芸能事務所とマスコミと財界のゴールデントライアングル=「週刊ダイヤモンド」の「ジャニーズ帝国 最強ビジネスの真実」特集

 毎週月曜日発売の「週刊ダイヤモンド」11月18日号(880円)が「ジャニーズ帝国 最強ビジネスの真実」特集を展開していたので、思わず購入してしまいました。これでも、私は、かつて芸能担当記者を務めたことがあり、仕事としてその筋とは大いに関わっていたからです。

 ジャニーズ事件に関しては、薄々噂で知っていながら、ジャニーズ所属タレントを多く起用したマスコミも批判対象になりましたが、その具体例も書かれていました。その前に財界人を代表するサントリーの新浪剛史社長(経済同友会代表幹事)が痛烈に酷評して、自社CMからジャニーズ・タレントの起用から撤退しましたが、何となく自家撞着のような気がしています。それに、財界が全く批判の対象にならないこと自体がおかしいのです。

 つまり、テレビなどのマスコミでジャニーズ・タレントの出演が多くなればなるほど、露出度が増し、それが人気となり、テレビは視聴率を稼げる。お陰で広告主(スポンサー)からの収入も増える。スポンサーはスポンサーで、視聴率が高い番組に自社製品の宣伝を繰り返して売上増の恩恵を受ける。つまりは、財界は、マスコミとジャニーズを大いに利用していることになるからです。

 今回の事件は、芸能事務所とマスコミと財界とそれに、監督官庁である政官界を含んだエスタブリッシュメントが、排他的な鉄壁の独占禁止法に触れかねないカルテルを、阿吽の呼吸と同調圧力とその場の空気で「何となく」契約書なしに結ばれていたという「不都合な真実」があったということになります。

 さて、その旧ジャニーズ事務所とマスコミとのズブズブの関係が同誌の49ページに具体的に書かれています。大河ドラマ「風林火山」や朝の連続テレビ小説「ほんまもん」などを手掛けたNHKの元理事若泉久朗氏はジャニーズ事務所に「役員待遇で迎え入れられた」。フジテレビの中野由美子プロデューサーは、看板ドラマ「月9」で、嵐の松本潤を主演に起用した「ラッキーセブン」などを手掛け、2018年に出向し、その後、事務所本体と子会社の取締役を務め、関係が深いレコード会社のソニー・ミュージックエンタテインメントの役員を務めた小俣雅充氏も本体を含めて子会社3社の取締役を務めているといいます。

 これらは、まさに大企業が、霞ヶ関の官僚を天下り先として受け入れる態勢と瓜二つです。全く同じと言っても良いでしょう。お互い、ウインウインの関係なのです。

 そうそう忘れるところでしたが、タレントのカレンダー売り上げも馬鹿にならず、大手出版社9社との利権構造も明らかにされています。第1位は、マガジンハウスでKIng&Princeのカレンダーで9億5454万円、第2位は講談社(Snow Man)で9億0133万円、第3位は小学館(なにわ男子)で5億0789万円になっています。ジャニーズ帝国批判キャンペーンを行っていた「週刊文春」の版元文藝春秋は、カレンダー利権に預かっていませんでした。その一方、あまりジャニーズ批判をしない「週刊新潮」の版元新潮社は、SixTONESのカレンダーの利権で3億5497万円の売り上げがあり、第4位に食い込んでいました。道理で、週刊新潮はジャニーズ批判の舌鋒が鈍いはず。これで理由が分かるということです。

 逆に週刊文春がジャニーズを批判できたのは、カレンダー利権に預からなかったから、とも言えます。

 実は、私は芸能記者から離れて大分経ち、「Kis-My-Ft2」が読めないどころか、メンバーも誰一人知らず、顔と名前が一致しないことを告白しなければなりませんが、同誌の「巨大帝国のビジネスモデルとカネ」を読むと、その巨額さには圧倒されるばかりでした。こんな感じです。

・2022年のコンサートの興行収入は498億円(第1位は、KIng&Princeの60億3000万円)

・ファンクラブの年会費通算200億円超(各グループに付き入会金1000円、年会費4000円)

・隠れ資産「ジャニーズ不動産」=都心13物件で530億円(東京・港区赤坂の本社ビル、渋谷区神南のParkway Square、新宿区百人町の東京グローブ座など)。賃貸収入は年間15億円超。

(数字はいずれも推定評価額)

 さすが経済誌だけあって、よく調べております。

 ジャニーズ事務所の消滅後の今後の日本の芸能界はどうなるのか? 同誌52~53ページには「芸能事務所の相関図」が描かれています。これは芸能記者にとって必須のマル秘情報です。でも、恐らく、関係者に止められていると思われますが、相関図には芸能事務所の代表者名やその大本のことまで書かれていません。私はかつてレコード大賞の審査員をやったことがあるため、裏社会との繋がりまで熟知してしまいましたが、衆人監視のこのブログなんかに書けるわけがありませんよ(苦笑)。

