文民統制は本当に大丈夫なのだろうか?

駿府城

ここ最近、霞ヶ関官庁街で不行き届き、いや不祥事が相次いでいます。

文科省、財務省に続き、今度は防衛省です。例の陸上自衛隊イラク派遣の日報隠し問題。

昨年3月に発見していたにも関わらず、陸自研究本部(現教育研究本部)が、当時の稲田防衛相や統合幕僚監部などに報告していなかったというのです。

1年近くも何やっていたんでしょうか?

あの安倍政権護持派の「体制派」と言われている産経新聞までもが、5日付同紙一面トップで「陸自が防衛相の指示に結果的に従わなかったことは、文民統制(シビリアンコントロール)の実効性を疑わせることになりかねない」と、声を大にして批判しております。

当時の防衛相の稲田氏は、産経だけには積極的に取材に応じ、「驚きとともに、怒りを禁じ得ない。報告を信じて国会で答弁した。こんなでたらめなことがあってよいものか」と語気を強めたらしいですね。

シビリアンコントロールが取れていない、ということは、もし、遠く離れたイラクではなく、日本国内で有事があったとしたら、ゾッとしませんか?

戦前は、軍部が暴走したおかげで、歯止めが効かず、その反省から戦後は文民統制の重大さを再認識したはずです。しかし、実態は、戦前とほとんど変わっていないということではありませんか?

名古屋城

作家司馬遼太郎が、敗戦間近に駐屯していた栃木県佐野市の戦車部隊で、「事態が混乱して住民が逃げ回ったりして、戦車が動けなくなったらどうしますか?」と部隊長に尋ねると、その部隊長は「かまわん。ひき殺してしまえ」と言ったことを晩年のエッセイの中に書いておりました。

戦争は人間を狂気にします。今回の「日報隠匿事件」のニュースを聞いて、「憲法や文民統制なんてかまわん。突っ走ってしまえ」と、軍人が独断で戦争を始めてしまうんじゃないかという危惧を抱いてしまいました。