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賢明なる読者諸兄姉の皆々様方は、お気づきでしょうが、ここ1週間、この渓流斎ブログのタイトルの前に書かれたものは、リヒャルト・ヴァーグナー(1813~83年)の楽劇「ニーベルングの指環」のタイトルでした。あらましは以下の通りです。
(1)前夜祭「ラインの黄金」(1854年)
(2)第一日「ヴァルキューレ」(1856年)
(3)第ニ日「ジークフリート」(1871年)
(4)第三日「神々の黄昏」(1874年)
私は青年の頃、大したことはない大志を抱き、いつか、ドイツのバイロイト祝祭歌劇場に行って、この「ニーベルングの指環」を観劇するのが夢でした。
何しろ、ヴァーグナーが音楽家人生の全てを精魂込めて書き上げた大抒情詩の芸術です。構想(1848年)から完成まで26年もの長きに渡って作り上げた大芸術です。北欧神話などを題材にした難解中の難解劇。ニーチェと対等に渡り合ったヴァーグナーですから、作曲家ながら文学にも造詣が深い。そして、自信過剰の鼻もちならない傲岸不遜。
演奏するだけでも、16時間以上掛かるといいますから、実際にバイロイト劇場で公演する際は、休息日を挟み、1~2週間は掛かるとか。しかも、チケットは5年から10年先まで売り切れ、ときたもんですからね。
ヴァーグナーの作品だけは、オペラとは言わず、楽劇と呼ばれます。
このバイロイト祝祭歌劇場は、ヴァーグナーの楽劇を公演するだけのために、パトロンであるバイエルン国王ルートヴィッヒ2世の手厚い庇護で建設されたものでした。「ルートヴィッヒ」は、名匠ヴィスコンティ監督も映画化しましたが、お陰で、バイエルンの国家財政は破綻し、ルートヴィッヒ2世も悲運にも狂死しました。

私も、余命いくばくもなくなってきた今日この頃、現地まで行くという青年の頃の大志を貫徹するには、如何なものかという風合いとなり、それなら、長い休暇が取れたとき、せめて、ビデオでも買って、自宅のサロン(笑)でゆったりと鑑賞しようではないかという野心がムラムラと起き、今年の大型連休を控えた4月に思い切ってDVDを購入して、連休中は一人悦に入って鑑賞しているわけですよ。
いや、「悦に入って」は嘘でした。まるで、千日回峰の修行僧のような苦行に近い苦難に強いられています(笑)。理由は後で説明します。
購入したDVDの演奏は、ダニエル・バレンボイム指揮、イタリア・ミラノのスカラ座管弦楽団。これは超々一流。2010年から13年に掛けて、スカラ座で収録されたもので、恐らく、イタリアの国営放送ライで放送されたものだと思われます。舞台監督はギイ・カシエール。衣装デザイナーがティム・ヴァン・スティーンベルゲン。この衣装が奇抜過ぎて、舞台に溶け込むのに苦労しましたね。何しろ、歌手の衣装はまるで薄汚い古着のようなおかしなものばかりで、気になってしょうがありませんでした。
肝心の歌手さんですが、ジークフリート役のランス・ライアン、ブリュンヒルデ役のニーナ・ステム、ヴォータン役のルネ・パペ、いずれも超有名なんでしょうが、小生、不勉強で知りませんでした。

また、その肝心の歌手さんですが、オペラ歌手というのは、大成するのに、5年、10年どころか20年以上修行しないと一人前と言われないのかもしれませんね。あの肺活量の鍛え方と声帯の使い方は超人的ですからね。コロラトゥーラなんてとても人間業とは思えませんから。
で、何を言いたいのかといいますと、出演されている歌手の皆さんはいずれもお年を召した、なんて口が裂けても言えませんから、かなりのベテランの方々ばかりで、今のビデオのハイビジョン画面は鮮明ですから、皺やシミやホクロなどが丸見えですから、ちょっとフォトジェニックに欠けてしまいました。
特にオペラ歌手は、身体そのものが楽器となるので、デブじゃなかった、縦と横に物理的に拡張された方が多く、ロマンチックな恋の歌を唄い上げておられても、フォトジェニック的には興醒めて少し引いてしまいました。
オペラはよく日本の歌舞伎と比較されますが、オペラ歌手は二の腕が普通の人の胴回りほどありますから、つい関取さんのようにも見え、どうもオペラは、歌舞伎と大相撲の二つの要素が一緒に楽しめる感じでした。

嗚呼、こんなことを書くと、いくら何でも海外の熱烈なファンから殺されるかもしれませんね。しかし、決して、個人を誹謗中傷するために書いたわけではないので、誤解されないように。私は暫し逃げ隠れすることに致します。
DVDは輸入盤だったので、日本語字幕がありませんでした。日本語がないのに、韓国語の字幕があるので不思議に思っていたら、巨人ファゾルト役がベルリン在住の韓国系の歌手ヨウン・クワングチュルという人だったからなんです。何か、日本人にも見える東洋系の人が出演していたので、誰なのかと思いました。私は知りませんでしたが、韓国では超有名人なのでしょう。
ドイツ語はさっぱり分からないので、英語の字幕にしましたが、普段御目にかからない詩語や文語のオンパレードでこれまた苦労しました。千日回峰の修行とはそういう意味でしたが、この苦行を乗り越えれば、とてつもない喜びと悦楽が待っている気がしています。(笑)



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