 ジャニーズ事件はいわゆる氷山の一角であり、芸能界はもっともっと奥が深いのです。

量子宇宙論専攻の学生になりたかったなあ=松浦壮監修「はじめてでもわかる量子論」読了

 松浦壮監修「はじめてでもわかる量子論」(ニュートン新書、2023年7月10日初版、1100円)を読了しました。この本は、Newton別冊「知識ゼロから理解できる 量子論の世界」(ニュートンプレス、2023年5月10日初版、1980円)と同じ出版社(今年10月、ニュートンプレスは朝日新聞出版に買収され傘下となりましたが)なので、内容は全く、とは言わなくても、ほぼ同じでした。でも、体よく復習することが出来ました。Newton別冊は判型も大きく、カラー図版を多用しているので、素人にはより分かりやすかったでしたが、新書は何度も読み返して教科書のように使える利点があると思いました。

 Newton別冊については、このブログで過去に二度ほど取り上げております。

 ・2023年9月13日=「量子論の世界」に挑戦しています

 ・2023年9月23日=「状態の共存」と「量子のもつれ」を利用した量子コンピューター=Newton別冊「知識ゼロから理解できる 量子論の世界」

 内容が同じということで、上と同じようなことを書いてしまってはつまらないので、何か他のことを書くことにします。例えば、「状態の共存」です。これは、「一つの物体が同じ時刻に複数の場所に存在できる」という理論でしたね。仮想の箱の中で、1000万分の1以下のミクロの素粒子(電子)が観測後に左側にあることが結果的に分かったとしても、「もともと電子が左側にあった」わけではなく、「左右両方に共存する状態」が観測によって「左側に存在する状態」に変化したと捉える、ということでしたね。

 今回、新書でこの「状態の共存」をもう一度読んだ時、前回は雲をつかむような話でほとんど理解できなかったのに、よく分かるようになりました。つまり、普段の日常生活の中でも「状態の共存」がよくあるのではないか、と思ったのでした。これは、邪道で本来の科学的見地からかけ離れていることを最初に断っておかなければなりませんが(苦笑)、例えば、「左右両方に共存する状態」というのは、Y字路で、道に迷って、左に行こうか右に行こうか、どうしようか思案している頭の中の状態ではないか、とか、同窓会に参加しようか、しまいか迷っている状態が共存しているということかもしれない、とか、もしくは、アパレルショップに行って、青い服にするか白い服にするか思いあぐねている時、そんな時こそ「状態の共存」と言えるかもしれません。多分違うと思いますが(笑)、例えばの話だとしたら、理解の範疇に収まると思っております。「生きるべきか、死ぬべきか。それが問題だ」と悩むハムレットも、「状態の共存」だとしたら、分かりやすい(笑)。

 あまり素人が印象的なことを書いてはマズいと思いますが、ともかく、量子論は今後、量子コンピューターを筆頭に、レーザー光線、超感度センサー、半導体、スマートフォンなどに応用、利用され、今後ますます研究が飛躍的に進んでいくことは間違いありません。

 前回のブログにも書きましたが、量子論は、量子力学、量子化学、量子生物学、量子宇宙論と学問分野が末広がりです。私も、もっと若ければ、全てをご破算にして、量子論を専攻する学生になりたいぐらいです。それぐらい魅力がありました。

広告というものは商品が売れないから宣伝する=東武バス「ラブリーパス」

  ムフフフフ…全く個人的でローカルな話ではありますが、シニア向けながら、格安のバス定期券を買っちゃいました。東武バスの「ラブリーパス」というものです。昨年12月から発売開始されたようですが、ほとんど宣伝をしていないので全く知りませんでした。早く言ってよお~です。

 何しろ、私が利用している東武バスは、220円区間の6カ月の一般通勤定期が5万3460円なのですが、このラブリーパス(半年で2万5000円、1年で4万5000円)を使えば、東京都と埼玉県を走る東武バス(東武スカイツリーライン、東武東上線などの駅周辺が多い)が何処でも乗り放題なのです。東武バス日光は遠距離なので、運賃の半額で利用できるようです。

 私は、このラブリーパスのチラシを、たまたまバス車内で見つけましたが、その存在すら知りませんでした。本当に、早く言ってよお~です。広告というものは商品が売れないから宣伝するのです。このような「お得情報」は絶対に派手に宣伝したりしませんからね(苦笑)。

