官僚の劣化から山種美術館・富士見中・高校まで

国宝犬山城

今ほど、「記憶にない」を連発する霞ヶ関官僚の「劣化」が叫ばれる時代は珍しいかもしれません。

始まりは昨年からの「森友・加計学園事件」でした。自分の出世と、論功行賞が欲しいものですから、「忖度」したり、「首相のご意向」と印籠をかざしたり、はたまた、若い女性記者に言語道断のセクハラ行為をしたり、まさにやりたい放題です。

何でこんな露骨な不祥事を超優秀な官僚諸君が、白昼堂々と行うことになったのかー。その原因は、2014年5月に設置された内閣人事局だ、と再三再四、この《渓流斎日乗》で書いてきました。国家公務員のトップの人事を全て内閣が権限を持って仕切ることができてしまったおかげで、野心のある公務員は、国民を見ずに、内閣トップの総理大臣の顔色見ながら仕事をするようになったからです。

この内閣人事局は、内閣官房の部局の一つですから、内閣官房についてよく分かっていないといけないのですが、私自身はよく知りませんでした。物の本には、内閣官房は、関東大震災後の大正13年(1924年)に設立された、とあります。

内閣官房のトップである官房長官は「総理の女房役」と言われ、毎日何かあれば、見たくもないのに、政権を代表してスポークスマンとして記者会見して見解を公にするので、誰でも顔と名前ぐらいご存知でしょうが、事務方のトップである内閣官房副長官は、戦前の内務省の事務次官経験者が任命されてきたことは意外と知らないでしょう。

莫大な権限を有していた内務省は、戦後、GHQによって解体されて、警察庁、自治省、郵政省、運輸省、厚生省、労働省などに分割されましたから、戦後はその流れをくむ事務次官経験者が内閣官房副長官を任証官として務めてきました。

欅(埼玉県所沢市)

で、もう一つ、内閣総理大臣秘書官なるポストがあります。米国の大統領補佐官みたいなもんでしょうか。今、その首席秘書官のポストについているのが、元経産省官僚の今井尚哉(たかや)氏で、その勢いは飛ぶ鳥を落とすほどで、「影の総理」と呼ばれているそうです。

この今井氏は、あの佐川元国税庁長官、破廉恥福田元財務事務次官と同年の1982年入省組といいますから、今、この年代が天下を取って、世の中を仕切っていることが分かります。

この方が、凄いのは、伯父に、元通産省事務次官の故今井善衛(ぜんえい)、叔父に新日鉄(新日鉄住金)会長、経団連会長を歴任した今井敬(たかし)氏(善衛氏の実弟)とバックに2人も有力者がいたことです。

ちなみに、今井善衛(1913~96)は、府立一中~一高~東京帝大法学部と誠に綺麗なエリートコースから1937年に商工省に入省し、安倍首相の祖父岸信介が商工次官、商工大臣を務めた時に、直属の部下として仕えたことから、安倍首相は、善衛の甥に当たる尚哉氏に親近感を覚えて総理秘書官に抜擢したと言われてます。

また、尚哉氏が入省した時の通産大臣が安倍首相の父晋太郎だったことで、なお一層の絆が深まったようです。

この「影の総理」今井尚哉氏が、経産省の後輩で、「首相のご意向」問題で、証人喚問せよと糾弾されている柳瀬元秘書官(現経産省審議官)に対して強圧的な態度を取っていると週刊誌に書かれています。

なお、先程の元通産事務次官今井善衛は、城山三郎の「官僚たちの夏」のモデルにもなっていたんですね。善衛の妻は山種証券の創業者会長山崎種二の長女繁子です。退官後は、天下りして日石化学の社長になりました。

上州の片田舎の高等小学校を卒業して裸一貫で丁稚奉公から成り上がった山崎種二は、二・二六事件の前に株を大量に売却して、巨万の富を築き、「売りの山種」という評判を世に知らしめました。

巨万の富は、速水御舟の「炎舞」(重要文化財)など、日本の近代絵画のコレクションを網羅した山種美術館の設立と、東京都練馬区の富士見中・高校の買収(山崎学園)などに使い社会還元しました。

