岡田監督を応援します

この度、オシム監督が急に脳梗塞で倒れたため、サッカー日本代表の監督として岡田武史氏が9年ぶりに再登板することになりました。

昨日、日本サッカー協会理事会で正式に承認されましたが、岡田氏の今後の活躍には注目していきたいと思っています。サッカーは肉体で戦うスポーツですが、監督指導者は結局は肉体より、頭を使う。戦術面が最も大事ではありますが、もう少し平たく言うと選手にモチベーションを与える「精神論」が重要なのです。監督として堅固な哲学を持っていなければなりません。岡田氏は、その意味で、かなり、修養を積んできたように見受けられるからです。

面白かったのは、昨日の会見で、岡田氏が、オシム監督が倒れる1週間前にJリーグの3チームから監督就任の要請があったが、断ったというエピソードを明らかにしたことです。当分、講演活動をしながら、環境問題をテーマにボランティア活動していくつもりだった、というのです。また、ここ1年半ほど、サッカーから離れていて、Jリーグの試合もあまり見ていなかったというのです。

岡田氏には、物事を根本から見つめ直してみようという修行僧に近い心因性を持っているようです。

その岡田氏が、「ここ10年で、人間がすっかり変わった」と言っています。私もそれはすごく感じています。

小津安二郎の「東京物語」は、昭和28年の作品ですが、「こんな日本人が普通だったのか?」と思われるほど、言葉遣いも丁寧で、皆、慎み深く、謙虚で、自分の身の丈の範囲で一生懸命に生きる日本人が出てきます。

今は、そういう日本人は消滅したとは言いませんが、かなり少なくなりました。公共マナーも悪いし、自分の権利ばかり主張するクレーマーや、給食費を払わないお金持ちの親もいるし、録に挨拶もできない人間も増えました。世の中、ギスギスしてきたと感じるのは私だけではないでしょう。どうして、こんなになってしまったんでしょうかね?

この10年の劇的変化は、インターネットの影響でしょうか。新聞の読者が減っているだけでなく、テレビの視聴率も下がっています。ニュースはネットから得る若者が増えてきました。ネットを使えば、時空を超えて、「大英博物館」 http://www.britishmuseum.org/#でも「MOMA」 http://www.moma.org/でも「ルーヴル美術館」http://www.louvre.fr/llv/musee/alaune.jsp?bmLocale=ja_JPにでも簡単に「行く」ことができるようになりました。

携帯やパソコンによって、「個」が確立したものだと極解して、自ら神のように振舞う人間が増えてきたからなのしょうか?

内藤選手を応援します

WBCフライ級タイトルマッチで反則行為を働いた亀田大毅選手の処分が明日、日本ボクシングコミッション(JBC)から発表されるようなので、注目したいと思います。

 

亀田は、サミングといって、クリンチした瞬間にグローブを内藤選手の目の中に入れようとしたり、太股を狙ったり、態と頭突きで、チャンピオンの右まぶたを切ったり、全く悪役レスラー並の暴行を働いていました。

私は、JBCのファイティング原田会長が現役だった頃からボクシングは見ていますが、こんなヒールは見たことがありません。

一方のチャンピオンの内藤大助選手は清々しいスポーツマンで、大変な苦労人で、大変な努力家であったんですね。

子供の頃、「いじめられっ子」で、両親の離婚で極貧の生活を強いられ、あだ名が貧乏を逆にした「ボンビー」だったこと。ボクシングは20歳から始め、世界には3度目の挑戦で、30歳過ぎになってやっと王座の手をつかんだこと。チャンピオンになるまでは、生活ができず、アルバイトで食いつないだこと等を今回、初めて知りました。

ボクシングは昔から「ハングリースポーツ」と言われてきましたが、平成の時代に、まだ、こういう選手が残っていたのか、と感激しました。言葉遣いも穏やかで、亀田の挑発に乗ることがありましたが、最後に「国民の皆様の期待に応えることができました」と発言してくれたので、スカッとしました。

それにしても、TBSの実況は、「独占商品」である亀田に一方的に加担してひどいものでしたが、私は断然、内藤選手を応援します。

朝青龍問題

 宇登呂

 

