「闇社会の帝王」の告白

 新型コロナウイルス感染拡大のため、世間の皆様と同様に自粛しています。博物館に行きたいのですが、閉館ですし、映画館は、一部開館してはいても、ピリピリとした厳戒態勢で、楽しみに行くんじゃなくて、苦しみに行くみたいで、気がそがれてしまいました。

 フランスでは不要不急の外出禁止令が出されていますが、違反すると135ユーロ(約1万6000円)の罰金を科せられるとか。この金額、何処から来たんでしょうか?日本ならアルバイトの2日分といったところでしょうか。

 ということで、相変わらずの読書三昧で、昨日は、先日、有楽町駅前の三省堂書店でつい買ってしまった許永中著「悪漢の流儀」(宝島社、2020年2月28日初版)を読了しました。

 何でそんな本を?-と詰問されそうですが、こういう手の本は、公共図書館に置いてくれないので、借りられない。自分で買うしかないーというほかありません(笑)。第一、今、地元の図書館は、政府の要請を楯にして、閉まってますからね。

 許永中さん(72)といっても、もう若い人は誰も知らないかもしれません。バブルが弾けた1990年代から2000年にかけてのイトマン事件、石橋産業事件で刑に服した元被告人で、在日二世だったことから、「受刑者移送条約」に基づき韓国に移送され、2013年に仮釈放されて出所し、現在は、ソウル在住。日本での特別永住権を喪失した身でもあります。

 事件捜査の最中では、許氏は「戦後最大のフィクサー」「闇社会の帝王」などとマスコミで盛んに書きたてられ、「悪の権化」のような存在として、ある程度年齢がいった人たちの記憶に残っています。

 しかし、この本では、若い頃からワルで、恐喝や傷害事件などに手を染めたことを認めたものの、長じてからは、不動産業などで成功した実業家で、大阪~釜山間に大阪国際フェリーを運航するなど社会事業も起こしたり、大阪五輪誘致に奔走したりしています。 逮捕されたイトマン事件、石橋産業事件については、身に覚えがない事件で、無実であることを訴えた書にもなっています。

 また、大阪・中津で生まれ育った在日韓国人二世だったことから、子どもの頃から差別され、貧困のどん底から這い上がって、実業界で成功するも、事件で一挙に富も名声も地位も失う波乱万丈の人生で、それでも、あくまでも他人を信じる「性善説」を支持する哲学書にもなっています。

 表紙の帯にも書かれていますが、交際した人脈が半端じゃありませんね。関わった人たちとして挙げられているのは、小沢一郎、竹下登、亀井静香、野中広務、新井将敬、金泳三、宅見勝、柳川次郎、生島久次、古川真澄、小西邦彦、山段芳春、大谷貴義、大山倍達、太田清蔵、堤清二ら政財界と裏社会などの超大物ばかりです。(敬称略。詳細は本文をお読みください)

 リンクした人物など、以前、このブログで取り上げたことがある方ばかりで(深い事情で、消滅した記事もあります)、どういうわけか、渓流斎ブログは、「その筋のブログ」とよく勘違いされますが、そんなことはないんですよ。物事の実相と本質と道理を知りたいだけなのです。

 この本は、許氏の話をライターがまとめた「聞き書き」だと思われますが、どちらかと言えば、本人による一方的な弁明なので、歴史的事実として、どこまで信用していいのか分からない部分もあります。

 でも、「闇社会の帝王」「戦後最大のフィクサー」と言われた人物が、腕っぷしの強さと抜群の行動力と度胸と己の才覚だけで極貧生活から這いがって来た労苦と、その過程で知り合った人間関係は史実として理解できます。

 ただ、許氏本人は、わざと十分語り尽くそうとはしないので、読者は、読んでいて歯がゆいほど隔靴搔痒を感じます。とはいえ、言って良ければ、20世紀末の日本のバブル時代に咲いた仇花の深層を伺い知ることができます。

