慰安婦問題、決着か

あっ!!

もう仕事収めて、年末年始休暇に入った方も大勢いらっしゃることでしょうね。

昨日は、ソウルで歴史的な政治決着がつきました。慰安婦問題について、日本と韓国の両政府が合意したのです。

「最終的かつ不可逆的な解決」を確認したといいますが、「不可逆的」とは、普段、化学や医学で使われる専門用語です。英語で、irreversible です。私は、表が白っぽい、裏が黒っぽい「リバーシブル」のカーデガンを持っていますが、ir は「その逆」「その反対」の接頭辞ですから、裏返しできない、逆転できない、という意味になります。この他に、撤回できない、取り消しえない、という意味もあります。今回は、後者の意味でしょう。

そんな科学用語を政治の世界で使うとはよっぽどのことですね。

内容については、安倍首相が「心からのお詫びと反省の気持ち」を表明し、韓国政府が設立する財団に日本が約10億円拠出するというのが骨子です。まだまだ、細かい点で、侃々諤々の論議があるようですが、私のような天邪鬼で皮肉屋でさえも、素直に「よかった」と感心しています。

どちらかと言えば、私は韓流ドラマや韓流音楽には全くと言っていいくらい、興味がないんで見たり聴いたりしませんが、隣国同士、仲良くするに越したことはありません。両国の文化交流や渡航が深まり、信頼関係が生まれれば、素晴らしいことだと思っています。

ついでに、この際、対馬で盗まれた仏像も返してほしいですね。

寒暖差28度!

Rainbow

 「びっくりポン!」さん、コメント有難うございました。このブログはそんな大したもんじゃないですが、過分のお言葉痛み入りまする。

 さて、昨晩ラジオのニュースを聴いていたら、米国南部、中西部で大型竜巻と大雨洪水が発生して、死者が14人(今日時点は22人)に及んだとの報道がありました。

 ちょうど、米国に住む友人今村君も南部の当該州に当たっていましたから、状況を心配して、メールを打ってみました。(あとで分かったのですが、現地時間は午前5時頃でした)

 すると、1時間ぐらい経ってから、「お蔭さまで大丈夫だ」という返信が来て、安心しました。現地時間午前7時前ですから、6時半前には起床していたのでしょう。早起きですね(笑)。

 さて、彼のメールによると、クリスマスは、南からの暖気で暖かかったけれど、北西からの寒気と衝突して、数日で、摂氏27度から氷点下1度まで急降下する可能性もあるといいます。

 「大陸性の気候は凄いよ。俺の記憶では25年前にも、1日で同様の気温の急降下があったよ」

寒暖差が28度もあると、体調を壊す人が多いでしょうね。

 大陸は、何でも桁違いなんです。

 逆に大陸だからこそ、桁違いなこともするんでしょうか?

 米国、中国、ロシア…みんな大陸でしたね(笑)。

藤原辰史著「稲の大東亜共栄圏」

Noucavilla

久しぶりに、京都にお住まいの京洛先生のお勧めで、藤原辰史著「稲の大東亜共栄圏」(2012年初版)を読了しました。著者は、初版の時点で、東大大学院農学生命科学研究科講師。今、調べたら、現在、京大人文科学研究所准教授のようです。1976年生まれの若き研究者です。

 版元は、吉川弘文館ですから、ちょっと真面目な堅い学術書のようです。ご興味のある方は読んでみてください。終わり。

 あ、終わりではいけませんね(笑)。少しだけ、かいつまんでみましょう。

 著者は、今になって、ようやく、多国籍バイオ企業による遺伝子資源の独占が知られるようになった、と書きます。その代表格がモンサント社で、次世代の種子を植えても育たない「自殺する種子」を開発するなど、自社やその関連企業に都合の良い情報を組み込んだ種子を、世界各地の農地に送り込んでいることを暴きます。

 まあ、いわゆるひとつの「遺伝子組み換え食品」ということになるんでしょうね。これが、TPPによって、日本に知らないうちに紛れ込んで大量に入ってくるという噂を聞いたことがあります。
 
