小林哲夫著「シニア左翼とは何か」seventh edition

ワイデン  Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

 またまた、同僚の吉野君から勧められた本を読んでいます。
 
 小林哲夫著「シニア左翼とは何か」(朝日新書)です。

 タイトルからして、あまり読む気がしなかったので、最初はお断りしたのですが、それでも吉野君は「斜め読みでいいから」というので、仕方なく、途中から読み始めました。

 そしたら、面白いの何のって!(笑)。笑ってしまうほど面白いのです。1960年生まれの著者については知りませんでした。教育ジャーナリストを名乗っていますが、もともとは新聞記者か、出版社の編集記者でもやっていたのかもしれません。いわゆる「文章を読ませる」定型を身に着けている感じです。

 ダビンチ  Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

 この本の内容に入る前に、我ながら、最近は本を買わなくなったなあ、という深い感慨があります。

 以前は、月に5~6冊以上は律儀に買っていたと思います。今では1~2冊がいいところでしょうか。後は、自分が払った税金を有効に使おう、と図書館で借りています(笑)。狭いアパートなんで収納スペースもないこともあります。

 以前は、多い時は、仕事でもありましたが、月30冊以上読んでいたことがあります。1日1冊のペースです。月50冊の栗林閣下に負けますが、その当時は、起きている時は、ほとんど本を読んでいた記憶があります。電車やバスの中は当然で、歩いている時でもです。(笑)

 本を毎月、律儀に買うようになったのは、著名な評論家T氏の書いた「思考の技術」か「知のソフトウエア」か忘れてしまいましたが、そこには、とにかく本は借りたりせず、自分で購入すること。文庫ではなく、ちゃんと単行本を買うこと、などと書かれていたので、忠実にそれを実行したまでの話でした。

 それが、急に、借りる派に「転向」したのは、昨年、ある事情で蔵書を処分することになったのがきっかけです。このT氏の著書も泣く泣く手放したのですが、それが、驚き、桃の木、山椒の木でして、値が付かなかったのです。つまり、「泥棒、ただで持って行け」の世界です。一冊3000円もしたあの日本人なら誰もが知っている評論家でノンフィクション作家の本が、中古では売り物にならないのです。恐ろしい無教養の時代になったと思いますが、捻くれてみると、T氏が盛んに、読者に「本は自分で買え」と説いたのも、自分の商売のための宣撫活動ではなかったのか、と疑心暗鬼になってしまいました(笑)。

 それでも、今でも「知の巨人」と呼ばれて、照れることなく普通の顔ができるのも、東大哲学科に学士入学した時に、ギリシャ語でプラトンを、ラテン語でトマス・アキナスを、フランス語でベルクソンを、ドイツ語でウイットゲンシュタインを、ヘブライ語で旧約聖書を、漢文で荘子集註を読破したという自信の賜物なのかもしれません。

 ラファエロ  Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

何の話でしたっけ?

 そうそう、シニア左翼の話でした。

 昨年は特に真夏の8月30日を中心に、安保関連法にからみ、「SEALDs」の国会前デモが話題になりましたが、(正確には、その頃、私は、バカンスでこの世にいなかったので、後から伝聞で聞いただけですが)彼らと並行して、目立っていたのが、60代から90代のシニア世代だったというのです。

シニア世代は、昔とった杵柄です。著者は、彼らシニア世代を、「戦後派」の80~90歳代、「60年安保」の70歳代後半、「69年全共闘」の60歳代後半…というように、六つの世代に区分けしておりましたが、別の分け方として、「一貫派」とか「復活派」などと指摘しているのです。

山本義隆さんとか、田宮高麿さんとか、森恒夫さんとか、昔懐かしい名前が出てきます。

大量の内ゲバによる死傷者を出した連合赤軍事件をはじめ、1989年のベルリンの壁崩壊、91年のソ連邦崩壊などを経験して、極左運動は、大衆から見放され、解散か、消滅したのかと思っていましたら、どっこい、70過ぎても、現役で活躍している活動家がいらっしゃったとは、新鮮な驚きでした。

特に、復活派の皆様は、歴史の教訓を学んできたのか、不思議な気がしました。極左イデオロギーは、一部の特権階級を生み、平等ではなく、格差をさらに拡大します。スターリンや毛沢東らは、一体何千万人の反体制派を粛清したのか、正確な数字は分かりません。クメール・ルージュのポルポトでさえ、インテリを中心に100万人を大量殺戮したと言われますからね。