福田財務次官盛衰記

仁和寺のみほとけ

位官極めた大臣君(おとどぎみ)の中には、極めて特殊な趣味趣向をお持ちの方が多いようです。

平気で嘘をつくことが大好きで、手を縛ってとか、縛りたいとか、常人にはとても理解を越える言動が口からポンポン飛び出します。

今、同時進行形で進んでいる「狂言 与話情福田横櫛(よわなさけふくだのよこぐし)」は、守田座、春木座、新富座と江戸市中で同時にかかり、何処の芝居小屋も満員御礼の札止めとか聞いております。

58歳の酒色家として市中に名を馳せる老中首座福田財務守(湘南高校〜東大法卒。佐川前幕税守とは1982年入省の同期)は、桜田門の井伊藩邸で、老中首座の地位を辞任する旨を昨晩、酉刻に発表しましたが、あくまでも「幕政が混乱して、業務遂行が困難になったため」という理由で、出入りの業者の瓦版女くノ一への迷惑行為については、「記憶にございません」と否定しました。同時に、南町奉行所の大岡越前守に訴えると息巻きました。

ところが、未明の子刻になって、勧進元の電気紙芝居「旭」の瓦版局長が、緊急記者会見をしまして、「迷惑行為を受けたのは、弊社の社員」だと発表しました。

こりゃ、てーへんだ、ということで、頼母子講仲間が翌朝、福田財務守の目黒の自邸にまで押し掛けて、認否確認に馳せ参じましたが、福田財務守は、駕籠に乗り込む前に「俺はやってない。南町奉行所で会おう」と大声で怒鳴って、執務室のある霞ケ関に向かいました。

というのが、たった今の時点での、物語の展開ですが、これから先どうなるのか、ハラハラドキドキ、どんな偉い脚本家も小説家も想像もつかない話で、こりゃ、江戸市中の庶民も皆注目し、電気紙芝居に釘付けになるはずです。

権力を持った人間による迷惑行為は、古今東西、千差万別、種々雑多、とにかく色々起きたものです。電気紙芝居の時代から手の平サイズの情報網時代になっても、内実、真相はそう大したことは変わらず、最後は「驕れる者は久しからず」というオチで終わるのではないでしょうか。

そうでなきゃ、江戸庶民は納得しませんよ、ねえ、銭形の旦那。

「ダブル福田物語」劇場が開演、さてこの先は?

Copyright par Kyoraque-sensei

いやはや、霞ヶ関劇場、もう出尽くした感がありましたが、まだまだ陸続と続き、話題てんこ盛りの大サービスですね。

財務省の福田淳一事務次官の女性記者へのセクハラ疑惑は、「週刊新潮」のスクープですが、上品を売り物にしている(笑)《渓流斎日乗》には、とても、とても書けない内容です。

えっ?こんな人が官僚の中の官僚と言われる財務省のトップなの?うそでしょ!といった感じです。

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そもそも、このエリートの福田さん。東大法からの温室育ちのようで、苦労知らずのお坊ちゃん。世間知がない、というか、全く、大人としての社会常識を知らずに還暦近くまで生きてきたってことなんでしょう。

こういう人間を世間では「破廉恥」と呼びます。一方、「無知」と言ってもいいかもしれません。相手は、女性記者と油断しても、その内実は、諜報機関の「くのいち」みたいなもんですからね。そりゃあ、ICレコーダーの一つや二つ、胸に忍ばせておきますよ。

こんな男を、麻生財務相はかばっていたのですが、今日になってやっと、閣議後の記者会見で、「事実とするならばセクハラとしてはアウトだ」と渋々認めたようです。これまでは、自分の所に火の粉が降ってこないように、福田次官を援護してましたが、そろそろ、かばいきれなくなったということでしょうか。

◇辻元委員長、怒る

もう一人は、厚生労働省の福田祐典健康局長。部下の女性職員に対し、食事に誘うメールを複数回送るなどセクハラが疑われる行為をしたとして、口頭注意されたとか。一体、何て注意されたのでしょうかね?「僕ちゃん、もうそんなオイタしたらいけないわよ」てな調子でしょうか。

これらについて、立憲民主党の辻元清美国対委員長は、財務省の福田次官については「自殺者も出ている役所のトップでしょ?女をなめている」と一刀両断。厚労省の福田局長についても、「ダブル福田だ!普通なら更迭でしょ!?」と、国会内で、大声で吼えまくったとかいう噂ですね。

さあ、そのダブル福田劇場は今、開演したばかりです。さてさて、この先物語はどう展開されていくのでしょうか?