 でも、東武バスさんは、民間企業なのに、凄い大盤振る舞いだと思います。例えば、京都市なんかは、行政が率先して、市バス等の利用に関して、市民にフリーの「老人パス」いや「敬老乗車証」を発行すると聞いたことがあります。老人になると家に引きこもりがちになり、病気になって医療費が嵩むことから、出来る限り、老人の皆さんには外出してもらって健康維持を図ってもらいたいという目論見です。つまり福祉政策です(交付開始年齢は70歳から75歳まで生年月日によります。また、負担金は0円から4万5000円まであり、所得によります)

 京都にお住まいの元気の良いAさんなんか、以前、このフリーパスを購入し、「年間15万円分ぐらいバスに乗ったから十分採算は取れた」と話していたことを思い出します。

 私も週末は、このラブリーパスを使って、隣駅まで買い物に行ったり、自宅近辺を散歩する際、少し遠くにまで出掛け、疲れたら気楽にバスに乗って帰ろうかとも思ってます(笑)。

「尾崎秀実が育った台湾の話」「ヴーケリッチの取り調べに当たった特高外事課主任警部の話」「ゾルゲのオペラの話」=第4回尾崎=ゾルゲ研究会

  11月9日(木)は会社を休んで、東京・霞ヶ関の愛知大学東京オフィスで開かれた「第4回尾崎=ゾルゲ研究会」に参加して来ました。

 ゾルゲ事件の中心人物である尾崎秀実が育った台湾の話、ヴーケリッチの取り調べに当たった当時の特高外事課主任警部の話、そしてゾルゲのオペラの話とメニューがかなり盛沢山で、正直、頭の整理が追い付かず、後で、配布して頂いた資料を読み返して何となく分かるといった感じでした(苦笑)。

第4回尾崎=ゾルゲ研究会

 最初に登壇されたのは、尾崎=ゾルゲ研究会事務局長の鈴木規夫愛知大学教授で、演題は「尾崎秀実における台湾」でした。事前に発表されたレジュメでは、「尾崎秀実は誰であったのか、その生育環境となった台湾というロケーションを巡って考える」ということで大いに期待したのですが、途中でオンラインの人からの雑音や、オンライン参加者の巨大な顔のアップや、「早口で、画面の文字が小さいのでよく読めませーん」などといった抗議がオンラインから何度も入ったりして、集中できず、内容を理解することが出来ませんでした。後から資料も読み返しましたが、同じで、やはりあまり理解できませんでした。

 講演の「むすびに」では、「尾崎たちの、この地上の『愛国』を超えた異なる次元の故郷を見出す魂は、聖ヴィクトリ・フーゴーの『故郷を甘美に思う者はまだ嘴の黄色い未熟者である。…』という精神的超越性と寛容を象徴するアフォリズムを想起させずにおかない。その出所は恐らくはさらに遡り、イブン・フィーナーの『空中人間』へも至るのであろうが、偏狭なナショナリズムからも逃れ、ディストピアへ迷い込まないためにも、尾崎たち『複雑な』コミュニストのユートピアへの道を再び探るべきなのではないか。」などと結論付けられていましたが、こちらの頭が悪いせいで、残念ながら理解できませんでした。もっと勉強して出直します。

愛知大東京霞ヶ関オフィス

 次の登壇者は、北海道新聞の大澤祥子記者で、演題は「曾祖父鈴木富来のゾルゲ事件捜査記録をみつけて」でした。道新の夏の企画に「記者がたどる戦争」があり、大澤記者は今春、埼玉県の祖父の自宅で、曾祖父の私家版の遺稿集(非売品)を見つけ、その中に「ゾルゲ事件捜査記録」が出てきて吃驚。曾祖父鈴木富来(1900~85年、85歳で死去)は戦時中、特高に在籍しゾルゲ事件に関係していることまで伝え聞いていなかったからでした。

 そこで、大澤記者は、このゾルゲ=尾崎研究会の代表でもある加藤哲郎一橋大学名誉教授に遺稿集の「鑑定」を依頼したところ、とてつもない歴史的価値がある資料だということが分かり、北海道新聞の今年8月11日から3回に渡って連載記事を出稿したのでした。

 「鈴木富来 遺稿集」は富来が亡くなった後の1986年に、富来の長男が編纂したものでした。鈴木富来は戦後、公安調査庁などで勤務していましたが、戦前は警視庁特高警察部外事課に勤務し、ゾルゲ事件では、同課欧米係の捜査主任警部として、中心人物の一人であるブランコ・ブーケリッチの捜査に当たった人でした。クロアチア出身のブーケリッチはパリ大学を卒業し、7カ国語に堪能で、ユーゴスラビアのポリティカ紙特派員として1933年に来日し、仏アヴァス通信の東京駐在記者も勤めながら諜報活動をし、41年に逮捕され、45年に網走刑務所に服役中に40歳で病死した人でした。その間、東京・水道橋の能楽堂で知り合った山崎淑子さんと再婚し、子息洋さんを授かっています。(最初の妻エディットとの間の長男ポールさんは今年10月に91歳で豪州で亡くなりました。)