極左のシニアの皆さんは、一度もソ連や東欧やキューバに行ったことがなかったのでしょうか?私の些末な経験では、計画経済は、ノルマをこなすだけで、人間のモチベーションを殺し、サービス精神が全くありませんでした。

 ラファエロ  Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

 しかし、その反対に、私は、今絶好調の極右勢力にも加担しません。自分自身は、どちらかと言えば、ご都合主義の日和見主義者ということになるでしょう。

伝統や風習、文化、祭などの年中行事を守り、先人の教えを重んじる伝統主義は好きですが、心身ともに自由を束縛する全体主義は大嫌いなだけです。

そもそも、ヒトを右か左に差別する発想も嫌いです。イデオロギーに振り回されているだけで滑稽です。

ヒトは、孤立無縁では生きていけないので、連帯とか言って徒党を組みたがるのです。

私は、徒党の中で階級闘争に巻き込まれるより、孤立無縁を畏れずに、個人主義を選びますね。

養老孟司・角田光代著「脳あるヒト心ある人」

 ゴヤ Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur 

 先ほど、電車の中で、養老孟司・角田光代著「脳あるヒト心ある人」(扶桑社新書)を読了しました。

 実に面白かった。

 久しぶりに「読書の愉しみ」を味わった感じです。世間の気に触る嫌なことが書かれているのに、嫌なことを忘れさせてくれました(笑)。

 モネ Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

 もともと、2005年10月3日から2008年3月31日に大阪産経新聞にリレーエッセイの形で連載されたものでした。

 あ、産経新聞でしたから、平成17年から平成20年に連載されたものでした。

 ゴヤ Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

 何が面白かったかと言いますと、一言でいえば、「意外性」ですかね。

 偉そうですが、作家の角田光代さんは初期の作品は、仕事でかなり読まされましたが、あまり面白くなかった、という印象が強くて遠ざかっていたのですが、意外によくモノを考える人で、当たり前のことながら、説得力のある、つまり、読ませる文章を書かれるプロだと感じました。ベストセラー作家様相手に大変失礼をば仕りました。

 養老孟司さんの場合は、あまりにも有名なので、私が付け足すようなことはないのですが、やはり、発想が理系そのもので、私のような文系とは全く違う、思いも付かないようなモノの見方、捉え方をされる方なんだなあ、と納得しました。
「どうせ死ぬんだから、好き勝手でいいじゃないか」と、羨ましいほど、生も死も越えて達観されていて、昆虫採集さえできれば、他に何もいらない、という感じでした。

 ゴヤ Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

 いつもながら、内容を説明するのが面倒くさいので(笑)、目次から拾ってみます。興味を持たれたら、読まれたらいい。どうせ我々はいつか死ぬのですから(笑)。

 ・頭だけで「生きている」から
 ・「最悪」「幸福」は過去にある
 ・「知らない」を選べる自由
 ・「知る」とは自分が変わること
 ・言葉に定義なんてない
 ・男の人は女をだます?
 ・人は物語を追いかける
 ・なぜ私が私であるのか
 ・行場のない淡い悪意
 ・考えないためのレッスン
 ・「知る」より「感じる」
 ・五感で捉えたことだけ信用
 ・不幸があるから宗教がある
 ・「品が悪い」も死語
 ・才能の基は「やる気」
 ・その仕事が好きになること

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マイケル・ピルズベリー著「China 2049 秘密裏に遂行される『世界制覇100年戦略』」 Third edition

ゲインズボロ(ワシントン・ナショナル・ギャラリー所蔵) Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

 皆様ご案内の通り、迂生は昨年、黄泉の国を徘徊逍遥しておりましたので、ほとんど本を読むことはなく、その年に何がベストセラーになったのか知らない有様でした。

 そんな中で、会社の同僚の河野君から、「この本は、俺が昨年読んだ本の中で一番よかった本だ。読んでみるかい?」と手渡されたのが、マイケル・ピルズベリー著・野中香方子訳「China 2049 秘密裏に遂行される『世界制覇100年戦略』」(日経BP社)という本でした。

 実に、実に、実に、おっとろしい本でした。

 実は、途中で何度も読むのを投げ出したくなりました。変な風に聞こえるかもしれませんが、とても重要で興味深い面白い本であるのに、「面白くない」のです。この「面白くない」というのは、つまらない、という意味ではなく、不愉快という意味に近く、というより、そんな強い意味ではなく、ただ読んでいてあまり楽しくないという意味です。それは読者の立ち位置によって、まるっきり違ってしまうかもしれません。中国人のタカ派が読めば、血沸き肉が踊り、大変痛快かもしれませんが、特に米国人、そして日本人が読めば、まさしく、不愉快に近い「面白くないなあ」という感慨を抱いてしまうと思われます。

