ぴったりの時にぴったりの相手

旭山動物園

公開日時: 2007年1月5日 @ 10:17

朝日新聞が正月から一面で連載している「ロストジェネレーションー25~35歳」は、随分、身につまされる話が多く、考えさせられてしまいます。この世代は約2000万人おり、バブル崩壊を少年期に迎え、学校を出た頃は厳しい就職難に見舞われ、いわゆるフリーターやパート、派遣で食いつないでいる者も多いといいます。

彼らの中には、社会問題になっている「オレオレ詐欺」の加害者になったり、悪徳リフォーム会社や1台20万円の浄水器の販売会社に入って、犯罪スレスレの仕事をしながら、「良心は痛まない。商売ってそんなもの」と嘯く若者が登場したりします。

私も営業の仕事をしたことがありますが、商品はさっぱり売れませんでした。毎月、営業報告を提出しなければならず、成績が上がらずに非常に追い込まれた時などは、「押し売りをしてでも売りたい」という誘惑に駆られたものですが、さすがに良心のかけらが残っていたので、そこまではしませんでした。

『世界』に連載されている「浅野史郎の疾走対談」で面白い人が登場していました。中国山東省出身で、ソフトブレーン社マネジメント・アドバイザーの宋文洲さんです。中国から北大に留学して土木工学の博士号まで取得した人です。自作の土木構造解析のソフト販売を始めたら、最初の半年で3000万円くらい売れ、翌年は1年で1億円を超え、3年目で3億円売れたというのです。

宋さんによると、日本人の営業は、中身も説明しないで、宴会、カラオケ、ゴルフの接待から始めて、ただ「買ってください」と言うだけ。これでは物は売れない。しかも、「根性」だの「気合」だの精神論で売ろうとする。本来の営業とは、相手が欲しくないものは売っても意味がないので、その製品を必要とする適当な人に、適当な時期に売るということ。つまり「ライト・タイム、ライト・パースン(ぴったりの時にぴったりの人)」だというのです。

この言葉は、営業を経験した人間として、ズシリと胸に落ちました。

ぴったりの時に、ぴったりの相手

この言葉は人生のあらゆる局面に当てはまるのではないでしょうか。例えば、受験、就職、結婚、出産、新築、転職、離婚、退職、転居…

何か行動を起こす前に、この言葉を思い出して、深呼吸することにします。