生涯現役

ミラノ スカラ座

今年のノーベル医学生理学賞で、オートファジー研究の大隅良典東工大栄誉教授(71)が受賞しました。京洛先生もボヤボヤしていられません。

私は、アカデミズムの世界には疎いのですが、栄誉教授という称号は初めて聞きました。国立大学の定年は、60~65歳のようです。一方、私立大学は65~70歳なので、大抵の国立大学の教授は、定年後、私立大学に移籍されます。

大隅氏は71歳ですから、名誉教授になるのが普通でしょうが、いまだに「現役」として研究生活を送ってらっしゃるようなので、栄誉教授になるのでしょう。

大学によって、千差万別ですが、ある大学は、名誉教授とはいっても、名前だけで、それこそ研究室も何もかも召し上げられ、「出社に及ばず」(笑)で、研究費も交通費も出ない。まさに、名誉職のようです。

栄誉教授となると、ある程度、面倒を見てくれるということなのでしょうか?

やはり、男は「生涯現役」が理想的です。

こんなこと書くと、最近一流クオリティペーパーにも頻繁に現出する広告みたいですが、お間違えにならないように(笑)。

スッピンマスク

ミラノ

先日、テレビで、「イタリア人は、マスクをしない」といったバラエティー番組をやってましたが、イタリア人は、マスクをしないどころか、マスクそのものを知らないといった風情でした。「暑苦しい」と、イタリア人は、すぐマスクを外してしまうのです。

で、そんな中で、この間のイタリア旅行の 帰国のミラノ国際空港で、ツアーで一緒だった日本人の若い女性の殆ど全員がマスクをかけていたので、それはそれは異様な光景でした。

これは、後から聞いたら、「スッピンマスク」と言うらしいですね。詳しい事情は、以下の通り。

今回のイタリア旅行のツアーには33人が参加しました。親子3人、初老の熟年アベック(死語)、女友達同士、新婚のハネムーンカップルなどでした。

その中で一番目立っていたのが、たった一人で参加した若い女性でした。お人形さんのように可愛らしく、二十歳そこそこの学生さんに見えました。

「こんな若い女性が一人で参加して大丈夫かな?相手は世界一腰が軽いイタリア男だからなあ」と内心心配しておりました(笑)。

そのうち顔見知りになり、少し話をしたところ、見掛けとは全く違って、かなり男っぽくて、物怖じしない性格だということが分かりました。また、美大を卒業してキャラクターデザインの会社で働くデザイナーさんであることも分かりました。

で、そのお人形さんのような清楚な彼女が、帰国のミラノ空港にいないのです。添乗員さんの点呼でやっと分かったのですが、彼女はお化粧をすっかり落として、コンタクトからぶ厚い眼鏡を掛け、顔全体をマスクで覆っていたので、近くにいても分からなかったのでした。

日本とイタリアは、13時間の長期フライトです。その間、若い女性は、お肌のために化粧しっぱなしでいるわけにはいかず、スッピンになるそうですが、その顔を隠すためにマスクをしていたわけです。

こんな奥床しいことをするのは、世界は広しと言えど、大和撫子だけでしょうねえ。

でも、清楚なお人形さんの風貌が全く分からなくなってしまったことには、参った、参った。見てはいけなものを見てしまった感じです(苦笑)。

すっきり分かる日本の国のはじまりと成り立ち

ワニノ駅  Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

 栗林提督お勧めの長浜浩明著「国民のための日本建国史」(アイバス出版)を読んでいますが、まあ、何と言いましょうか、著者は東工大の修士号を修めた一級建築士ながら、アングルのバイオリンのように独学で考古学を何十年も研究され続けてきたらしく、その知識と教養は生半可でなく、これまで、考古学の権威と言われた大学者の説をバッサバッサと切りまくり、その壮観な景色の見晴らしは、どこまでも続くよといった勢いです。

 初版は2015年7月6日。出版されて1年以上経ち、これだけ、年代を「炭素14年代」で「実証的」に測定するなどして、既成学説を否定されておられるというのに、アカデミーの世界から何ら反証も議論もなく、全く黙殺されているように感じられます。何か、不思議ですね。

