証券アナリストの株価予想はサルと変わらない? nineth edition

ただ今城門に到着 Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur
 橘玲著「臆病者のための億万長者入門」をやっと読了しました。

 途中でかなり週刊誌の「読書」に熱中しましたので(笑)、単行本の方は少し疎かになってしまいました。

 著者の橘さんは、今、毎月のようにベストセラーを出されている作家で、新聞の下に名前をよくお見かけします。
 でも、本名は非公表で、自身の公式でも全く略歴を公開しておりません。

 あるサイトによりますと、橘さんは、早稲田大学~○○系の出版社の編集者を経て、フィクションもノンフィクションも書く作家に華麗なる転身を図られたようです。かなり経済、特に株式や金融ものの著作が多いのに、意外にも出身は、政経学部ではなくて、文学部でしたので、「金融リテラシー」については、かなり独学されたようです。そのせいか、既成の学術理論には染まっていない気がします。

 城門より城内を Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

 この本も独学の成果の一つでしょう。

 「宝くじとは『愚か者に課せられた税金』」だの、「保険商品は宝くじより割の悪いギャンブル」だの「ウマイ話はどこにもない」だの、「金融機関が熱心に勧めるうまそうな話はすべて無視する」といったことは、既に、私も影響を受けた経済評論家の山崎元氏という正統に帝大経済学部で学んだ人と、不思議にもほぼ同じでした。まあ、山崎氏は恐らく、正統派というより、異端でしょうけど、この著書にも啓発される点が多かったです。

 ただ、第5章「『マイホーム』という不動産投資」の中で、マイホームは、「持ち家」より「賃貸」の方がお得と説きながらも、第6章「アベノミクスと日本の未来」になると、リタイアした60代のポートフォリオの不動産資産が40%占めていると、あたかも当然のように、「賃貸」ではなく、「持ち家」が前提になっている論理展開なので、面食らってしまいます。

 まあ、週刊誌と月刊誌に連載していたのをまとめたらしいので、矛盾していてもしょうがないか、という感じはしますが、このままでは、理論的に破綻しています。

 城門内に入ってすぐ Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

 それでも、記憶すべきことを、また換骨奪胎で引用させて頂きます。

・ほとんどの人は、株価が上がったり下がったりするのは理由があると考えている。因果論はものすごく分かりやすいから、私たちは原因と結果を結びつけようとしている。だが、株価の変動には理由がない。

(メデイアや評論家が分析する原油安なんて、関係ないということかなあ)

・過去の株価予想を検証してみると、高給取りの証券アナリストの成績はサルと変わらない。この”不都合な真実”は半世紀前から繰り返し証明されているが、それでも彼らの仕事がなくならないのは、金融業がある種の娯楽産業で、競馬や競輪に予想屋が必要なのと同じだ。

(ひょえー、これは、凄い大胆な理論!でも、抗議する人は、それこそ、「高級取り」を認めたことになってしまうから、誰も抗議なんかしないでしょうね)

・金融リテラシーの高い人は、「誰も未来を知ることはできない」という真理を前提に資産運用を考える。このときに重要なのは、どんな経済変動にも耐えられるよう十分に資産を分散しておくことだ。

(これは、人生も同じでせう。小生も、まさか、あんなことが起きるとは想像だにしなかった)

・有利な投資話があったとしても、あなたのところに来るまにプロたちがおいしいところを全部持って行ってしまっている。直感的に「得だ」と思う話は、すべて胡散臭いと考えて間違いない。

 (まあ、こう引用しても、騙される人は後を絶たないことでしょう。そういう私も…。)