私の勤める会社で、早期退職勧告がありました。いわゆる「肩たたき」ではなく、志願制です。目の玉が飛び出るくらい割り増しの退職金が出ます。先週、急にそのお知らせが回ってきました。
応募は12月17日から来年1月15日まで。先着20人!募集人員に達し次第、締め切り。
さすがに今回は考えましたね。私の信頼する何人かの人にも相談に乗ってもらいました。
最初に相談したのは、私淑する業界の先輩の調布先生です。結論的には、ニンジンをぶら下げて煽動しているだけだから「踏みとどまった方がいい」というものでした。残念ながら、このメールのデータは例の携帯水没事件で消滅してしまいました。
次に相談したのは、会社の先輩で占術師になったF師です。同師には、今年の春先にもみてもらったのですが、ちょっと岐路だと思いましたものですから、改めて相談に行ったのです。見立ては、こちらが勝手に解釈するれば、辞めても辞めなくても「何とも言えないが、どちらでも成功する」というものでした。
アメリカに住む親友のI君にもメールで相談しました。非常に厳しい見解ながら、かなり的確なアドバイスでした。
最後は、実際に「肩たたき」にあった銀行員だった兄に相談しました。こちらも「経験者は語る」談話で、説得力がありました。
で、どうなったのか?
皆さんにはあまり関心がないかもしれませんが、私の心は定まったとはいえ、ほんの少しだけ揺れていました。まあ、来年1月15日まで引き伸ばしてみようという魂胆もありました。
応募初日の17日の夜、調布先生にお呼ばれされて、新宿の有名な焼き鳥屋「ぼるが」まで飲みに行きました。そこには、某女子高の生活指導部長さんと漫画の原作者として有名な倉科遼先生の事務所の社長さんもいらっしゃいました。そこで、あまり個人的な話はできなかったのですが、調布先生から「あなたは、『おんばひがさ』ですから、よく考えた方がいいですよ」と再びアドバイスしてもらいました。
おんばひがさ?
聞いたことがない言葉でした。何しろ、調布先生の祖父は江戸時代生まれですし、博学多才の先生は言葉の魔術師です。
「おんばひがさ」とは「乳母日傘」と書きます。広辞苑によると、「乳母に抱かれて日傘をさしかけられなどして大事に育てられること」とありました。
うーん、抗弁できませんね。昨今のウオーキング・プアの実態を見てみると、世間の荒波は想像を絶するほど過酷なものがあります。その荒波にもまれていないことは確かです。
で、結果はどうなったのか?
うろちょろ迷っているうちに、わずか1日で「募集定員」に達し、締め切られておりました。