 ワニノ・ホテル  Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

 ただ、著者は、最初の方で、「司馬史観」を批判されておりましたが、司馬遼太郎は小説家=フィクション=虚構であって、彼の小説などを真面目に史実として扱うこと自体はおかしいんじゃないかなあ、と思ってしまいましたし、彼の「民族=言語」説というのも少しおかしい気がしました。

 まだ、全てを読んでいないので分かりませんが、後半では、私が生まれて初めて考古学に興味を持つきっかけをつくってくれた考古学者の上田正昭氏や佐原真氏、森浩一氏らに疑念を呈しておられたりするばかりでなく、渡部昇一氏についても「記紀を読んでおられないのではないか」と、右左関係なく(笑)、かなり手厳しいのです。

 そして、あの泣く子も黙る天下の共同通信社に対してまで、「科学に弱い要注意な通信社」(41ページ)と見下して、敵にまわしておられます。

 いやあ、勇気ある自信に満ち溢れた凄い方です。
 ワニノ・ホテル Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur 

 著者の長浜氏の説、研究成果の骨子はー。

 ・ヒトのY染色体を調べると、日本人と韓国人、北方シナ人(北京)、モンゴル人とはパターンが全く異なる。よって、司馬遼太郎の言う「韓国が日本人の祖先の国」は間違い。彼らは日本人とは別人種、別民族。P30

 ・紀元前1万年から前5000年までの5000年間、朝鮮半島からの遺跡がなく、つまり、人の気配が消えた、人々が絶滅していた。P44

 ・沖縄人の御先祖様は、九州からやってきた。P45
 
 ・紀元前5000年の縄文時代、人々は日本から無主の韓半島へ家族で移住し、海峡を挟んで祖国日本との間を往来していた。P47

 ・韓国・朝鮮人の祖先は紀元前2000年頃に、(日本の)縄文人が暮らしていた地(韓半島)にやって来たに過ぎない。ということは、それまで、3000年以上にわたり、半島の主人公のルーツは日本人だった。P48、P50

 ・倭人は、春の耕作と秋の収穫をもって年紀としていたため、1年を2年と数えていた。これによって、(記紀に書かれた)天皇の長寿の謎が解ける。皇紀もまた実年に換算すると、神武天皇は、(皇紀660年=)紀元前70年(中国は前漢の時代、ローマでは剣奴スパルタクスが反乱を起こして磔にされた翌年)1月1日に、27歳で初代天皇として即位し、前33年に64歳で崩御。二代綏靖天皇は、前15年に42歳で、三代安寧天皇は、前1年に28歳で、四代懿徳天皇は、17年に38歳で、五代考昭天皇は、59年に56歳で崩御…となる。P110~129

 ・魏志倭人伝などを素直に解釈すると、邪馬台国は「九州」であり、福岡県山門郡高瀬町と推定している。P156

 ・神武天皇の東征とは、日向からやって来た神武天皇一行が、大和の豪族を急襲して惨殺したのではなく、苦戦を強いられながらも内通者を得て切り崩し、ヤマトの南部にやっと拠点を築くことができた、ということ。その後、婚姻関係を通じて勢力を拡大していった。P170~182

・「後漢書倭伝」「魏志倭人伝」に、倭人が、シナに生口を献上する記述があるが、五世紀初め、大和朝廷が女王国を併呑して後、「宋書」には、様々な爵位を要求しても、生口を献上送ったという記録はない。「隋書」にも生口の記載はない。P184

・神武天皇以来、天孫族は邪馬台国が日本人の男女を生口としてシナに献上することが許せなかった。これが決定的な違いとなって女王国と大和朝廷は和解できなかった。このような国は滅ぼすしかない、そう決意したのではないか。 P185

・1978年、埼玉古墳群・稲荷山古墳から出土した赤錆びた鉄剣に「意冨比◆土偏に危(おおひこ)」の銘が刻まれていたことが分かった。この鉄剣は、ワカタケル大王(第21代雄略天皇=457~480年)の時代のもので、銘の大彦命は、第九代開化天皇の兄と考えられる。P284

