鶴の恩返し

Mさんから葉書が来ました。

「我々『有遊会』には著作権はありません。どこにでもお使いください」

そうです。Mさんから聞いた小話を、「私のブログに引用してもいいですか?」と許可の葉書を出していたのです。

そこで一つだけ、引用させて戴きます。

有名な「鶴の恩返し」の別バージョンです。

昔むかし、あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。

おじいさんとおばあさんが、そろそろ今晩は寝ることにしようか、と戸締りを確かめに玄関に行くと「どうか、一晩だけ泊めてください」とか細い声で、若い娘が訪ねてきました。
「ははあ、さては、この間の鶴さんの親戚かな」とおじいさんは、知らないふりをして「さ、どうぞ、どうぞ」と、その娘を一番良い部屋に通すことにしました。

しかし、夜中になると、どうもおかしい。ガラガラ、ドンドンと大きな音が鳴り止みませんでした。

「随分派手に織物を織っているなあ」と、おじいさんとおばあさんは顔を見合わせました。

そのうち、娘の部屋はシーンと静まり返り、物音一つしなくなりました。

「さすがに疲れて寝いいったのだろう」と、おじいさんとおばあさんは、そのまま寝込んでしまいました。

翌朝。娘の部屋を覗くと、もぬけの殻です。それどころか、箪笥から書棚まで家財道具が一切消えて無くなっていました。

そうです。娘は鶴かと思ったら、鷺だったのです。

放火容疑のNHK記者 

放火容疑で逮捕されたNHK大津放送局の24歳の記者は、容疑事実を認めた上で、その理由については、

「仕事や私生活の悩みのために、気を紛らわすためにやった」
と供述したそうです。

報道によれば、件の記者は、取材方法や原稿の書き方などで、先輩記者やデスクから、記者クラブなど、人前で罵倒されたことがあるようです。最近、彼女と別れたという噂もありました。

「貧乏自慢」するわけではありませんが、今の私は、彼の何百倍、いや何百万倍の仕事や私生活での悩みを抱えていますが、気を紛らわすために、放火という大罪を犯すつもりは全くありません。

要するに、彼が犯した罪に関する供述は、全く理由にならない、と言いたいのです。どの時代に、彼のような日本人がいたのでしょうか。

彼はマスコミ記者ということで、恐らく世間で注文されたのですが、職業は関係ありません。

広島での女児殺害、死体遺棄事件。一級建築士による設計構造計算書の偽造事件など、最近、またまた事件に事欠きません。

ストレス発散のために、大罪を犯しても平気な人間が増えたことに唖然としてしまいます。

深い悲しみ 

深い悲しみに襲われた時、胸の奥に小さな空洞ができることがわかりました。

「胸にぽっかり穴があいた」というのは、単なる比喩で典型的な文学的な表現だと思っていたのですが、深い悲しみに襲われると、本当に胸にぽっかりと穴があくようです。

それが、半仮睡状態で起きると、その開いた穴から魂が抜け出てしまうような感覚になり、そのまま深い深い暗い暗い闇の中に吸い込まれてしまう気がします。

その感覚は、恐怖感とは少し違うのです。
その感覚を我慢すれば、そのまま、すんなりとあちらの世界―つまり、彼岸に到達してしまうのではないかという感覚に近いのです。

その時、ハッとして正気を取り戻します。

そうでもしないと、本当にあの世に行ってしまう気がするのです。

154兆円

気になる数字があります。

154兆円。

もし、ゼロ金利が続かなかったら、1993年から10年間で家計の受け取り利子が累計154兆円に達していたという数字だそうです。

不良債権処理で、これだけ、国民に負担を強いられたということです。

逆に言うと、銀行などの金融会社は、「ドブ」と彼らが呼んでいる客からタダ(金利ゼロ)で金を仕入れて、利子を付けて、金を貸して、154兆円の利益を生み出したということでしょう。本来なら、この154兆円は、金利として、預けてくださった顧客に返却すべき数字だったのです!

しかし、どこの世界に、タダで仕入れてきて利益を生む社会システムが存在するのでしょうか?

