国連常任理事国入り問題

戦後60年。この時期になって振って湧いたように湧きあがってきたのが、日本の国連安全保障理事会常任理事国入り問題です。

その前に、ストックホルム国際平和研究所が7日に明らかにしたところによりますと、2004年の世界の軍事費は推計で前年比実質5%増の約110兆円だったそうです。内訳は①米国47%②英国5%②仏5%④日本4%⑤中国3%―。

日本の常任理事国入りについて、京大のS教授が、某紙で疑問を投げかけています。彼の論理を少し膨らませて、私が、乱暴に要約しますと、こうなります。

そもそも国連とは、第2次世界大戦の「戦勝国」が戦後の世界秩序の構築のために創ったもの。(だから、英米仏露中の5カ国が拒否権を持つ常任理事国となった)「敗戦国」の日本にその資格ありや?あったとしても、「戦勝国」が「敗戦国」にわざわざ拒否権という特典を与えるものか?(ロシアが占領した北方領土を返還しないのでは同じ論理です)

反日デモで問題になったのが「歴史認識」ですが、そもそも、南京大虐殺、戦争指導者のA級戦犯といった「歴史認識」とは、アメリカを中心とした連合国による東京裁判であるー。

S教授は、そう疑問を投げかけたまま、「この歴史観の是非をここで論じようというのではない」と逃げてしまいましたが、日本政府は、サンフランシスコ講和条約で、極東軍事裁判(東京裁判)での判決を認めて「独立」しています。ということになりますと、米国によって押し付けられた「歴史認識」を受け入れざるを得ないのでしょう。

今、小泉首相は、A級戦犯を合祀する靖国神社を参拝しようとして、中国、韓国から反感を買っています。しかし、米国による「歴史認識」を受け入れなくてよければ、東条英機をはじめ、彼らは「鬼畜米英」による帝国主義との戦いに邁進し、国益のために尽くした英雄とも捉えられるわけで、米国の言う「A級戦犯」でも何でもないわけです。ですから、日本人の感覚としては、参拝は当然ともいえるのです。

要するに、今回の常任理事国入り問題とは、「もう戦後も60年も経ったのだから、もういい加減に『戦後体制』は止めてくれ」というのが日本政府の言い分なのでしょう。世界第4位の軍事力を誇っているわけですから。

それにしても、歴史は「戦勝国史観」というもので作られています。