 このモンサント社を援助しているのが、「ロックフェラー財団」や「ビル・ゲイツ財団」と著者ははっきり書いていますが、私は知らなかったですね。先日、ビル・ゲイツさんが来日して、大手マスコミ新聞が、彼の功績をこれぞとばかりに持ち上げ、尊崇していました。

 しかし、これで、本物のスペクターというものは、多国籍バイオ企業と手を結び、税金逃れのために、「慈善」という善人の仮面を被って世間を歩いていることがよく分かりました。害毒をまき散らす日本の大手新聞社の責任も小さくはありません。

 科学が発展した現代では、遺伝子操作などはお茶の子さいさいなんでしょうが、この本では、実は、日本も戦前戦中は、遺伝子こそ操作はしなくても、品質改良=育種の名のもとに、特に、日本人のシンボルであるコメの種子を改良し、大東亜共和圏にもその技術を導入してきた歴史を辿っています。

 昭和初期の東北地方は、天候不順で作物が育たず、飢饉に襲われました。そのため、国家主導で人口交配が奨励され、大きな成功を収めた初めての品種が「陸羽132号」というコメで、あの宮沢賢治も、農業技術者としてこの品種の普及を試みたそうです。

 大東亜共栄圏ですから、日本の植民地だった台湾や朝鮮などでも、日本人に合うコメの品種改良に励みますが、台湾以外、多くの地域ではうまくいきません。この「失敗した」代表として朝鮮総督府農場試験場の種芸部長を務めた永井威三郎が登場します。

 この人は、戦後になって、農業技術改革を啓蒙する多くの文章を書く文筆家に転向したようですが、何と、先日、このブログでも何回も登場した我が師、正直言えば、俄かファンになった永井荷風の実弟だったんじゃありませんか。吃驚しましたよ。荷風は永井家の長男で、威三郎は三男です。帝大卒業後、マサチューセッツ州立農科大学、コーネル大学大学院、ハイデルベルク大学で生物学や遺伝子学の最先端技術を習得した超エリートだったんですね。

 「断腸亭日乗」は、まだすべて、読んでいませんが、恐らく、この弟さんも何処かに登場しているんでしょう。詳しい方はコメントください。…そう書くと、コメントなんか来ないんですよねえ(笑)

無伴奏ヴィオラソナタ

 Transylvania copyright by Takehiko Soueoka

作曲を「アングルのバイオリン」にしている友人の末岡君が、新曲を送ってきましたので、サクラでアップすることにします(笑)。

彼曰く、

「10月に行ったルーマニア・トランシルバニア地方のイメージで無伴奏チェロソナタをヴィオラソナタに編曲しなおしました。全く違う世界が出来ました]

彼は昨年辺りから、果敢にも積極的に自作曲をユーチューブで発信しております。

「無伴奏ヴィオラソナタ 『トランシルバニアの空と空気を感じて』」 なかなか、ええんでなえかえ

富は幸福をもたらさない

I’m flying

昨日のブログ「高浜原発が再稼働とは」へのコメント「八百長相撲」さんには、恐れ入谷の鬼子母神でしたね。胴元とサクラの関係だったとは!知らぬは、テレビを見て「ガハハ」と笑って寝てしまう反知性主義者の皆さんのみということでしょうか。

さて、図書館で拾い読みしていたら、面白さにはまって、予定もしていなかったのに、つい借りてしまいました。ヤコブ・ブラーク著、小田麻紀訳の「ユダヤ人大投資家の『お金と幸せ』をつかむ正しい方法」(2010年10月初版)です。別に、タイトルに惹かれたわけではなく、開架式の本棚からたまたま手に取って読んだら、面白くて嵌ってしまったのです。何しろ、原題は拙訳すると「チンパンジーはリタイアの夢を見るのか?」ですからね。「こんなタイトルじゃ売れない」と、編集者が大仰なタイトルを付けたのでしょうね。版元を見たら、徳間書店でした。

別にこれから投資を考えている人だけが読む本ではなく、かなり人間というかヒトの本質をついています。何しろ、ヒトとチンパンジーのゲノムを比較したところ、ほとんど同じだったというのですからね。実に98.76%が重複していたというのです。道理で…ですね(笑)。