「仙人秘水」の釜石鉱山からの贈り物

いやはや、最近は新型コロナウイルス一色で、このブログも感染して、新型コロナウイルスに染まってしまいました。

 あまりネガティブな情報ばかり挙げても精神衛生に良くないので、本日は、個人的ながら良い知らせをご報告させて頂きます。皆さまご案内の通り、小生は、親譲りの無鉄砲で、子どもの時分から損ばかりしてきたので、まず大きな抽選や博打に当たったためしがありません。

 それが当たったのです。

 NHKの「ブラタモリ」は、日本全国の地質や列島の成り立ちが分かり、いつも興味深く拝見しているのですが、先月は三陸海岸地方を取り上げていました。その中で、製鉄の街として知られる釜石市を特集していましたが、今は、鉱山は廃坑となり、その代わり、その鉱山で自然に湧き出る水を製品として販売したら爆発的に売れるようになったという逸話をやってました。

 「仙人秘水」というのですが、あれ?どこかで聞いたことがあるなあ、と手元の本を調べてみたら、私も何冊か著書を愛読している免疫学者の藤田紘一郎先生が、全国の天然水の中で、身体に良いものの一つとして、この「仙人秘水」を取り上げていたのでした。

 私は、そうやたらと宣伝には動かない人間なのですが(笑)、モノは試しということで、500ミリリットル24本入りのケースをネット販売で買ってみることにしました。送料等込みで3600円でしたから、1本150円という計算。庶民としてはちょっと高めでしたが、ま、いっか、ということで買い求めました。

  その際、実はほとんど覚えていないのですが、(駄目じゃん!)サイトで、何か、応募抽選をクリックしたらしく、昨日になって、上の写真のような「岩手三陸の特産品詰合わせ」が当選したということで送ってきたのです。

 吃驚ですよ!

 ホタテの干し貝柱なんて、高そう(笑)。何か、お水代の元が取れてしまったようで、申し訳ない気分になってしまいました。

 ということで、3月11日は、東日本大震災から今年で9年。新型コロナウイルス騒動で、十分な追悼式が行われなかったこともあり、もう一度、東北三陸を応援したくなりました。

 釜石鉱山株式会社さま、どうも有難う御座いました。御礼申し上げます。

 

感染検査の遅れで甦る731石井細菌部隊

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 新型コロナウイルスの感染は今や欧州が最も拡大した地域になり、EUの取り決めもほとんど無効となり、国境封鎖や外出禁止令まで出るようになりました。

 AFP通信の調べでは、新型コロナウイルスは3月18日午前2時時点で 、中国本国の感染者が8万881人で死亡者は3226人。中国以外の感染者は10万8805人と発生源を超えてしまいました。特に酷いのは欧州で、感染者で多い国から順に、イタリア(死亡2503人、感染3万1506人)、イラン(死亡988人、感染1万6169人)、スペイン(死亡491人、感染1万1178人)、フランス(死亡148人、感染6633人)と続いています。(日本は、16日18時の時点で死亡35人、感染者1496人)

 先々週まで、それほど警戒していなかったフランスのマクロン大統領は昨日(現地16日)になって急にテレビで国民向けに演説し、感染拡大を阻止するため、必需品の買い出しや病院受診などを除いた外出禁止令を布告しました。カフェもレストランも営業が停止され、公園にも散歩しちゃダメ、なんて言うんですからね。

 マクロン大統領は、ウイルスとの闘いを「戦争」とまで表現していました。こんな事態、これから100年間、語り継がれることでしょう。

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ところで、日本では新型コロナウイルス感染の判別に役立つPCR(ポリメラーゼ連鎖反応) 検査が進んでいません。何故なのか?ー これについて、上(かみ)昌広・医療ガバナンス研究所理事長が 「サンデー毎日」に「731部隊の亡霊『専門家会議』の大罪」という記事で勇気ある告発をしています。