・記紀否定は、GHQによる「日本教育政策に対する管理政策」(1945年10月22日)などによるもの。 P271

以上 興味深い説でした。著者の全ての説に賛同できませんが、真実は一つでしょうから、専門家同士で激論を交わしてはっきりとさせてもらいたいものです。

10月4日読了。

「ハドソン川の奇跡」は★★★★★

ミラノ・スフォルツァ城

映画「ハドソン川の奇跡」を千葉県で見てきました。クリント・イーストウッド監督作品だからです。

2009年1月15日に実際に起きたUSエアウエイズの鳥激突による両エンジン停止でNYのハドソン川に不時着陸して、155人の乗員乗客の生命を救ったサリー機長(トム・ハンクス)とジェフ副操縦士(アーロン・エッカート)の物語です。

当初、英雄として迎えられた機長らも、事故調査委員会の調査で一転して「容疑者」となります。

どうなるのか、は見てのお楽しみです。

全編、緊張感があり、映像に少し無駄がありましたが、トッド・コマーニキの脚本が無駄がなくていいです。1時間50分という時間もちょうどいい長さです。

 ミラノ・スフォルツァ城

以下は、私がこの映画のどこに着目したか書きます。未見の方は、この先はお読みにならない方がいいと思います。

て、ゆーか、映画を観ないと、読んでも分からないと思います(笑)。

私がまず、「オー」と思ったのは、主役のサリー機長演じるトム・ハンクスらの着ているものが、何から何まで超高級品に見えたことです。

さりげなく着ていた薄いセーターも恐らくカシミア製でしょうし、上下のスーツはかなり高級なイタリアン・スーツ、ジョルジュ・アルマーニあたりかと思わせましたが、恐らく、ケネディ大統領も愛用した米国のブルックス・ブラザースでしょう。

映画の中で、飛行機がハドソン川に不時着して、着替えも何もかも置いて避難し、ホテルに落ち着いた時に、サリー機長らは、着替えとして安物のスーパーの服を航空会社の同僚から渡されます。

この時、不服そうな表情を浮かべたサリー機長らに対して、その同僚は「えっ?ブッルクス・ブラザースの服が欲しかったのかい?勘弁してくれよ。今、夜の10時なんだから、開いているのはKマートぐらいだよ」

と言い返します。

この台詞で、彼らはパイロットですから恵まれた階級であることが分かります(笑)。

 ミラノ・スフォルツァ城

映画に登場した、事故に見舞われた乗客・乗員155人のほとんどが、コーカサス系で、アフリカ系、アジア系、それにヒスパニック系がほとんどいなく、勿論、台詞はなし。実話に基づいて、想定したのかもしれませんが、何か、意図するところがあったのか、勘ぐってしまいました。

もう一つ、サリー機長を全面的に善人としてではなく、どこか胡散臭い面があったことも、さりげなく描いていたことには感心しました。

それは、台詞の中だけにしか出てきませんが、機長は一人で、別会社をつくって不動産関係の投資をやっていたことなどです。もちろん、法に違反するとかそういう話ではありませんが、通り一遍な善人として描くより、迫真性が増して、この映画は反反知性主義者が観ても納得させる要素を持っている遠因になっています。

苦天の悪口

ミラノ

ネット通販の苦天の悪口を書きますと、また、栗林提督から怒られてしまいますが、やっぱり酷い会社だなあ、と思います。

例の本を注文したのが9月25日ですが、6日経った現在でも、まだ届かないのです。

競合他社でしたら、遅くても3日で届いたもんですが、1週間もかかるなら、本屋さんに注文しても同じで、送料もかからなかった…

あ、また、心が狭い嫌な性格を暴露してしまいましたね(苦笑)。

◇宿泊税を導入したイタリア

今度は、イタリア旅行の悪口ですが(笑)、前回行った時はなかった「宿泊税」なるものが、今年から請求されました。

「現代イタリア人は、ろくに働かず、過去のローマ帝国の遺産で喰っているのに、今度は宿泊税までとは!」と呆れてしまいました。

このことを、渓流斎ブログでも大々的に書こうかと思っていましたら、昨日、旅行代理店からメールがありまして、「ローマのホテルの宿泊税は、こちらの手違いでしたので返却します」との正直爺さんポチ借りてみたいな話をしてくるのです。

実は、結果的に宿泊税が掛かったのはフィレンツェ(郊外)だけで、ミラノ(郊外)のホテルは請求されなかったのです。この優柔不断な(笑)税金もあまりにもイタリアらしくてよく分かりませんねえ(笑)。

