リアルな生活とは

北海道から久しぶりに関東地方に里帰りしています。「保護観察」の身ではないのですが、個人情報保護法の関係で、お伝えできるのはここまでです。

帰ってみて驚くのはまず情報量の多さですね。電車や駅、その周辺は広告で溢れています。でも北海道の自然に囲まれて暮らしていると、どれも何かそらぞらしいですね。例えば、かわいくて、美しい若い女性モデルかタレントが、南国の海岸や、スキー場やリゾート地をバックに、ニッコリ微笑んで商品を持っているポスターがあったとしても、昔は「おー」と、少しはそそられたでしょうが、今は、何か、生活感がない、というか、リアルじゃない、というか、うそ臭いというか、何か空々しく感じてしまうのです。

何かうまい表現はできないのですが、都会の生活だけしか知らず、優越感を感じていた人間の自信が根底から覆された感じなのです。なくてはならないと感じていた情報のほとんどが必要のないものだったと納得させられた、というべきかもしれません。

満天の星の驚くのほどの数の多さとその輝き。天使が現れるのではないかと思われるほどの雲間から漏れる太陽の縞光。眼前に広がる壮大な牧場と穀倉地帯…。どれも、都会では絶対に味わえません。

もともと性格が天邪鬼なので、早く北海道に戻りたいと思ってしまいました。

昨日の「T牧場」について殆ど問い合わせがなかったので、正体をばらしてしまいます。「剣山(つるぎさん)どさんこ牧場」と言います。経営者は川原弘之さん。敷地は100haではなくて、120haでした。この広さがどれくらいか。分からない人にご説明すると、山あり谷あり小川ありの難所を馬でゆっくりトレッキングすれば、4~5時間は掛かる広さです。

ここでは、宿泊もできるようです。部屋数4、1泊2食で4000円。5月22日には流鏑馬大会もあります。帯広空港から送迎で片道40分で、2000円です。タクシーを使えば、6500円くらいかかるので金額は良心的だと思います。あ、ここの宣伝になってしまいましたね。

昨日、この牧場には、2人の若い人がいました。宿泊者なのか会員さんなのかお手伝いさんなのか、よくわかりませんでしたが、川原さんが、この二人に噛んで含んで話した「人生訓」が忘れませんでした。2人の若い人は、小野寺君という、将来牧場経営を夢見ている30歳の青年。もう一人は斎藤さんという、馬が好きで好きで堪らないといった感じの20歳代の女性。

御主人の川原さんは、牧場主になりたいという小野寺君に言いました。
「私は来年で70歳になるが、若い時は、牧場主になりたかったがお金がなかった。そんなこと当たり前なんです。道の職員をしていたけど、55歳で早期退職してやっと100万円で土地を買って、夢をかなえた。この辺りは、気候条件が過酷で離農する農家が多く、私が言い値で土地を買うと、『私の土地を買ってくれ』という農家が相次いで訪れてきた。生憎、その時、お金がなかったが、『お金は後でいい。借用書さえ書いてくれれば…』。ということで、次々と土地が増えていった。志があれば、必ず何とかなるものなんです。まずは志を持つことです。私の場合は、25歳で牧場主になる志を立てた。例えば、小野寺君、牧場主になりたかったら、まず、この人という牧場主に弟子入りして、その人の右腕になることです。牧場主から『こいつなら任せて大丈夫だ』という信頼を獲得すれば、後は独立できます。社長になる人は志が違います。私は若い人によく言うのです。『もし社長になりたかったら、毎日、3人の人に葉書を出しなさい』と。社長は一人で仕事はできません。周りの社員に仕事をしてもらって、自分は神輿の上にのっているようなものです。そのためには、一人でも多くの応援団を増やすことです」

八卦

時事通信社が発行する「世界週報」という雑誌は、国際情報誌ですが、ここにユニークなコラムが昨秋から毎週掲載されています。「ドクター観幾の占い学入門」というコーナーです。

占い?と馬鹿にするなかれ。これが実に奥が深く、示唆に富み、日本人の文化、慣習、言語、風習に溶け込んでいるか、唖然としてしまうほど詳述されているのです。いずれ、単行本化されると思うのですが、毎週、色んな話題を取り上げているので、お暇な方は立ち読みでもしてください。

膨大なことが書かれているので、一つだけ取り上げると、相撲で行司が「ハッケヨイ、残った、残った」と言いますが、この「ハッケヨイ」って何だと思いますか?これが、「八卦良い」ということだったのです。行司さんが、勝負の行方を占っていたんですね。