 どうやら、政府が2月14日に発足した専門家会議が怪しい、ということで、そのルーツを明かして糾弾しています。メンバーの12人のうち8人が、4組織の関係者で人事と予算とデータまで独占しているというのです。
 その4組織とは、国立感染症研究所(感染研)、東京大医科学研究所(医科研)、国立国際医療研究センター(医療センター)、東京慈恵会医科大学(慈恵医大)です。
 感染研と医科研は戦前の伝染病研究所(伝研)が母体で、戦後、伝研が分離独立した際に、幹部に帝国陸軍の細菌戦研究機関「731部隊」関係者が名を連ねたといいます。また、医療センターは、陸軍の中核病院で、慈恵医大は、海軍軍医学校創設者の一人である高木兼寛が中心になって設立した医師受験予備校だったそうで、まるで戦前の亡霊が復活したかのように見えます。
 上氏は、帝国陸海軍の流れを汲んでいる組織ゆえに、関係者には秘匿主義があるのではと告発しているわけです。

 以上は、731石井細菌部隊に詳しい加藤哲郎・一橋大名誉教授のサイト「ネチズン・カレッジ」で知りました。

 そう言えば、私も、その注目の感染研には行ったことがあります。諜報研究会の第一回見学ツアーに参加した際、お導き頂きました。2017年11月25日のことです。この日は、石井細菌部隊関連の歴史的舞台を色々と連れて行って頂きました。ご興味のある方はリンク先をご参照ください。

143年ぶりに「茅の輪」が出現=京都・八坂神社

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おはようございます。京都の京洛先生です。新型肺炎が世界中に蔓延して、2020年「東京五輪」どころではありませんね。

トランプ米大統領は「非常事態宣言」を出しました。「大統領再選」の危機感と言えますが、これもトランプ独特の一芝居です(笑)。僅か5兆円か、6兆円くらいで、非常事態が解決、解消できるわけありませんよ。

 日本では、「東京五輪」の開催決定権も無い、小池百合子・東京都知事が偉そうにマスコミ相手に色々喋っていますが、そのコメントの背景も解説せずに垂れ流すマスコミというのは何ですかねえ?小池さんの東京都知事選の事前運動か、PRを手助けしているだけの話です。取材する側にその自覚がないのですから、本当に情けない話です。

 クラスター(cluster)とかいう「感染集団」は、新型肺炎のことだけでなく、裏読みできないマスコミ自体が感染集団みたいなもので、はっきり言って、ただの烏合の衆ですよ。

京都・八坂神社  Photo Copyright par Kyoraque-sensei

ところで「祇園祭」の勧進元である京都・八坂神社では6月30日から始まる夏越の神事の「茅の輪」が、新型肺炎の蔓延もあって、三か月も早く、境内に登場しました。

御覧の通り143年ぶりに夏以外に「茅の輪」が  Photo Copyright par Kyoraque-sensei

 本来の「茅の輪のくぐり」は、新年から半年間にたまった穢れを払い、無事、夏を越せるよう、無病息災を願う神事なのです。

 今回の茅の輪は、八坂神社境内の「疫(えき)神社」と、本殿西側の二か所に設けられ、謂れが書かれた説明を読んで茅の輪をくぐる人が相次ぎ、「これで肺炎に罹らずにすむ」と喋りあう女性の姿が目立ちました。

「これで、肺炎に罹らずに済むわいな…」  Photo Copyright par Kyoraque-sensei

 八坂神社の記録では「夏越の祓え」以外で、「茅の輪」が設けられたのは明治10年(1877年)のコレラの大流行以来143年ぶりだということです。明治10年といえば、西南戦争が起きた年です。

 貴人も、以前、北野天満宮で「夏越の祓え」で茅の輪くぐりをされたことがありましたね。その時は青々とした茅(かや)を使っていた、と思いますが、今回の茅は時季外れでもあり、八坂神社に保管されていた茅を使った、ということで青々としていません。でも、ご利益は不変ということです。

以上

 いやあ、いつもながら、タイムリーなリポート有難う御座います。西南戦争の明治10年以来の茅の輪だなんて、今、凄い時代に生きているんですね。

 実感できました!