この本には心理学から社会科学から、色んな本や実験から引用して「教訓」めいたものを引き出しています。備忘録として、印象に残ったことを一部、適当に換骨奪胎して並べてみます。

●幸福になるための10の指針
1、経済的な成功が幸福をもたらすわけではないことに気づきなさい。富は幸福を保証するわけではない。
2、定期的に運動しなさい。運動は軽い鬱病を治すのを助け、身体と心を活気づけてくれる。
3、たくさんの交接をしなさい、なるべくなら愛する人と。
4、人間関係に投資しなさい。喜びも悲しみも分かち合える友人は、あなたの幸福に強い影響力を及ぼす。
5、必要に応じて、身体を休ませなさい。
6、自分の時間をきちんと管理しなさい。
7、自分の才能を活かせる仕事を探しなさい。
8、テレビを消しなさい。(以下略、詳細は本文に当たって下さい)
9、感謝の心を持ちなさい。(同上)
10、他者に救いの手を差し伸べなさい。利他主義によって、人生は一層、有意義なものとなる。

●「ブラックスワン」とは、通常の予想範囲を超える衝撃が大きくて予測の困難な珍しい出来事を意味する。

●私たちの幸福の多くは、未来を想像するという能力によって来ている。未来を想像できるから、人を信頼したり、喜びを感じたりできる。いつか相手からお返しがあると期待して。

●過度の情報は、それが大きな変動の時期に関連しているときには、とりわけ有害なものとなる可能性がある。

●1950年代の英国における無線通信の増加は、同時期の同地域における精神科病院への入院患者の増加と比例しているように見える。これは何を意味するのか?実は、何も意味がない。原因と結果を結び付けたいという私たちの強い願望が、一般に統計上の相関関係とされているものを生み出すのだ。

●人間は、低い確率を過大評価し、高い確率を過小評価しがちだ。

●人は、行動を起こさなかったことで生じる後悔よりも、行動を起こしたことで生まれる後悔の念の方が大きい。ところが、この主張は短期的には正しいが、長期的にみると、後者の方がより大きな苦しみを引き起こす。マーク・トウェイン曰く、「今から20年後、あなたは自分がやったことよりも、やらなかったことの方により大きな失望をおぼえるだろう」。

以上、まだ書きたいのですが、ご興味のある方は、本書を手に入れて読んでください。

高浜原発が再稼働とは

上野「連玉庵」

 今年は暖冬のようで、私が住んでいる街では、昨日も今日もポカポカ暖かい。日中の気温は17度とかで、11月並みだとか。

 この気象が、良いのか、悪いのか…、やはり、暖冬ということは、地球温暖化ということなんでしょうね。(もっとも、私の部屋は、鬼門の東北に位置しておりますから、太陽の光も差し込まず、寒いったらありゃしませんけど=笑)。

 これは、日本だけでなく世界中の傾向のようで、ニュースで、ニューヨークは、21度とかで、若者が半袖姿で涼しい顔をしているのをやってました。
 私なんか、思わず、「あいつら、何食ってんだろうなあ」と毒づいてしまいましたけど、これは、失言。いけませんね。

 今年、11月30日から12月11日まで、国家非常事態宣言が引かれたパリで開催されたCOP21(気候変動枠組み条約第21回締約国会議)では、パリ協定が締結されました。2020年以降、産業革命前との比較で気温の上昇を1,5度以内とすることを目指して、途上国を含む196の加盟国・地域は、温暖化ガス削減目標と国内対策を作成して、履行状況を報告する義務を負うことになりました。

 ただ、からくりがあって、報告義務はあっても、削減の義務まで踏み込まれなかったようです。このため、今世紀末まで2・7度以上上昇するのではないかという試算もあるそうです。

 となると、ますます、地球温暖化が進むわけです。

 これではいけない、と日本も2030年までに温暖化ガスの排出量を13年比26%削減すると、国際的に公約しました。

 しかし、具体的にどうやって?