年収90万円で生き抜く経済学

銀座~東銀座~新富町~八丁堀

本日2016年9月30日(金)をもちまして、私事渓流亭高田朋之介は、長年通っておりました学校を卒業することに相成りました。

「無遅刻・無欠席の金時計」どころか、遅刻(主に人身事故などの交通機関によるもの)、大病による長期欠席で、学校には迷惑を掛けっぱなしでしたが、ま、それでも卒業証書が貰えるということで、大変おめでたい話ではありまする。

これで、根無し草(デラシネ)の全くの風来坊となりますけんど、今すぐ、社会から独り立ちすることも、理由(わけ)があって当初の目論見通りには行かず。今回、ご縁があって、昔からの知り合いだった尾崎君から、満鉄調査部嘱託の仕事をお世話になることができまして、内務省特別高等警察の目が行き届かないうちは、そこで暫く御厄介になろうかと考えております。

尾崎君の場合は、同じ満鉄調査部でも高級嘱託なので別格です。大川先生は月200圓、尾崎君も月100圓ぐらいの給金を得ているようですが、小生はまだ版元から瓦版を出していないし、学校の成績が全く良くなかったので、「月10圓で賞与なし」という涙が出てくるような嬉しい待遇です。

西暦2003年に、森永キャラメル君が、「年収300万円時代を生き抜く経済学」を出版して世間をアッと言わせて、ワーキングプア階級に衝撃が走りました。あれから13年、阿部総理と玄田日銀総裁がタッグを組んだマイナス金利政策の大失敗で、デフレ不況が蔓延して、今では「年収90万円で東京ハッピーライフ」なる本がよく売れているそうですね。

まさに、あたしのために書かれた本なのかもしれませんなあ…(笑)。

グローバリズムの破綻

皆さん、こんばんは(ミラノのホテルで)

「暑さ寒さも彼岸迄」のはずが、お彼岸を過ぎても都心では30度近くあり、なかなか過ごしやすくなりませんね。

特に、べとつく不愉快な高い湿度は、やはり、日本はアジアだなあ、という感じがします。そう言えば、イタリアは随分乾燥してました。

ところで、フランスの歴史人口学者エマニュエル・トッド氏が、来月来日するということで、事前にインタビュー記事が、本日の朝日新聞に掲載されており、興味深く拝読しました。

来日講演は是非とも聴きたかったのですが、生憎、仕事で行けず残念です。

トッド氏は、かつて渓流斎ブログ(消滅)で何度も登場しましたが、サルトルの親友でもある作家ポール・二ザンの孫で、ソ連邦崩壊などを「予言」した人としても知られています。

以下は、インタビュー記事をざっと速読しただけの感想ですが、今回、トッド氏は、米国のユナラテラリズム(単独覇権主義)は凋落し、かなり、国力を牽引してきたはずの働き盛りの白人が、相当疲弊し、自殺者が増加していることを指摘しておりました。

自殺までいかなくても、ストレス肥満や薬物依存や退職後の生活不安などに苛まれているようです。その現れが、トランプやサンダース両大統領候補に対する熱烈な支持で、特に、トランプ氏に関しては、彼の暴言は行き過ぎであっても、彼を支持する白人貧困層には一理ある、と認めていますね。

これら白人貧困層を追い詰めた要因の一つが、グローバリズムであることを喝破したことは、いかにもトッド氏らしい。

昨日、栗林提督からコメントが御座いまして、「欧州では、ナショナリズム=ナチズムと思われても仕方ない」といったご趣旨の批判を受けましたが、そのナショナリズムが、欧米では現在、妖怪のように跋扈していると言ってもいいでしょう。

トッド氏は、その具体的な現れの一つが、「英国のEU離脱だ」と明解に答えています。

同時に、民主主義は(狭い)国内=ナショナルでしか通用せず、EUになると、その責任の所在が曖昧になって機能しない、といったような趣旨の発言もしていました。

確かに、ブリュッセルのEU官僚が年収2000万円かそれ以上も貰って踏ん反り返っていては、貴族社会の「王制復古」みたいですからね。

私自身は、これらのトッド氏の発言は、「近いうちに、EUやグローバリズムは崩壊する」と予言しているのではないかと解釈しました。

地頭の悪い渓流斎

日本に賠償金を請求した戦後イタリア

カラバッジョ「メディウス」(フィレンツェ・ウィフィツィ美術館)