八卦というのは、「太極」という宇宙が「ビッグバン」で「陰」と「陽」の「両義」に分裂し、この両義が「陽陽」「陽陰」「陰陽」「陰陰」の4つに分裂し、さらにこの「四象」が「陽陽陽」「陽陽陰」…の順列組み合わせで8つの「卦」に分裂します。これを「八卦」(はっけ、もしくは、はっか)と呼びます。

この八卦を組み合わせて、64通りにそれぞれ意味を持たせて易を占います。これが「易経」です。易経は、古代中国の周の時代に考案されたもので、またの名を周易とも呼ばれます。中国の有名な高位高官の超難関任官試験「科挙」では「四書五経」が必須科目でしたが、『四書』は「論語」「孟子」「大学」「中庸」、『五経』は「易」「書」「詩」「礼」の5種の経典のことです。そう、五経の中の第一の科目として「易経」を学んでいたわけですね。

「易経」で古代の中国皇帝は、自然現象、人間関係、方位、徳目などを占っていたのですが、むしろ政治学、宇宙哲学・倫理として学んでいたのです。皇帝を補佐する高位高官の必須科目になるわけです。

今日はこの辺で止めておきます。

自分に正直であれ

多摩美術大学教授で洋画家でもあるT氏が、美術評論家のN氏を前にして、こう言いました。
普段は無口のT氏ですが、酒席で酔いが回ったのか、つい、本音が出てしまいました。

「現代アートとか、現代美術とか、名前を付けるのはあなたたちの仕事かもしれないが、我々は自分に正直であればそれでいいんです。何かを表現したくて、それが作品になるわけで、その評価まで気にしていては何もできません。あるがままの自分に正直になるしかないのです。だから、結果はどうでもいいのです。自分自身は、芸術家だろうが、美術家だろうが、画家だろうが、アーティストだろうが、自分で名乗りたい名前を名乗ればそれでいいのです。他人から名前を付けてもらうことはないのです。どうせ、評論家は責任を取らないでしょう?そう、評論家は責任を取らないのです」

いつも威張っているN氏は、この時ばかりは、ぐうの音も出ませんでした。

奇跡的

「生きていることは謎です。一人一人がもっと自分の謎に気がつけば、人生は変わる。生きて死ぬことがむなしいと思うか、奇跡的なことだと感じるかでは、全然違う」(文筆家・池田晶子さん=北海道新聞のインタビューに答えて)

プラスエネルギー

弟子:不安や恐怖、怒りといったマイナスエネルギーを、安心、平安、平静といったプラスのエネルギーに転化する方法はあるのでしょうか?

師匠:マイナスからプラスへ転化しようとするより、まずは、そのエネルギーを受け入れることです。自分の中の陰の部分をしっかり見つめて把握することです。陰の部分を受け入れることです。どんな感情も排除するのではなく、受け入れてあげてください。裁かず、判断せず。純粋性を求める人は、自分にも他人にも厳しくなります。世の中の陰を感じる時、本当は自分の中の陰を見ているのです。あるがままの自分を愛してください。自我が自分で何とかできない、と降参した時、大いなる何かに身を委ねることを知るのです。大いなる何かとは、何か?全て自分自身に正直であれ。祈りも効果的です。

弟子:マイナスエネルギーを我慢して受け入れる、ということですか?

師匠:起きていることは、全て必要なこととして起きているのです。安心してください。

苦悩卒業

その人は言った。

あなたが好きなことをすればいいのです。
何でも義務感でやってはいけません。
好きなことをすることを自分が許せばいいのです。
人間は自分の好きなことをするために生まれてきたはずです。

今、現在を充実させれば、目に見えない、存在しない、過去や未来に対して怖れたり、不安になったりすることはないはずです。

長い間、あなたは十分、苦悩を味わってきました。
苦悩よ、もう卒業しなさい!