 昨日24日、福井地裁は、高浜原発3、4号機の再稼働を認める歴史的判断を下しました。原告団は控訴するそうですが、座頭胴元の関西電力は、今日25日には核燃料を搬入し、来年1月下旬の再稼働を決めているようです。

 福島原発事故で、まだ、自宅に帰れず、バラバラになった人が何万人もいる現在、果たして、4年前の「教訓」は生かされたのでしょうか?いつもの日本人と同様に「喉元過ぎれば、熱さ忘れる」なんでしょうか?

 国際公約を「錦の御旗」にして、政治屋と原発屋の利権争いが地下で蠢いているような気がします。

「リライフ」は★★☆

Acodatee

ま、クリスマスもお正月も関係なく、何とか生きている、という感じでしょうか。

昨日は、ついにスマホの制限データ通信量(3G)を超えてしまい、また、極端にアップが遅くなってしまいました。もう、動画は見づらいでしょうね。モバイルWiFiも契約の5G/月を既に半月で超えてしまい、データ通信速度が重くなってしまいました。ちょっと、使い過ぎたんでしょうね。これまで、スマホのデータ量が超えることはなかったし、以前に契約していた阿漕なYモバイルも、月4G契約なんか超えたこともなかったでした。

要するに、デジタル機器に頼りすぎってことでしょうね。これから、手帳もやめて、スマホのカレンダーに予定登録しようかと思いましたが、せめて、手帳ぐらい、アナログを残しておいた方がいいかもしれません。

さて、先日、映画「リライフ」を日比谷シャンテで観てきました。ヒュー・グラント主演のそれだけの映画でした。特に、「スターウォーズ」ほど話題になっていませんでしたが、タイトルが気に入っていました。「人生をやり直す」ということですから…。アカデミー脚本賞を獲った脚本家が、その後、ヒットに恵まれず、田舎の大学の客員教授に就任するという話です。

何か観てて、「ありえない」展開ばかりが続き、物語に全く関係ないのに、コーシャが出てきたりします。そう言えば、主演のヒュー・グランドは生粋の英国人とはいえ、この映画の舞台は米国だし、そもそもハリウッド映画だったんだなあ、ということを忘れていました。

そういえば、サリンジャーの名作「ライ麦畑でつかまえて」は、第二次大戦後まもなくの米国が舞台に設定され、主人公のホールデン・コールフィールドがニューヨークを放浪する話ですが、確か、最初の出だしで、ハリウッドの脚本(家)の話が出てきました。もう何十年も昔に読んだので、うろ覚えですが…。

韜晦的に書いているので、これで、何を言いたいのか分からないと思いますが、分かる人は何を示唆しているのか、すぐ分かると思います。

情報漏洩

秋桜 droit d´auteur par S.M.
 天長節。
 ラジオや街中で、クリスマスソングが流れる今日この頃です。

 今年も終わりですね。例年ですと、渓流斎ブログは、毎年この辺りは、「今年の回顧」をしていたものですが、2015年は、自分の一生にとって一番心に残る年になってしまいました。

 それは何かと言いますと、あまりにも個人的なことで、「知る人ぞ知る」話ですし、そもそもどなたもご興味ないことでしょうから、こういった「公の席」(笑)での発言は差し控えさせて頂きたいと思います。ただ、自分の「人生観が180度変わった」ということだけは、付記しておきます。

 昨日、本屋さんに山積みになっていた本を立ち読みしていたのですが、結局買わず仕舞いで、タイトルも忘れてしまって残念です(笑)。思い出したら、買ってもいいくらいです。それは、翻訳本で、いかに、グーグルやフェイスブックなどのIT巨大企業が、いとも容易く一般庶民から高官権力者に至るまで情報を収集して、ビッグデータとして、米国の国立何とか図書館にすべての情報を寄贈していることが書かれていました。

 例えば、ブログなんかに、写真をアップしたりすると、その写真がいつ、何処で撮られたのか、位置情報ですぐ分かってしまうそうですね。ブログだって、いくら匿名で書こうが、本人が住んでいる住所から電話番号まで分かってしまうそうです。メールなんか、内容は、すべて「保存」されているそうですよ。

