公開日時: 2005年5月16日
その五人を初めて某国営放送で見た時、思わず身を乗り出してしまいました。あまり美男美女とは言えない(失礼!)若い男女五人組が何の伴奏もなく歌いだすと、彼らにまるで天使が舞い降りたような神々しささえ感じられたのです。
その名前はトライトーン。初めて聞く名前でしたが、おそらく今、日本でナンバーワンの男女混声アカペラ・グループではないでしょうか。
私もこれまで数々のコーラスグループを聴いてきました。男性四人のダークダックス、ボニージャックスを始め、男女四人のサーカスも一世風靡しましたね。最近ではケミストリー、エグザイルといったところでしょうか。でもトライトーンのように、楽器まで「口」でやってしまうグループは日本にはあまりいなかったと思います。欧米ではマンハッタントラスファーなど沢山います。アカペラとは元々イタリア語で「教会風に」といった意味で、それが転じて、伴奏なしで声だけで歌うパフォーマンスのことを指します。教会音楽の伝統を持つ欧米に多いはずです。
トライトーンは1994年に早稲田大学のアカペラサークルを中心に結成され、96年に現在のメンバーに落ち着いた。それが第1声の松永ちづる、第2声の渡辺愛香、第3声の多胡淳、第4声の北村嘉一郎、ベースの青木肇の五人です。第4声の北村がボイスパーカッションも担当し、小太鼓から大太鼓、シンバルまで声だけで色々表現してしまう。他のメンバーもヴァイオリン、チェロ、フルート、トランペットのような音まで再現してしまう。これでは伴奏楽器がいらないはずですね。
彼らの代表的なCD「にほんのうた~春夏秋冬~」には、「朧月夜」「故郷」など17曲の懐かしい唱歌が収められています。もちろん彼らによるアレンジで、伴奏楽器なし。「村祭」の笛太鼓も彼らの声です。やはり、歌声には人を勇気づけ、癒す力がありますね。