「明日への遺言」 

産経新聞が大々的に宣伝している小泉尭史監督「明日への遺言」を見てきました。

太平洋戦争末期、無差別爆撃を受けた名古屋で、撃墜されてパラシュートで降下した米軍機搭乗員を処刑したことで戦犯裁判にかけられた東海軍司令官・岡田資(たすく)中将の法廷闘争を描いた作品で、原作は大岡昇平の「ながい旅」。

映画の8割近くが法廷シーンで、地味で暗く、娯楽作品ではないので、大ヒットするような作品ではありませんが、ハリウッドに毒された世界中の若者が、こういう映画もあるものだということは知ってほしいものだと思いました。

富司純子ら東映のオールキャストが出演していましたが、それだけに、できれば、岡田中将役が藤田まことではなく、高倉健だったら、どんなにか世界的にも注目されたんであろうかと残念でした。主任弁護士フェザーストン役のロバート・レッサー、主任検察官バーネット大佐役のフレッド・マックイーン(恐らくスティーブ・マックイーンの息子でしょう)の演技はよかったです。それらしく見えました。

 

東京裁判をはじめ、戦勝国による戦犯裁判については、まだまだ、検討すべきことがたくさんあると私自身は感じています。この話は長くなるのでいつかまた。

「ラスト、コーション」の映画評

名匠アン・リー監督の映画「ラスト、コーション」の私の映画評がネットにアップされましたので、もしご興味がある方は覗いてみてください。

この映画については、以前にも少し触れましたが、これは正式(?)なものです。

ちょっと、厳しく書きすぎたので、二水君から「襲撃があるかもしれないぞ」と脅迫(笑)されたのですが、その時は「逃げの(桂)小五郎」で地球の果てまで逃げましょう(笑)。

例によって、記事はスクロールして下の方にあります。

http://www.recordchina.co.jp/group/g15893.html

「ラスト、コーション」を見て

 

「ブロークバック・マウンテン」でアカデミー賞監督賞を受賞したアン・リー(李安)監督の作品映画「ラスト、コーション」をやっと見てきました。「朝の9時15分からの上映だったら大丈夫です」というので、無理に早起きして出かけたのです。非常に期待してみたのですが、途中でちょっとがっかりしてしまいました。

トニー・レオン扮する親日諜報機関の幹部を暗殺する計画が、別所哲也に似た俳優が扮する香港の大学の演劇部の学生を主体にした若者たちだった、という辺りから、ちょっと「話に無理があるなあ」と思ってしまいました。これが、例えば、最初から国民党なり、共産党なり大きな組織がバックにあって、学生たちを手先に使って計画したものであったならば、筋として納得できたのに、惜しいことをしたと思います。

ヒロインのモデル出身の新人タン・ウェイは、林寛子に似て、確かに綺麗ではありますが、服は脱がない方が魅力的でした。

「中国全土に激震が走った」というベッドシーン(そのために、中国でも日本でも満員御礼が続いているのです!)は、アクロバティックな器械体操みたいで、残念なことに(笑)私はあまりエロスを感じませんでした。もう少し穏やかに育めないものかなあと嘆息してしまいました。

総合70点。

よかったのは、1940年代の上海がCGを使ったのでしょうが、よく描かれていたということでしょうか。

 

ただ、「中国映画」のせいか、日本に対する敵意丸出しです。お座敷小唄か、端唄か知りませんが、日本人の軍人の宴会で、芸者が三味線で歌っているのを聴いたトニー・レオンに「調子ぱずれで聴くに堪えない」と、まるで日本の歌が劣等文化の如き言わせしめるぐらいですから、国粋主義者でなくてもカチンときますね。

 

タイトルもどうにかならないもんですかねえ。ラストと言えば、日本人なら誰でも「last 」(最後)だと思うじゃないですか。しかし、実は「lust」。肉欲のことです。中国語名は「色・戒」ですから、これなら少しは意味が分かります。

 

原題をそのままカタカナにして、タイトルにするのは、映画もしくは配給会社の怠慢だと思います。

惜しい人、ヒース・ジャレット

 アン・リー監督の話題の映画「ラスト、コーション」を見に行こうとしました。

 

が、平日の昼間にせっかく並んだのに、映画館の窓口で「満員が予想されますので」という理由で入場を断られてしまいました。確かに、日本アカデミー賞会員会則には、日曜日と祝日は入場できない。満員が予想される場合は、入場をお断りすることがあります…などと銘記されています。