再び、消費税ゼロを提言します

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株が世界的に大暴落しています。

 3月12日のニューヨーク・ダウ工業株30種平均は、前日比2352.60ドル(10.0%)安の2万1200.62ドルと、1987年10月の暴落「ブラックマンデー(暗黒の月曜日)」以来の大幅下落をしました。

 それを受けた日本も、13日午前に一時、2016年11月以来3年4カ月ぶりに1万7000円を割り込みました。

 まあ、新型コロナ・ショックというか、パニックですね。

 これから不況になり、個人消費も落ちることから、昨日は、小生は生意気にも「消費税ゼロ」を提言しました。 2019年10月に消費増税する前に、 安倍晋三首相は「(2008年の)リーマン・ショック級の出来事がない限り、10%にする」と啖呵を切ったことを国民は忘れていません。今、まさに、 リーマン・ショック級の出来事、いやそれ以上のことが起きているではありませんか。増税はやめるべきです。

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 「消費税ゼロ」は我ながら、思い切った提言かと思ったら、既に、れいわ新選組の山本太郎代表が今年1月に月刊誌で提言していたんですね。そして、11日には 自民党の有志の若手議員らが経済への影響を最小限に食い止める必要があるとして、消費税ゼロなどを政府に提言しておりました。 自民党がですよ。野党は何をやっているんでしょうかねえ。特に、野党第一党の立憲民主党なんかは、私権を著しく制限する特措法の改定に賛成するんですからね。何考えているでしょうか、枝野代表は。政党の存在価値もなければ意味もありませんよ。

 10年おきに繰り返される株のバブルと大暴落は資本主義社会の宿命ですかね?ここ最近では、1987年10月 のブラックマンデー、1997年10月のアジア通貨危機、2008年10月のリーマン・ショックが記憶に新しいですが、2020年3月は、コロナ・ショックですかぁ…。

 今年は令和2年ですが、元号が新たになって2年目はどういうわけか、何か起きます。平成2年(1990年)はバブル崩壊の開始、昭和2年(1927年)は、昭和恐慌でした。もちろん、偶然でしょうが、我々は今、激動の時代に生きています。

 私もよく存じ上げている愛知県にお住まいの篠田長老は「マスクが売り切れで、買えにゃーからしょうがにゃあだぎゃ」と言って、バスでも電車の中でもマスクせず、堂々と街中を歩いているそうです。

 フランスのテレビを見ていたら、病人でない限り、マスクは必要ないと報道していました。紙か布切れだけで、猛毒のウイルスをシャットアウトできるかどうか甚だ疑問なので、世間の人は気休めで、紙マスクをしているだけなのでしょう。(効果があるのは、医療用のガスマスクのようなマスクだけなのでは?)

 その点、篠田長老の行動は理にかなっているかもしれません。人間、緊急事態でどんな行動を取るのか、その人の個性が現れますね。

 

コロナ不況で消費税をゼロにしたらどうでしょう

 日本のテレビは「新型コロナウイルス」の話ばかりやっていて閉口してしまったので、海外のテレビを見てみました。

 そしたら、海外のテレビニュースも9割方、新型コロナの話ばかりでした。駄目じゃん。さすがに、気落ちしてしまいました。このことをあまりブログに書いても、やたらと不安を煽り立てるだけのような気がして、昨日はブログを書くのはやめにしました。

