豊田真由子さんと竹中平蔵さん

WST National Gallery copyright par Duc de Matsuoqua

 2017年、衆院議員時代に、自分の秘書に対して「このハゲ~!」「違うだろ~っ!」などと暴言を吐いたり暴行をしたりしたことが週刊誌やテレビで報じられ、同年の衆院選で落選した豊田真由子さんが、いつの間にか笑顔でテレビのコメンテーターとして復活していました。髪型も化粧も変えて、物腰も口調も柔らかく丁寧になり、すっかり別人。吃驚しましたね。女性誌もスポーツ紙(サンスポ)も復活を大歓迎しています。日本人ですから3年間で禊が済んだということなんでしょうかねえ?

 でも、心に傷を負った年配の元男性秘書の方のトラウマは、いまだに消えていないことでしょう。彼女は、もう公人ではないので、とやかく言われる筋合いはないかもしれません。でも、起用するテレビ局(民放各社)やラジオ局(ニッポン放送)のディレクター、プロデューサーは節操がない、というか、視聴率が取れれば、何をしても許されると思っているのか、日本の視聴者は何でもすぐ忘れるから大丈夫だと馬鹿にしているのか、それとも裏があるのか、バックに大手事務所が付いているのか…。そのいずれも当てはまると考えざるを得ません。

 このままでは、今の「時の人」黒川弘務・高検前検事長も、3年も経てば、コメンテーターとしてテレビに出てくるかもしれません。

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 以上は些細なことでしたが、今盛んに報じられている「持続化給付金」の業務委託問題は、やっぱりおかしいですね。こっちの方が深刻です。何か、権力者たちが「臭い物には蓋」をしたいといった感じで隠してきたことが、急に、真相が浮上してきたようにみえます。国会でも野党が追及しています。

 この問題解明に熱心な今日付の東京新聞などによると、まず主管の経済産業省が「一般社団法人サービスデザイン推進協議会」というよく分からない法人に769億円で業務委託。これを協議会が広告代理店電通に749億円で再委託したといいます。差し引きの約20億円は、みずほ銀行(振込手数料約17億1000万円)と電通ワークス(振込の人材確保)と日本生産本部(企業へのヒアリング)に割り当てられたとのこと。

 いずれにせよ、協議会から電通に「再委託」というのは何か不可解ですね。電通は、給付金支給業務は、自社のグループ会社のほか、人材派遣会社のパソナとITアウトソーシング会社トランス・コスモスなどに再々委託する格好となっています。

 そもそも、「一般社団法人サービスデザイン推進協議会」は2016年5月に、これら電通とパソナとトランス・コスモスによって設立されたというんですから、受注側と委託側がまるっきり同じじゃありませんか。自作自演? しかも、法人の東京・築地の住所に人がおらず、電話番号も明記されていないとか。幽霊会社?

 特に、パソナの会長は、あの経済財政担当相時代に派遣労働者や非正規雇用者を増大させ、「政商」と言われた竹中平蔵氏ではありませんか。ここにもいらっしゃったんですか。さぞかし、金の匂いがしたんでしょうね。これでは、「臭い物には蓋」どころか、蓋をしても、政治の臭いがプンプン漂ってきます。

 

数字の魔力に幻惑されないようにしたい

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 世の中、「数字のマジック」というのか、数字とか統計に関して、素人から見るとさっぱり理解できないことがあります。

 例えば、日経平均は、昨日の1日に約3カ月ぶりに2万2000円台を回復しました。我が国でも、これだけ、コロナ禍の影響で、失業者が増大し、倒産する会社も増えているというのに何でなんでしょうか? 専門家は「国家安全法をめぐり、香港に地政学リスクができて、国際金融都市として役割が香港より東京に注目度が増したから」と、したり顔で説明してくれますが、それでもよく分かりませんね。

 今はコロナ一色で、世界各国の感染者・死者数が発表され、WHOよりジョンズ・ホプキンス大学の集計の方が信頼されているようですが、それでも、これらの数字の発表元をどこまで信用したらいいのか分かりません。

 例えば、6月2日午前10時現在、世界の感染者数が620万人、死者数が37万人を超える中、ブラジルの感染者が52万人を超え(死者は約3万人)、米国に次ぐ第2位になったと注目されています。「ブラジルでは毎日2万5000人の感染者が増えている」といった報道もありましたが、となると、ブラジルでは、毎日、少なくとも10万人以上の人がPCR検査を受けているのでしょうか? 日本でさえ、PCR検査は数千人程度、1万2000人が目標なんて言ってるぐらいですから、ブラジル政府は、日本政府以上の検査能力があるということなのでしょうか。

 感染者数が41万人超と世界第3位のロシアですが、死者数が約4800人とは他の欧州諸国と比べてもあまりにも少ない気がします。英国は感染者約28万人で、死者約2万9000人、スペインは約24万人で約2万7000人、イタリアは約23万人で約3万3000人ですからね。ロシアだけ、統計のやり方が違うのでしょうか。

 日本は、1日午前0時、厚労省発表によると、感染者数1万6884人で、死者892人。欧米と比べて少ないのは何故なのか、まだ分からないようです。世界最大の米国の感染者約179万人(死者約10万5000人)の多くが黒人やヒスパニック系の貧困層だと言われていますから、白人が新型コロナに罹りやすいということにはならないようです。そして、アジア人だからといって罹りにくいという結論は導かれないようです。

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 ここ数日、北九州市での感染数が増加して「2次感染か」と注目されていますが、北九州市でのPCR検査が拡大したから、といった報道を耳にしました。新型コロナは症状が軽い人も多いと言われているので、検査したら陽性だったという人がゴロゴロ出てくるかもしれません。今後、唾液だけで簡単に分かる検査も普及するようですから、尚更です。

 100年前のスペイン風邪でも、死者数が2500万人とする報告があったり、いやいや1億人以上だったという報告もあり、恐らく、結論は出ないでしょう。ロシアの場合、死者数が少ないのは、合併症で亡くなった場合、死因をコロナに入れなかったせいかもしれません。あくまでも推測ですが…。

 新型コロナは、全世界に感染拡大しているというのに、北朝鮮とトルクメニスタンだけは、感染者がゼロだといいます。「国際世論」は「本当かなあ…」と疑っていますが、統計上は、ゼロとして歴史に残るかもしれません。

 ともかく、数字には自分の都合の良いように引用したり、解釈できる「魔力」を持っています。数字だけを見て盲信することは避けたいと思っています。

 緊急事態宣言が全国で解除され、今週に入り、通勤電車もバスも随分、混むようになりました。私自身、メディアが盛んに喧伝している「新しい生活様式」なるものは、信じていません。また、同じ轍を踏むことでしょう。