明日ありと思う心のあだ桜 夜半に嵐の吹かぬものかは

WST National Gallery Copyright par Duc de Matsuoqua

 新型コロナウイルスの影響で、さらに自粛ムードが広がり、世間では3連休だというのに身動きできない状況です。

 新型コロナウイルスに緊急対応した医師や看護師に対して、「バイ菌」扱いしたり、いじめをしたりする事案が各地で頻発しているらしく、日ごろ、「日本民族は礼儀正しく優秀だ」「日本人は素晴らしい」と歓呼している人も、知らないふりをして声を潜めています。

 さりはさりとて、今から44年前の1976年2月に起きたロッキード事件関係の本を読んでいたら、ロッキード社から秘密工作費21億円を受け取ったとして脱税などで起訴された児玉誉士夫氏の東京都世田谷区の住所が番地まで出ていました。

 たまたまその近くの豪邸にお住まいの深沢令夫人と面識があるので、「散歩のついでに、旧児玉邸が現在どうなっているか調べてください」と探訪要請したところ、快く引き受けてくださいました。

 令夫人のことですから、「写真を撮影するのは憚れました」ということで、残念ながら、現場写真はありませんが、どうやら、現在は高級マンションになっているとのことでした。確か、ロッキード事件発覚後の翌月に、児玉邸にセスナ機が自爆特攻した事件があり、2階の1部が損傷しただけだったので、大豪邸だったのでしょう。やはり、跡の敷地に高級マンションが建つほど広大な敷地だったんですね。

 そんな話を大分にお住まいの物知りの三浦先生に話したところ、「児玉さんの御子息は、何をされたかご存知ですか? 赤坂方面の放送局の重役まで務められましたよ。それより、あの石原莞爾の孫はその放送局の会長までやってますよ。作家の息子とはレベルが違います。世の中の人は何も知らないでしょうけどね」と仰るではありませんか。

 あらま。私も「世の中の人」ですから、何も知りませんでした。調べてみたら、フィクサー児玉誉士夫氏の御子息である児玉守弘氏は、TBSの常務取締役や関連会社の役員を務めた後、日音の相談役になったとか。満州事変を画策した石原莞爾の孫の石原俊爾(としちか)氏はTBSの社長~会長を歴任されてますね。

作家の息子とは、昨年、フジテレビの社長に就任した遠藤周作の御子息遠藤龍之介氏のことでしょうかねえ?

 最後に今日はこれだけは書いておきたい。「桜を見る会」事件のことです。

 報道に接する限り、桜を見る会の招待者は、特別な功績や功労がなくても、安倍首相の後援会の関係者ならフリーパスで、内閣府もチェックせずにそのまま通っていたことが明らかになりました。これでは、国民の税金を首相が「私物化」したことになります。花見会も高級ホテルでの前夜祭も、やりたければ個人のポケットマネーでやれば、納税者から誰も文句は出ないはずです。

 自分の選挙民を優遇すれば、「偉い先生」として、国会議員に当選するのは当たり前です。しかも、脱法的な手段で国民の代表として居座るなら言語道断で、民主主義の危機です。

  明日ありと思う心のあだ桜 夜半に嵐の吹かぬものかは

 これは、浄土真宗の開祖親鸞が9歳のときに出家する際に読んだ歌とされます。

 飛躍して読めば、今の「桜を見る会」の騒動に一石投げかけるようにも読めます。

 恐らく、時の最高権力者はこの歌のことはご存知のことでしょうが、「驕れる者久しからず」ことを肝に銘じてもらいたいものです。