青野画伯のパステル画個展

東京・銀座「澁谷画廊」青野平パステル画個展で熱心に鑑賞される辰澤殿下

昨晩は、赤羽先生からのお導きで東京・銀座の澁谷画廊で開催中の「青野平パステル画個展」に行って来ました。

何の予備知識もなく、ただ単に「澁谷画廊の瀬戸内支配人さんが、皆んなで集まって飲み会をやりますので、参加しませんか」と誘われ、待ち合わせ場所が、澁谷画廊だと聞いて、ホイホイ出掛けただけだったのでした。

そしたら驚きましたね。

色鮮やかなパステル画で、風景画や静物画が多く、北海道の美瑛や中国の蘇州や興福寺の阿修羅や薔薇の絵などデッサンもしっかりしていて玄人はだし。

いや、青野画伯はもともと裁判官だった方だというお話を聞いていただけでしたので、まさか、絵までお描きになるなんて知らなかったもので、失礼なことをしてしまったなあと思ったわけです。

消息筋によりますと、青野画伯は愛媛県で、本当は東京芸大に進学したかったらしいですが、県下一の大秀才という誉れ高く、教師らから猛反対されて、渋々、東京大学法学部を受けたところ首席で合格。愛媛県の同世代にノーベル賞作家の大江健三郎がおりますが、彼より頭が良かったそうです。

司法試験にもトップで合格し、裁判官の道に進みますが、少年時代からの夢を捨てがたく、札幌家裁の所長として赴任した際に本格的にほぼ独学でパステル画を始めたそうです。

パステル画の絵の具は、世界的に有名なドイツ製のシュミンケを使っているそうですが、色彩が豊富で、プロが使うような720種になると15万円ぐらいするそうですね。

ですから、青野画伯に対して「玄人はだし」なぞという言葉は大変失礼で、今は正真正銘のプロの作家です。これまた、噂ながら、青野画伯の絵は、1号当たり、ウン万円もするらしく、もう数点、売約済みなんだそうです。

東京・銀座8丁目「八丈島 ゆうき丸」いも焼酎「島流し」

この後、瀬戸内支配人のお導きで、彼女の行きつけの銀座8丁目「八丈島 ゆうき丸」に行きました。青野画伯も同席されるのかと思ったら、そうではなく、本当に予備知識なく、言われるまんまついて行きました(笑)。

そこは、超が付くくらい高級の八丈島料理店でした。銀座ですからね。

そこで、瀬戸内支配人おススメの芋焼酎「島流し」や明日葉と烏賊の天ぷら、お刺身盛り合わせなどに舌鼓を打ちました。(そいえば、関ケ原の合戦で敗れた秀吉五大老の宇喜多秀家は、八丈島に島流しされましたね。島流しをブランド名にするとは!)

画廊の瀬戸内支配人の話で驚いたことは、中国人観光客のマナーの悪さです。画廊ですから、確かに誰でも出入り自由ですが、彼らは団体で押し寄せ、大きな声でお喋りして奥のソファに居座って絵なんか見やしない。その反対に、断りもなく勝手にバチバチ写真を撮り始める。厚かましいことに勝手にトイレまで使ってそのまま休憩して出て行くというのです。

考えられませんね。我々が海外に行ってトイレを使えば、チップを払いますからね。

意外なことに、と書くと怒られてしまいますが、韓国人観光客は礼儀正しく、勝手に写真を撮ったりしないというのです。

へーと思ってしまいました。

ところで、同席した圧力団体職員幹部の辰澤殿下は「渓流斎日乗って、最近、つまんないですね。いつも、ITの松長社長と痛飲した話ばかり。面白いのは、京洛先生の京都のお話ぐらいですよ」と、何を血迷ったのか、日馬富士のようにリモコン片手に絡んでくるのです。

しかも、私、本人がいる前、まさに面罵ですからね。

ちったあ手加減してくれい!

「憲法の涙」を読んで

井上達夫「リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください」の第2弾「憲法の涙」(毎日新聞出版、2016年3月20日初版)を先日から読んでおり、もうすぐ読み終わります。

同書では、井上東大大学院教授は、一気に持論を展開し、改憲派も護憲派も両方とも「欺瞞」だとバッサリ切り捨てます。

◇憲法9条削除を主張

何しろ、井上教授の持論は、憲法9条を改正するのでも、修正するのでも、護持するのでもなく、「削除」ですからね。しかも、自衛隊を「戦力」として認めるならば、「徴兵制」を復活させよ、といいますからね。最初は眩暈がするほど圧倒されましたが、よく聞けば、というより、読み進めていけば、全く突拍子でもなく、理がないこともない気がしてきます。

なぜ、憲法9条を削除するのかといいますと、井上教授は、「日本の安全保障の基本戦略を憲法に書き込むべきではなく、通常の民主的な立法過程で絶えず討議され、決定・試行され、批判的に再検討され続けるべきだ」という考えの持ち主だからです。

つまり、「今の憲法9条では、安全保障の基本を『非武装中立』と凍結してしまっている。それが容易に変えられないから、右も左も解釈改憲で対応し、結果として9条を死文化させている」と主張するのです。

井上氏によると、憲法9条第2項で「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」と明記されているのに、現実は、自衛隊という世界第5位の「戦力」を保持している。これはいかなる「解釈」をしても、自衛隊は違憲となり、護憲派のように「見て見ぬふりをする」ような解釈は、欺瞞だと切り捨てます。

また、井上教授が、「もし戦力を持つなら」ば、その条件として「徴兵制導入」を提言していることについては、国民が無責任な好戦感情にあおられないための歯止め策であり、同時に「良心的兵役拒否権」を認める、といいます。(徴兵は、権力者や国会議員の息子も貧乏人も差別なく公平に行い、拒否すれば、国民の責務を果たさず、逃れることになり、代わりに消防士など危険な業務が義務付けられることも付加しておりました)

あと詳細については、本書を手に取って読んでみて、皆さんも考えてみてください。

私自身は、井上教授の意見、と言ったら怒られるかもしれないので、学説について全面的に賛成することはありませんが、一読の価値はありました。

ただ、日本の国民の1人1人が井上教授が思っているほど、思慮深く、理念や定見や信念を持った人ばかりではなく、丁か半かのどちらでもなく、そしてどちらでもある、極めて曖昧でどっちつかずで、考え方も1年ではなく1日で何度も何度もコロコロと変わってしまうというのが人間の性(さが)じゃないのか、と私のような日和見で、中途半端なぬるま湯人間の平和主義者なんかは、そう思ってしまうんですがね。

近鉄を日本の超一流会社にして「中興の祖」呼ばれた佐伯勇(1903~89年)は、こんな名言を残しているそうです。

学者は現実を知らない。

経営者は情報を知らない。

政治家は両方知ってても喋らない。