村上ファンドと楽天

公開日時: 2005年10月15日 @ 22:42

電鉄の株を買収して筆頭株主になった男が出現した途端、今度は、放送局の株を買収して、業務提携を提案する男も現れました。

世間では、彼らをヒーロー扱いにする人がいますが、私は妙な違和感を覚えて仕方がありません。いずれも有り余ったお金で、「法律に違反しなければ、金さえあれば、何でもしてもいい」という論理を実行した感があります。
これまでとは違った種類の人間が現れたということでしょう。

今、彼らを拍手喝さいしている世間も、昔は、「さもしい」と蔑んでおりました。「いい時代になった」と喜ぶべきなのかもしれませんが、私は、もう彼らより若くなく、古い人間になってしまったので、過去の倫理観にしばられているようです。彼らに対して浮かぶ言葉は、やはり同じく「さもしいなあ」なのです。彼らがいくら奇麗事を並べてもです。

16年ぶりのグリーン

久しぶりにグリーンに出ました。
指折り数えたら、実に16年ぶりでした。
殆ど練習らしい練習はしてなかったので、周囲に迷惑をかけてしまいました。
空振りはするは、ダフるは、シャクルは、もう散々。もう途中でスコアを数えることさえ放棄してしまいました。

この時、私の使っていたウッド・クラブは文字通りウッドでした。パーシモンてやつです。一緒に回ったのは、初対面のおじさんでしたが、本当に珍しいものを見る感じではなく、本当に口に出して、「まだ、ウッドなんてあるんですね。今は、誰も使ってませんよ」と言うのです。要するに皆、メタルしか使っていない、という意味です。

再び、指折り数えたら、このクラブを買ったのは20年前でした。大昔ですね。確か、横浜のそごうデパートで、格安なものを買いました。(ちなみに、クラブはスポールディングです)

おじさんたちは、どう見ても私より一回り年が上のようでしたが、メタルで私より飛ばすのです。「今のクラブはスポットは広いから、結構飛ぶようになりましたよ」と私を慰めてくださいました。

河川敷のコースとはいえ、素晴らしいグリーンでした。それに、本州とは違って、コースは雄大で広い。これで、わずか3500円ですからね。東京近辺なら15,000円はするでしょう。

「あーもっと早くやっておけばよかった」と思いました。

おっと、ゴルフを知らない人にとっては、何が何だか分からない話でしたね。失礼しました。

「空気」自動車と原稿料 

今日は色々と面白い話を聞きました。

本人から転載のお断りをしていないので、お名前は控えさせていただきます。
米国の大学院を修了し、米国暮らしが長く、ペンタゴンやホワイトハウスにも友人を持つ日本人の国際政治学者X氏ということで、とどめさせて戴きます。

学者といっても、どこかの大学に所属しているわけではなく、専ら著作と講演と科学技術のコーディネイターとして収入を得ています。週刊誌や月刊誌にも頻繁に登場する有名な方です。

X氏によると、今、ヨーロッパでは、圧縮空気と水だけで走る「夢のような」自動車が走っているそうです。フランスのルノーが開発しました。価格も120万円くらいです。X氏は、この車を日本に輸入しようと、代理店を探したりしましたが、日本の道路交通法などに阻まれて、日本では実用化できないことが分かり、結局、導入を諦めたそうです。

ガソリンのいらない空気と水だけで走る車なんて、信じられませんが、何しろ、初めて聞く話でした。日本の世界的自動車メーカーや大手石油元売関係が、輸入を阻むどころか、情報が流通しないようにしているという噂もあります。

X氏はまた、原稿料も暴露してくれました。著者によって、細かいランクがあるようですが、X氏の場合、月刊B誌は四百字で1万円。S誌の場合は、8千円だそうです。週刊誌となるとケタが違います。ある程度のスクープ記事は1本20~30万円。広告の柱の見出しとなる大スクープになると、1本100万円だそうです。

また、X氏は、東京都内でも有数の高級住宅地に住んでいますが、ある有名女優は、年収が(かつて)何億円もあったというのに、わずか3000円の町会費(1年分)を払わないそうです。