 鈴木富来の曾孫に当たる大澤記者ら遺族にとって、一番気掛かりだったことは、悪名高い特高ゆえ、曾祖父がヴーケリッチを取り調べた際に拷問したのではないか、という疑惑でした。しかし、そのようなことはなかったという結論に達したことは、遺稿集を鑑定した加藤氏も断言しておりました。特高の中でも外事課は外国人被疑者を扱うため、日本人より極めて優遇し、遺稿集の20ページには「(当時の日本人留置者は1食30銭だったのに)食事は1日3食で5円の洋食。取調室にはストーブを焚かせた。上司の命令もあって自白の強要とか拷問とか行われた事実は全くなかった」という記述もあるほどです。(ただし、ブーケリッチの子息である山崎ブーケリッチ洋氏は現在、セルビアにお住まいで、大澤記者とのメールのやり取りの中で、極寒の網走で正座させられたりしたことは拷問と同じ、等と反論されたようです。)

 何よりも、遺稿集では「ゾルゲ諜報団事件発覚の端緒となったのは北林トモの検挙が事実である」とし、元日本共産党政治局員だった伊藤律が端緒になったという説は誤りで、「伊藤律は満鉄調査部で尾崎と同じ職場で働いていたことは事実だが、尾崎をスパイだと知っていた証拠はない」とまで書いています。「伊藤律ユダ説」は戦後長い間、尾崎秀実の実弟で評論家の尾崎秀樹や松本清張らによって主張されていましたが、近年になって「偽りの烙印―伊藤律・スパイ説の崩壊」(1993年)の著書がある渡部富哉氏や伊藤律の子息である伊藤淳氏らの粘り強い調査で「冤罪」であることが証明されましたが、この1986年の非売品である遺稿集が、同年に世間に公表されていたら、伊藤律(1913~89年)が存命中に名誉回復されていたかもしれません。

新橋駅前 古本市

 最後に登壇されたのは、ベルリン在住の国際的ピアニスト、原田英代さんで、演題は「オペラゾルゲをめぐって」でした。私は不勉強で、ゾルゲのオペラがあることは知りませんでしたが、この作品は原田さんの義父に当たるオスカー・ゲイルフス(1933~81年)が8年かけて作曲し(台本はカザフスタンの詩人オルシャス・スレイメノフ)、1975年に初上演されたものでした。(資料では、ゲイルフスがハイルフォスになったり、ハイルフェスになったりしてますが、一応、ゲイルフスを採用します。)

 ゲイルフスは大変複雑な生涯を送った人で、いわゆるロシア・ドイツ人と呼ばれる民族の末裔としてソ連のオデッサ近郊で生まれ、1941年の独ソ戦を機に一家は西へ逃避しますが、途中でソ連兵に捕まり、シベリアに送られます。その後、一家はカザフスタンに亡命し、オスカー少年はアルマアタ音楽院で作曲を学ぶことが出来ます。その後、三つの交響曲、二つのピアノ協奏曲などを作曲しますが、1980年に東独に移住したことで、ソ連国内での彼の作品の上演、演奏は禁止されます。81年に西独に移住しましたが、そこでどうも不可解な交通事故で亡くなりました。KGBによる暗殺ではないかという噂が絶えないそうです。

 ゲイルフスの息子であるオスカーさん(原田英代さんの夫)は、幼少の頃、父親が「戦争反対のためにこのオペラを書いた」という言葉を鮮明に覚えているといいます。

イーロン・マスクの壮絶な人生

 杉田敏先生の2023年秋号「現代ビジネス英語」第10課にこんなフレーズが出て来ます。

 Spending a lot of time sitting during the day is bad for our health.… And too much sitting on our posterior can lead to depression and anxiety.

 (意訳)日中に長いこと座り続けていると健康に良くありません。… それに、あまり長く座り続ければウツや不安の症状になりかねません。

 いやあ、この言葉は痛感出来ますね。私も仕事で、パソコンの前で長い時間座っています。毎日、昼休みの1時間を除くと、およそ7時間です。その間、運動もしません。

 そうすると、つまり、長い期間、そういう習慣を続けていると、どうも、毎日、気分が優れないのです。どん底の憂鬱とか、どうしようもない不安神経症とまではいかなくても、明治の夏目漱石の小説に良く出てくるような「アンニュイ」状態が続いています。

 座り過ぎが原因だったのかあ・・・?!