なお、この《渓流斎日乗》では続編はありません(笑)。

【追記】

あっちゃー、週刊新潮が、たった今、財務省の福田事務次官のセクハラ「音声データ」動画をネット公開してしまいましたね。

https://www.dailyshincho.jp/article/2018/04131400/?all=1&page=2

柳瀬さんから佐伯さんへ

佐伯耕三さん

どこかで聞いたことがあるようなお名前ですが、今は時めく首相秘書官なんだそうで、昨日の国会では、希望の党の玉木代表が質問をしている最中に、盛んに野次を飛ばして注意された、という記事が新聞の片隅に出てました。

さぞかし、安倍晋三首相の覚えめでたかったことでしょう。何しろ、暴虐な野党如きの分際が質問の矢を放っているとき、果敢にも素手で立ち向かったのですからねえ。

この話を読んで、世界のソニーが、ウォークマンの大成功で飛ぶ鳥を落とす勢いがあった過去の栄光の頃を思い出しました。

当時は、大賀社長。東京芸大音楽科出身で、趣味で楽団を指揮するとのこと。早速、その事実を掴んだ取巻き連中と、野心のある課長、部長さんクラス。サントリーホールの最前列の特等席を早々と自前で予約購入して、演奏会では曲が終わるごとに、立ち上がって、「ブラボー!!」の大喝采。

声援する勇姿を大賀社長に見てもらいたいものですから、中には飛び上がったり、万歳したりしたとか、しなかったとか。

(まるで、北朝鮮の喜び組)

銀座「竹の庵」定食1100円

佐伯耕三という方は、経済産業省から首相秘書官として出向しているらしく、加計学園問題で「首相のご意向」と言ったとか、言わなかったとかいうあの有名な柳瀬唯夫さんの後輩に当たるそうな。

身銭を切ってでも、矢面になってでも、殿を守りたい心情は、論功行賞欲しさからなんでしょうかねえ?

(実際、柳瀬さんは、首相秘書官から経産省ナンバー2の審議官に出世しましたからね)

となると、優秀な官僚人事を一手に握る内閣人事局の弊害が、もっと叫ばれてもいいですよね。

野心のある官僚は、もう国民のためにではなく、「一強多弱」の内閣の人事権を握る首相に向かって、そのご意向に沿って仕事をするようになるからです。

もう、国民の税金がどう使われようが、どうでもいいのです。

しかし、そこには落とし穴があります。自分たちは知らん、存ぜぬ。官僚が勝手に忖度してやったこと…と、本丸の政治家に逃げる口実を与えてしまったことです。

「佐川が、佐川が」と言っていた政治家が、今度は、「柳瀬が、柳瀬が」、はたまた「佐伯が、佐伯が」と言い始めれば、もうデジャビュ(既視感)以外何物でもないということです。

NHKは時の政権に阿り過ぎてるのでは?

事務所問題でゴタゴタしている巨匠北野武監督は、しのぎを削るために、盛んにテレビに出ております。

先日は、ジャーナリストの巨匠と対談している番組の中で、来年の新元号について、北野監督は「加計がいいんじゃないか。来年は加計元年!」と宣言してました。

勿論、冗談なんでしょうけど、世間がすつかり加計問題を忘れていた昨日、朝日新聞と東京新聞(10日付首都圏最終版)が、「本件は、首相案件」などという愛知県職員のメモをスッパ抜きました。

これを受けて、昨日の夕方、愛媛県の中村知事が緊急記者会見して、その文書が県職員が書いたものだと認めました。「自治体がやらされモードではなく、死ぬほど実現したいという意識を持つことが最低条件」などと書かれていたことも暴露しました。

凄い話ですね。

これは、文書では柳瀬唯夫首相秘書官(当時)の発言とされてましたが、当然、想定されたように、柳瀬氏は即座に、発言どころか、愛知県職員らとの面会そのものまで改めて否定しました。