大相撲横綱の朝青龍問題が、国際問題に発展しそうですね。この経緯については、皆さんもうよくご存知なので、触れませんが、何で、こんな問題が発生したのか、色んなメディアで報道されていましたが、一番分かりやすかったのが、12日付産経新聞の「朝青龍騒動3つの非」という記事(小田島光記者)でした。

 

小田島記者は、この騒動になった非は3つあり、第一は、横綱という立場を弁えなかった朝青龍。第二が、自覚のない横綱を育てた師匠の高砂親方(元大関朝潮)。第三が、そんな朝青龍を横綱にした日本相撲協会の特に北の湖理事長(元横綱北の湖)だと、明解な論理で説得してくれました。

 

この記事を読んだのか、態度のデカイ某スポーツ評論家が、その日のテレビのワイドショーで全く同じことを言っていたので、彼の取材力の底の浅さが知れて、軽侮心さえ浮かんできました。まあ、それ程、説得力がある記事でした。

 

朝青龍本人から事情聴取もしないで一方的に「二場所出場停止」などの処分を下した日本相撲協会を批判する人もいましたが、私の意見は、相撲という興行の世界はそういうもので、相撲協会の裁断は正しいと思っています。そもそも、勧進相撲から始まった相撲は、裏社会の力で興行が行ってきた世界であり、一般の、倫理観や正義や人権とやらを持ち込んだら、おかしくなります。

 

やはり、一番悪いのは、仮病を使った朝青龍(本当に疲労骨折なら、サッカーなんかできるわけがない!)で、「年6回の本場所だけ出演していればいい」といった考えが間違っていたのです。裏社会の人々にとっては、巡業こそが稼ぎ時なので、彼らのルールに反するパペットは排除するしかないという論理なのでしょう。しかも、朝青龍は、モンゴル政府が率先してバックアップしているビジネスを母国で展開しているらしく、そのために、しばしば帰国しなければならなかったという事情があったらしい。もし、これが事実だとしたら唖然としますね。ハワイから苦労して関取になった外人の第一世代に当たる高見山らは、余程のことがない限り、帰国しませんでした。時代が違うとはいえ、今後、モンゴル政府の抗議も予想され、外交問題に発展しそうだと指摘する人もおり、この騒動はまだまだ予断を許しません。

 

ところで、気になる記事をみつけました。この騒動で中田英寿の事務所がボロ儲けをしていたというのです。朝青龍が母国モンゴルで、中田と一緒にサッカーを興じていたことは知っていましたが、騒動になったおかげで、中田事務所の素人スタッフが、ハンディカメラで撮影した手ぶれの多い、画質の悪いサッカーの画像が、1分当たり破格の30万円で売られているというのです。あの天下のNHKですら、朝青龍の処分が決まった1日に泣く泣く購入したという話です。

 

この騒動で一番得したのは、中田事務所だったとは!

偉業の影に努力あり イチローのこと

 小樽

米大リーグで、シアトル・マリナーズのイチロー選手が6年連続200本安打の偉業を達成しました。

この人、普段、記者とは言葉も交わさず、お高く止まってクールな印象があって、あまり好きになれませんでしたが、今年のワールド・ベースボール・クラシックで、子供のように無邪気にはしゃいで、感情をむき出している姿を見て、意外に思ったものでした。

しかし、感情を素直に出す人間的な面が本来のイチロー選手だったんですね。

偉業を達した後に「感情を抑えることで、弱い自分を支えてきた」というコメントをしています。

チームメートが試合前にカードゲームなどに興じている時も、黙々と室内練習場でバッティングの練習をしているということですから、彼は「天才」「超人」と呼ばれていても、やっぱり、努力の人だということが分かります。

そして、自分の弱さを強さに変えることができる真の意志の強い人だということが分かります。彼のような人は、どんな分野でも成功するでしょう。

岡ちゃんのこと

小樽

サッカーJリーグ横浜の監督を先頃辞任した岡ちゃんこと岡田武史氏は、退任会見で「勝負に対するこだわりがなくなってしまったから」と理由についてこたえていました。

勝負師の世界で最も大切なことは、やはり、勝利へのこだわりなのでしょうね。

辞任前に周囲にこんなことを漏らしていたそうです。

「人間には心がある。科学がどんなに進歩しても解決できないこともある。倫理的に話せないこともある」

彼の苦悩を垣間見た気がします。

彼が20代の現役の頃に、私は彼に会って話をしたことがあります。彼は、古河工業のDF、いわゆる当時スイーパーと言われたポジションで日本代表のキャプテンを務めていました。