 なるべく立って、歩いたりして、気分転換した方が健康に良いのですね。そう言えば、文豪ヘミングウェイは、書斎で立ってタイプライターで小説を執筆していたことで有名です。それでも、彼は自ら命を断ってしまいましたから、ウツ状態から抜けきれなかったのかもしれませんが。

 anxiety は不安ですが、辞書を引くと、「(未来の)不安」とわざわざ断り書きしていました。そっかー、不安とは、これから予測がつかない「未来」に対して抱くのであって、既に終わった過去に対して、普通、不安になったりしませんよね? 「過去」については、不安ではなく、後悔とか自責の念とか、良心の呵責とかになるのでしょう。気分が冴えない不愉快さや抑うつ状態は「現在」感じる感覚ということになりますか。

 こういう感情というものは、持って生まれた性格なのか、後天的に育まれたものなのか? 

 私の場合は、過去の後悔も現在のアンニュイも将来の不安も全て持ち合わせ、恐らく、普通の人より敏感に感じていると思っています。これは、生まれつきの性格、つまり遺伝だと諦めています。でも、何とか好転できないものか思案することもあります。

銀座

 今、ウォルター・アイザックソン著の評伝「イーロン・マスク」上下(文藝春秋)が世界中でベストセラーになっているようです。主人公は、宇宙開発スペースXや電気自動車テスラ、最近ではツイッターを買収したCEO、起業家として世界的に知られ、恐らく、現在最も注目されている一人です。著者のアイザックソンは、アップルを創業したスティーブ・ジョブズの評伝も書いておりますが、彼はイーロン・マスクの方が、起業家としてはジョブズより上だと言っているようです。

 素人の私から見ればジョブズもマスクも破天荒な人で、とても側にいたくない忌避すべき人物です。性格も私とは正反対に見えます。例えば、彼らは、野心の塊で大胆不敵、目的を達成するまでは手段を選ばず、カネに糸目をつけず、平気で大博打を打つ。協調性に欠け、人を人とは思わず、リストラという名の首切りも厭わない。まあ、大変失礼ながら、義理も人情もなく冷徹で冷淡な合理主義者といったところでしょうか。恐らく、自責の念も良心の呵責も、後悔もアンニュイも不安も、ないとまで言いませんが、それほど感じないタイプなのでしょう。少なくとも耐性力だけは強靭なはずです。

 いや別に悪い意味で言っているわけではなく、そういう性癖な人間だからこそ、起業家として歴史に残るような偉業を成し遂げられたことをむしろ強調したいほどです。

高いイーロン・マスクの評伝は買って読む気がしませんけど、ネット上の版元のポッドキャストで、担当編集者が内容を紹介していたので大体のことは分かりました。

マスク氏の大胆不敵と協調性のなさはどうやら幼少期に育まれたようです。父親は強権的で威圧的、生まれ育った南アフリカでは、暴力が支配し、頭に刃物が刺さった死体を何度見たことか。自身もいじめられっ子で、顔が変形するほど殴られて入院する重傷を負ったりします。

そんな境遇に育った彼は、生き延びるために自分の感情をシャットダウンする術を覚えたといいます。それらが、大人になっての協調性の欠如や大胆不敵の行動に繋がるわけです。

壮絶な過去の体験によって、気弱な性格が大胆になった典型みたいなものなのかもしれません。

 

何で「タイプC」のUSBになると保存画像・動画がウインドウズで全て再現できないのでしょうか?

  最近、携帯電話のiPhoneの機種を最新のiPhone15PROに買い替えた話は以前書きました。

 旧機種(iPhoneXS)からのデータ(住所録や画像など)の移行もスムーズに出来て、「万事めでたし、めでたし」で終わるかと思いましたら、外部記憶装置であるUSBへの保存と再現がどうもうまくいかず、ここ1週間は悩み抜きました。

 結局、ITに詳しい友人の手助けで、「解決」は出来ませんでしたが、カラクリだけは知ることが出来て大いに納得することが出来ました。が、それでもどこか腑に落ちないところがあります。

銀座「和もと」 鳥雑炊 1200円

 iPhoneは、最新機種のiPhone15PROなると、これまでのアップル独自の接続端子「ライトニング」から「タイプC」になりました。パソコンなどで一般的に使われるUSBは「タイプA」と呼ばれ、「タイプC」は「タイプA」より少し小型の端子になります。そのため、iPhone15ではタイプCのUSBを買わなければなりませんが、量販店ですぐ見つかりました。写真と動画を取り込み、まあ、うまくいった、ということで、自宅のパソコン(DELLのウインドウズ10)で読み取りをしようかと思ったら、取り込んだ画像等50枚のうち、半分の25枚ぐらいしか反映しないのです。

 えっ? どういうこと?

