紅葉がいっぱい

昨日は、辺見庸講演に行く前に銀座で、ノンフィクション作家の山崎朋子さんとお茶しました。

私が指定したのは「樹の花」という喫茶店です。ジョン・レノンとオノ・ヨーコが行った店ということが雑誌に載っていたので、是非行ってみたかったのです。店内には彼らが座ったという証拠のサインが飾ってあります。

場所は?-コメントしてくださった方にお答えしましょう。

約束時間の10分前に着いたのに、山崎さんは、先に来ていました。

実に、11年ぶりの再会だったのです。それなのに「あら、そうだったかしら」と山崎さんは全く意に介した様子はありません。「私の名前は朋子だから、一回お友達になったら、相手が離れない限り、ずっと友達なんです」なんて、嬉しいことを言ってくださいました。

まるで、10代の少女のような感じでしたが、山崎さんは、もう「大家」といっていいくらいのご年齢なのに少しも偉ぶったところがありません。

一昨年、私が帯広で独り暮らしをしている時、山崎さんは、自身の著作「朝陽門外の虹」(岩波書店)をわざわざ贈ってくださったのです。桜美林大学を創設した清水安三の生涯を辿った伝記ですが、これが寝食を忘れるほど面白い。本当に心の糧になったものです。その他、手紙で随分励まされました。

この「朝陽門外の虹」が、今度、桜美林大学の卒業生に毎年、記念品として贈られることになったので、毎年、三千部売れることになった話や、中国で早速、この本の中国語訳が出版されることになり、上海のブックフェアに招聘される話などを聞きました。中国には反日デモで破壊活動をするような若者がいる一方、インテリ階級はとてつもなくレベルが高い、というのが彼女の印象でした。

山崎さんには、もうひとつ、女性史研究家の顔があり、それはそれは、本当にいい仕事をしています。聞くところによりますと、来月から月刊誌「世界」で、その女性史の連載が始まるそうです。楽しみです。

「私は後世に残る仕事をしていますから」と言われると、こちらも襟を正したくなりました。

山崎さんは「港の人の里舘さんによろしく」と言ってました。意外なところで接点があるのですね、里舘さん。「彼は本当に地道ないい仕事をしてます」と言ってましたよ。

今日、四月二十八日は、母親の79歳の誕生日でした。昨年、夫(つまり私の父)を亡くして、すっかり元気をなくして、「もう何もいらない」と気力もなくしてしまっているので、近くの平林寺(埼玉県新座市)まで行ってきました。

平林寺といっても、知らない人も多いかもしれませんが、私にとっては、本当に小さい頃からなじみのある寺です。約六百年前に、大田備中守春桂薀澤大居士によって創建された歴史のある臨済宗の禅寺です。小学生の頃、「歩行会」というものが毎年あり、学校から平林寺まで10?近く、約3時間かけて歩いたものです。

ここには、豊臣秀吉の五大老の一人である増田長盛や1637~8年の島原の乱を平定した幕府方の総大将を務めた松平伊豆守信綱・川越藩主の墓もあります。是非一度行ってみてください。散策するだけで1時間はかかる広大な敷地です。もちろん禅寺ですから、修行している人も沢山います。夜10時就寝で、朝は3時起床と書いてありましたから、私にはとてもできないなあ、と尻込みしてしまいました。

今日の収穫は平林寺ではありません。この寺の向かいに「睡足の森」が無料で公開されていたことです。知りませんでした。平成14年5月29日に新座市に無償貸与されたらしいので、公開されて、まだ4年も経っていないので知らないはずです。

ここは、全国に電力会社を興して「電力王」と呼ばれた「耳庵」こと松永安左エ門の屋敷跡で、茶室「睡足軒」もあります。耳庵は、原三渓、益田鈍翁と並ぶ近代三茶人として知られ、この草庵は、昭和13年に原三渓の計らいで飛騨高山付近の茅葺家を移築したものです。

ここの紅葉がまたまた豪快で綺麗でした。どこを見渡しても紅葉ばかり。携帯で撮った写真なのであまりよく映っていませんが、本当に紅葉がいっぱいで、感動したものです。

普段、パソコンばかり見つめているので、いい目の保養ができました。瞳が喜んでいる感じでした。秋の紅葉もさぞかし綺麗でしょうね。また楽しみが一つ増えました。