2002年に鈴木宗男代議士が、斡旋収賄容疑で逮捕された時、ほとんどブラウン管の中の異次元の人の世界で、他人事のように、眺めていたものですが、北海道に住んでみると、全く、他人事ではありえず、大都会と強者中心の市場原理が苛立つほど、身近に感じる今日このごろです。
変な書き出しですが、今日、彼の新著『闇権力の執行人』を買って、読み始めてみると、その観念を強くしたのでした。
3年前のあの「事件」で、テレビの前の観衆(そう、お客さんといってもいいのです。今では、もうすっかり、鈴木宗男事件など忘れ、今は、姉歯や、内河や小嶋の偽装建築問題に心を奪われております)が、印象に残っているのは、演出されたテレビの画像で流された鈴木宗男の悪相と、ムネオハウスと、ムルワカとか呼ばれた異様に背の高いアフリカ人、田中真紀子の常軌を逸した我侭、それぐらいです。
いずれにせよ、「鈴木宗男=悪」という単純構造が刷り込みされたことは確かです。当時、東京近辺に住んでいた私もその一人でした。
それが、事件の渦中の一人であった外務省の元主任分析官の佐藤優氏の『国家の罠ー外務省のラスプーチンと呼ばれて』(新潮社)を読んで、目からウロコが落ちるように初めて真相を知らされたような気分に陥ってからは、これまでの単眼的思考を改めなければならないという自覚に迫られました。
佐藤氏の著作を読んだ後だったので、鈴木氏のこの本も、「なるほど」と思わされるものがあり、次のページをめくるのがもったいないほど、今、のめりこんでいます。ここまで、実名と写真を掲載してしまって大丈夫なのだろうかと心配してしまうほどです。
これまで、政治家が企業にたかる話は五万と聞いたことがありますが、外務省の官僚がここまで、一人の政治家(鈴木宗男氏のこと)にたかりまくっていたとは、俄かに信じられません。
この本は出版されたばかり(奥付は2006年1月1日 第1刷発行)なので、「名誉毀損」問題を含めて、今後の展開が注目されそうです。
鈴木宗男氏は「真実を書いたまで」とつっぱねるでしょうが、槍玉に上がっている外務省官僚は立つ瀬がないですね。ロシア課長の松田邦紀という男については、こいつがどんな人格の持ち主なのか、税金を払っている日本国民は全員知るべきでしょう。知らないというのは、怠慢に他なりません。彼がどんな悪行を犯して、ロシア課長のポジションにおさまっているのか、普通の企業に勤めている一般人にはとても想像つかないはずです。(これも鈴木氏の一方的な開陳なので、心してかからなければならないのですが、もし鈴木氏の陳述が事実なら、松田は刑罰に値する最悪の人間です)
12月28日には、たまたま鈴木宗男氏と会う機会があるので、この本を巡って、色々と聞いてみたいと思います。
その時また。