超エリート官僚の柳瀬氏は現在、経済産業省のトップの事務次官を「あと一歩」と目前に迫った経産省審議官なんだそうで、そりゃあ、石に噛り付いてでも、否定するわな。

もう一人、加計学園の舞台になった愛媛県今治市長も、困惑顔だとか。獣医学部は、もうこの4月に開校しちゃいましたからね。今さら、森友学園のようにぶっ壊すわけにはいかないでしょう。

これらは国民の血税が絡んだ話なので、野党や市民運動家らだけでなく、与党までも「如何なものか」と騒いでるのに、天下のNHKはほとんど、申し訳程度にしか取り上げないんですよね。

加計問題のニュースをすっ飛ばしてでも、同じ今治市の刑務所を脱獄した受刑者の逃亡譚を微に入り細に入り、長々と、延々とテレビでもラジオでも放送しているのです。

受刑者が逃亡している島には800戸の空き家があるという話は、加計学園問題より重要なんでしょうかね?

NHKは、国民から受信料を徴収して「皆さまのNHK」を謳い文句にしながら、実体は、国から免許を借りる電波事業者なので、時の政権に取り入った報道をする使命があるのでしょう。

それにしても、かなり露骨です。

文民統制は本当に大丈夫なのだろうか?

駿府城

ここ最近、霞ヶ関官庁街で不行き届き、いや不祥事が相次いでいます。

文科省、財務省に続き、今度は防衛省です。例の陸上自衛隊イラク派遣の日報隠し問題。

昨年3月に発見していたにも関わらず、陸自研究本部(現教育研究本部)が、当時の稲田防衛相や統合幕僚監部などに報告していなかったというのです。

1年近くも何やっていたんでしょうか?

あの安倍政権護持派の「体制派」と言われている産経新聞までもが、5日付同紙一面トップで「陸自が防衛相の指示に結果的に従わなかったことは、文民統制(シビリアンコントロール)の実効性を疑わせることになりかねない」と、声を大にして批判しております。

当時の防衛相の稲田氏は、産経だけには積極的に取材に応じ、「驚きとともに、怒りを禁じ得ない。報告を信じて国会で答弁した。こんなでたらめなことがあってよいものか」と語気を強めたらしいですね。

シビリアンコントロールが取れていない、ということは、もし、遠く離れたイラクではなく、日本国内で有事があったとしたら、ゾッとしませんか?

戦前は、軍部が暴走したおかげで、歯止めが効かず、その反省から戦後は文民統制の重大さを再認識したはずです。しかし、実態は、戦前とほとんど変わっていないということではありませんか?

名古屋城

作家司馬遼太郎が、敗戦間近に駐屯していた栃木県佐野市の戦車部隊で、「事態が混乱して住民が逃げ回ったりして、戦車が動けなくなったらどうしますか?」と部隊長に尋ねると、その部隊長は「かまわん。ひき殺してしまえ」と言ったことを晩年のエッセイの中に書いておりました。

戦争は人間を狂気にします。今回の「日報隠匿事件」のニュースを聞いて、「憲法や文民統制なんてかまわん。突っ走ってしまえ」と、軍人が独断で戦争を始めてしまうんじゃないかという危惧を抱いてしまいました。

シンクレアって何?アメリカ人が知っていて日本人が知らないこと

名古屋城にて

昨日は、 全米で、地方テレビ局を運営する保守系の放送大手シンクレアが、時と文言を一致させて、一斉に「フェイクニュース批判」のキャンペーンを繰り広げて、日本のメディアでも大々的に取り上げられました。この件については、トランプ大統領もツイッターで加勢したので、同大統領の差し金ではないかという疑惑も浮上してます。

このシンクレアって何なんでしょう? これは、どうやら米国で最も多くの地方局を傘下に持つ業界最大手の放送局らしいですね。昨年は、規制撤廃のおかげで、トリビューン・メディアを39億ドルで買収したとか。

私自身は、米国のテレビ事情はそう詳しくないのですが、以前は、1980年代頃は、ABC、NBC、CBSが「三大ネットワーク」と言って揺るぎない感じだったのですが、90年代辺りから24時間テレビのCNNが隆盛になり、最近では、保守系のFOXが四大ネットワークのトップを走っているんだとか。