ラ・トゥール(ワシントン・ナショナル・ギャラリー所蔵) Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

 語弊を恐れずに書けば、世界中の保守保護貿易派の皆さんに「それ見たことか!」と勇気と力を与えるようなイデオロギッシュ(イデオロギーとエネルギッシュを合わせた造語)な体裁になっているのです。さぞかし、来年、大統領の椅子に座っているかもしれないトランプ氏のバイブルになるやもしれません。勿論、日本の安倍さんにとっても、フランスのル・ペンさんにとっても…。

 著者のピルズベリー氏は、長年、国防総省やシンクタンク「ハドソン研究所」などで中国研究、特に中国の対米戦略の研究を続けてきた、恐らく、米国の第一人者です。これも、恐らくですが、米国の対中政策に多大な影響を与えた人物でしょう。米国内で数えるほどしか閲覧することができない機密文書に接したり、製作したり、政府中枢に助言できる立場にいた人物だったからです。

ベラスケス(ワシントン・ナショナル・ギャラリー所蔵) Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

 そのピルズベリー氏が「執筆に50年を要した」というのが本書です。当初は、「パンダハガー」(パンダをハグする人=親中派)として、中国に対して技術面でも軍事面でも実業でも、極秘に支援し、将来、中国は民主的国家になって、米国の国益に利することになるだろうという楽観派でした。

 しかし、長年、中国の政府や軍事関係者と意見交換しているうちに、この考え方は間違っていたことに気づいていくのです。そのことについて、事細かく書かれているのが、本書ですが、私は、非才で、その内容をうまくコンパクトにまとめることができません。皆さんも是非読んでみてください、としか言いようがない「戦慄の書」です。

ティティアン(ワシントン・ナショナル・ギャラリー所蔵) Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

 一言だけ、追加できるとすれば、中国共産党政権は、1949年の建国以来、「100年マラソン」を続けており、100年後の2049年までには、中国は、周辺国(つまり、日本ですねえ)はもとより、米国も圧して、世界一の覇権国になっている、という内容なのです。

 しかも、隠密に覇権国になっているので、誰も気がつかない。表では、「技術力もない、軍事力もない、ひ弱な貧乏三等国」のように謙虚に振る舞って、相手を油断させて、莫大な支援を獲得して、陰では、サイバー攻撃で、あらゆる機密情報を窃盗して、剽窃し、知的財産権をただで手に入れ、しかも、米国から支援された軍事技術を、あろうことか、米国が敵対するイラクや北朝鮮などに輸出し、しかも、深刻な大気汚染を世界中にまき散らしてきた事実をつかむのです。

 中国の目的は、とにかく世界制覇で、20世紀に欧米列強や日本から半植民地化された復讐をして、18世紀に世界のGDPの3分の1を占めた世界最大の「強い帝国」を復活させること。そのためには、手段は選ばず、「面従腹背」「外儒内法」(外では温厚に、中では情け容赦なく)は何のその。つまり、トウ小平の言うところの「韜光養晦」(とうこうようかい=野心を隠して、力を蓄える)で、まんまと敵を、知らず知らずに自分たちの計略にはめ込む戦略だというのです。

 さらには、別に軍事力で世界制覇しなくてもいい。「国家ぐるみ」で、経済規模を膨らませ、そのうち米国経済の2倍も3倍も凌駕して、孫子の兵法のように「中国は戦わずして勝利を収めるだろう」と、ピルズベリー氏は予言するのです。

 勿論、これらの予言は、ピルズベリー氏という対中戦略研究家の米国人の色眼鏡を通して、という大前提があることは確かです。しかしながら、「親中派」から「反中派」に転向した現場を熟知した専門家による理路整然とした本書は、たとえ全面的に賛同できなくても、現代人として、一読の価値があることは確かなのです。

もう一度「鎖国」してみては?