 それは、色々理由があるようですが、どうやら考えられることは、写真の保存形式が「jpg」ではなく、アップル独自の「HEIC」(High Efficiency Image File)に、動画は「HEVC」(High Efficiency Video Coding)になっている可能性があるというのです。他にも理由が考えられますが、アップルのiPhoneで撮った写真や動画は、アップルのパソコンなら何ら問題もなく再現できますが、マイクロソフトのウインドウズ搭載のパソコンだったら、すんなり再現できないというわけです。

 ただ、旧機種の「ライトニング」端子が使えるUSBを使って保存した画像や動画は、マイクロソフトのウインドウズ10パソコンでも何ら問題なく反映できたので、何で、タイプCのUSBになったら反映できないのかよく分からなかったのです。

銀座は「問題なし」

 何か他に理由があるんでしょうけど、タイプCのUSB自体は問題なく、他のタイプCのUSBに買い替えても同じだとITに詳しい友人は言います。

 まあ、それは正しいことでしょう。ただ、くどいようですけど、ライトニング端子が使えるUSBは問題なくウインドウズ10パソコンで再現できたのに、タイプCのUSBになったら一部しか再現できなくなったのは何故なのでしょうか? もし、詳しい方がいらっしゃてコメントして頂ければ幸甚です。

 

中国はもう終わりの始まりか?=NHKスペシャル「調査報道・新世紀 File1 中国“経済失速”の真実」

 先日放送されたNHKスペシャル「調査報道・新世紀 File1 中国“経済失速”の真実」はちょっと衝撃的な番組でした。(また再放送もあるようです)

 結論から先に言いますと、世界経済に莫大な影響を与える中国経済が目下、「失速」しつつあり、このままでは財政破綻もしかねないという恐怖のシナリオです。最悪の場合、日本も多大な影響を受けることでしょう。

 そもそも、中国の中央政府が公式発表しているGDPの伸び率がかつては5%だの10%だのと景気よく公表していましたが、実は多めに発表していて実態経済と合わないと一部専門家の間で指摘されているのです。これは、今はITのグローバル時代ですから、世界各国の「夜間照明」を検証して、実態経済と比較する手法が用いられたりしています。例えば、韓国は赤々と夜間照明が照らされているのに、北朝鮮は真っ暗です。それだけ、北朝鮮は、電力エネルギーが不足し、実態経済は低迷している証明になります。中国の夜間照明も実態とそぐわない。。。照明が証明になるとは!

銀座

 番組は、調査報道ですから、取材班がネット上で公開されているオープンソースから複数の情報を組み合わせたり、ジグソーパズルを解くように繋ぎ合わせたりして真実をあぶりだしていきます。いわゆるオシントです。中国本土では目下、「賃金未払い」から全国でデモが頻発し、SNSでその模様の動画がアップされていますが、中国当局はこれらを有害として瞬く間に削除しています。取材班は、それらが削除される前に出来るだけ迅速に情報収集しなければなりません。そんな苦労の末に収集したデータによると、今年1~9月の間に、中国全国で1148件のデモがあり、そのうちの86%が賃金未払いデモであったことが分かりました。デモ隊の掲げるプラカードなどで、内容が分かるのでしょう。それにしても凄い話です。

 そして、不動産大手「恒大グループ」が今年8月に約48兆円もの負債を抱えて、破産申請したように、中国全土では、マンションやら高速道路やらが建設途中でほったらかしにされて、野ざらしになっている有様も映し出されていました。

 これらマンションや高速道路建設を公共事業として発注していたのが「地方融資平台」と呼ばれる地方自治体(貴州省、陝西省といった省)の別働部隊です。約1万社あるといいます。それが、取材班が調査したところ、この地方融資平台全体で1100兆円もの隠れ債務があったというのです。中国は目下、中央政府には500兆円の債務、地方政府には700兆円の債務を抱えているといいますが、この隠れ債務を含めると、財政健全ラインの60%を大幅に超えて100%を上回るといいます。

 こんなんでは賃金の未払いが発生し、工事も中断するはずです。専門家は「インフラへの過剰投資のツケが回ってきた」と分析していましたが、中国の家計債務も約1400兆円もあるそうです。なお悪いことに、中国では61年ぶりに人口減少が始まり、今年はインドに人口世界一の座を奪われたといいます。中国も日本と同じように少子高齢化が進めば、必然的に経済成長に歯止めがかかり、停滞するはずです。

 これでは、表では余裕の表情を浮かべている習近平国家主席を始め7人の政治局常務委員も眠れない夜を過ごしているかもしれません。台所は火の車ですから。

 中国人の「爆買い」を期待して、日本人客を邪険するようになった日本の商業界もオチオチしていられませんよお。

奥が深い陰陽五行説=「カルチャーラジオ 和食・日本人の伝統的食文化」

  NHKラジオ第2で放送中の「カルチャーラジオ 日曜カルチャー 和食・日本人の伝統的食文化」(お話は日本食普及の親善大使、長島博さん)をスマホの「聴き逃しサービス」で聴いております。これがなかなか勉強になって非常に面白いのです。