 でも、今日は書かざるを得ませんね。 世界保健機関(WHO) は日本時間の今日未明に、ついに新型コロナウイルスはパンデミックであることを認めました。WHOが発表する数字は、意図的なのか、能力的なのか、かなり少ないので、米ジョンズ・ホプキンス大学が発表している世界の感染状況の数字を一生懸命に計算して取り上げてみると、3月11日の時点で、12万6093人が感染し、4628人が亡くなっています。このうち、(1)中国の感染者は8万0929人(死者3169人、香港3人)、(2)イタリア1万2462人(827人)、(3)イラン9000人(354人)、(4)韓国7755人(60人)、(5)フランス2284人(48人)、(6)スペイン2272人(55人)、(7)ドイツ1966人(3人)、(8)米国1281人(36人)、(9)クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」 696人(7人)、(10)スイス652人(4人)、(11)日本639人(15人)…となっています。(ジョンズ・ホプキンス大のサイトを見ていると、数字は時々刻々と増えています)

伊ミラノ

 今週になって、急に欧米で増えました。特にイタリアでは、1万人以上が感染し、既に827人が亡くなり、中国に次ぐ多さです。イタリアはどうしっちゃったんでしょうか。

 フランスのテレビですが、映像を見ていたら、芸術の都フィレンツェも、水の都ベネツィアのサンマルコ広場も、遺跡の都ローマのコッロセオも、あんなに観光客で溢れていたのに、今は人影もまばらです。飛行機内も空港もパラパラです。航空会社は大赤字でしょうね。

イタリアのコンテ首相は11日に、テレビを通じて、国内の薬局と食料品店以外の全店舗を閉鎖すると発表しました。イタリア人の大好きなオペラや映画も見られず、外食もできないんでしょうか。鎖国ですね。

 3月10日のフランス2の「20時のニュース」では、新型コロナウイルスは、全世界で11万6000人が感染し、約6100人が死亡しましたが、6万4000人が回復。死亡率は1~3%程度だと報じていました。数字は、米ジョンズ・ホプキンス大学の最新データとは違いますが、結構、回復者がいて、80%は軽症と、合理的なフランス人らしく、努めて冷静になるよう強調している感じがしました。

 ですから、隣国のイタリアは異様です。病床が少なく、医者や看護師が足りないようですが、何でこんな急速に拡大したんでしょうか?北イタリアは、中国人観光客や出稼ぎ労働者が多かったという話もありましたが、隣国のドイツの感染者は1966人、死亡者が3人ですから、何か他に理由がありそうです。

 とにかく、このような新型コロナウイルスの拡大による経済的損失は莫大で、まさに「コロナ・ショック」で世界同時株安、原油安、債権暴落という恐慌が押し寄せてきました。

 我が日本国政府は昨日の11日に「緊急対応策」第3弾の着手を発表し、子育て世帯に3万円を給付する案が検討されているとか。そんなんで大丈夫なんでしょうかねえ。「焼け石に水」のような感じがします。

 この分だと、夏の東京オリンピック開催は無理でしょう。夏には終息するという希望的観測がありますが、真夏の南半球のオーストラリアで感染拡大するぐらいですからね。突然変異するウイルスです。代替開催に「立候補」していたロンドンだって感染者がいるんですから無理ですよ。(英国の感染者は459人、死者8人)

 日本にも大不況が襲ってくるのはほぼ確実で、倒産する会社も出てきますし、個人消費は大幅にダウンすることでしょう。こうなったら、1年間の時限立法でいいですから、消費税を半分ではなく、一層のこと、ゼロに戻したらどうでしょうか。

 私のような単なるブロガーが何を言っても始まりませんが、政府与党の皆さんには景気回復のために真剣に検討してもらいたいです。

特措法改正の緊急事態宣言は危ないのではないか?