こうして、電車の中で、スマホでブログを書いてますと、「果たして一体、どなたが読んで下さっているのでしょうか」「昔の読者の方は復活されたのかなあ」なぞと、真っ暗闇の中で手探りしながら、歩みを進めている感じです。

とはいえ、何人かの奇特なメル友さんからは、「あら、イタリアに行ってたんですか」「ブログ再開おめでとうございます」といった感想を寄せて下さるので、励みになってます。

そんな中で、難関書を毎月50冊読破するあの栗林提督から、こんなメールを頂きました。

「イタリアといえば、ムッソリーニを追放したイタリアはちゃっかり連合国側に立って、あろうことか日本に戦争賠償を要求してきました。イタリアは都市国家の集合体で,日本のような『自然国家』ではないので、こうしたことも起こりえるのでしょうか。ひところ、北部が貧しい南部を切り離して独立すると騒いでいたのも、同根なのでしょうね」

えっ?本当? イタリアは、日独伊の三国同盟を締結した数少ない(笑)同盟国でしょ?何でそんなことが…。

ということで、調べてみましたら、これは紛れもない歴史的事実でした。今の中年以降の人でもこの事実を知っている日本人は、少ないでしょう。何故なら理由があるからです。

事実は、昭和48年の「外交青書」にこう書かれています。

◆イタリアの対日賠償請求問題の解決
1952年以来懸案となっていた第2次大戦(1937年7月7日からの支那事変を含む)中の損害に関するイタリアの対日賠償請求問題の解決について1972年6月5日から22日までローマにおいて日伊両国代表の間で話し合いが行なわれたところ,わが政府が総額120万合衆国ドルの見舞金を伊政府に一括支払うことにより最終的に解決することで合意が成立し,7月18日在イタリア高野大使とメディチ伊外務大臣との間に本件に関する公文が交換された。9月18日わが政府が前記支払を下したことにより,戦時損害に関するイタリア政府および同国民のわが国に対する賠償請求問題はすべて解決された。

恐らく、上記を読まない人がいるので(笑)、簡略しますと、日本は戦後27年も経った1972年(しかも、私の誕生日に=笑)、イタリアに120万ドルの損害賠償をした、というのです。

ただし、日本政府の立場は、あくまでも「賠償金」ではなく、「お見舞い金」と見栄を張っているわけです。これでは、学校では教えられないし、歴史の教科書にも書かれないはずです。ということは、日本人の多くはこの事実を知らないということです。

イタリアは、日本の明治維新と変わらない時期に出来たばかりの「人造国家」です。それまでは、ヴェネチアにしろ、ナポリにしろ、言葉が通じないほど別の都市国家でした。

戦後、何でイタリアがあろうことに日本に賠償請求したのか、理由は以下の通りです。

第2次大戦中の1943年、イタリアは、ムッソリーニを元首とする北部の「イタリア社会共和国」と南部の「イタリア王国」に分裂して内戦となります。

 ドイツの支援を受けて創設したイタリア社会共和国は、ドイツ敗北を受け、1945年4月25日に政権崩壊に追い込まれ、元首ムッソリーニも銃殺されます。

一方の南部イタリア王国のバドリオ政権は、終戦一カ月前の45年7月15日に、連合国側に立って日本に宣戦布告します。これで、「戦勝国」となったイタリアが、「敗戦国」日本に戦争賠償補償金を請求する根拠にしたのです。

なるほど枢軸国イタリアは、敗戦国ではなかったのですね。

ちなみに、日本政府は、被害を与えた中国や東南アジア諸国は勿論のこと、直接交戦がなかった「永世中立国」スイス、デンマーク、スウェーデン、アルゼンチン、ギリシャなどにまでも、真面目に賠償金を支払っています。(占領米軍の駐留経費、家族宿舎の建設などインフラ整備代等すべてが日本人の血税で賄われました)

払う方も払う方ですが、賠償金を請求したこれら非交戦国は、あたしに言わせりゃ、火事場泥棒ですよ。

まさに鬼畜欧州。

「キトラ古墳壁画体験館 四神の館」訪問記(あたしじゃないけんど)

par M. Kyouraku sensei

関西ライフを満喫されておられる京洛先生から、充実行脚のリポートがありました。

…9月24日(土)に、奈良県明日香村の「キトラ古墳」そばにオープンした極彩色壁画を保存・公開した我が国初めての施設「キトラ古墳壁画体験館 四神(ししん)の館」に、3日目の26日に行ってきました。
 古墳の中から壁画が見つかり、既に33年経ちましたが、石室にあった崩落寸前の壁画を修理・保存して文化財の新たな保護のありようを求めた一例として注目を集めています。…