 特に、第2回の「日本の食文化と陰陽五行」は、知らなかったことばかりでしたので、「へ~」と思ってしまいました。

 古代、中国大陸から日本に陰陽五行説が入って来ます。これらは主に政治を司る際に利用されていたと思っていましたが、日本の食文化、つまり和食にも多大な影響を与えているというのです。

銀座のポルトガル料理「ヴィラモウラ」 如雨露がポルトガル語だと聞いて吃驚し久し振りにランチ。

 物事には、「軽い」と「重い」、「柔らかい」と「硬い」、「明るい」と「暗い」など「陰」と「陽」がありますが、そのどちらかに偏るのではなく、「陰陽和合」が理想の境地だといわれます。(ちなみに、この場合、陰と陽に優劣や巧拙などの差があるというわけではありません)

 例えば、和食に関して言えば、丸い器は「陽」で、四角や三角の器を「陰」と捉えます。そんな容器に食べ物を盛り付ける際、陽の丸い容器には、「陰」の角ばった食べ物を盛り付けます。陰の四角い容器には、「陽」の丸く食べ物を盛り付けします。そうすることによって、陰陽和合のバランスが取れるというのです。

 もう一つ。浅い器はですが、深い器はになります。そこで、陽の浅い容器には、の冷たい料理を盛り付けます。陰の深い容器には、の温かい料理を入れます。これで陰陽和合を完成することが出来ます。

 陰陽和合ー。そんな理想の境地で和食が盛り付けられていたとは知りませんでしたよね。

 講師の長島博さんは「病気になったり、体を悪くしたりする原因の99%は食べ物によります」と断言するので、私も目から鱗が落ちる思いでした。やはり、ジャンクフードばかり食べていてはダメだということなんでしょう。

新富町

 長島さんは、良い食べ物をバランス良く食べることが理想だといいます。先ほどの陰陽和合の例で言いますと、魚介類は陽で、野菜が陰だといいます。だから、肉ばかり食べていないで、ちゃんと野菜も摂って、バランス良く食べるというのが一番良いわけです。

 陰陽和合は他にもありまして、左が陽で、右が陰に当たるといいます。だから、食卓では、一番大切なご飯は左に置き、付随する汁は右に置くのだといいます。

 先ほど、「陰と陽に優劣や巧拙などの差があるというわけではありません」と書きましたが、綿密に言えば、陽の左の方が陰の右よりも優ることがありました。例えば、古代律令制では、右大臣よりも左大臣の方が位は高いのです。

 とにかく、陰陽五行説は奥が深いのです。

我が母校東久留米市立東中学校創立60周年記念同窓会に列席しました

  11月3日(金)の文化の日は、我が母校である東京都東久留米市立東中学校創立60周年記念同窓会があるというので、参加して来ました。

東久留米市立東中学校の校内にも「海軍大和田通信隊跡」の看板が設置されていました。

 何の変哲もない公立の中学校ではありますが、公立中学なのに立派な天文台があったり、日本一長い校歌があったりして、全国的にほんの少し知られる学校でもありました。60周年ですから、これまで同校を卒業した人たちは1万人近くいるようですが、少子高齢化で年々生徒数が減少し、今では1学年2クラスしかないそうです。私の世代は(もう半世紀以上昔になってしまいましたが)1学年6クラスありましたから、隔世の感があります。

 還暦の記念同窓会ですから、気の利いた同級生なら参加するのかと思いましたが、参加したのは私と同級生の石田君の2人ぐらいでした。もっとも、その石田君も私が誘うまで同窓会があることさえ知らなかったそうでした。

 式典が始まる前に「校内ツアー」があり、半世紀以上ぶりに校舎に入って見学しました。天文台は勿論のこと、立派な調理室なんかもありました。

東久留米市立東中学校創立60周年記念の吹奏楽部による演奏会。中学生とは思えぬ名演奏

 式典は、どこもそうでしょうが、名士と呼ばれる来賓のつまらない挨拶がありましたけど(失礼)、中でも感動したのは、吹奏楽部の演奏でした。ジャズのスタンダードの「シング・シング・シング」などを演奏しましたが、とても中学生とは思えないレベルでした。高校生、いや、耳だけで聴いたらセミプロ・レベルでした。いや、贔屓目で言っているわけではありません(苦笑)。