今、映画化もされた、つげ義春の漫画「無能の人」を思い出してしまいました。
この作品は、河原からタダで石を「仕入れて」きて、売っている「無能の人」の物語でした。

現実は漫画化されている、というのが今回の結論です。

全く個人的なことなので、読んで戴かなくても結構です…

全く個人的な話なので、偶然、このブログに辿りついた方や、私のことを知らない方は、読んで戴くなくても結構です…。

正直に書きます。

昨日、11月18日の夕方、私の父が亡くなりました。79歳でした。
私自身、人生で一番影響を受けた人なので、精神的衝撃と深い悲しみに襲われました。
世間的には取り立てて業績を上げたわけではない一般庶民でした。先の戦争に従軍して生き残り、戦後は国鉄職員から、航空管制官に転じて、まあ、国家に奉職した人といえば、そうでしょう。

私から見れば父は、非常に家族思いで、何しろ、勉強家でした。主に文学、歴史、宗教、焼き物などの芸術関係でしたが、政治経済の最新の舞台裏など、どこから仕入れてくるのか、色んな話をしてくれました。

そんな父も3年ほど前から、序々に心身ともに衰弱し、この春からほぼ寝たきり状態となりました。愛する肉親が、日々日々、痩せ衰えていく姿を見るのは、胸が張り裂けそうで、本当に辛いものがありました。遠く離れて暮らしていてはなおさらです。

実は、このブログをはじめたきっかけも、そんな不安と心痛から逃れたいがために、気休めに始めたのでした。ですから、大変身勝手だとは思いつつ、全くプライベートなことをさらけ出してしまいました。

亡き父に捧げたい。

どうも有り難う御座いました。
本当にお疲れさまでした。
私はあなたの息子として、この世に生を受けて誇りに思っています。
どうか、天国でゆっくりお休みください。

合掌

1:29:300 

今日聞いた話です。

1:29:300

これは、1つの大きな事故が起きるまでには、29の小さな事故がすでに起きていて、はたまた、その前に「ひやっとした」「危なかった」という事故すれすれの事象が300も起きていた、という確率の話です。

今年4月、死者107人、負傷者549人を出したJR西日本の福知山線の大事故にしても、それまでに最低29個の小さな事故が発生し、報告されなかった事象も300くらいはあったということです。

これは、ハインリッヒの法則と呼ばれ、「労働災害の確率」として広く知られているようです。

2:6:2

という数字もよく聞かれます。

どんな組織も10人のうち、2人は優秀で、その組織を支え、6人は平均で、例えば企業なら可もなく不可もなく給料分は働いてくれる。残りの2人はいわゆる「給料どろぼう」で、はしにもぼうにもかからない。
そこで、「給料どろぼう」の2人を辞めさせても、やはり、残った8人の中で、2:6:2の割合で、「優秀」「普通」「落第」の区分けができるといった話。

これは「定理」なのか「真理」なのかわかりませんが、結構、どこの世界にも当てはまります。

皆さんの周囲はいかがですか?

奪われる日本 

たった一つの論文を読みたいがために、710円を払って雑誌を買いました。今月の「文芸春秋」です。

読みたかったのは、ノンフィクション作家の関岡英之氏の『米国に蹂躙される医療と保険制度 奪われる日本―「年次改革要望書」米国の日本改造計画』という論文です。

「ついに簡保120兆円市場をこじあけた米国の次なる標的は?我々の健康と安心が崩壊する」という前文(リード)から始まります。

関岡氏によると、簡保、つまり簡易生命保険制度は、民間の生命保険に加入できない低所得者にも保険というセーフティネットを提供することを目的として大正5年に創設されたもので、ビジネスというよりは日本社会の安全装置だといいます。この簡保120兆円を米国の保険業界が狙っているというのです。郵政民営化の本当の狙いです。120兆円といっても、サミット参加国カナダのGDPより大きいのです。

保険は、毎月決まった金額の保険料を長期に渡って支払うことができる顧客が対象となるため、国民の大多数がその日暮らしの発展途上国では市場そのものが成立しえない。従って先進国に限られ、米国、日本、英国、独、仏の5カ国のみで世界の保険市場の8割近くを占めるそうです。

