話題の映画「Always 三丁目の夕日」(山崎貴監督)を見に行ってきました。自分自身も昭和三十三年の東京にタイムスリップしたような感じで大いに泣いて、笑いました。
原作は西岸良平の漫画「三丁目の夕日」。小学館のコミック雑誌に1974年から連載開始したということですから、もう30年以上も熱心なファンに支えられています。単行本も50巻くらい出ているらしく累計で1400万部に上るというのですから、驚きです。
いい映画を観ると、人にしゃべりたくなるのですが、この映画は本当に何でもしゃべりたくなるほど面白かったです。主演は、三流作家の茶川竜之介役の吉岡秀隆、「鈴木オート」の社長、鈴木則文役の堤真一、その妻トシエ役に薬師丸ひろ子、居酒屋「やまふじ」のおかみ石崎ヒロミ役の小雪と、芸達者がそろいましたが、子役が本当にいい。鈴木オートの一人息子、一平の小清水一輝、淳之介の須賀健太ら本当に驚くほど自然な演技で、思わず感情移入してしまいました。
ストーリーを明かすのは違反なのでやめますが、昭和三十三年の東京の下町、夕日町三丁目の商店街が舞台で、青森から集団就職で、一人の少女、星野六子(堀北真希)が自動車修理工場の「鈴木オート」にやって来るところから物語が始まります。東京タワーが建設中だったり、力道山のプロレスに興奮したり、当時の時代背景が濃密に描かれています。
CG技術の進歩で、昭和三十年代の上野駅や蒸気機関車などが再現されて、本当に感心してしまいました。山崎監督の御手のもので、これらの技術を最近、VFX(visual effects)というらしいですね。三、四年前に見た「スパイ・ゾルゲ」で戦前の銀座などがCGで再現され、驚いてしまいましたが、今回は、変な言い方ですが、CGとは思えないくらい精巧でした。
昭和三十年代に子供時代を送った私としては、この映画は涙なしでは見られませんでした。「懐古趣味」と言われれば、胸を張って「その通りです」とお答えします。子供時代が楽しかったのは、高度成長期という時代が面白かったのですね。今日はお家に冷蔵庫が入った、今日はテレビ、明日は、自動車を買った…と本当に、毎日が充実していた気がします。
長くなるので、この辺でやめますが、我が家に初めて車を買った日を覚えています。父親が買った「スバル360」で、本当に中古で、すぐエンストしていました。3万円くらいだったのでは。
いずれにせよ、昔は「邦画は洋画に劣るのではないか」という変な脅迫観念に駆られていたのですが、この映画を見ると、派手なアクションと大袈裟なドラマ仕立ての作り物の薄っぺらい洋画なんて大したことがないと、確信できました。感動の度合いが違うと言っていいでしょう。
邦画製作関係の皆さん、大いに自信を持ってください!