滝乃不動明王

その不動明王は小高い河岸段丘の緩やかな崖の麓にありました。

角川春樹氏が30年以上前に夢のお告げで訪れ、「これから出版だけでは駄目だ。映画界に進出せよ」との啓示を受けた所だそうです。

音更町の人里離れた十勝川の河岸に、とても立派とは思えない草庵ともいうべき粗末な庵の中に小さな不動明王は鎮座していました。その草庵の横に湧き清水が流れ、地元の人がひっきりなしにお水取りにやってきました。

私も浄財箱に幾ばくかの小銭を入れて、手を合わせて、何かの啓示を待ちました。

あるがままに…。
まだ春遠き十勝の広大な原野に葉風の音がそう囁きました。

羊セラピー

今日は、ワインで有名な北海道池田町にある「スピナーズファーム」へ羊さんを見に行きました。ここには、コリデール、ハンプシャー、シェットランドなど親羊30匹、子羊が20匹もいるのです。

オーナーの田中さんに話を聞いたところ、羊の平均寿命は14歳くらい。メスは5歳から8歳にかけて1年に2匹くらい子供を産むそうです。つまり1匹の羊は生涯に10匹くらい子供を産むということでしょうか。すごいのは、絶対に自分の子供以外に自分の乳を与えないことです。他の子供が乳を飲もうと近づくと、角や体で追い払います。ですから、子羊は尻尾を振って、自分の体臭を撒き散らしながら母親の乳を吸います。「あなたの子供ですから、どうぞ蹴らないでくださいね」と言っている感じでした。

ジンギスカンになる食用の羊はサフォークと呼ばれる種類ですが、ここで飼っている羊は、ほとんどが羊毛用の羊です。体全体が黒かったり、顔だけ黒くてボディはクリーム色だったり、角が3つも生えていたり、乳牛のように「ブチ」だったり(ヤコブと呼ばれてます)、本当に1匹として、同じ顔がいません。羊は世界で何と3000種類以上あるそうですから無理もありません。見ているだけでも本当に飽きません。

羊の原産は英国が多いので、暑さには弱いが、寒さに強い。だから、冬場の寒い時にマイナス25度にもなる池田町でも平気なんだそうです。見るからに羊さんはセーターを10枚くら着込んでいる感じですからね。

ここの羊の殆どが羊毛用と最初に書きましたが、そのうち半分近くは内地の病院に「出荷」するそうです。病院?-そう、いわゆるアニマル・セラピーと呼ばれるもので、羊さんを飼う事によって、心が癒される心理療法です。それは確かに効果覿面だと思います。卵を一回り縮小した感じの大きな薄いグリーンの眼。その眼を良く見ると、瞳は丸ではなくて太い横棒なんですね。本来、羊は怖がりなので、あまり人間には近づきませんが、「スピナーズファーム」の羊の何匹かはとても人間に慣れているので、餌を与えなくても、撫でてあげると、犬のように尻尾を振ります。それがとてもかわいい。

六本木ヒルズ辺りでマネーゲームに明け暮れている連中には、この素晴らしさは理解できないだろうなあ。

風水①

昨年11月から風水に嵌まってます。
風水といえば、いかにも非科学的で前近代的でまやかしに過ぎないと、お思いの方も多いかもしれませんが、中国四千年の陰陽五行説に立脚したものであり、「易経」は四書五経の1つでもあります。平安時代に活躍した安倍清明も陰陽師でしたし、京の都も風水の理論によってつくられました。あ、江戸の都もそうでした。プロデューサーは家康の参謀・天海僧正。東北の鬼門の日光に東照宮を祀り、裏鬼門に増上寺を配す…。
しかし、これ程、奥が深いものとは知りませんでしたね。
人は生まれた年によって一白水星、二黒土星、三碧木星、四緑木星、五黄土星、六白金星、七赤金星、八白土星、九紫火星の九星のどれかに属し、それぞれの星がお住まいになる坎宮、坤宮、震宮、巽宮、中宮、乾宮、兌宮、艮宮、離宮の九つの「宮」があり、その住まいは年ごとに変わり、月ごとに変わり、日ごとに変わる。これだけでも覚えるのが大変なのに、「木」→「火」→「土」→「金」→「水」の五行が相互に助け合う相性があり、九星が微妙な補完関係を構築する。
また、九星の方位は、子、丑、寅、卯、辰、巳、午、未、申、酉、戌、亥の十二支と符合し、吉方があれば、五黄殺、暗剣殺、本命殺、本命的殺、月命殺、月命的殺、年破、月破の八大凶殺と呼ばれる凶方もある。
気にしたらキリがない世界ではありますが、昔の人は、人生という荒波を航海するための羅針盤として利用してきたのではないかと想像しました。
まあ、今日は第1弾ということで、またいつか、風水について触れてみましょう。