これには、驚いてしまいました。

本日はこの辺で。

パキスタン地震 

8日のパキスタン北東部地震の被害状況がようやく伝わってきました。当初発表されたマグニチュード(M)7.6ではなくて、M7.7。死者も3万人を超えるという情報もあります。

長男輝(ひかる)ちゃん(2歳)とともに、邦人の被害者となった国際協力機構(JICA)派遣専門家の楢原覚(さとる)さん(36)は、10年前の阪神・淡路大震災(1995年1月17日、M7.3。死者約6400人)にも遭遇し、人生観が変わって、勤務先の神戸製鋼を辞めて、「国際貢献」の仕事に転職した人だったという話を読んで、思わず、もらい泣きしてしまいました。

昨年12月26日のインドネシア・スマトラ島沖地震はM9.0で、津波被害とあわせ、死者・行方不明者約30万人。最近、米国を襲ったハリケーン「カトリーナ」「リタ」の死者・行方不明者は約2000人。「天災は忘れた頃にやって来る」(寺田寅彦)どころか、天災は忘れた頃ではなくても、やってきます。

1923年の関東大震災からもう82年も経ち、誰もが「もうそろそろ」と感じているのに、皆「自分だけは死なないで、助かる」とでも思っているのかしら。大都会の消費者は、夜間も煌煌とライトを付けて、欲望を満たすために、エネルギーを無駄遣いしています。私なんか、そんな東京にはもう住みたくないなあ、と考えてしまいます。

こう災害が度重なると「地球が怒っている」と思わざるをえません。楢原さんの訃報に接して、「この世に神も仏もないのではないか」と疑ってしまいました。それとも、地球は怒っているのではなく、無知で傲慢な人間に対して、悲しんでいるのかもしれません。

中村哲氏と火野葦平

アフガニスタンで献身的な医療活動を続けている中村哲氏と、芥川賞作家の火野葦平が甥と伯父との関係であることを初めて知りました。(8日付朝日新聞土曜版)

火野葦平は、言わずと知れず「麦と兵隊」で知られる芥川賞作家。本名、玉井勝則。自伝的長編「花と龍」では、北九州の若松で、荒くれ者の沖仲士を束ねた両親(玉井金五郎とマン)を主人公に「切った、はった」の世界を生き抜く姿を活写しています。1962年の石原裕次郎と浅岡ルリ子、69年の高倉健と星由里子など過去5度も映画化された名作です。

中村哲氏は、数年前、本屋で偶然「医は国境を越えて」を見つけて、彼の生き方に共鳴して、「アフガニスタンの診療所から」「ペシャワールにて」など何冊か愛読したものです。医師が本職なのに随分、文章がうまいと思ったら、火野葦平の甥っ子だったのですね。中村氏の母親が玉井夫妻の次女秀子です。その母親の肩口に「勉命」と彫り物があったそうです。勉はもちろん、ご主人の名前。両親に結婚を反対されて駆け落ちしたそうです。「ウチの家系は一途な人が多い」という中村医師も「一途」の塊みたいな人です。

それに比べ、世界はもうすっかりアフガニスタンのことを忘れてしまっています。アメリカによって、「9・11の報復」という大義名分で戦乱を引き起こされたというのに、オサマ・ビンラディンもタリバンのオマル師も行方が知れていません。あの時、殺されたアフガニスタンの無辜の民に対して、我々はどう弁解したらいいのでしょうか。

大統領の値段

あまり人様の懐具合を詮索することは品のないことですが、時の権力者となると話は別です。

ロシアのプーチン大統領の年収が約700万円だというニュース(共同通信がインタファクス通信の記事を転電)を読んで、「意外と安いんだなあ」と思ってしまいました。月給15万ルーブル、約60万円です。最も、ロシア人の平均月収が1万ルーブル(約4万円)ということですから、破格な年収なのでしょう。ロシア大統領府で儀典長を務めたシェフチェンコ大統領顧問がこのほど出版した『クレムリンの日常生活』に書いてあるそうです。

