映画「雪に願うこと」の特別試写会が全国に先駆けて、帯広で開かれました。
試写会といっても、ちゃんと入場料1000円を支払いましたが。
この映画は、昨秋の東京国際映画祭で、グランプリ、監督賞(根岸吉太郎)、主演男優賞(佐藤浩市)、観客賞の4冠を獲得した「鳴り物入り」の作品です。
原作者の鳴海章氏が帯広市出身で、帯広市在住。作品も帯広競馬場の「挽馬」が舞台で、昨年、帯広でロケが敢行され、帯広市民もたくさんエキストラとして出演した関係で、帯広が日本最初の「上映地」として白羽の矢が当たったわけです。
それで、どうだったか、と言いますと、百点満点で65点かなあ。ちょっと、辛いかもしれませんが、全編、帯広競馬場の厩舎で話が展開されて、馬が白い息を吐きながら一生懸命に走る姿は感動的でしたが、登場人物があまりにもステレオタイプで、今ひとつ映画の世界に我を忘れるほど没入できなかったのが残念でした。
例えば主人公役の伊勢谷友介は、13年間も親兄弟とは音信不通だったのに、事業に失敗して東京から故郷の帯広に逃げるようにして戻ってくる。兄役の佐藤浩市は、当然、彼を受け入れない。母親にも会わせない。母親は認知症となって施設に入院していたが、伊勢谷のことを自分の息子であることを認識できない。随分、乱暴なストーリーなんですよね。
厩舎の賄い役の小泉今日子は、佐藤浩市のことを互いに好きなようで一緒にならない。彼女には別れた亭主との間に高校生の子供がいて、夜は街中のスナックで水商売。「生きていくには、夜も働かなきゃいけないっしょ」という台詞!わー、これも、よくあるお涙頂戴劇のワンパターンですね。
それでも、帯広競馬場とか、市内の飲み屋さんとか、上士幌のめがね橋とか、少しだけ「観光案内」となっていて、全国的に、いや全世界で帯広が有名になればいいなあ、と応援したくなりました。