歴任した超大物政治家です。昭和11年の2・26事件で、有楽町の朝日新聞本社が襲撃された際、青年将校と対峙した人ですから、この人、よっぽど、歴史の変革に居合わせる運命を持つ稀有の人だったことが分かります。