 国民背番号制になれば、番号を入力さえすれば、その人の年齢、職業から、学歴、趣味、既往症、犯罪歴、結婚歴まですべて分かるようになることでしょうね、きっと。

 年末恒例の「新語・流行語大賞」で、大賞は「爆買い」と「トリプルスリー」に決まりましたが、私は、「爆買い」は知っていても、「トリプルスリー」は知りませんでした。その他の候補作を見てみると、ほとんど知らない言葉ばかりでした。それだけ、今年は自分自身が、世間に疎かったということです。空白期間がありましたからね。

 候補作の中に「ミニマリスト」という言葉があり、最初はさっぱり意味が分かりませんでしたが、ベストセラーになったジェニファー・L・スコット著「フランス人は10着しか服を持たない」の影響もあったのか、とにかく、部屋の中に究極のモノ以外は、一切所有しない人たちのことを指すらしいですね。断捨離の到達点かもしれません(笑)。

 本は所有せず、キンドルか何か入れて読み、音楽は、iPodかiPhoneにお気に入りの曲だけを入れる。あとはスマホかタブレットさえあれば、テレビも見られるし、ラジオも聴けるし、写真も写せますし、録音もできますし、コミュニケーションもできますし、何でもできますからね。

 そういう私も、スマホの毎月のデータ制限の3ギガを先月は超えてしまい、極端にのろくなってしまいました。新しく、契約し直したWiFiは、大嫌いなソフトバンク系以外のO社の月5ギガのコース(1566円)を選んだのですが、半月で5ギガを超えてしまいました。もう、アディクトです。

 どうせ、「ビッグブラザー」は、私がどんなユーチューブを見ていたかとか、全て情報を収集していることでしょう。

 私が見るサイトにくっついてくる広告は、買えないけど、最近よく見ていた高級腕時計の広告ばかり反映されます。

 パソコンやスマホで検索すると、何処までも、何処までも、何処までも、追いかけてくるという証拠です。

 我々は、何処にも逃げられない狭い世界で、他人の顔色を窺って生きているということでしょうか?

「母と暮らせば」★★★

 L’automne deja

今年いっぱいで、「日本アカデミー賞協会会員」の資格が剥奪されてしまうため、12月は、せめてあと2~3本の映画は見たいと思っています。今年はほとんど映画が見られなかった年でした。

取り敢えず、山田洋次監督、吉永小百合、二宮和也主演「母と暮らせば」を東京・有楽町の丸の内ピカデリーまで、映画料金と同じぐらいの交通費を払って(笑)見に行っててきました。

とにかく、観終わった第一感想は「長いなあ…」でしたけど、後で調べてみると、上映時間は2時間10分しかなかったんですね。わずか、2時間余の時間、じっとしているのができない身体になったのか、作品自体が間延びしていたのか、どちらか分かりませんが、山場と谷場のギャップは確かにありました。

もう少し、カットを減らせば、最高傑作になっていたと思われます。大船松竹直系の最後の大物には誰にも文句が言えませんからね。

主に長崎に原爆が落ちて、3年後が舞台になっています。ほんの少し落ち着きを取り戻した時代、ということになっているのですが、いくら長崎郊外だとはいえ、あんな無傷のままでいられたのかなあ、というのがまずの感想。吉永さんが何かあまりにも若過ぎて美しすぎるんじゃないのかなあ、というが第2の感想。

要するに、そんじょそこら辺の庶民とあまり変わらない感想しか持てませんでした(笑)。

主演の嵐の二宮(32)は、クリント・イーストウッド監督の「硫黄島からの手紙」にも出演した俳優ですね。演技がうまいのかどうか分かりませんが、私生活は謎に包まれているそうです。とはいえ、申し訳ないですが、あんまし、興味がありません。チャーリー・シーンとは違うと思います。あ、余計なことを書いてしまいました(笑)。「一緒にするな」と熱狂的なファンに怒られそうですね。

