「運び屋」は★★★

 クリント・イーストウッド(1930年5月31日、米サンフランシスコ生まれ)88歳。彼が製作・監督・主演した話題作「運び屋」を観にいって来ました。イーストウッドは芸暦60年以上。私も、子どもの頃、テレビの「ローハイド」から見てますからね。「ダーティーハリー」(シリーズ)も、渋谷駅前の東急文化会館にかつてあった映画館で観にいったら、ロケに使われた銃弾だらけのバスが広告で展示されていたのを覚えてますが、若い人は知らないでしょうねえ…。

 その後、監督業でも脚光浴びて、「ミリオン・ダラー・ベイビー」「グラン・トリノ」「硫黄島からの手紙」「ハドソン川の奇跡」と次々と話題作を発表し、「まず外れがない」ので、イーストウッド監督作品となると必ず観にいくことにしてました。

 で、この作品は?

 なかなか、よく出来た練り上げた作品ではありますが、予告編を観て、かなり期待し過ぎてしまった関係で、正直、その期待を上回らなかったですね。途中で、「長いなあ」と感じてしまい、あと20分ぐらいカットできる、と生意気ながら思ってしまいました。

 ストーリーは単純で、実際にあった90歳の老人がひょんなことからメキシコの麻薬組織のコカインを運ぶ危険な仕事を請け負う話です。その背景に彼の家庭事情やら、組織内の揉め事、麻薬捜査官の活躍などがありますが、「細部」は観てのお楽しみということで(笑)。

 原題の「The mule」は、本来ならラバとか、それに派生して頑固者という意味なのですが、ちゃんと、俗語として「麻薬の運び屋」がありました。最近の洋画はほとんど、原題をカタカナ表記するというマヌケな行動が多いのですけど、「ザ・ミュール」では訳が分かりませんからね。何か、宇宙船の話かと思ってしまいます。だから、「運び屋」とはうまいタイトルを付けたものです。

 とにかく、88歳になっても映画に対する情熱を失わないイーストウッドに脱帽するしかありません。