ロバ君も活躍  Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

 早起きは三文の徳―。土曜日だというのに、今朝も早く目覚めてしまいました。新聞を隅々読んでも時間が余ってしまったので、9時開店の理容「ハンサム・◯◯」で久しぶりにカットに行きました。待ち時間ゼロ分。頭皮マッサージもやってもらいました。

 この店は、駅から30秒の好立地で、創業は1950年といいますから、老舗に入るかもしれません。私の住む街には、床屋さんが500メートルごとに1000軒ぐらいある(笑)と思います。値段も1000円から5000円ぐらいでしょうか。

 「ハンサム・◯◯」は、シャンプーでも若い女性が優しく丁寧にやってくれるので、気に入りました(笑)。(今まで、ワイルドなおっさんに、髪の毛が抜けるほどゴシゴシやられたことがあり、懲りたこともあります)今日は残念なことに、若くはない年配の女性だったので、ガッカリしたら、家に帰ってネットで検索したところ、その人は、店長さんだったということが分かりました。しゅみましゃえーん。

 模範校長春二中校舎  Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

 この後、「二年間の縛り」があった携帯のドコモも解約に行ってきました。10時開店だったので、外で少し待ちましたが、中では待ち時間ゼロ分。残念ながら、解約した自慢のスマホ「Xperia Z1f」は、下取りしてくれませんでした。auとはえらい違いです。Xperiaは、まだ、充分使えますので、下取り先を探すつもりです(後日ご期待)。

 これで、20年以上使い続けてきたドコモとは縁が全くなくなりました。料金は決して安くはないし、ショップの定員の応対は、銀座店はよかったのですが、私のウチの近くのショップは、どうもあまり親切とは言えず、これですっきりしました。バンザーイ。

 またあのロバ君  Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

 東京・銀座を歩いていると、外国人観光客が本当に増えたと実感しています。日本国大政府はこのほど、訪日外国人数を2020年に現在の2倍の4000万人、30年には同3倍の6000万人に増やす新しい方針を決めたそうですが、現在の2000万人でも多いくらいですよ。

 銀座のピークでは、6割以上の外国人に占拠されることがあります。彼らは一様に、太り気味でファッションセンスはなしで不細工。とにかく、やたらと声がでかくて公道を占拠するので、邪魔でしょうがない(苦笑)。

 何で日本人の私が卑屈になって、「すみません」と言いながら彼らをよけて通らなければならないのか?一層のこと、日本はもう一度、鎖国したらいいんじゃないかと思っています。こんなこと書くと「炎上」するでしょうかねえ(笑)。

 長春二中校庭  Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

 扨て、今、大変な問題になっている「スマホ歩き」も本当に迷惑です。スマホ歩きは、若い人だけではありません、いい歳をこいたおっさん、いやお爺さんまで、やっているんですから、日本人の道徳倫理観はどん底です。

 昨晩も、上野で、30歳の若い男が、72歳の老人からスマホ歩きを注意されて、カッとして殴り、老人は道路に倒れて後頭部をぶつけて、意識不明の重体になっているそ事件があったそうです。逆切れですかね。これでは、注意することさえ、憚れてしまいます。

 米国に住む今村君は「日本はまだいいよ。歩きスマホで。アメリカじゃ、スマホしながら車の運転してんだからね。危なくてしょうがない」と溜息をついていました。

 グローバル時代ですから、悪行は伝染病のように伝播するのか、もともと人間はそんなもんか、まあ、どちちか、もしくは両方でしょう。

分裂抗争とドイツ人追放

もうお腹いっぱい Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

 1週間のお勤め、ご苦労様でした。

 私も最近、遊んでいませんねえ。お酒が呑めなくなってしまったので、夜の街を徘徊することはもう全くありません。

 お酒を呑まないと、あまりお金も減りませんね(笑)。貯まったわけではありませんが、財布に月末になっても万札が残っていると、つい気が大きくなってしまい、身分不相応にも、高級腕時計なんか買ってしまうんですよね。駄目ですね。

 長春駅近くの商店街 Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur
 昨年の大半は、この世にいなかったものですから、世の中の動きについていけませんでした。

 昨年の夏には、どうやら世界最大の組織が分裂して抗争にまで発展している、ということで、何が原因で、どうしてこうなってしまったのか、さっぱり分からなかったので、先日、T社から出版されている「分裂抗争の全軌跡」を読んでみました。そこで初めて理解することができました。

 この写真図解入りムックによると、今の六代目代表取締役社長は、クーデターを起こして、社長の座についたらしく、それに反感を持った歴代社長の流れを汲む前社長のグループが、度重なる要求に耐えきれず、ついに離反したということでした。