ちなみに、ブッシュ米大統領の年収は40万ドル(約4、500万円)。これも想像していたものと比べ、意外に少ない。我が国の小泉首相は、4、165万円だそうです。

世界のトップスポーツ選手となると、まるで別格。本当に別世界です。
「スポーツ・イラストレイテッド」誌の調べによりますと、ゴルフのタイガー・ウッズの昨年の年収は約98億円で「世界一」。次はF1ドライバーのミハエル・シューマッハーで約92億円。3位はテニスのアンドレ・アガシで約52億円。サッカーのデヴィッド・ベッカムが約34億円で7位に入っています。

ここまでくると、「もう好きにして」という感じになります。
帯広では残念ながら上映していない映画「マザー・テレサ」(オリビア・ハッセー主演)が無性に見たくなってしまいました。マザー・テレサは私有財産を一銭も持たずに、無償の愛で、貧しい弱者に生涯を捧げた人です。
品格については、常に考えさせられます。

阪神と村上ファンド

これから、少しはタイトルに注意しなければなりません。「責任者、出て来い!」なんて、衒っているだけで、非常に品がありませんでした。自分でも吃驚してしまいました。失礼致しました。

今日は、「村上ファンド」が、阪神電鉄の株を買占め、筆頭株主に躍り出たニュースに目を惹かれました。目下約38%の株を保有し、今後同社株の過半数取得を狙っている村上ファンドは、阪神電鉄の「子会社」であるプロ野球阪神タイガースの株式上場を提案したそうです。

「子会社」とカギ括弧を付けたのには理由があります。経済に疎いので、細かい数字はあげられませんが、タイガースは確かに電鉄の子会社とはいえ、実際の稼ぎ頭は、電鉄ではなく、このタイガースだったのです。(18年ぶりにリーグ優勝した2003年の12月期の売上高は、179億円だったそうです)

親会社の電鉄は、マラソンの距離(42.195キロ)にも満たない営業距離しかありません。しかも、海岸線を走るので、線路を拡張する術もありません。「下町」の工業地帯を走り、乗客からの収入が飛躍的に伸びることは考えられません。「山の手」を走る阪急電鉄とは大違いなのです。20年近く昔に、スポーツ記者として阪神球団を担当していたので、その当たりは肌身に染みて実感しております。

つまり、阪神の球団と電鉄の関係は、ホリエモン騒動で一躍有名になったニッポン放送の「子会社」のフジテレビみたいなものなのです。

村上氏は、やはり、目の付け所が違うようです。大阪・梅田の一等地に商業施設、阪神百貨店などを持つので、「村上ファンドは、阪神のことを電鉄というより不動産会社とみている」という関係者の談話が載っていましたが、まさにその通りなのです。

阪神は、今日、買収防衛の対抗策として、大和證券SMBCとアドバイザリー契約を締結したそうですが、今後の動向に目が離せません。

それにしても、まだ46歳の若さというのに、元通産官僚の村上世彰氏の風貌というか、たたずまいは、どうも…。いや、これ以上書くと、品性に触れるので書きません。

責任者、出て来い!

大学の会報に「懐かしい方はメールください」と書いたところ、ただ一人、同期のF君からメールが来ました。
大学を卒業して四半世紀も経ってしまったのですが、彼とはそれ以来、全く音信不通でした。

それでも、学生時代のように気軽にメールで「会話」できることは、夢のようであり、本当に嬉しいことでもあります。

私は、学生時代はいつも他の友人たちとふざけてばかりいたので、真面目なF君からはいつも「君たち、一体何やってんの?」と真顔で言われておりました。まるで、その顔は「もう少し大人になったら」といった表情で、彼に関して覚えているのは、漫画「こまわり君」のような顔をしたF君の、鼻の穴を広げたその表情だけでした。

