ポール・マッカートニー初の自叙伝とも言える新刊「The Lyrics : 1956 to the Present」(Penguin Books Ltd.)を私は「衝動買い」で買ってしまったのです。今年6月に80歳になるポールは人類史上最も成功した有名な音楽家だと思いますが、これまで自叙伝の執筆に関しては頑なに断ってきたといいます。
私が最も不可解だった歌詞「Full of fish and finger pies」は、この本では「A four of fish and finger pies」となっていました。作曲者のポールの本ですから、こちらが正解なのでしょう。となると、A four of fish とはやはり、「4ペンス分のフィシュ&チップス」という意味なのでしょうね。残念ながら、この箇所について、ポールは一言も触れていません。
日本人として分からないのは、four という複数なのに、何故、a という単数の不定冠詞が付くのかということです。マニアのサイトの中には、A four pennyworthof fish (4ペンス分のフィシュ&チップス」と説明する人もいます。これなら、He is afour-year-old boy. と同じような使い方だったのかな、と外国人でも想像できます。
この本でポールが「ペニー・レイン」の歌詞の中で触れていることは、「Penny Lane is in my ears and in my eyes」の箇所です。in my eyes は今でも目に浮かぶ、といった感じですが、in my ears というのは、当時、ポールはこのペニー・レイン(という名の通り)にあった聖バーナバス教会の少年合唱団に参加していて、当時歌った讃美歌などを思い出すといった意味だったのです。
◇英霊記念日
もう一つ、A pretty nurse is selling poppies from a tray の箇所。「可愛らしい看護師がお盆に載せたポピー(ケシ)の花を売っている」といった意味です。このポピーがpoppiesではなく、アメリカ人はpuppies(子犬) だと勘違いしている、とポールは発言しています。そして、このpoppies とは生花ではなく、paperpoppiesand badgesのことで、紙で出来たポピー、つまり造花だと説明しています。英国では11月11日は、rememebarance day(英霊記念日)と呼ばれ、第1次、第2次世界大戦で戦死した兵士を慰霊する日です。(1918年11月11日、第1次世界大戦終結を記念して英国王ジョージ5世によって定められた。)