今でこそ、W杯に出場したり、日本でもサッカーは大ブームですが、当時はマイナーもマイナーで、一部マニアだけが熱心に観戦している時代でした。

彼は、試合ではコンタクトをしていましたが、試合後は、牛乳瓶の蓋のような厚い眼鏡をかけ、ひょろひょろと痩せていたので、とてもサッカー選手にはみえず、どこかの大学の助手に見えました。まあ、サッカーフリークで、サッカーのことばかり話をしていましたが…。

彼がW杯の日本代表監督になった時、本当に驚きましたが、カズを代表から外したり、情を挟まない冷徹な人選や采配については、感服したものです。恐らく、周囲からのプレッシャーや脅迫は相当なものがあったのでしょうね。「コーチや選手を切ったりするのにも疲れた」と漏らしていたそうです。

まあ、これは、スポーツの世界だけではないでしょうが…。

とにかく、岡ちゃん、お疲れさまでした。

 

37年ぶりの再試合

北海道足寄町・松山千春邸

高校野球の決勝、駒大苫小牧(南北海道)ー早稲田実業(西東京)が、37年ぶりに再試合になります。

私は東京生まれなのですが、断然、北海道の苫小牧を応援します。判官贔屓って奴でさあ。あんな厳しい寒さの中で、練習するハンデを抱えて、甲子園に出るだけでも大変なのに、73年ぶりの3連覇を目指すなんて大したもんです。すべてに恵まれた東京のお坊ちゃんを撃破してください。

ところで、年がバレてしまうのですが、37年前の1969年の松山商(愛媛)ー三沢(青森)の決勝戦をよく覚えています。松山商の井上と三沢の太田が延長18回まで投げぬき、翌日の再試合。太田はハーフでルックスがよく、アイドル扱いで、井上はずんぐりむっくりで眼鏡をかけて田舎モン丸出し。

高校野球がこれほどまでに、人気スポーツになったのも、太田の出現がきっかけでしょう。ですから、当時のマスコミはひどかった。太田をヒーロー、井上を悪者扱い。三沢の攻撃が不調に終わると、アナウンサーは「またしても、井上が…」と、絶叫していました。

それから、17年後。甲子園球場で、朝日新聞運動部記者になった井上明さんと、仕事仲間として会うことになりました。

初対面で「あの、『またしても』の井上さんですね」と言ったら、本人は苦笑いでした。

井上さんは苦労人のせいか、よく冗談を言う人でした。しかし、高校野球だけは「聖域」のようで、「たかがジャリ野球」と低く見ようものなら、烈火の如く怒ったものでした。

井上さんもまた37年ぶりにマスコミから注目されているようです。

まさに、職人。またお会いしたいなあと思いました。

疑惑の出来レース

話題のボクシングWBA世界ライトフライ級タイトルマッチ、第一位ファン・ランダエタ(ベネズエラ)対同級二位、亀田興毅の試合を見ましたか?

夜の7時半からTBSが大々的に「亀田兄弟物語」を放映し、試合が始まったのは、9時前。9時54分には決着をつけなければならないのに、判定に持ち込まれ、結局、亀田の王者獲得が決定したという疑惑のレース。放送時間の2時間半のうち、30分はコマーシャル・タイムでした。

私はなぜ、疑惑レースと書くのかというと、亀田は、初回にダウンを喫したからです。大昔に、ボクシングの取材をしたことがありますが、ダウンを喫すれば、ポイントは、相手より、「-2」の差が付きます。試合は、最終12ラウンドにまで持ち込まれましたが、亀田は、ランダエタから一度もダウンを奪うことができませんでした。ということは、2点差を挽回するのは不可能だったはずなのです。しかも、終盤では何度も、亀田がぐらつく場面がありました。ポイント的に逆転できるはずがありません。

それが、ジャッジの判定は2-1で亀田の勝ちだったのです。

これは、裏に、からくりがあって、「経済波及効果」を狙ったとしか言いようがありません。亀田にはすでに、サントリーをはじめ、明治製菓など大手企業がスポンサーになっています。みすみす、「金になる木」を手放すはずがありません。30分のコマーシャルを見せ付けられて、確信しました。

