4月6日(木)付読売新聞朝刊の二社面に「映像で知る20世紀前半=国立映画アーカイブ 87作公開ー教育や軍事「CMの先駆け」も」と題する記事がありました。私もネットで見てみることにしました。こりゃ、凄い。
国立映画アーカイブ(NFAJ=National Film Archive of Japan、1952年開館、東京都中央区京橋)には、約8万6000本のフィルムが所蔵されていますが、そのうち、劇映画ではない実写作品の文化・記録映画やニュース映画が5万本近くあるといいます。そこで、NFJAは、ネット上に「フィルムは記録する ―国立映画アーカイブ歴史映像ポータル―」サイトを設置して、産業や教育、軍事、皇室関係など戦前の貴重な文化・記録映画をアップし、無料で公開することにしたのです。取り敢えず、まずは87本で、今後増えると思われます。
国立と言うからには、国民の財産です。誰でも簡単に、わざわざ会館に足を運ばなくても、居ながらにしてアクセス出来て観られるようにしたところが凄いです。
私も早速アクセスしてみました。読売の記事で紹介されていた「日露戦争の記録」(1904~05年)関係のフィルムは8本もあり、白黒の無声映画ではありますが、「よくぞ撮った」「よくぞ残っていた」といった感じです。こういう記録映画は、NHKテレビの「映像の世紀」などで見たことがありますが、いつでも見たい時アクセスできるということは、本当に素晴らしいですね。
また、明治製菓が大正15年に製作した「菓子と乳製品」(9分)なるプロモーション・フィルムもあります。説明には「明治製菓の製菓工場(川崎)におけるチョコレートの製造工程、牧場(茅ヶ崎)と製乳工場(両国)の様子を描写し、同社による主要製品を紹介するPR映画。完全版と思われる。」とあります。
これが、読売に言わせると、「CMの先駆け」となるわけです。1926年当時の最新の工場機械によるチョコレートなどの製作過程だけでなく、当時の典型的な美人さんと思われる和服や洋装の女性(タレントの先駆け?)が笑顔を振りまいて登場したりしています。今から100年近い昔だというのに、オートメーションの機械は現代とそれほど変わらない感じで、驚くばかりです。
この他、当時の文部省が製作した「子供の育て方」(28分)なるものまであります。1925年ということは、大正14年。三島由紀夫、永井路子、丸谷才一、辻邦夫、杉本苑子らが生まれた年ですから、この映画に登場する赤ちゃんを見ると、何か親近感が湧いてきます(笑)。