哈爾濱の朝食はトウモロコシと牛乳 Copyright par Admiral Matsuocha
7月17日付の渓流斎ブログ「『父・伊藤律』と映画『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』」でも少し触れましたが、その話題の映画「トランボ」を観てきました。
いやあ、なかなか良かったです。最後の方で、こちらは少しウルルと来てしまっているのに、出口付近で、「ぴあ」と称する人たちに囲まれて、「『トランボ』の感想を聞いています!」と迫ってくるではありませんか。
私は、帽子を深く被って一人で感動に浸っていましたので、すぐにその場から逃れたかったのですが、「せめて、点数だけでも」と、まるで、テレビリポーター(死語)のように縋ってくるので、「ひ、ひ、ひゃくてんです」と答えておきました(笑)。
中国最北観光地五大連池 アヒルも元気な朝 Copyright par Admiral Matsuocha
まあ、それだけ、いい映画だったということです。
私が「手引き」として信頼している日本経済新聞金曜日夕刊最終面の映画評欄では、「トランボ」は星が四つでしたので、「そこまで名作じゃないのかな?」とあまり期待しないで観たのですが、逆に、期待しなかったおかげで、なかなか感動的な映画でした。
同じ時間帯に近現代史関係のセミナーが、中野であったので、どちらに行こうか、悩むほど迷ったのですが、結局映画にしたのが正解でした。
映画館はまた、私の大嫌いな狭過ぎる東京・日比谷のシャンテシネマズでしかやっておらず、仕方がないので、また、ネットでチケットで予約しようとしたところ「残席わずか」と表示されていたので、大慌てで、購入して行きました。映画館に着くとやはり、長蛇の列で、満員御礼でした。
ロバは良き友 Copyright par Admiral Matsuocha
素晴らしい映画だったので、内容や感想や批評めいたことは、他で書くことにしました。ボツになったら、という条件で、いつか渓流斎ブログに掲載しませう(笑)。
ですから、他では書けないことを一つだけ、ここに書くことにします。
1940年代後半からの赤狩り旋風で、ハリウッドから追放された実在の映画関係者を描いた作品です。
主人公は、「ローマの休日」を匿名で脚本を執筆して、アカデミー賞原案賞を受賞するダルトン・トランボ(ブライアン・クランストン)です。
このトランボを陰日向で支える奥さんクレオ役の女優さん、「何処かで見たことあるなあ。いい女優さんだなあ」と思いましたが、名前が思い出せません。
そこで、後で、帰りの電車の中で、スマホで映画のHPを見て調べたところ、何とダイアン・レインだったのですね。私はかつて、横浜で、今村君と観たコッポラ監督の「コットン・クラブ」で、18~19歳の彼女が主演していたことを鮮明に覚えています。若い頃の彼女は、日本でも大人気で、何本かCMに引っ張りだこでした。
でも、そのことは置いといて、最近読んだ「日活不良監督伝 だんびら一代 藤浦敦」(洋泉社)の最初の方に、このダイアン・レインが出てくるのです。彼女は、コメントにも頂いた”伴野朗監督作品”映画「落陽」の主演女優だったのです。
「不良監督」といいますか、この映画の総合プロデューサーだった藤浦敦さんは、「落陽」に主演したダイアン・レインのエージェントに100万ドル支払ったのに、ダイアン個人に直接聞いたら、ギャラは35万ドル(当時のレートで5000万円)しかなかったことを暴露していたのです。これで、エージェントが65%も手数料と称して抜く映画界の実態が分かりますねえ。
この話を読んでいたので、トランボの奥さんクレオ役がダイアン・レインだと分かって、何という「偶然の一致」だと思いました。もっとも、本当は、そんなものは存在せず、全て「必然」なのだと確信していますが。
「トランボ」に出演したダイアン・レインはこの時、50歳。とても、いい年の取り方をしていると思いました。「落陽」に主演した後の彼女の人生は知る由もありませんし、あまりそこまで興味もありませんが、映画界の荒波にもまれて、内面で知性と教養を磨いたという感じでした。