「簡保乗っ取り」の話はまだ序の口で、米国の本当の狙いは「健康保険」だ、というのが筆者の見立てです。

そういえば、2000年を前後して日本の中堅・中小の生命保険会社が相次いで外資に買収されたとして列挙しています。

例えば、
「東邦生命」⇒GE(米)⇒AIG(米)
「千代田生命」⇒AIG(米)
「協栄生命」⇒プルデンシャル(英)
「日産生命」⇒アルミテス(仏)
「日本団体生命」⇒アクサ(仏)
といった感じです。

最近のテレビCMでいかにも元気がいいのが、名前は出しませんが外資系の保険会社です。背景にこんな事情があったのかと納得しました。

詳しいことは本文を是非読んでください。

電磁波の恐怖 

昨日のN氏の話の続きです。

N氏は、天然ガスの話から急に話題を変えて、「電磁波問題は、今のアスベストより怖いですよ」と言うのです。

どういうことかと言いますと、電磁波は放射能を浴びているのと同じだから、ガンにかかるリスクも大きい。これから、十年、二十年経って、アスベストの被害者のような人が現れると、予言するのです。

特にIH(電磁誘導加熱)調理器が危ない、というのです。日本の場合、巨大な電力会社があり、その下に電気メーカーがぶら下がっていて、盛んに電化製品のコマーシャルをする。確かに便利だ。しかし、電気製品の電磁波が人間に及ぼす障碍については、一言も説明しない。これはおかしい、とN氏は声を潜めるのです。

ガスの方が安全なのに、ガス会社は零細なので、CMを打つお金がない、ともN氏はこぼしていました。IH調理器が普及しているのは、日本ぐらいで、外国では健康に対する安全性が疑問視されて、それほど売れていないというのです。

たまたま、11月12日付の毎日新聞が生活欄で、「IH調理器の電磁波は大丈夫?」という特集記事を掲載していました。本当に偶然は重なるものです。それによると、市民団体「ガウスネット・電磁波問題全国ネットワーク」は「IH調理器に10~20センチまで「近づいた場合には、ガイドライン(国際非電離放射線防護委員会が作った「1平方メートルあたり40ミリアンペア以下」)を超える値を測定した」として、消費者にIH調理器を使わないように呼びかけているそうです・

これに対して、首都大学の多氣昌生教授は、IHのリスクは「たばこや食生活などと比べれば、注意する優先順位はかなり低いと思う」と発言しています。

この記事では、「低周波の磁界」が国際がん研究機関(IARC)がランク付けした「発がん物質」の中で「グループ2B(発がん性があるかもしれない物質)」の範疇に入ったことで、不安要因の一つなったことも紹介しています。このカテゴリーには、低周波の磁界のほかに、コーヒーやワラビも含まれています。ちなみに、最も高い発がん性の物質であり「グループ1」には、たばこ、ダイオキシンのほかに、あのアスベストが入っています。

N氏は、2003年3月発売の『暮らしの手帖』3号が電磁波問題を取り上げたところ(「IHクッキング・ヒーターはどこへ行く?」)、数日で完売して書店から消えた話を教えてくれました。もちろん、熱心な読者だけが買ったわけではなく、電力、電気会社関係の人が世間の目に触れさせないようにして、買い占めたとうのが専らの噂です。

そういえば、パソコンもかなりの電磁波を放射しているそうです。道理で気分が悪くなるはずです。

そろそろ、この辺でやめます。

壮大なプロジェクト 

帯広から札幌に向かう特急列車「スーパーあおぞら」の車内で、偶然、N氏と席が隣り合わせになりました。
N氏は、普段はこちらからの話を黙って聞いてくれているだけで、寡黙な人ですが、この日ばかりは、実に饒舌でした。何しろ、帯広から札幌までの2時間半、一人で喋りっぱなしだったのですから。

それは、実に壮大な話でした。

N氏は、ガス会社の社長さんです。これから、札幌にある経済産業省の分庁に天然ガスの免許の申請に行くところでした。

帯広市内の都市ガスを来年か、再来年に天然ガスに切り替える予定なのです。N氏によると、日本の都市ガスの普及率は、6割くらいで、都市ガスと言うくらいですから、大きな市にしかガスは通っていません。北海道の十勝を例にとれば、20市町村ある十勝は人口が36万人くらいですが、ガスが通っているのは人口が17万人いる帯広市とその周辺の町ぐらいです。他の町村はプロパンガスを使っています。全国に、ガス会社は220社くらいあるそうです。

