金持ちと文化遺産 NHK日曜美術館

5日にNHK教育で放送された日曜美術館はとても面白かったです。タイトルは「名品流転・コレクターの興亡と美術商」。美術の名作の持ち主がどうのように変遷していったか、その時代の景気や社会背景が美術市場と連動しているのでとても興味深かったです。

 

テレビなので、ボケーと見てしまったのが、残念です。大学の講義ならちゃんとメモを取っていたことでしょうが…。そこで思い出すことができたことをここに書きます。

 

例えば、野々村仁清の国宝「色絵藤花図茶壷」。旧丸亀藩の家宝でしたが、維新後、没落し、明治半ばになって、手放さなければならず、今で言うオークションにかけます。

 

見事、入札したのが、九州で鉄道業など幅広く実業を営んでいた松尾公蔵。(この人に詳しい人はコメントください)しかし、栄華も長くは続きません。

 

続いて、現れたのが、胃腸薬の「わかもと」の創業者、長尾欽也。長尾美術館を建設し、奥さんのよねさんが、夫の死後、最後までこの国宝を守ったようですが、詳しくはわかりません。(コメント募集)

 

戦後になって、この国宝を手に入れたのが、岡田茂吉(1882-1955)。世界救世教の始祖です。静岡県の熱海市にMOA美術館を建て、今でもそこに展示されています。私もそこで見たことを記憶しています。MOAって何の略かわからなかったのですが、Mokichi Okada Asociationの略だったのですね。世界救世教に詳しい方も是非コメントください。

 

続いて「源氏物語絵巻」。

 

詳しくは、酔っ払っていて覚えていないのですが、当初は尾張徳川家などに伝わっていたのが、明治33年に、三井物産の設立に参加して社長を務めた益田孝男爵(1848-1938、雅号鈍翁)が8万円(今の1億円)で手に入れたようです。その後、コカコーラの日本代理店の代表を務めた高梨仁三郎が入手し、程なく東急財閥の創業者の五島慶太が豪腕を発揮し、現在も五島美術館に展示されています。

 

乗っ取り屋として「強盗慶太」の異名で知られた、いくら評判の悪い実業家でも、文化人でもあったのです。美術品に関して値切らずに、言い値で買っていたようです。

 

そして、彼らは文化人としては見上げたものです。日本の文化遺産が海外に流出することを防いだわけですから。

 

ライブドアのホリエモンも文化人として何か社会に貢献していたのでしょうか?東大文学部出身だというのに、文化的素養も教養もなかったようにみえます。もし仮に、有り余った金で、家賃220万円の豪華マンションに住まず、プライベートジェット機も買わず、私産を文化事業に投入していれば、少しは名を残すことができたでしょうに。