FOXは、言わずと知れたあのメディア王ルパート・マードックが社主で、保守・共和党寄りです。

いずれにせよ、彼の国では、保守系メディア花盛りです。(日本も同じかも)テレビの影響力はとてもなく膨大でありますから、これで米国の気の良い大衆は「アメリカ・ファースト」と「保護主義」と「偉大なアメリカ」思想に染まるわけです。

名古屋城

シンクレアについては、まだ日本語では詳しい情報がないようですが、英語で書かれたネット情報がありました。創業者は、電気技師のジュリアン・シンクレア・スミス(1921~93)という人で、現在その息子のデビッド・デニストン・スミス氏(1950~)が会長(社主)を務めています。(1990~2017年は社長)この方、1970年代に米メリーランド州ボルティモアでポルノビデオ販売から仕事のキャリアを開始したようです。

1996年には、売春のおとり捜査で倒錯変態性行為のカドで逮捕され、当時は放送局の社長さんでしたから、シンクレア・ネットワークで薬物カウンセリングを扱ったドキュメンタリーを放送するという「社会奉仕活動」をせよとの有罪判決を受けたそうです。

英語版ウイイペディアには、シンクレアは、社主の政治思想に沿った番組を放送しなければならないとも書かれていますね。最近では放送業界の規制撤廃を求めてトランプ政権に擦り寄っていたと批判されているようです。

なるほどね。そういうことでしたか。

名古屋城

要するに、メディアと社主との関係は切っても切れない関係なんでしょうね。

だからでしょうか、トランプ大統領は先週、ダウ平均株価が一時750ドルも急落するほど、アマゾンに対して課税強化すると脅し、批判しました。

アマゾンの創業者ジェフ・ベゾス氏が、トランプ政権に批判的なワシントン・ポストの社主であることから、(ただし、買収は2013年)、米国では、その意趣返しではないかと巷間言われているそうです。

メディアとは所詮、善悪ではなくて、宣撫活動媒体ってことなんでしょうね。どっちが、錦の御旗を奪って、官軍になるか、反乱軍になるかの違いということなのでしょう。

民主主義社会の場合、「民意」が大いに反映されますから、政治家は、どうしもメディアを制そうとするのでしょうね。

佐川氏と工作員との出来レースの印象

駿府城

一部の日本国民が最大の関心をもって見つめた佐川元国税庁長官の証人喚問。個人的な感想ではありますが、与党工作員による出来レースの印象が強かったですね。

唖然としたのが、テレビ上がりの自民党女性議員。「首相からの指示はありませんでしたよね!」と、質問の体裁になってない「念押しの確認」。続いて、「首相夫人の指示はないですね」「財務大臣の指示はありませよね」。そして、駄目押しが「はい、これで総理夫人、官邸の関与はなかったという証言が得られました。ありがとうございました」ですって!

シャン、シャン、シャン。まるで総会屋です。

駿府城本丸跡

佐川氏本人も「刑事訴追される恐れがある」との理由で、核心部分の証言は拒否してますから、余計フラストレーションは溜まります。

この証言だけでは、政治家と北政所からの差配がなかったことになりますが、誰が読んでも、改竄・削除した公文書の部分とは、矛盾しますね。

佐川さんは、約5000万円の退職金を返還しないという引き換えに、半年か一年ぐらい臭い飯を喰う覚悟ができたのか、工作員から説得されたのかもしれません。

駿府城

いずれにせよ、官僚のトップのトップ(財務省)のそのまたトップ(次官並みの長官)に昇りつめた人間の、議員も司法官僚も屁とも思っていない、物怖じしない精神的タフさと、選民意識の塊を見せつけられた感じでした。

下臈の私も、刑事訴追されたくないので、一言付け加えておきます。

佐川君、頑張れ!

退陣6日前の麻生内閣が官房機密費2億5000万円も引き出して何に使ったのか?