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 まだ3月で、気が早いですが、今年2020年の流行語大賞は、「東京オリンピック」ではなくて、「新型コロナウイルス」で決まりですね。京都・清水寺の漢字一文字も、感染の「染」辺りじゃないでしょうか(苦笑)。

ということで、最近のニュースは、どこもかしこも、閉口するほと「新型コロナウイルス」の話ばかりです。「濃厚接触」だの「クラスター」だの耳慣れない「新語」もすっかり慣れてしまいました。この言葉は、20年後の未来の人が、意味が分からなかったり、違う意味に取ったりしてくれることを願いたいものです。

 個人的ながら、楽しみにしていた来週の高校の同窓会も結局、延期になってしまいました。「同調圧力」に屈したくなく、ギリギリまで開催を模索していたのですが、周囲の状況が許さなくなってしまいました。一番気になっていたのは、わざわざ遠方から参加してくれる友人たちです。1週間前という直前だったので、キャンセル料が発生するからです。幸い、その中の一人のK君の場合は、新型コロナウイルスによる中止延期の場合、新幹線料金のキャンセル料は免除してくれたそうです。まあ、「自粛要請」は国家的規模ですから、一企業としても配慮せざるを得なかったのでしょう。

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 政府は、海外からの渡航者のうち、中国と韓国からは、入国後、二週間は、日本人なら自宅で、外国人ならホテルなどの施設で謹慎してもらう検疫上の措置を取ることになりました。二週間のホテル滞在費は、「自前」ということにしたそうなので、これでは来日、訪日する中国人、韓国人は激減するはずです。まるで「鎖国」ですね(苦笑)。我々今、歴史的な変革期に生きている感じがします。

 この緊急措置に対して、早速、中国政府は「概ね妥当」だとしましたが、韓国外務省は猛烈な抗議をして同じような対抗措置を取ることを発表しました。でも、これは致し方ないんじゃないでしょうか。自然の猛威というか、ウイルスの猛威ですから、人智の及ばない所があるからです。

 それどころか、安倍政権は、日本国民に対しては、来週14日にも、「緊急事態宣言」を施行する構えです。多くの人は甘く考えているようですが、こんな宣言が出されたら、外出禁止令だの集会禁止令だの大幅な私権が制限されることが予想され、国民を不安に陥れます。安倍首相は、新型コロナウイルスにかこつけて、「閣議決定」だけで何でもやりかねませんからね。

 今のメディアは御用新聞化してチェック機能が疎かになっているので、気が付いた時は「いつか来た道」を歩いているかもしれません。

【後記】

 一部のメディアしか報道していませんが、2012年成立の新型インフルエンザ対策特別措置法が改正されて、緊急事態宣言が施行されると、市民の外出や集会を制限できるほか、所有者の同意を得ずに土地・建物の収用なども可能になるといいます。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2020030401247&g=pol ☜ 時事通信

大丈夫かなあ?

 

田路舜哉、津田久…住友商事をつくった人たち

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こんにちは 大分の三浦先生です。

 この3月1日から、日本経済新聞の最終面の名物「私の履歴書」で、段ボールの最大手レンゴーの会長兼社長の大坪清氏(1939~)の武勇伝が連載されています。賢い渓流斎さんのことですから、既にお読みになっていることでしょう。

本日(3月6日)も名前が出て来ますが、大坪氏の入社試験で面接した住友商事の社長だった「津田久」という方は、大変面白い人物です。連載の前回に書いてありましたが、住友商事は、財閥の商社の中でも後発で、戦後の昭和20年11月に「日本建設産業」の名称でスタートしました。知らなかったでしょ?当時は「十大商社の9番目」。住友金属(現日本製鉄)関係との取引が際立つ「鉄鋼商社」とも言われていました。それを総合商社として大きく成長させたのが津田久です。

 もう一人、 摂津板紙の創業者である 「増田義雄」 も出てきますが、彼も大変喧嘩早く、今のITか何かの青年実業家なんかと違って、アクが強く、新聞・雑誌記者たちがその逸話を取り上げるだけで、下手な文章でも、輝き出すような取材対象です(笑)。

 津田久も、その前の社長で事実上の住商を創業した「田路舜哉(とうじ・しゅんや)」も東京帝大出身で、卒業後、住友本社に入り、戦後の住友グループの事業拡大に尽力があった逸材です。

