「密偵」は★★

映画「密偵」ポスター

◇750万人も観客動員

韓国で750万人もの観客を動員した大ヒット映画「密偵」(キム・ジウン監督)を、先週の日曜日、ちょっと風邪気味を押して出掛けて新宿まで電車に乗って観てきました。

片渕須直監督のアニメ映画「この世界の片隅に」が1年間の超ロングランという記録を伸ばしてまだ上映中だと言われてますが、それでも私も観たこの名作の観客動員は200万人ですからね。

韓国の人口(5125万人=2016年)は、日本の半数以下なのに、750万人も動員するとは、何じゃこっちゃ!と思い、つい無理して観たわけです。日本でも大ヒットした「シュリ」(1999年)や「JSA」(2000年)と同じくらい面白いのかなあと期待したわけです。

◇日ごろの鬱憤を晴らす?

しかし、ちょっと大いに期待し過ぎてしまったせいか、満足度は落ちてしまいました。まあ、仕方ないでしょう。大日本帝国によって植民地となった朝鮮の1920年代が舞台で、「義烈団」と呼ばれる革命独立組織が、暗躍するものの、そりゃあ、韓国の映画ですから、日本はとんでもない植民地征服者であり、朝鮮に正義があるという描き方で、最後は日本人はやられるという映画ですからね。韓国の人も日ごろの鬱憤を晴らすことができたのでしょう。

主役のソン・ガンホは今や国民的大スターらしく、日本では来年4月に公開される予定の光州事件を題材にした実話を基にした「タクシー運転手」にも主演しているようですが、興行成績の成功は彼によるところが大きかったのでしょうね。(「シュリ」にも出演していたらしいですが、あまり覚えてません=笑)

ソン・ガンホは、元朝鮮人ながら今や革命団を取り締まる日本の警察の犬と嫌われるイ・ジョンチル役。民族間で悩みを募らせます。セリフの日本語のうまさには驚いてしまいました。鶴見辰吾がイ・ジョンチルの上司の朝鮮総督府警務局部長ヒガシ役。人気俳優イ・ビョンホンが、義烈団の団長役、コン・ユという若手俳優が義烈団のリーダー役でした。女優さんは、名前を覚えられず、皆同じ顔に見えてしまいました(笑)。

映画なので、やたらと必要のない人殺しがあり、ちょっと荒唐無稽な場面も多くがっかりしてしまいましたが、近現代という時代的には好きなので、上海や満洲などの場面や話も出てきて、当時のファッションや自動車や列車内も厳密に再現していて、それなりの見どころもありました。