深い悲しみに襲われた時、胸の奥に小さな空洞ができることがわかりました。
「胸にぽっかり穴があいた」というのは、単なる比喩で典型的な文学的な表現だと思っていたのですが、深い悲しみに襲われると、本当に胸にぽっかりと穴があくようです。
それが、半仮睡状態で起きると、その開いた穴から魂が抜け出てしまうような感覚になり、そのまま深い深い暗い暗い闇の中に吸い込まれてしまう気がします。
その感覚は、恐怖感とは少し違うのです。
その感覚を我慢すれば、そのまま、すんなりとあちらの世界―つまり、彼岸に到達してしまうのではないかという感覚に近いのです。
その時、ハッとして正気を取り戻します。
そうでもしないと、本当にあの世に行ってしまう気がするのです。