「駅前食堂」の作者が決定=古谷綱武さんか?ミルクボールも応援

 渓流斎ブログの記事の中で、これまで一番コメントが多かったのが「駅前食堂」(2008年5月28日)という記事だと思われますが、昨日、春日芳彦さんという同世代の方からコメントを頂き、この随想「駅前食堂」(タイトルは違ったと思いますが)の作者が決定しました。

 「駅前食堂」は昭和40年代頃に全国の小学校の国語の教科書に掲載されていた随想で、駅前にある食堂に入った作者が、親子丼にするか、かつ丼にするか迷っていたら、ほっぺが真っ赤なお店の女の子から「親子丼も、かつ丼も両方美味しいですよお」とニッコリ笑われてしまい、また迷ってしまったという他愛のない話です。でも印象的な話でいつまでも忘れられませんでした。

 それなのに、作者は誰だったのか、結局作者はどっちを注文したのかさえも忘れてしまい、「果たしてどうだったのでしょうか?」と、このブログで読者の皆さんに疑問を投げかけたのでした。そしたら、12年も昔に書いたというのに、思い出したように、ポツリポツリとコメントを頂くようになったのでした。

 この経緯について真面目に書いても面白くないので、漫才師のミルクボールに登場してもらいましょう。

親子丼とちゃうやんけ!

 駒込「オカンが言うにはな、小学校の教科書に載っとった『駅前食堂』の作者は、昔TBSの『ニュースコープ』のキャスターをやっていた古谷綱正さんの兄で文芸評論家の古谷綱武さんだと言うんねん」

 熱海「えー、その人、昨日9月3日付の渓流斎ブログ『成瀬巳喜男に観る日本の戦前1930年代』に載っとった人やんけ。すごいシンクロニシティやなあ。古谷綱武さんは、新劇の神様、滝沢修の奥さんの文子さんのお兄さんだっちゅうからね。それにしても偶然やなあ偶然。それで決まりやんけ」

 駒込「俺もな、そう思ったんやけど、オカンが言うにはな、作者は曽野綾子さんちゃうかと言うねん。あの文体といい、クリスチャンらしい心配りといい、曽野さんとちゃうかと言うんねん」

 熱海「そっかー、ほなら、古谷さんとちゃうか、曽野綾子さんに決まりかあ…」

 駒込「それがな、オカンが言うにはな、曽野さんは、上皇后美智子陛下と同じ聖心女子大学出身やし、産経新聞御用達の愛国主義者とも言われとんし、第一、昔のお嬢様が一人でこきたない駅前食堂に行くんかい、と言うんなん」

 熱海「こきたないは言い過ぎやろ…、ほなら曽野綾子さんとちゃうかあ。ほんならオカンはもうちょっと詳しいこと言っとらんかったか?教えて」

 駒込「それがな、オカンが言うにはな、作者は男だろうし、奥さんは生活評論家の吉沢久子さんだと言うんねん」

 熱海「それじゃ、古谷綱武さんやないけ、これで決まりや。作者は男性でその奥さんが『100歳の本当の幸福』など沢山の著作がある評論家の吉沢久子さんなら古谷綱武さん以外にいない。古谷さんは成城高校時代、大岡昇平と富永太郎と同級生で文学に目覚め、太宰治や檀一雄らとも同人誌を発行し、演劇から人生論、児童文学に至るまで幅広く評論活動を続けた人や。これで決まりやんけ」

 駒込「それがな、オカンが言うにはな、まだ分からへんと言うんねん」

 熱海「何で分からへんのや、作者は古谷綱武さんに決まりやろ」

 駒込「それがな、オトンが言うには、作者は結局、親子丼を食べたらしいんやけど、昭和10年に成瀬巳喜男監督作品にも出ていた新劇の神様、滝沢修さんじゃないかと言うんねん」

 熱海「んなわけないやろ、いい加減にせいや。もーえーわー、失礼しましたあ」

 (コメントお寄せ頂いた皆様、誠に有難う御座いました)