国立文楽劇場「初春文楽公演」を堪能。「にらみ鯛」と東大寺の狭川普文別当(華厳宗管長)の絵馬も見ものです

「にらみ鯛」と東大寺の狭川普文別当(華厳宗管長)の絵馬(国立文楽劇場)

国立文楽劇場 

 皆様ご存知の「浪華先生」です。

 正月からの《渓流斎日乗》を見ていますと、「宮中参賀」と「東都七福神巡り」のほかには、あまり身体を動かしていませんね。

(うわ~ズバリご正解!)

本ばかり読んでいてはダメですよ(笑)。 

 

「書を捨てよ!街に出よう!」は若者だけの話ではありません。中年、特に、高齢者、老人ほど、身体を動かさないとダメです。寺山修司が生きていたら、同じことを言ったと思います。

 恐らく、渓流斎さんは「瘋癲老人、不良老人になるには、お金がかかりますよ」と反問するでしょが、やはり、芝居見物、活動写真、旅行、スポーツなどなど、気分転換と、アタマを癒すための外出が大切です。

 私も浪華に住んでいるので、本日は、七草かゆが終わったとはいえ、正月気分に浸るために、3日(水)から千日前の国立文楽劇場で始まった「初春文楽公演」を見てきました。
 8代目竹本綱太夫50回忌追善、6代目竹本織大夫(豊竹咲甫太夫改め)襲名披露だけに、その「口上」や、追善、襲名披露狂言の「摂州合邦辻」のかかる「昼の部」は満員盛況で、正月の華やいだ雰囲気が溢れていました。

 上記写真の通り、舞台正面の真上には、日頃、滅多にお目にかからない、張りぼてながら、大きな「にらみ鯛」(全長2・5メートル、重さ15キロ)二匹が飾られ、正月気分を盛り上げ、「初春の芝居小屋とは、こういうものだったのだ」とその雰囲気を少し味わえましたね。
 戦前は、関西の芝居小屋では、新年には「にらみ鯛」を舞台の上に飾る習わしがあったそうで、国立文楽劇場は、1985年から、その一端を復活させたわけです。舞台には、にらみ鯛とともに、新年の干支を祝って「戊戌(つちのえいぬ)」と、東大寺の狭川普文別当(華厳宗管長)が揮毫された大きな絵馬も、このようにかけられていました。見事なものでしょう。
 肝心の舞台は、渓流斎さんが昨秋、NHKホールの「古典芸能鑑賞会」で感激された文楽三味線の第一人者、鶴澤清治の甥で、今回、6代目竹本織大夫襲名したその祝いのために、三味線、人形遣いの人間国宝はじめ、文楽の幹部、若手が熱演して、見応え、聞き応えのある舞台でした。
 来月2月は、東京の「国立劇場」で、同様の追善、襲名公演がありますが、まあ、「にらみ鯛」や奈良の高僧の「絵馬」は掲げられないと思いますので、じっくり、この写真でご覧ください(笑)。