養老孟司著「遺言。」を読む

最近、することといえば、髭も剃らず、運動もせず、息もしないで、本ばかり読んでいます。

これ以上、頭が良くなってどうするつもり?(爆笑)

その中で、養老孟司著「遺書。」(新潮新書・2017年11月20日初版)を非常に、非常に期待して読み始めたんですけど、正直、あんまり…でしたねえ。

大ベストセラーになった「バカの壁」などの「衝撃度」に比べると、どうも…です。プロパガンダによると、「著者25年ぶりの書き下ろしで、50年後も読まれるに違いない」とのことですが、それは果たしてどうなることでしょうか…。

25年ぶりの書き下ろしなのに、これまで、養老氏が牛が汗をかくほど沢山の著書を発表されていたのは何だったのか、と言いますと、いわゆる「語り下ろし」で本人が書いたわけではない。安河内君を始め、優秀な新潮社の編集者が耳で聞いてメモをして、あたかもゴーストライターのように、編集者が書いていたわけですねえ。

「そっちの方が面白かった」とは口が裂けても言えませんが、本人の講演や対談は爆笑したくなるほど面白いのに、文章となると魅力度が落ちてしまうのか。やはり、理系だから、と言いたくなってしまいます。だから、あまり文系をバカにしてはいけませんよ(笑)。

不満だったのは、エントロピーの話が出てきても、クオリアの話が出てきても、「1冊の本になってしまう」だの、「詳しいことは茂木健一郎に聞いてくれ、というしかない」などと丸投げしてしまって、途中で置いてきぼりにされてしまうことでした。「書き言葉」じゃありませんよね?

でも、あんまし、不満ばかり言ってはいけません。

・動物の社会とヒトの社会は明らかに違う。「同じ」つまりイコールの理解が、ヒト社会を特徴づける。「同じ」つまりイコールつまり交換が、ヒト社会の特徴を創り出す。

・ヒトとチンパンジーの成育を比べると、生後3年まではどうみても、運動能力にしても、チンパンジーが上。ところが、4歳から5歳になっていくと、ヒトはどんどん発育が進むが、チンパンジーは停滞してしまう。認知能力で差が出る。

・覚醒しているヒトの脳と、寝ているヒトの脳とでは、消費するエネルギーがほとんど違わない。呼吸や循環もそうだが、脳は死ぬまでひたすら休みなく働いている。

などといったところは、まさに蒙を啓いてくださいました。

有難う御座いました。かつ、失礼仕りました。

でも、タイトルは中身と全く関係ない。個人的趣味かもしれませんが、変です。どうにかなりません…よね?(笑)。