ほう、いつの間にか、考古学者に転向されましたね(笑)。

 …出来たばかりの「四神の館」はキトラ古墳の北側にあり、延べ床面積2500平方メートル、1階に実物の壁画を保管、地下1階は石室と同じ模型や壁画の映像が流れたモニターが設置され、ちょっとしたミュージアムになっていました。
 オープン記念は、24日から10月23日まで、キトラ古墳壁画のうち、白虎、朱雀と天文図の実物を無料で見られます。小生は、「事前申し込み」をしていたので、目の前で白虎、朱雀、天文図をじっくり鑑賞できました。…

あら、事前申し込みまでされていたのですか。ご熱心ですね。

 …石室内の副葬品の飾り金具、金銅製鐶座(かんざ)金具類も展示され、7世紀末から8世紀初めの時代空間を手繰れた気分でしたね。内部の写真は撮れませんでしたが、「四神の館」の玄関と周囲の写真を撮ってきました。…

いつも有難うございます。

 …ちなみに「平成28年度キトラ古墳壁画特別公開(第1回)」は、「文化庁」のホームページから事前申し込みが出来るようになっています。試しに同ホームページを検索してみてください。今後は、残る玄武、青龍も特別公開されることになっています。…

文化庁も小出しで出してくるんですね。やるな、文化庁!

 …来月は恒例の「正倉院展」もあり、奈良は大勢の人がキトラ古墳にもやってきそうです。…

関西は、古代遺跡が豊富なので、羨ましい限りです。

苦天の正体見たり枯れ尾花

モーニングセット

学生時代の同級生が、本を出版していることを新聞の広告で初めて知り、ネット通販の苦天で注文してみました。

そしたら、驚き桃の木山椒の木です。

新書なので定価800円ですが(物語を単純化するため、数字は概算)、最安値でも送料が何と500円もかかるのです。つまり、この新書を手に入れるのに、本屋さんに行けば800円で済むところ、苦天は1300円もするのです。

これは最安値ですから、「ポイント10倍」が付くという謳い文句の同じ本は、送料が700円もして、計1500円もするのです。

これは明らかに暴利でしょう。「送料」というのは建前で、実質上は「手数料」です。英語で言えば、コミッション、もしくはリベートです。これだけ莫大の暴利を貪れば、プロ野球やプロサッカーのチームを持てるはずです。

阿漕な商売とはいえ、私のように、それでも買う人がいるということは、こんなビジネスモデル(というより、利権構造といった方がいいでしょう)でも成り立つわけです。

でも、はっきり書きましょう。本の卸値は定価の8割です。しかし、苦天の場合は、7割4分とか7割5分あたりで仕入れる強気な商売をしているのかもしれません。店舗を構えているわけではないので、これで利益は十分取れるはずです。送料だって、宅配便会社を相当安く叩いていることでしょう。つまり、儲けが二重構造になっているわけです。

私は、ほとんど、滅多にコンビニを利用しませんが、例えば、スーパーなら2缶100円のコーラ(つまり、1缶50円)が、同じ銘柄でも1缶100円で売っています。それでも、売れるのは、スーパーのコーラは、冷えてなかったりしますが、コンビニは、冷えていて、今すぐ飲めるという利便性があるからです。

つまり、消費者は、商品を利便性という付加価値がついた上乗せ価格で、手に入れているということになります。

まあ、こんな話は当たり前で、取るに足らない今さら何さ、せこいなあ、といった世界ですが、ほんの少し立ち止まって考えてみると、現代人は、「早い」「便利」「手間要らず」という恩恵を受けている半面、何か大切なことを犠牲にしたり、失ったりしていることを、そして、明らかに悪徳商人に踊らされている事実を、我々は、もっと気付くべきだと思っているのです。

余計なお世話かな?

苦天は、新書の本体と送料が変わらない、というあまりにも酷い暴利を貪っているので、敢えて書きました。