NHK古典芸能鑑賞会〜鶴澤清治から歌舞伎梨園の世界へ

東京・渋谷 NHKホール

昨晩は、台風22号の影響による雨の中、東京・渋谷のNHKホールで開催された「NHK古典芸能鑑賞会」の観劇に行ってきました。能、文楽から歌舞伎に至るまで観ることができて、この御時世で、2階のD席ながらたったの1000円で鑑賞できるのですから、六本木ヒルズ族ではない私のような民族にとっては大変有難い(笑)、毎年楽しみにしている観劇です。(12月16日午後2時〜Eテレ放送)

NHKホールには、人混みを避けて、渋谷ではなく、原宿から行くことにしました。

表参道・ラフォーレ

そう言えば、ここしばらく、表参道に行っていなかったので、NHKホールに行く前にちょっと散策しようと早めに家を出ました。

それが吃驚。原宿駅に着くと、雨が降る中、雲霞の如く、人混みが殺到していたのです。道路が塞がり、歩けたもんじゃありません。何があったんだろう???

あとで分かったのですが、ハローウインとかいう今時の西洋被れの若者が、天下の公道で、しかも、公衆の面前で仮装パーティーをしてもよくなったらしく、千葉や埼玉や茨城や栃木、群馬から集まってきていたのでした。

這々の態で、表参道を抜け出してNHKホールに向かいました。途中、岸記念体育会館が見えました。思い起こせば、今から40年近くも大昔、この会館の3階に日本体育協会(体協)運動記者クラブがあり、毎日のように通ったものでした。

ここから、昼休み抜け出して、表参道から青山方面まで足を伸ばして、当時の最新のファッションに触れたり、当時流行っていたイタリアンではなくフレンチ・レストランでランチを取ったものでした。今は全く様変わりして当時の面影すら残っていません。

表参道

話がズレてしまいました(笑)。

古典芸能鑑賞会でした。

演目は、第1部「月に舞う〜人間国宝至芸競演〜」▼舞囃子「融(とおる)」(源氏物語の光源氏のモデル源融)▼琉球舞踊「諸屯(しゅどぅん)」▼文楽「関寺小町」(小野小町百歳伝説)▼長唄「二人椀九」(大坂の豪商椀屋久右衛門と傾城松山の恋物語)

第2部が歌舞伎「俊寛」(俊寛=芝翫、瀬尾=弥十郎、丹左衛門=東蔵)

一週間程前に京都の京洛先生から指令が来まして、「私は今回行けませんが、三味線の人間国宝の鶴澤清治を聴きたかった」と非常に残念がっていましたので、私も今回初めて、彼に注目してみました。

鶴澤清治は、 文楽「関寺小町」に出演していました。文楽ですから本来なら人形に注目しなければならないのに、彼の三味線ばかり聴いてしまいました。ホレボレしました。テクニックがずば抜けていて、もう他の三味線は聴けないという感じです。私はロック少年でしたから、比較するのも変ですが、ヴェンチャーズも顔負けのテケテケを披露するのです。義太夫は500年以上の歴史がありますから、やはり格が違いますねえ。痺れてしまいました。

芝居がはねて赤羽「まるよし」へ 浦霞580円、ポテトサラダ210円

歌舞伎「俊寛」は、御説明するまでもないでしょう。私も吉右衛門の俊寛など何回か拝見したことがあります。プログラムを見たら、解説が、今や歌舞伎評論界の大御所になられた毎日新聞の小玉祥子編集委員じゃありませんか。御活躍されてますね。お元気ですか?

これでも、小生、20年程前に文化記者もやっていたことがあり、小玉先生とは文藝と演劇記者会で御一緒したことがありました。

小生、若い頃は、スポーツ記者をやったり、芸能記者をやったり、忙しかったですね(笑)。

ここで、一つ講釈をたれてみます。古典芸能鑑賞会では人間国宝にスポットが当てられていたので、それについて。

梨園には現在、片岡仁左衛門、坂東玉三郎ら7人の人間国宝がいます。その中で今回の俊寛で丹左衛門役の中村東蔵もその一人です。この方は、大相撲のようにピラミッド社会である歌舞伎の世界で、頂点の幹部と言われる名門家出身ではないのに、異例の出世をしたとやっかむ関係者もいるようです。

東蔵丈は父親が医者で、芝居好きから当時最大の実力者の一人中村歌右衛門の芸養子となります。しかし、これだけでは「化外の民」ですから、大きな役はもらえず、幹部に昇進することはまず無理です。それが…ということになります。

父親は単なる医者でありません。野口英世らを排出した日本最古の私立医科大学として知られる日本医科大学の学長を務めたことがある河野勝斎でした。後は御想像にお任せしますが、東蔵丈の実姉は、女優藤間紫で、彼女は市川猿翁の妻でもありました。

ここからは下衆い話になります。人間国宝というと、世間の方々は圧倒されますが、日本経済新聞社史観で言えば、文化人として最高峰ではないのです。

つまり、年金で比較すると、人間国宝は200万円、芸術院会員が250万円、文化功労者が350万円となっているわけです。(文化勲章は、文化功労者の中から選ばれ、「最高名誉」ですから、勲章だけで、年金はありません)

梨園で言えば、芸術院会員は中村梅玉、松本幸四郎ら6人、文化功労者は先日なったばかりの中村吉右衛門、尾上菊五郎ら5人です。そして、文化勲章は坂田藤十郎の1人です。

ちなみに、藤十郎の奥方様は皆様御存知の通り、参院議長も務めた「政治家」の扇千景です。

別に、これ以上言いたいことはありませんよ(笑)。