 五代目社長の不意の引退も、芸能界に一番顔がきいた常務取締役が株主総会で追放されたのも、その背景が分かって、やっと納得できました。

 米国風高級住宅 Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

 ところで、日経の夕刊最終面のコラムで、ドイツ文学者の池内紀さんが連載しておりますが、今日初めて、敗戦後のドイツ国民が、いかに酷い目に遭ったか、知りました。「ナチス=悪」だから、当然の報いだという意見もあるでしょうが、それにしても、一般国民にまで被害が及び、相当苦労したんだなあ、と同情してしまいました。

 ナチスの領土拡大政策の後押しもあったのでしょうが、ドイツ人は、軍人だけではなく、一般庶民も、占領したポーランドやバルト三国などに移民します(勿論、もっと昔から移民したドイツ人も多かったようです。何しろ、地続きですから)。まるで、大日本帝国の赤子が、満洲に移民するようなものかもしれません。

 しかし、ドイツ敗戦後、ソ連を中心にした連合軍によって次々と迫害・追放されます。池内先生によると、その数は1000万人とも言われています。その途中で多くのドイツ人が命を落としました。一説には、50万人から200万人と推測されているそうです。

 もし、その数が本当でしたら、想像したくなくても、どんなに酷くて悲惨なことが起こったことか、手に取るように分かってしまいます。誤解を恐れずに言えば、日本人だけではなかったんだなあ、という「気づき」です。この話は、ひとまず置きます。

 東プロイセンの中心都市だったケーニヒスベルクは、哲学者カントの出身地で、この著名な哲学者は、生涯、この街からほとんど外に出ず、毎日決まった時間に散歩していたので、近所の人は時計がいらなかったという逸話があります。

 そのケーニヒスベルクは、現在、カリーニングラードと名前が変わって、ロシアの領土になっています。ロシア本土から遠く離れた「飛び地」領土です。何か、戦国時代みたいですね。

 これも、第2次大戦の結果です。ケーニヒスベルクは、ソ連を中心とする連合軍による空爆で相当破壊され、戦後、ソ連が占領して、多くのドイツ人は追放されます。

 こんなこと書いていても、池内先生に教えられ、自分で調べ直してみたのですが…(苦笑)。

 「貴男は、そんなことも知らなかったんですか!」と、皆さんからお怒りのコメントが来そうですね。

【特報】東急プラザ銀座・オープン

本日3月31日に東京は銀座の繁華街に新しく、ショッピングセンター「東急プラザ銀座」が開店しました。

数寄屋橋近くの、昔、東芝ビルがあった所です。(嗚呼、旭屋書店が懐かしい)

あたしは、お上りさんですから、早速、昼休みを利用して覗きに行きました。

そしたら、「あんりまー」ですよ。

人、人、人で、コブラのように群集が建物を取り囲み、行列の尻尾は、何と隣りの数寄屋橋公園ですからね。まあ、中に入るのに30分以上は掛かりそうでしたから諦めました。

何か、高級レストランと高級外資系ブランド・ショップと免税店が入ってるらしいですけど、あたしゃ中に入らなかったので、よく分かりましぇん。悪しからず。

いずれにせよ、建物は、何かグロテスクで悪趣味な感じがしました。

大宰府「政庁跡」 Second edition

Copyright Par Ebifrya-sensei

名古屋の海老付羅江先生から久しぶりに便りがありました。

何やら、奮発して5泊6日の九州旅行を敢行されたということです。

Copyright Par Ebifrya-sensei

海老付羅江先生です。

…無事、5泊6日の愚生としては長旅を終えて帰宅しました。

とりあえず、桜のシーズンですので、大宰府の「政庁跡」で撮った、咲き始めたばかりの桜の写真を送ります。…

いつも有難う御座いました。

Copyright Par Ebifrya-sensei

…「政庁跡」と言っても超低俗な民放の地上波テレビを見ているようなノールスには全くチンプンカンプンで分からないでしょうが(笑)、7世紀後半に、九州、筑前に設けられた地方行政機関ですね。…

まあ、そんな放言しても大丈夫でしょうかね?(笑)

Copyright Par Ebifrya-sensei

…政庁は、当時の首都の奈良の出先です。794年からは、京都に首都が移りましたが、菅原道真のように中央の役人から見ると左遷先みたいな感じの出先機関で、今の霞が関の本省と出先の関係で、民間会社の本社と支店と同じようなものですね。

