見るのを本当に楽しみにしていたドキュメンタリー映画「靖国 YASUKUNI」が、ついに上映中止になってしまいました。
本当に由々しき事態です。「憲法で保障されている表現の自由を侵している」なんて大上段に構えたくはないのですが、「いやあな感じ」がします。
上映中止の理由が「近隣に迷惑を及ぼす可能性がある」というのが劇場側の主な言い分で、いわば「不測の事態」に備えた事前の自主規制なのですが、こんなことをすれば誰が一番喜ぶのでしょうか。
この映画は、日中合作映画で、監督は19年間、日本に住む中国人の李いん監督。そもそも、文化庁の所轄の芸術文化振興基金から750万円の助成を受けていることから、一部国会議員が問題視して「事前検閲」したことから、問題は大きく広がりました。
しかし、問題視した自民党の稲田朋美代議士は「問題にしたのは助成の妥当性であり、映画の上映の是非を問題にしたことは一度もない。いかなる内容であれ、それを政治家が批判し上映をやめさせるようなことが許されてはならない」とコメントしているので、きっかけを作った本人とは違う方向に事態が推移したことになります。
いわば「見えない圧力」に屈服したことになります。
しかし、実際、何かが起きると、例えば、トラブル等で死傷者が出る不測の事態などが起きたりすると、マスコミは節操がないですから「上映した映画館が悪い」などと狼煙を上げたりします。ですから、上映中止を決めた配給会社や劇場を責めるつもりはありません。
ただ一介の市民として香港国際映画祭で最優秀ドキュメンタリー賞を受賞した作品を見たいだけなのです。
私自身は政治的にはニュートラルなのですが、心情的には、国家転覆を目論見、私有財産を否定し教条主義的言辞で煙に巻く極左よりも、義理人情と儀礼を重んじ日本の伝統を大事にする極右の人の方が、どちらかといえば、我々の文化的資源を守ってくれるという印象があります。
まだ「見えない圧力」と名指しされた人はいないのですが、心外に思われる方がいるなら、是非、「上映運動」を起こしてもらいたいものです。
よほどひどい映画なら批判すればいいのであって、それを見せる前から門前払いをするのはおかしいでしょう。いずれにせよ、問題視された助成金は戻ってくるわけではないのでしょう?
おかしいものはおかしい。