 式典が終わった後、歩いてひばりが丘駅(西武池袋線)まで行き、その近くにある石田君の行きつけの飲み屋に行って歓談しました。駅まで歩くと25分ぐらい掛かりましたが、ちょうどいい運動です(笑)。途中、黒目川沿いの近くに「東久留米市立スポーツセンター」なるものが出来ていて、温水プールもあり、石田君も利用するそうでした。私の実家からも歩いて7~8分ぐらいですから、もっと早く出来ていたらなあ、と思いました。

東久留米市立東中学校創立60周年記念のサック

  ひばりが丘というのは、行政的に大変複雑に入り組んだ地域で、石田君の自宅は東京都東久留米市、もっと駅近くになると、埼玉県新座市となり、さらに、駅(北口)至近距離になると、東京都西東京市(旧保谷市)となるのです。駅南口は西東京市ですが、南口から徒歩8分で有名な自由学園があり、ここは東久留米市なのです。ナンジャラホイてな感じです。

 石田君の行きつけの店は、地酒とワインが美味しい元々酒屋だったという「ばんべーる」という店でしたが、この日は、落語家の桂伸衛門さんも友人と一緒に呑んでいました。話しかけたりなんかしませんでしたが、桂伸衛門さんもこの店の常連さんのようでした。

 石田君はITに大変精通しているので、私は新しく買い換えたスマホのUSB保存したデータの呼び出し方などを教えてもらいました。数少ない大変掛け替えのない友人です。アリストテレスの言うところの「有用性」だけでなく、「人柄の良い」友人なので心の中で感謝しています。

「やまと絵」はまさに世界の宝=東京・上野の国立博物館で特別展

 11月2日(木)は家族のお見舞いがありましたので、会社を休みました。《渓流斎日乗》の日乗とは日記という意味なので、個人的なお話で失礼致します。

 施設の最寄り駅は埼京線の浮間舟渡園駅なのですが、赤羽から乗り換えた際、知らぬ間に「快速」に乗ってしまい、赤羽から二つ目の浮間舟渡園駅を通り越して、戸田公園駅に着いてしまいました。

例の発砲事件があった病院の広告。鈴木常雄容疑者は何と86歳のお爺さん。バイクを乗り回し、拳銃まで所持していたとは!元組員とも、組員との付き合いから入手したとも言われております。

 この駅には、かつて私も入院したことがある病院があり、出来ることなら避けたい駅なのですが(苦笑)、快速に乗ってしまったので仕方ありません。そしたら、先日、発砲事件があった病院の広告が目立つところにあったので、思わず、写真を撮ってしまいました。感想文はキャプションに書いておきました。

 浮間舟渡園の施設での面会はわずか15分の制限で拒絶されてしまいます。大変な所に入ってしまったものだと心を痛めております。

東京国立博物館

 面会時間はすぐ終わってしまったので、この後、上野に向かいました。東京国立博物館で「やまと絵」展が開催されていたからです。

 いやあ、実に素晴らしい展覧会でした。何しろ、国宝と重要文化財のオンパレードで、これでもか、これでもか、といった感じで惜しげもなく公開して頂いているのです。観覧料2100円はちっと高いなあと思いましたが、十分、元手が取れる価値のある展覧会でした。

 木曜でしたので、空いていたわけではありませんが、二列目からかなり余裕を持って拝見出来ました。ちなみに、土日は事前予約制になっていますので注意が必要です(12月3日まで)。恐らく、週末は展示品の前の列は3列ぐらいになるぐらい混むことでしょうから、有休を取ってでも平日に御覧になることをお勧めします。

 残念なことに、展示品の撮影は禁止されていたので、カタログの写真でごまかします(笑)。この展覧会で一番私が驚いたのは、上の写真にもありますが、神護寺所蔵の「伝源頼朝像」でした。私も教科書などで何度も見たことがある肖像画でしたが、その大きさに驚いたのです。デカい! まさにその大きさに驚いたのです。迫力が違いました。やはり、実際に足を運んで実物を見なければ駄目ですね。これも残念ながら、11月5日で展示期間が終わってしまうようです。

 会場に置いてあった「出品目録」で勘定してみたら、全245点中、国宝は53点、重要文化財は126点もありました。勿論、展示期間がそれぞれ違うので、これら全てを同時に観ることは出来ませんが。

 私は個人的に、鎌倉仏教に関心があるので、「法然上人絵伝」や「一遍聖絵」(いずれも国宝)の本物を目にすることが出来て、感動してしまいました。

 このほか、「源氏物語絵巻」や「鳥獣戯画」や「信貴山縁起絵巻」など何でもあります。会場には外国人観光客らしき人たちも多く詰めかけていました。私も海外旅行に行けば、必ずその地元の博物館や美術館に行きますが、「やまと絵」は日本の宝というより、まさに世界の宝という認識を強くしました。