貴人も「本社!本社!」と一時、地方を軽く見るときらいがありましたが(笑)、地方機関、支店と言っても、大変な権力を持っていたのです。…

ここに、何で小生が出てこなければならないんでしょうかね?ま、いいですけど(笑)。

Copyright Par Ebifrya-sensei

…この跡地に立つとその辺の雰囲気が今でも伝わってきますよ。特に中国との貿易では、九州は大きな拠点ですから、本社にいて、”すし郎”評論家みたいに、首相の提灯持ちみたいな「寿司」だけ食べて昼寝ををしているような、中身のない人間と違って、権力そのものを行使したわけです。「地方」を軽く見てはだめなのです。…

評論家のすし郎さんって、どなたのことでしょうか?気になりますね。

Copyright Par Ebifrya-sensei

…時代が下り、後年、平清盛も、大宰府、博多を重視して、権力奪取に挑みました。…

ほう、そうでしたか。色んなことをご存知ですね。

Copyright Par Ebifrya-sensei

…まあ、そういう所ですが、「大宰府天満宮」には、みいちゃん、はーちゃんや○能の外国人は行きますが、建物、実物がない「政庁跡地」は想像力のない観光客は、まず来ませんね。ですから、じっくりと、あれこれ思索ができました。…

なあるほど。

ショーンKと乙武さん second edition

長春街頭の果物売り  Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur
 太鼓持ち評論家の鮨郎です。

 ショーンKさんのことが話題になっていますが、最近、昇龍の勢いで怖いもの知らずの「センテンス・スプリング」に追い込まれてしまっては、お陀仏になってしまいますね。

 私自身は、テレビでは見ていないのですが、FMラジオではしょっちゅう彼の声を聴いていて、低音の魅力で、バイリンガルでよくモノを知っている人なので、好感を持っていたので、ガッカリです。

 周囲のスタッフの評判も「大変腰が低い方で謙虚」というのですから、人は見かけによらぬものです。もっとも、野心がある人ほど、腰が低いとも言いますけどね。あの、中国のトウ小平言うところの「韜光養晦」(とうこうようかい=野心を隠し、力を蓄える)ですよ。

 センテンス・スプリングによりますと、第一弾は、単なる(笑)「学歴詐称」で、テンプル大学卒業ではなく、テンプル大学日本校中退で、米ハーバード大学でMBA取得は真っ赤なウソで、サマースクールか何かにちょっと通っただけ、ということでした。

 ショーンさんは、高校生の時から「ホラ吹き」で有名だったらしいですね。ここまでは少し笑える嘘です。

 しかし、第二弾では、他人を巻き込んで、ほんの少しフランスで会っただけの日本人を、コンサルタント・パートナーの在仏担当者なんかにして顔写真入りで紹介したり、斯界では有名な米国人を自分を育てた師匠にでっち上げたりして、これは駄目ですね。偽造、捏造です。もう同情の余地はありません。

 ショーン氏は、4月からフジTV系で始まる予定の報道番組のメーンキャスターとして採用される予定でした。しかしながら、当然降板。年収1億円をふいにしてしまったようですが、You ask for it.でしょう。

 「身体検査」もしないで安易に空気や評判で採用したテレビ局も杜撰だということです。トレンディ・ドラマの名プロデューサーから一気に社長に昇格した亀山氏も運のつきといいますか、「ヒトは一生、なだらかな平坦の道を歩けない」という残酷な真実を見せつけられているかのようです。

長春街頭焼き物売り  Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

 「センテンス・スプリング」のライバル誌である「ニュー・カレント」は、あの乙武さんの不倫を報道しています。

 乙武氏は、ちょうど、今夏の参院選で自民党から立候補するという観測記事が流れていましたから、絶好の(?)タイミングです。

 それにしても、ニュー・カレント記者の凄い張り込みぶりです。あそこまで、事細かく書かれてしまっては、乙武さんも正直に白状しなければならなかったんでしょうね。あっさりと、5人の交際を認めてしまいました。

 早速、乙武さんのツーショットがネット上で拡散しているようですが、お相手の女性は、信じられないほど、かなりの美人さんが多いですね。そうは言っても、健全で良識のある皆さんは、検索なんかしないでくださいね(笑)。

 男女間の話ですから、深い事情も色々とあるでしょう。が、私はそこまで関心ありません。

 むしろ、彼が今夏の参院選に立候補するかどうかに興味があります。

長春街角の果物店  Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

ところで、マイナス金利になって、シガナイ銀行経営になったもんです。

以前は、確か、土曜日でも、自分の銀行口座から降ろしたり、入金したりしても、無料だったはずですが、今は、108円の手数料を取るのですね。

何で自分の預金から引き出すのに、手数料なんか取られるでしょうか?平日も、8:45~18:00まで、辛うじて無料ですが、それ以外の時間帯は、しっかり108円取られるのです。