 田路は、「ケンカ、とうじ」と言われたり、名刀のように切れるので「村正」と言われたり、まあ、凄いあだ名がついた面白い逸材です。

住友グループの原点の別子銅山に関連して、「別子三羽烏」など綽名もついていたそうで、それだけ、個性のある人物が数多いたわけですね。

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田路の上司で、田路を可愛がった「鷲尾勘解治(わしお・かげじ)」は、住友本社の大幹部で、別子銅山の最高責任者だったのに、住友本社と対立して、住友を去ります。鷲尾は「鉱夫の気持ちが分かるには自分も鉱夫にならないとダメだ」と自ら鉱夫になって懸命に働き、同時に別子銅山の鉱脈の将来性も見通し、次の事業展開も考えていたそうです。

 田路もそうした気風の継承者で、叙勲も固辞しています。まあ、皆さん、信念と気骨のある人ばかりですね。そういう残影に多少でも接した大坪氏だけに、「私の履歴書」には人間味のある逸話が多く出てくるのです(笑)

 えっ?大坪清も増田義雄も津田久も田路舜哉も鷲尾勘解治も初めて聞く名前ですか?ああたのことですから、すぐ、ごっちゃになって、津田清とか、大坪義雄とか、言い出すことでしょう(笑)

 政界も財界も官界も文学界も、人物の逸話が面白いのです。「こんな人がいたんだ」「こういう人たちのお蔭で今の我々がいるのだ」などと、歴史から学ばなければいけません。渓流斎さんも、政治家や財界人を毛嫌いせずにジャンルを超えて知らなければなりませんよ。

日本共産党と社会党がソ連から資金援助を受けていた話=名越健郎著「秘密資金の戦後政党史」

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(渓流斎ブログ3月3日付「冷戦期、自民党は米国からお金をもらい、社会党と共産党はソ連からお金をもらっていた」のつづき)

 名越健郎著「秘密資金の戦後政党史」(新潮選書)の前半は、冷戦時代、自民党が米国からたんまりとお金をもらっていた、という話でしたが、後半は、日本共産党と社会党がソ連から資金援助と便宜供与を受けていたという話です。公文書から具体的に書かれています。

 共産党の場合はこうです。

 ソ連共産党による秘密基金に関する「特別ファイル」の全ての記録は確認できなかったが、判明しただけでも、1951年に10万ドル、55年25万ドル、58年に5万ドル、59年に5万ドル、61年に10万ドル、62年に15万ドル、63年に15万ドルーと少なくても7年で計85万ドルが供与された。この期間の85万ドルは、現在の貨幣価値では30億円以上に匹敵すると思われる。(176~177ページ)

 社会党の場合は、1950年代は中国から60年代からソ連から「友好商社方式」と呼ばれる迂回融資の形で、お金をもらっていました。

 原彬久元東京国際大学教授の著した「戦後史のなかの日本社会党」(中公新書)によると、社会党の浅沼稲次郎委員長の「米帝国主義は日中両国人民の共通の敵」(1959年3月の訪中の際)発言を前後して、中国は日本に「友好商社」を設け、これを通じて中国産の漆、食料品等のいわゆる「配慮物資」を流し、この友好商社の利益の一部を社会党の派閥・個人に還流していったことは、周知の事実であるといいます。(236ページ)

 その後、社会党は、資金援助を中国からソ連に切り替えます。そのきっかけは、1961年のソ連ミコヤン副首相の訪日だったといいます。歴史的な中ソ対立の最中、同副首相は、社会党の河上丈太郎委員長に対し、「日本共産党が中国共産党に接近したので、ソ連共産党は社会党との関係を深めたい」と正式に申し入れ、本格化したといいます。これを受けて、64年7月に成田知巳書記長を団長とする第3次訪ソ団がフルシチョフ首相らと会談し、貿易面の全面協力などを含む共同声明を発表します。(242ページなど)

