ルピナス、ルピナス、ルルル

ルピナス

目下、毎日新聞で連載されている社会面の大型企画「ふるさと探し」は、つい食い入るように読んでいます。

北海道が舞台だからです。定年を迎える団塊の世代の「その後」が、テーマの柱のようで、記者の早坂さんが沖縄にしようか、北海道にしようか散々悩んだ末、北海道にしたそうです。

第一回は、北海道の上士幌町。つい3月まで住んでいた帯広とは目と鼻の先で、町長の竹中貢さんは、私を友人のようにもてなしてくれました。今でも葉書くらいやりとりしてます。連載が始まったので、早速、電話すると、明るい声で「偶然、取材に来てくれたんですよ」と明かしてくれました。私は「上士幌町が全国的に注目されてよかったですね」と激励しておきました。

第一回は、名古屋市に住む団塊の世代の夫婦が、定年を繰り上げて上士幌に定住するという話です。奥さんが30年間、花粉症に悩まされ、町が一昨年に募集した「スギ花粉リトリート(疎開)ツアー」に参加したところ、すっかり気に入って、永住を決意するという話です。この企画は、私が帯広にいた2年前に記事にしていたので、なじみのある話でしたので懐かしくなりました。

第二回は、東京に住む福島さんという会社経営者が、上士幌の中心街から車で1時間かかる故郷の「三股」に戻り、子供の頃を回想する話です。当時は木材切り出しの中継基地として、鉄道(士幌線十勝三股駅)が通るほどにぎわいを見せていた三股も「過疎化」の波をもろにかぶり、鉄道も廃線となり、今ではほとんど人も住んでいない曠野の化している。そこには、ルピナスが咲いていた…といった感傷的な話です。

え?ルピナス!

そう聞いただけで、私は大粒の涙を流してしまいました。

帯広に住んでいた時に、十勝の周辺で、色んなところでみかけた野草です。

Hさんが「ルピナス、ルピナス、ルルル…」と歌っていたことが昨日のように思い出します。

今日は珍しく、写真と一致した文章です。この青い実をつけたような花がルピナスです。

ルピナス、ルピナス、ルルル…

ああ、また泣けてきました。