何てこったあ、ですよ。

その点、ゆうちょ銀行の場合は、土曜日どころか、日曜、祝日でも、手数料は取られません。

調布先生がよく言ってました。
「皆、そんなこと、知らないんだよ。本当に世間のことが分かってない。それでいて、知ったかぶりばかりするんだ」と。

誰もがショーンKさんのような腰の低い人には騙されてしまうということですよ。

フィンテックと世界の自動車界 second edition

長春・賭けマージャン?Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

 新生活が始まって、なかなかブログを書く時間と言いますか、余裕がなくなってきました。仕事で一日中会社のパソコン画面を見ていると、家に帰ってまた見る気にはなりませんからね。

 個人的なことながら、昨年のほとんどは、黄泉の国を彷徨っていましたから、新聞もテレビもあまり見ることはありませんでした。

 昨年は、「敗戦70年」「安保法案」と戦後重要な節目となる企画やテーゼがたくさんあったのに、この世の人ではなかった私は、ほとんど接することができませんでした。ジョーンKです。自称近現代史研究家はもう失格で肩書は返上しなければならないと思っております(笑)。

 長春・賭けマージャン?Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur 

 扨て、新生活が始まって、色んな情報が入ってきて、しかもそれらを理解することができるようになると、恐らく、昨年辺りから出てきたと思われる、私にとっては耳慣れない、あまり意味が分からない言葉が、新聞などで多く見かけるようになりました。
 例えば、「SEALDs」とか、「トリプルスリー」とかいった新語です。

 最近よく出てくるのは、「IoT」とかいうIT用語です。Internet of Things の略語で、「モノのインターネット」という意味です。日経なんかは「あらゆるモノをインターネットでつなげる」と、前振りで説明してくれるので、意味が分かりますが、何処もかしこも「IoT」という言葉で溢れています。どうせ、米国からの受け折りなんでしょうけどね。
 
 IoTは、例えば、監視カメラとか家電などに接続して、ユビキタスに、つまり、いつでも何処にいても、手元のスマホなどで監視できたりする大変便利なツールですが、これもパソコンやスマホと同じで、絶えず新しいソフトやアプリを更新しなければならず、バグができたり、ウイルスに感染したりする危険があるそうです。

 そうです。便利には何かの犠牲と失うものがあるということなんですね。

 もう一つ、気になる新語は「フィンテック」です。フィンテックとは、金融(finance)と技術(technology)を組み合わせたまたまた米国発祥の造語らしいですが、今、「フィンテック革命」と言われるぐらい、お零れに与ろうと、様々な人間が蟻のように、壇蜜さんじゃなかった、蜜に群がっているそうです。

 私にはよく分かりませんが、どうやら、今はやりのAI(人工知能)を使って資産運用して、ぼろ儲けする目論みがその一つにあるらしく、機を見て敏な、目ざとい賢しい某出版社が、フィンテック関連雑誌を年間購読料48万円で発行すると、噂になっています。「年間48万円は高いかもしれませんが、フィンテックを使えば、それぐらいすぐ取り戻せますよ」とその雑誌の編集長さんは豪語するぐらいですから、フィンテックって、よほど凄いんでしょうね。

 長春街頭の野菜売り Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

 まあ、世の中、金、金、なんでしょうか。

 もう皆さんは既にお忘れでしょうが、日産自動車のカルロス・ゴーン社長(62)の2014年度の役員報酬が10億3500万円だと昨年、大騒ぎしておりました。恐らく、一応日本の会社の経営者としては最高額ではないでしょうか。ゴーン氏は、まだ45歳だった1999年から親会社の仏ルノー(現在、ルノーは日産株の43.4%取得して事実上傘下に収めている)から派遣されて、最高執行責任者(COO)に就任しておりますから、その16年間の総額は庶民では想像もできませんね。

 ゴーン氏の現在の肩書は、ルノー会長兼CEOと日産の社長兼CEOを兼ねていますが、日本の同業他社と比べて、役員報酬があまりにも「破格」だったので、これだけ話題になっていたのでしょう。

 ちょっと古いですが、2013年度の比較がありました。

 日産ゴーン社長  役員報酬9億9500万円  純利益3890億円
 トヨタ豊田社長    報酬2億3000万円  純利益1兆8232億円
 ホンダ伊東社長    報酬1億5000万円  純利益5741億円