山田監督については、ファンタジーはあまり似合わないですね。来年公開予定の「家族はつらいよ」の予告編を観て、こちらの喜劇の方が面白そうに見えました。

時代は独裁者を求めた

 une tasse de cafe

 昨晩、国営放送で放送された「新・映像の世紀」第3集「時代は独裁者を求めた」は大変、見がいのあったプログラムでした。

 ヒトラーが独裁政権を握っていく過程をつぶさに映像で見せてくれました。

 当時、最も進んだ民主主義を謳った「ワイマール憲法」の下で、ヒトラーは、ちゃんと手続きを踏んで(ただし、暴力や威嚇や粛清や秘密警察などを使ってですが)、「合法的」に、ヒトラーただ一人に権力が集中できる総統独裁体制を築き上げてしまったのですからね。

 1933年1月に、ヒトラーが念願の首相に就任した時、まだ43歳。周囲の閣僚たちは「こんな若造なんか、いつでも引きずり落としてやる」と内心思っていながら、次々とヒトラーの策略にはまり、多くの大衆の支持を背景にヒトラーは、「全権委任法」を可決させて、独裁権力を握ってしまうのです。

 それが、タイトルの通り、「時代は独裁者を求めた」です。第一次世界大戦に敗北したドイツは莫大な賠償金を課せられた上、強烈な超インフレ状態に陥り、わずかパン一斤が1兆マルクなんていう看板も写し出されていました。しかも、多くの失業者が街に溢れました。

 そこへ、ヒトラーが登場して、国民車フォルクスワーゲンをポルシェ博士の助言でつくったり(今年、フォルクワーゲンが問題を起こしたのも時代の皮肉ですね)、7000キロにも及ぶ世界初の高速道路「アウトバーン」を建設したりして、公共事業を起こして、雇用を創出し、国民大衆に豊かさの恩恵を与えます。1936年にはベルリン・オリンピックも成功させています。そして、ますます、ヒトラーとナチス党員に権力が集中するように法律を改正していくのです。

 意外に思ったのは、ヒトラーの「ユダヤ人排斥」思想は、アメリカの自動車王ヘンリー・フォードの影響が色濃かったという話でした。フォードはヒトラーの熱烈な支持者となり、勲章まで授与されます。他に、世界で初めて大西洋を単独飛行で横断した米国人のリンドバーグも、ナチス擁護の演説をして米国人に影響を与えていたのです。ドイツ人では哲学者のハイデッガーや指揮者のフルトベングラーらがナチス支持者でした。フランス人では、あのココ・シャネルが代表的ですが、彼女の「伝記映画」には、ナチスとの関係は全く出てきませんでしたよね。

 歴史は変えられませんから、その後のドイツ帝国の行く末(崩壊)は、皆さんご存知の通りです。

 最後に、ユダヤ人の強制収容所で、ぼろ雑巾のように山積みされた遺体と、異様に痩せこけた生存者を、連合国軍が、ドイツ人の市民にこの悲惨な状況を強制的に見せつける場面が出てきます。

 泣き出す「良心的な」ドイツ人も出てきて、「私はこんなことになっているとは知らなかった」と発言しているのに対し、収容所の生存ユダヤ人は「いや、知っていたはずだ」と叫びます。強烈な印象深い場面で終わります。

 最初に、ヒトラーの愛人エヴァ・ブラウンが撮影したヒトラーのカラーフィルムが出てきますが、カラー動画だと、つい昨日の出来事のように見えるのが不思議です。ニコニコ笑顔のヒトラーは、普通のお金持ちのおじさんに見えます。

 ヒトラーが、総統官邸地下室で自殺したのは55歳。恐らく、大量の戦死者を出したレニングラードの前線や、強制収容所など悲惨な場面には目をそむけて、視察せず、見ていなかったと思われます。

 この番組を見ると、ヒトラーが一人で勝手に「純血ゲルマン踊り」をしていたのではなく、周囲の大衆が応援し、時代が彼を求めていたことが分かります。

 今我々が生きている時代も、このようなことがあり得ないわけがなく、もしかしたら現在進行形で進んでいるのかもしれませんよ。