しかし、田舎から1時間半もかけて都心に出てきたのに、門前払いされると、侮辱されたような怒りを感じますね。

日本アカデミー賞会員の威光なんて、そんなものなのかもしれません。黄門様の印籠というわけにはいきませんでした。

 

仕方がないので、アン・リー監督が2005年にアカデミー賞監督賞を受賞した「ブロークバック・マウンテン」のDVDを借りて見ました。

 

話題作とは知っていたのですが、テーマが私の趣味趣向に合わないので、見ていなかったのです。

 

しかし、想像していたより、結構、重いテーマで奥深い内容でしたね。羊飼いのシーンが、本当に綺麗で雄大で、うまく撮れていました。

先日買った私の秘密兵器のDVD機器で見たのですが、字幕なしでは、残念ながら意味が取れませんでした。仕方がないので、英語の字幕を出して見たのですが、呆れたことに、それでも分からないのです。え?これで、通訳の国家試験に合格したの?と自分を恥じてしまうくらいです。

 

例えば、 We pasture the woollies. なんて出てきました。これで、羊を放牧するという意味です。辞書を引かないと分かりませんでした。羊のことをsheepなんて、簡単に言わないんですね。まだまだですね…。

 

特に映画の場合、スラングが多いので、要注意です。例えば、犬のことを dog なんて言わないんです。canineとか気取った言い方をするんです。

さて、この「ブロークバック・マウンテン」のヒーローの一人、ヒース・レジャーが先月22日、28歳の若さでニューヨークで亡くなりましたね。薬物の過剰摂取による事故死のようです。この映画で、夫婦役で共演した女優のミッシェル・ウイリアムズと婚約し、マチルダちゃんをもうけたのですが、籍を入れずに別れたようです。豪州パース出身で、葬儀は地元で、親族のみで十人ぐらいで執り行うと、ヒースの父親のキム氏が明らかにした、と昨日のAPニュースで読みました。

本当に味のある俳優さんでした。

惜しい人を亡くしました。

腹立たしいジョン・レノン

公開日時: 2008年1月29日

 

先日会った日刊ゲンダイ敏腕記者林さんは、ビートルズの来日公演5回のうち、「俺は2回も行った。証拠のチケットの半券もまだ持っているよ」と聞かされ、驚き、羨ましくなり、ついには尊敬してしまいました。

 

私は自他共に認められているかどうか怪しいビートルズ・フリークだからです。

林さんは、団塊の世代で、若い頃、スウエーデンに留学し、そこで知り合ったスウエーデン人の女性と結婚しましたが、最初に彼女に掛けた言葉が

Do you like Beatles?

だったそうです。格好いいですね。

林さんは、今でも、ジョン・レノン・ミュージアムに年に数回は行くというジョン・レノン・ファンです。

 

ジョンといえば、先日、友人から「ジョン・レノン 120の言葉」(ディスカバー)を貸してもらいました。ジョン・レノンの歌詞やインタビューで語った際の言葉が収録されています。これまで、どこかで読んだり、聞いたりしたことばかりでしたが、一つだけ、知らなかった、気になる言葉がありました。ジョンの言葉ではなく、最初の妻シンシアとの間に生まれた息子ジュリアンの言葉です。

「悲しいけど、僕はジョン・レノンという人間をあまり知らなかったんだ。僕のことをほったらかしてにして平和や愛を熱心に説いている父親の姿を見ると、腹立たしかったよ。平和も愛も僕のもとへはやってこなかったからね」

「アース」

 話題の映画「アース」を見てきました。すごーく期待していたので、ほんの少し、がっかりしましたね。いや、自分では何もできないくせに、ないものねだりに過ぎないのですが、正直、物足りなかったのです。だから、79点。

 

何が物足りなかったか、というと、ディズニー映画のように、「動物万歳!」の視点で撮られており、肉食動物が狩りをするにしても、襲ったところで、お仕舞いにしています。子供たちにあまり残酷なシーンは見せたくないという配慮なのかもしれませんが、自然の過酷さが伝わってきません。

 

でも、内容は本当に素晴らしいのですよ。北極から南極に至るまで、地球に棲む動植物が精一杯生き抜く姿勢が描かれています。ヒトは登場しません。主人公はホッキョクグマであったり、アフリカゾウであったり、鯨だったり、サイベリアのタンドラ(つまり、日本語ではシベリアのツンドラ)だったり、壮大な瀑布だったりします。