 これによって、優遇された社会党系商社がソ連との貿易で利益を得て、その一部を社会党に還元していくシステムが確立したわけです。(社会党がソ連寄りになったのは、共産党が60年代から「自主独立路線」を提唱してソ連から離れたことや、70年代に「日中両国の共通の敵」だった米国が中国に接近したことが要因になっています)

 著者は「ソ連がチェコスロバキアの自由化運動『プラハの春』を戦車で鎮圧した1968年のチェコ事件は、ソ連型社会主義への失望を高めたが、社会党左派の理論的指導者、向坂逸郎や岩井章総評事務局長らはソ連の行動を公然と擁護した」と書き、暗に、社会党系は、ソ連からお金をもらっているから批判できなかった、ことを示唆しています。

 嗚呼、公開された公文書によると、自民党は少なくとも1964年まで米国からたんまりとお金をもらって、ズブズブの関係。そんな大企業中心の金権政治に嫌気をさして、共産党と社会党にユートピア世界建設の夢を託していた大衆も、見事、裏切られていたわけですね。ソ連から利益供与を受けた党が全権を掌握すれば、日本はソ連の衛星国になっていたことでしょう。

 別に今さらカマトトぶるわけではありませんが、こんなんでは政治不信、と同時に人間不信になってしまいます。

「全国一斉休校」の余波=オリンピック不況はないかもしれませんよ

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 新型コロナウイルスの影響で、中国人観光客が激減しています。

 東京の銀座は2月に入って、急に減りましたが、同じように築地も急減したようです。

 今日はたまたま、昼休みに、頼まれ事で築地にある有名な乾物屋さんに煮干しを買いに行きました。会計するときに、「観光客が減って大変でしょう」と声を掛けたら、「いや、ウチはもともと、中国人はそれほど来ないんですよ。それより、築地は中国人が多いということで、日本人が来なくなっちゃったんですよ」と教えてくれました。

 まさに、商売あがったり。それ以上に深刻なのは、この店では、近くの学校の給食用に食材として卸していることです。安倍首相が、専門家に相談することなく、経済的損失も思慮も入れずに独断専行で、全国の小中高校を3月2日から一斉に休校を決定したため、こんな所にまで波及していたんですね。知りませんでした。

 「居酒屋さんやホテルなどにも卸してますが、客足が遠のいて、ちょっと深刻なので、助成金のことで相談してみようかなと思ってます」と御主人は正直に応えてくれました。

歌舞伎座で休演告知

 資生堂やパナソニックなど大企業は、テレワークで回避できるかもしれませんが、対面販売の店舗は休むわけにはいきません。

 ラヂオを聴いていたら、「安倍さんは子どもを育てたことがないから、子を持つ親の苦労が分からないんですよ」と投稿するリスナーがいました。微妙な差別発言で、安倍首相には可哀そうですが、気持ちは分からないではありません。

 休みになった不良中学生なんか、ゲームセンターやカラオケに入り浸っているらしいじゃありませんか。私も中学生の頃、不良だったので、気持ちは分かります。ゲーセンやカラオケみたいなシャレたものはありませんでしたが、勉強しないでボウリング場やビリヤードに入り浸っておりました。

 既に国立の博物館・美術館や映画館や劇場や動物園、遊園地が休館、休園しましたが、私の地元の図書館でも15日(日)まで閉館になってしまいました。公民館で行われるイベントも中止、または延期です。

歌舞伎座で休演告知

 1964年の東京五輪開催後に証券不況があったように、2020年の東京五輪後も「オリンピック不況」が予想されましたが、これでは「五輪前不況」じゃありませんか!しかし、あまり悲観論ばかり言っても始まりません。2003年に重症急性呼吸器症候群(SARS)が蔓延して各国の株が暴落しましたが、半年で、日経平均は回復しました。

 となると、今回は「東京五輪前不況」を散々経験したので、新型コロナが終息すれば、五輪後の「オリンピック不況」はないかもしれません(笑)。株価が回復すれば、年金支給額も減額しなくて済みますよ。

 たまには明るい話題を提供したくなりました。