 つまり、日産は、トヨタやホンダほど純利益を挙げていないのに、同業他社の日本人社長よりも多くもらい過ぎではないかという批判があったわけです。

 これに対して、ゴーン社長の反論は「世界の自動車メーカーのCEOと比べれば遜色はなく、むしろ少ない方だ」というものです。そこで、同年の世界のメーカーのCEOの報酬を見てみますと…。

 ・伊フィアット・グループ(伊フィアット、伊アルファロメオ、伊フェラーリ、伊マセラッティ)CEO 報酬額31億2000万円 純利益2800億円
 ・米フォード・グループ(米フォード、英アストンマーティンなど)CEO 報酬額23億6000万円 純利益7510億円
 ・独フォルクスワーゲン・グループ(独フォルクスワーゲン、独アウディ、チェコ・ショコダ、独ポルシェ、伊ランボルギーニ、英ベントレー、仏ブガッティ=最高速度400キロで世界一速い車とギネス認定。車体価格は約2億円で、ビートたけし様御愛用)会長 報酬額21億3000万円 純利益1兆2960億円
 ・米GMのCEO 報酬額14億7000万円 純利益3960億円
 ・独ダイムラー(独メルセデス・ベンツ)会長 報酬額11億5000万円 純利益9400億円

 他に独BMWグループ(独BMW、英ロールスロイス、英ミニ)、仏PSA(仏プジョー、仏シトロエン)などがありますが、残念ながら、数字が分かりません。(ご存知の方教えてください)

 いやあ、ここまで書いてみて、他人の懐を詮索することが如何に空しいか、よく分かりました(苦笑)。ただ、世界の自動車のメーカーが、ここまで弱肉強食の論理でM&Aで再編されていたとは思いも寄りませんでした。

「カラヴァッジョ展」は★★★★

パリ市場にて

21日(月)は振替休日。世間の人は、お休みなので、大層混むだろうと予想して、朝早く出掛けて、東京・上野の西洋美術館に「カラヴァッジョ展」(一般1600円のところ無料招待券を1380円で買収)を観に行って来ました。(忙しくて、やっと今日書けました=笑)

正解でした。少し余裕を持って本物に接することができました。

カラヴァッジョ(1571~1610)は、バロック美術の大家で、後の巨匠ルーベンスやレンブラントらに影響を与えたと言われますが、かなりの自惚れ屋で、素行も悪く、瞬間湯沸し器並みの短気。殺人まで犯して逃亡し、38歳の若さで亡くなってしまうという波乱万丈の生涯を送った人です。

光と闇を描き分けた先駆者とも知られ、私も彼の大ファンで、10年近く前に、わざわざイタリア半周旅行の際に、ローマのサン・ルイジ・ディ・フラチェージ教会を訪れ、彼の名前を一気に高めた「聖マタイの召命」(1600=日本では「関ヶ原の戦い」があった年)を観に行ったものです。

この「聖マタイの召命」は、右端にペテロを従えたイエスが、マタイに自分の使徒になるよう召命している有名な作品です。かつては、中央で、人差し指で「自分ですか?」と問いかけているような髭を蓄えた初老の男が、マタイだと言われていましたが、1980年代になって、その髭の右横で俯いてお金を数えている仕草をしている横向きで表情が見えない若い男がマタイではないかという説が有力になってきました。

髭の男は、自分自身を指差しているのではなく、右前隣の男を指差して、「この男ですか?」とイエスに問いかけているわけです。マタイは、徴税人だったので、お金を数えていることが、その証拠ではないかと言われています。

カラヴァッジョの生涯は、38年しかないため、その作品は少なく、約60点と言われていますが、教会に据え付けられて持ち出しが不可能な作品も多いので、今展で11点出品されているということは、かなり見応えがあると言えるでしょう。海外初公開作品(「法悦のマグダラのマリア」)もありますが、勿論、「聖マタイの召命」は、持ち運べないのでありません(苦笑)。

ところで、カラヴァッジョの本名は、ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョです。そして、ルネサンスの有名な彫刻家ミケランジェロ(1475~1564)の本名は、略してミケランジェロ・ブオナローティです。

何でカラヴァッジョは、ミケランジェロではなくて、何でミケランジェロは、ブオナローティではないんでしょうかね?ちなみに、ラファエロは、ラファエロ・サンティで、名前が通称。レンブラントも、レンブラント・ハルメスト・ファン・レインが本名。

近現代は、マネにしろ、モネにしろ、ゴッホにしろ、みんな苗字が通称になっているのに…、