そのF君は、20個を超える職業を経験し、今では本も出しており、それは、自分のロンドン体験記から翻訳物までバラエティーで、D大学の非常勤講師なども勤めています。作家兼翻訳家兼通訳といったところでしょうか。自由業のようで、私のあこがれの職業ですが、F君は「収入は少ないよ。東京で下宿している大学生の授業料を含めた支出分くらいだから」と言うのです。(あ、ばらしてしまいました)

通訳案内業試験には、25歳で合格している秀才のF君ですが、ホリエモンの年収の何十分の、いや何十万分の一なのか見当もつきませんが、あまりにも、報酬が少な過ぎますよね。

F君に代わって、私が怒りたいと思います。
「おい、こら!責任者、出て来い!」

WRC取材裏話

やっと、世界ラリー選手権(WRC)ラリー・ジャパンの取材が終わりました。
この一週間、下調べから始まって、このWRCに掛かりっきりだったので、心地よい疲労感を感じています。

一つ、この取材の裏話を。この大会には90台が参加しましたが、ほとんどが2軍、3軍クラスで、実際のWRCとして戦われていたのは、6大ワークスと言われる15台だけでした。

今回の6大ワークスとは、日本のスバルと三菱、フランスのプジョー、シトロエン、米国のフォード、そしてチェコのスコダです。これらのチームのスタッフは拠点ごとに配置され、ドライバーから話を聞いています。その情報収集力はマスコミ以上です。マスコミといっても、強制捜査権はないので、現場で話を聞くことはできず、単なる「イタコ」みたいな存在なのです。ドライバーの話が欲しければ、唯一、記者会見で聞くか、どこかで捕まえるしかありません。

今回、ノルウェーのペテル・ソルベルク(スバル)が初日から首位を独走し、大会2連覇は確実だと思われていました。しかし、好事魔多し。あと1歩のところで、岩に接触して、サスペンションなどを損傷し、リタイアしてしまったのです。それは、全26競技区間の中で、最後から2番目の第25競技区間だったので、泣くに泣けないでしょう。

私は、彼のコメントが欲しいと思いましたが、記者会見に出てくるわけではないし、普段、区間ごとに出されるプレスリリースにも彼の名前は消えてしまいました。どうしたものか、と思い、プレス担当の若い人に聞いたら、「スバルがホームページ(http://www.swrt.com/807537.html)でソルベルクのコメントを発表する」と教えてくれました。

こうして、私は記事を書いたのです。

WRCに出場する車は、市販車を大幅に改造しますが、改造費だけで1億6千万円も掛けているそうです。スタッフも、技術者やミシュランなどのタイヤメーカーも入れれば、百人近いでしょう。

情報収集の面でいえば、もうすでにマスコミの独占ではなく、一般市民が簡単に生の情報にアクセスできる時代になりました。某サイトのように、匿名で誹謗中傷ばかりしているものには全く興味がありませんが、インターネットは確かにその傾向に拍車を掛けました。

ブログもそうかもしれませんね。

取材余話

実に15年6ヶ月ぶりにスポーツの取材をしています。

もう大昔のことなので、現場に来ているスポーツ記者で知っている人はほとんどいませんでした。そういえば、辞めてフリーになった人もいれば、地方のテレビ局の社長になった人もいます。

プレスセンターに来て驚いたのは、各座席に光ケーブルが配備していたことです。皆、黙々とパソコンに向かって、原稿や写真を送っています。ラリーの世界選手権なので外人記者が多く、当然、自国に送稿しているのでしょう。

本当に世界は狭くなりました。

昔は、FAXでしたから、皆、せっせと「手書き」で書いて、FAXで原稿を送っていました。そのまた昔は「電話送り」といって、電話でそのまま、原稿を読んで、部内にいる者に書き取らせていたのです。私も新人の頃、ほとんど「電話取り」が仕事で、先輩記者の原稿をよく取らされました。
それが、最初はよく分からないのです。急に「ワンマン吉田…」「加える下がり藤」「よみするの嘉」などと言われても分かるわけがありません。
戸惑っていると、「馬鹿野郎、代われ!」と怒鳴られたものです。

懐かしい思い出です。