地球温暖化の影響で、北極の氷が解け、2030年までに、ホッキョクグマは絶滅すると警告しています。お腹を空かして体重が半分にまで落ちこんだホッキョクグマが、やっとセイウチの集団を見つけますが、狩りをする体力も残っておらず、結局、餓死してしまうところまで映されています。

 

映像は素晴らしいの一言で、誰もが「どうやって撮ったのだろう」と疑問を持つに違いありません。空から撮ったことは分かりますが、ヘリコプターなら、もっと映像がぶれるはずです。鳥が空を飛んで眺めているように、映像は「なめらか」なのです。

この地球は人間だけのものではない、ということをこの映画は伝えたかったのでしょうか?

深く考えさせられる映画でもあります。

「続・三丁目の夕日」

 芥川賞に「乳と卵」の川上未映子さん(31)、直木賞に「私の男」の桜庭一樹さん(36)が受賞されました。おめでとうございます。特に、川上さんはシンガーソングライターで、アルバムを3枚も出しましたが、全く売れず、作家生活わずか9ヶ月で受賞したというのですから、ラッキーガールですね。父親が定職につかず、貧しかったという報道もあります。

 

たまたま、偶然、昨日、映画「続・三丁目の夕日」を見ました。作家の茶川さんが、芥川賞を受賞するかどうかという話だったのです。いやあ、涙が何度も出てくるほど感動しました。甘いですが90点をつけちゃいます。

 

東京タワーが完成した昭和33年から東京五輪が開催される昭和39年の間の出来事のようです。まだ、首都高速もできていません。銀座の数寄屋橋は埋め立てられておらず、橋の下に川が流れていました。もちろん、CGなのでしょうが、本当によくできていました。人物造形もしっかりしており、映像で感動させる要素に欠かせない「子供」と「動物」と「家族愛」が全面的に押し出されていました。

 

昭和三十年代にあんなに芥川賞の発表が騒がれていたのかなあ、と思いましたが、石原慎太郎が「太陽の季節」で芥川賞を取ったのが昭和31年ですから、全くなきにしもあらずでしょう。あそこまで、騒いでいたかは疑問ですが。

 

私のような昭和三十年代を知る者にとってはノスタルジーを感じて感動が倍増してしまうのですが、私の隣の隣りの席に座っていた20歳代と思われる若い女性からもすすり泣きの声が聞こえてきたくらいですから、万人を感動させる要素をこの映画は持っていると思われます。

 

皆さんにもお奨めです。

我がオーディオ・ビジュアル遍歴

 公開日時: 2008年1月13日

先日、DVD再生機を買ったため、私のこれまでのオーディオ・ビジュアル(AV)遍歴に思いを馳せてしまいました。私たちの世代ほど、色んな機器やソフトに遭遇した世代はないと断言できます。

 

まず、小さい頃、家にSPと蓄音機があったのです。夭折した祖父が音楽の先生だったため、当時の人にしては結構、クラシックの名盤を持っていたようです。でも、私が覚えている範囲では、家にあったのは、童謡です。「かわいい、かわいいお魚屋さん」とか「青い目をしたお人形」なんて曲があったような気がします。78回転のSPは、落とすとパリンと簡単に割れてしまい、引越しで蓄音機とも処分してしまったんじゃないでしょうか。

 

小学生の頃は、ソノシートでした。「忍者部隊月光」だの「忍者サスケ」だの「鉄人28号」だのといったソノシートを買ってもらいました。少年向けの月刊漫画誌「冒険王」や「少年」などに付録としてソノシートが付いていたと思います。

その頃、兄がよくビートルズのレコードを借りてきました。ということは家にレコードプレーヤーがあったということなのでしょうね。覚えているのは、本当に、雑なスピーカーが1つ内蔵された小さなプレーヤーです。ビートルズのレコードで覚えているのは、4曲ぐらい入っているEP盤です。四人が大きなバネみたいなものを持っているジャケットで、当時日本の何処にも売っていなかったピンクのボタンダウンのシャツを着ていて、「格好いいなあ」と思いました。「ミッシェル」「ガール」「一人ぼっちのあいつ」などが入っていました。1965年のラバーソウルの頃ですが、当時はとてもLPなど高くて手に入りませんでした。

私が生まれて初めて買ったシングル盤はビートルズではなく、どういうわけかビージーズの「ジョーク」です。400円だったことは覚えていますが、B面の曲は覚えていないんですよね。もちろん、レコード自体もどっかにいってしまいました。

