今日は、北海道河西郡中札内村にある『中札内美術村』内の「小泉淳作美術館」に行ってきました。
2002年に、京都・建仁寺法堂の天井画「双龍図」を完成した「アトリエ」が、中札内村で廃校になった小学校の体育館だったことから、ここに小泉画伯の美術館ができたようです。天井画は、縦20m、横30mぐらいある巨大な墨絵です。制作の模様は、2002年にNHKの「日曜美術館」で放送され、館内でもそのビデオが流れていました。
美術館には、その下絵の50号ぐらいの大きさと100号ぐらいの大きさの2点が飾っていましたが、それだけでも随分と迫力がありました。2匹の大きな龍が絡むようにして大空を飛翔している図です。2匹はいわゆる「阿吽」の像です。こういう極めて難しい画材を、墨だけで描いているのですから、本当に涙が出るくらい感動してしまいました。
略歴によると、画伯は1924年生まれで、最初は慶応大学文学部に入学したのですが、絵の道、捨てがたく、東京美術学校(東京芸大)に入り直しているのです。最初は、ルオーの影響で、絵の具を厚く塗りたくった洋画でしたが、日本画に転じ、世に認められたのは何と50歳を過ぎてからです。1977年、53歳の時、「奥伊豆風景」が山種美術館賞を受賞します。
それでも、どこの画壇やグループにも所属せず、フリーで孤高として画業を続けてきたところが素晴らしい。誰でもできないことです。若い時は、絵だけでは食っていけず、工芸やデザインの仕事もしていたようです。70歳の時、奥さんに先立たれ、娘さんも嫁いでいたので、現在、鎌倉で一人暮らしです。エッセー集「アトリエの風景」(講談社)を読むと、絵だけではなく、文才にも恵まれていることが分かります。
いつか、画伯にお会いしたいなあ。そして、京都の建仁寺に行って、本物の「双龍図」を見に行きたいと思います。