壮大な話とは、ロシアのサハリンにある天然ガスを北海道までパイプラインで引いてこようという計画です。サハリンの天然ガスの埋蔵量は、60年くらいあるといわれます。ロシアは世界でも有数の天然ガスの産出国で、シベリア辺りにある天然ガスをヨーロッパまでパイプラインで引き、第2次世界大戦中でも敵国ドイツなどにもガスを売り、外貨を稼いでいたというのです。

サハリンつまり樺太の南端から稚内まで、わずか40㌔です。その稚内から旭川の間にある名寄市に天然ガスのパイプラインの中継基地を作るところまで、話は進んでいるそうです。主体は国ではなく、民間のジョイントヴェンチャーで、丸紅や三井物産のほか、エクソンやテキサコなどの外資も入るそうです。将来、苫小牧までパイプラインを引き、さらに、海底から本州までパイプラインを通す目論見だそうです。大きな本流のパイプラインを引けば、もちろん、札幌や帯広や釧路などに支流として張り巡らせることができます。

天然ガスの利点は、何と言っても、価格の安さだそうです。パイプラインで引けば、現在のガスの3分の1の値段で消費者に提供できるそうです。目下、天然ガスは、零下160度まで圧縮して液化ガスにして、船や車で輸送していますが、パイプラインにすれば、輸送コストが掛からないので、大幅な経費削減になるそうです。
それに、二酸化炭素を排出しないので、環境問題の解決にもつながります。

将来の不安材料は何と言ってもエネルギー問題です。政情不安定な中東の石油にばかり頼ってはいられません。原子力も放射能漏れ事故などの不安があります。そんな中で「天然ガス」は救世主になるというのです。

車もタクシーや自動車学校などで使う「営業車」にガソリン車を使っていては、とても採算が取れません。現在、ガソリンは1リットル130円まで高騰していますが、ガスなら60円と半額以下です。N氏は、自動車学校も経営していますが、ガス車にすれば、年間500万円から1000万円の削減が期待できると踏んでいます。

サハリンから苫小牧までパイプラインを引くのに、経費はわずか2000億円だそうです。IT長者なら、簡単に捻出できそうです。新幹線や高速道路を作るより安上がりです。エネルギー代が安く済めば、景気が低迷している北海道にも工場を誘致できると、N氏は期待しています。

まさに、国家的、歴史的大プロジェクトです。

実に壮大な話を聞きました。

フランス暴動 

公開日時: 2005年11月7日 @ 21:49

パリ郊外の街でアフリカ系の若者(モーリタリアとチュニジア)が警官に追われて発電所で感電死した事件がきっかけで、フランス全土に暴動が広がっているニュースには心痛めています。

事件は10月27日に起き、11日経った今では、フランスの国内の274都市に暴動が拡大し、4700台の車が放火されたそうです。学校や保育所、介護施設にも放火され、395人が逮捕されました。(ロイター、AP、AFP)

サルコジ内務大臣が、暴徒をSCUM(クズ)呼ばわりしたことが火に油を注いだようです。暴動はフランスだけでなく、ベルギーやオーストリアにも広がっています。

若者たちが石や火炎瓶を投げる光景は1960年代には、日常茶飯事見かけたものです。矛盾した社会の体制を変えようと、若者たちは「甘い」革命を夢見たようです。今でも彼らはフランス語で「ソワソン ユイッター」(68年世代)と言われています。

しかし、今回の暴動は、事態はもっと深刻で根が深いようです。60年代の白人インテリとは違い、アフリカ系、イスラム系の移民の若者が今回の中心です。

どこのメディアも、この暴動の背景は、高い失業率と差別があると指摘しています。フランスには西ヨーロッパ最大の500万人のイスラム系の人が住んでいます。

一方の、我が、日本国では、働く意欲を失ったニートと呼ばれる若者が増えています。恐らく、日本の歴史上初めて出現した若者群でしょう。

いずれにせよ、政治が解決してくれそうな問題にはみえません。

群れで行動する象は、一頭でも集団から脱落すると、その象が回復するまで辛抱強く待っています。

人間は象の知恵を借りるべきかもしれません。