兄がビートルズ派だったのに対し、姉はローリング・ストーンズ派でした。「ビッグ・ヒッツ」というベスト盤を借りてきたのか買ったのか持っていました。おかげで、ビートルズもストーンズも初期の頃からほとんど聴くことができたのです。

初めて父がステレオを買ったのは1969年でした。ソニーのインテグラという奴です。その時に初めてビートルズのLPを買ってもらいました。ビートルズはまだ現役だったので新譜です。そう「アビイロード」です。それからはビートルズに狂って、LPを買い集め、高校生の頃にはほとんど彼らのLPを買い揃えました。もうビートルズは解散してしまい、レッドツェッペリンやイエスやT-REXなどにも夢中になりましたけど、長くなるので後日また。

AVの話でした。テープレコーダーもソニーのオープンリールのものが小学生の頃にあり、カセットテープに変わったのがいつか覚えていません。しばらく、LPとカセットの幸せの時代が続きましたが、1980年代の後半になって、段々CDに席捲され、91年か92年にせっかく集めたLP、シングルはすべて中古屋さんに売ってしまいました。ビートルズの貴重な海賊盤もあり、私には宝物で百枚ぐらいあったのですが、全部で1万円にしかなりませんでした。1枚百円だったとは!

MDを買ったのは結構遅く、1998年から99年くらいじゃなかったでしょうか。これで、カセットは次第に消えました。

これで充分かと思ったら、iPodが出てきました。これは語学の勉強のために、2006年に買いました。遅いでしょう?そして、今年のDVDです。家庭用のDVD機器が1996年に出たということですから、これまた遅い!

ところで、もう、最近の若者たちはCDだのMDだのといったパッケージものは買わないそうですね。iPodなどにダウンロードするんですよ。昔はレコードジャケットにその芸術性と憧れと希望があったものです。「サージェント」のジャケットがその代表です。ジャズもそうです。コルトレーンもマイルスも名盤と言われるLPにはジャケットには味がありました。ジャケットに憧れてLPを買ったものです。

今週の英経済誌「エコノミスト」によると、、EMIの重役が、最近の若者の音楽の嗜好と動向を知りたくて、10代の若者をロンドンの本社に招待したそうです。話を聞き、終わってから、「お礼に君たちの好きなCDを、何でも好きなだけ自由に持っていっていいですよ」と若者たちに呼びかけたそうです。それなのに、CDを持ち帰った若者は一人もいなかった!というエピソードを紹介しています。これが2006年の話なのです。今、CDの売り上げが驚愕するほど落ちているという話です。

えー!信じられません。私の場合は、好きなアーティストならすべてのCDを集めたいくらいなのですが、今の若者は「いいとこ取り」で、アーティストに拘らず、いい曲だけをダウンロードするようなのですね。

へーと思ってしまいました。

もう、MDも古臭い媒体になりつつあり、今、ICレコーダーといって、ステレオで585時間も録音できるような機器が登場しています。据え置きのテレビ録画機もDVDなんてもう面倒臭いものは使わずハードディスクに直接入れてしまう。いやあ、もう、すごい進歩というか進化です。

こうして、見ていくと、SP-ソノシートーLP-オープンリールーカセットーMD-VHS-DVDーICレコーダーと、すべて、「互換性」がないので、その度に次々と買わされて、欺瞞というか、騙されたような気になります。

だって、もう、SPもソノシートもLPもテープもVHSも用済みになってしまったからです!

しかし、「内需拡大」に貢献するわけですし、日本経済の発展にもつながります。後ろ向きにならず、「長生きしてよかった」と思うことにしています。

ついに買ってしまいました!

 

自他ともにビートルズ・フリークを任ずる私なのですが、ついにDVDプレーヤーを買ってしまいました。

某量販店で、ビートルズの「アンソロジー」5枚組セットが、定価1万5750円のところを、何と半額以下の6980円で売っていたのです。「アンソロジー」はVHSのビデオは持っていたのですが(というより、私のビートルズ・フリークを知っているアメリカに住む今村君が態々贈ってくれたのです)、DVDには「スタッフ編集秘話」などのおまけが付いているので、いつか買いたいなあ、と思っていたのです。