恐らく「負けた」ランダエタは、亀田以上のファイトマネーをもらって、意気揚々と母国に引き上げたはずです。

「番組」では、亀田が「このチャンピオンベルトを親父に捧げます」と、結局、安物のお涙頂戴ドラマで終わりました。

嫌あなものを見てしまいました。

W杯サッカー日本は予選突破します

銀座・歌舞伎座

ついにサッカー・ワールドカップのドイツ大会が開幕しましね。皆さんと同じ、私もドキドキしています。最大の関心は、果たして日本は予選リーグを突破することができるかーだと思います。

そこで、元、と言っても25年前のサッカー記者として、予想します。

とはいっても、全くの勘です。チーム力を分析したわけではありません。たとえ、分析しても同じだと思います。

「未来は誰も予測できない」からです。

まあ、その、誰も未来を予測できない典型みたいなことをするわけです。当たったら、むしろ、怖いくらいですので、当てるつもりはありません。単なる「おふざけ」としてお付き合いください。

6月12日  △日本 2-2 オーストラリア 得点者:高原、大黒

6月18日  ○日本 2-1 クロアチア   得点者:柳沢、中村PKかFK

6月23日  ●日本 1-4 ブラジル    得点者:高原

この成績で、日本が1次リーグを突破する最低条件は、クロアチアとオーストラリアが引き分け、ともにブラジルに負けることです。

全くの当てずっぽうですが、可能性はあると思います。

トリノ冬季五輪

トリノ冬季五輪が開幕しましたね。でも今のところ、日本選手の成績は芳しくありません。

残念ですね。応援が足りないせいかもしれません。

スポーツというのは確かに自らやって楽しむものですが、「観客」として応援することも立派なスポーツだという気がしてきました。こんなことを言うのも恥ずかしいのですが、かつて私はスポーツ記者をやっていたことがあり、冬季五輪は、札幌やインスブルックやレークプラシッドやサラエボならはっきり覚えているのに、リレハンメルだの、アルベールビルとなると全く覚えていません。その頃、スポーツ取材から離れていたせいで、ほどんど見なかったからです。

選手となると、黒岩彰や橋本聖子なら詳しいのですが、それ以降のメダリストとなるとあまりピンとこないのです。

アイデアマンで知られる日本サッカー協会の川口会長がJリーグのチェアマンだった頃、「12番目の選手がサポーターだ」というようなことを発言していました。そう、スポーツは観客としてでも参加しないと、印象に残らないのです。思い入れが全く違うのです。お金がかかった競馬なら尚更かもしれませんが…。

ということで、トリノ五輪は「感動」してみようかと思っています。早く、日本のメダリストが出てこないかなあ。

観念が限界を作る

もうすぐトリノ冬季五輪(2月10日-26日)です。

「氷の街」帯広はスケートの盛んな所です。長野五輪金メダリストの清水宏保選手をはじめ、十勝ではこれまで43人のオリンピック選手を輩出していますが、今回のトリノ五輪でも、スピードスケート代表20人のうち、半分の10人が十勝出身です。

清水選手は31歳になりましたが、今回めでたく4回目の五輪代表に選ばれました。

その清水選手の名言。

「固定観念がその人の限界を作る」

現在、スピードスケート男子500mの世界記録は、加藤条治選手の34秒30です。昨年11月に米国ソルトレークシティで開かれたW杯でマークしました。それまでは、清水選手の34秒32で、加藤選手と同じリンクで2001年3月に出したものでした。

人類は、34秒台の壁を破ることができるか?

清水選手は「33秒台は可能」と言い切っているのです。無理だと思えば、それが固定観念となり、限界を作って、実現不可能だ、と言っているのです。

これは、スポーツの世界だけに当てはまることではないのではないでしょうか。

普段の生活でも、仕事でも、最初から「駄目だ」と諦めてしまったら、何もできない、ということを示唆していると思います。

勿論、何かを実現するためには、準備と学習と不断の努力が必要であることは言うまでもありませんが、成功している人の十中八、九は「Big mouth」、つまり大口叩きです。自らにプレッシャーをかけて、思いを遂げています。

「良い、悪い」の話ではなく、なるほどと思ってしまいました。

道を究めた一流選手の発言には重みがあります。