中国・興城 Copyright par Matsouoqua-Sausai

別に、私のような小物が憤ったり、騒いだりしても泰平の世の中は変わりはしませんけど、官房機密費には驚きましたね。

2009年9月10日、自民党麻生内閣退陣わずか6日前だというのに、河村建夫官房長官が、「政策推進費」と称して2億5000万円もの大金を引き出していたというんですからね。

しかも、領収書不要!2億5000万円を何に使おうが、為政者のやりたい放題。だから、行方不明。いや、追跡不明です。

何が、政策推進費なんですかねえ?わずか、あと6日でこと切れるというのに、政策推進も何もないでしょう。こんなことが未だに白昼堂々と行われていたとは!鎌倉幕府か、南北朝時代じゃあるまいし。

官房長官経験者の密告によると、領収書のいらない機密費は、情報提供者への謝礼や飲み食い、お土産代などにも使われるようですね。前川・前文科事務次官の情報も提供者にたっぷりお金が支払われたのかもしれません。

先日亡くなった野中広務元官房長官は、機密費は首相に渡しただけでなく、野党工作にも使ったと暴露しています。なーんだ、野党だってしっかりおこぼれに預かっているんじゃん。

そもそも、機密費の原資は、国民の血税ですよ。他人の金だから好き勝手に使えるというのが人間の性(さが)なんでしょうけど、こんなことは、情報開示を求めて訴えた市民団体がいなければ、闇の中に葬り去られていた事実でした。

官房機密費は、なくせと言っても為政者はなくさないでしょうから、せめて、退陣が決定した内閣が、火事場泥棒か、一寸詐欺か、板場稼ぎか分かりませんが、飲み食いやお土産代に使えないよう法律を改正してもらいたいものです。

まあ、無理でしょうけどね。

「前川事件」の真相は、都合の悪い人間を抹殺する目的か?

中国・興城 Copyright par Matsouoqua-saousai

読者の皆様から「しーちゃんか、はーちゃんか知りませんが、1合2千円も3千円もするようなお酒を飲ます店に行ってはいけませんね。月報酬が10万円程度の人間が行く店じゃありませんよ。もし、どうしてもそういう店に行きたいのなら野球帽にジャンパー、ズボン姿で『こんちわ!』と、日本酒、洋酒空き瓶回収やビール瓶のケース運びに行くことですね。店の表の顔、裏の顔がよく見えますよ。渓流斎さんには、やはり『大五郎』が似合います」との温かいメールを頂きました。どうも有り難う御座いました。

ところで、前川喜平・文科省前事務次官が名古屋の市立中学校で講演したことで「いかがなものか」と文科省の課長補佐が市の教育委員会に二度にわたって長いメールで糾弾していた問題。

当初は事実関係が分からず、モヤモヤしていたのですが、やっと役者が出揃って、全容が判明しました。

前川氏は既に、退官した民間人です。天下り問題の責任があり、出会い系バーに出入りしていたという「事実」は過去の話なのに、そのしつこさには背筋が凍るほど恐怖を覚えましたが、「照合者」が分かれば、何てことはなかったんですね。

東京・駒込「東洋文庫」

林芳正文科相によると、文科省に働きをかけたのは、自民党の赤池誠章参院議員と池田佳隆衆院議員のようです。

赤城参院議員(56)は、甲府市出身。明大卒。自民党の文科大臣政務官。日本会議国会議員懇談会、神道政治連盟国会議員懇談会などに所属し、憲法改正、国防軍設置を主張されております。

池田衆院議員(51)は名古屋市出身、成城大卒。自民党。赤城議員と同じように日本会議国会議員懇談会、神道政治連盟国会議員懇談会などに所属し、安倍首相に心酔して国会議員になったようです。

うーん、となると、どうも、前川氏の過去の経歴の中で、読売新聞の特ダネだった「出会い系バー」や「天下り問題」が問題だったわけではなく、加計問題で「行政がゆがめられた」と発言して、時の政権に対して弓を引いた前川氏の言動が問題視されているのではないかと勘繰りたくなってきましたね。

なぜなら、出会い系バーは、取材で行ったといわれ(別に遊びで行ったとしても構わないと思いますけれど)、天下り問題は、歴代事務次官の「申し送り事項」で、前川氏一人だけの問題ではないからです。

それより、背筋が凍る思いをさせられたのは、官房機密費か何かで興信所か何かを使って、個人の素行を24時間監視しているというジョージ・オーウエルの「1984」の世界が実際に行われていたフシがあることです。

今回の件で、手足になって働いたのは「優秀」で「忠実」な文科省の官僚で、出世のために阿っているかもしれませんが、命令したのは権力を持った本派本命の為政者ですからね。

自分たちに都合の悪い人間は社会的に抹殺しようという彼らの魂胆が見え隠れします。