半額以下ですよ!これは、買うしかありません。

でも、ソフトは買っても、専用再生機は持っていません。そこで、小さな8型の画面のポータブルのDVD再生機も、思い切って買ってしまいました。

ポータブルにしたのは、英語の字幕を出して、語学の勉強を兼ねてやろうという魂胆があったからです。

買うときは、本当に清水の舞台から飛び降りる感じでした(大袈裟~)が、買ってよかったです。

特に、ビートルズの連中の英語の発音は聴き取りにくく、字幕を見て、「ああ、そうだったのか」と分かることがしばしばだからです。彼らは、リバプール出身なので、訛りがひどいのです。リバプールは、ロンドンの北東に位置し、列車で2時間半くらいかかるので、日本でいえば、リバプールは仙台と考えていいのではないしょうか。

ジョン・レノンもリバプール訛りを認めています。あるインタビューで「ロンドンでは、grassのことを、グラ~スなんて気取って発音するけど、俺たちはストレートにグラスって言うんだよ」なんて、発言していましたが、やはり、ジョンが一番、聴きとりにくいですね。次はジョージ・ハリスン。ポール・マッカトニーとリンゴ・スターは割りと分かりやすい発音をしてくれます。

これで(生きる)楽しみが1つ増えました。今、古い映画ならDVDのソフトがわずか500円で買えますからね。素晴らしいことです。チャップリンはすべて集めたいし、007シリーズも欲しいし、ゴッド・ファーザーも欲しいし、ヒッチコックもヴィスコンティも欲しい…。困ってしまいますね。

でも、今、一番欲しいのは、ルネ・クレマン監督の「太陽がいっぱい」(1960年)です。この映画には、人生の絶頂と転落と悲哀と人間の傲慢さと嫉妬と愛と裏切りと勇気と冒険と経済と観光と…何かすべてが織り込まれているようで、何度見ても飽きないのです。劇場とテレビで50回以上は見ています。

ああ、止まらなくなりそうなので、今日はこの辺で。

「茶々」と「ナショナル・トレジャー」

今日はお休みで、銀座で映画を2本も見てきてしまいました。お正月から働いてきたので、まあ、それぐらい許してください。

実は、今年から日本アカデミー賞協会会員になったため、割かし、映画はスムーズに見られるようになったのです。ただし、お断りしておきますが、会員になったからといっても、ちゃんと入会費と会費は払っております。映画館で見られると言っても、初日や日曜祭日は駄目です。指定の映画館でしか見られませんし、満員の場合は入場を断られるという制約があります。

それでも、ある人物(複数)のご厚情に縋って、何とか会員になることができました。やはり、賞の選考をしたかったのが一番大きい理由ですかね。

でも、会員として映画を鑑賞するとなると、どうも粗捜しばかりやってしまい、純粋に楽しむことが難しくなってしまいました。一番恐れていたことですが…。

今日見たのは、豊臣秀吉の側室、淀の君の生涯を描いた「茶々」と、ニコラス・ケイジ主演の「ナショナル・トレジャー2」です。

「茶々」が60点、「ナショナル・トレジャー」が70点といったところでしょうか。

「茶々」の主演の淀君は和央ようか。この人、宝塚の雪組、宙組の男役2番手の頃、舞台でよく拝見していたのですが、やはり、宝塚男役の演技になっていました。声も地声なのか、野太く、とても姫らしくない。ミスキャストじゃないでしょうか。秀頼にしても、どう計算しても、秀吉はその頃、遠征中で、秀吉の子としては考えられず、「不義の子」であるという説が有力なのに、その辺は全く触れられていません。脚本のミスではないでしょうか。ただ、茶々を格好良く見せたいがためのエンターテインメントだとしたら、それでいいのかもしれませんが。

ただし、大坂城の燃え盛るシーンや、内部の調度品、屏風など、CGを使っていたにせよ、舞台セットには見るべきものがありました。

ケチばかり付けてしまいましたが、私なんか二度ほど不覚にもホロリとさせられる場面がありました。

「ナショナル・トレジャー リンカーン暗殺者の日記」は冒険活劇ともいうべき作品ですが、私は、どうも、主演のニコラス・ケイジに魅力を感じず、これまで、彼の主演作は一本も見てこなかったんですよねえ。ストーリー展開に難があるなんて、こましゃくれた事を言ってしまえば、身も蓋もないのですが、ただ2時間、ジェットコースターに乗った気分で、場面の中に入り込みたいのなら、それで楽しめる作品だと思います。「全世界を揺るがす陰謀」と言われても、どこに陰謀があるのか最後までわかりませんでしたが…。