「007 カジノ・ロワイヤル」

紫竹ガーデン

007の最新作を見てきました。これでも、私は、こと007に関しては年季が入っていて、初代のボンド役のショーン・コネリーから40年くらい見続けてきました。今回の6代目のボンド役のダニエル・クレイグが素晴らしいというので、半信半疑で見に行ったのですが、噂に違わず、合格点でした。撮影時には恐らく37歳くらいだったでしょうが、21世紀のボンドにうってつけでした。

「カジノ・ロワイヤル」は1953年の作品で、原作者のイアン・フレミングのシリーズ第一作です。従って「殺しのライセンス」00(ダブルオー)を持った秘密諜報員の誕生秘話が明かされています。

今まで、見てきたジェームズ・ボンドとは違って、精神的肉体的「弱さ」が全面的に出て、あまりにも人間的なので驚いてしまいました。これまでのボンドは、冷酷で不死身の超人的過ぎて、ちょっと面白みに欠けていました。今回の人間的なボンド役のダニエル・クレイグは、ぴったりはまっているのです。撮影では、なるべくCGを使わずに、生身でスタントマンを使わないところがすごかったです。

もちろん、ボンドガール、ヴェスパー役のフランス人女優エヴァ・グリーン(常緑という意味になるので可笑しい。芸名なのかしら?)の美しかったこと。非常に魅力的でした。と書いて、何と、つまらない感想しか書けないものか自分でも情けなくなりますが、あまり、内容を書いてしまうと、これから見る人にはつまらなくなってしまいますからやめておきます。

この映画には、いろんな製品が登場します。ソニーのパソコン「VAIO」とデジカメ「サイバーショット」、そして何と言ってもソニー・エリクソン社製の携帯電話が、これでもか、これでもかとさりげなく登場しますが、この映画は「ソニー映画」だったのですね。腕時計はスイスの「オメガ」でしたし、サングラスはイタリアの「ペルソル」、「ハイネケン」ビールも出てきましたね。

こういうのを、英語で product placement というそうです。「製品配置」もしくは「製品紹介」と訳せばいいのでしょうか。意訳すれば「商品宣伝」ということです。観客にそれとなく、見せて、買わせるという、絶大な効果をもたらすのです!こういうのって、サブリミナル効果ではないでしょうか?でも、ボンド車のアストン・マーティンは、欲しくても誰でも買える代物ではありませんけどね。

おためごかし

帯広動物園

 公開日時: 2006年12月10日 @ 10:32

昨日、書いた細木数子氏のことで、何か言い足りなりないなあ、と思っていたら「おためごかし」という言葉が思い浮かびました。「御為倒し」と書きます。

広辞苑には「表面は相手のためになるように見せかけて、実は自分の利益をはかること」と説明があります。

人は、身近な家族や友人らが亡くなったり、交通事故に遭ったりして、不幸に苛まれた時、気落ちします。そんな時に、「あんた、ご先祖さまの供養が足りないからそういうことになるんだよ」と言われてごらんなさい。それは、思い当たるフシがある人は、本当に驚いて、自己嫌悪に陥りますよね。深く深く反省するものです。

そして、続けて「もっと、ご先祖さまに合った仏壇を買いなさい。墓石を買いなさい。そうすれば、運勢が良くなりますよ」と言われれば、誰でもすっと信じて、買ってしまいますよね。相手が自称占い師なら尚更のことです。

しかし、この占いも、実は人の資料をを出し抜いたパクリで、仏壇も墓石も自分の系列会社になっていて、売り上げのマージンが入るカラクリになっていたとしたら、どうでしょう?これは、限りなく「詐欺 scam」に近いですよね。

詐欺師は、相手の不安や欲につけこみます。

Swindlers often play on feelings of insecurity or greed.

騙された人間も、不安や欲に駆られて行ったものであったとしたら、多少の後ろめたさがあって、結局、日本人の多くの場合、泣き寝入りに終わることが多いのです。だから、表沙汰になるケースが少ないのです。

はっきり書きます。細木氏は、限りなく詐欺師 con artist に近い確信犯です。

恐らく騙されるような多くの人は、毎日、テレビしか見ることがなく、「ガハハ」と笑いながら、毎晩眠りにつくことでしょう。「自分だけは騙されない」という妙な自信と安心感を持っていることでしょう。

そういう人こそ危ない。気がついたら、身ぐるみ剥がされているのです。

「細木数子 魔女の履歴書」

ヴェニス

 

溝口敦著「細木数子 魔女の履歴書」を読了しました。「週刊現代」連載時にチラチラ読んでいたのですが、こうしてまとめて読んでみると、複雑な思いにかられます。なぜなら、彼女の出演するテレビ番組は相変わらず高視聴率を獲得し、マスコミもスポンサーもそして、騙されたフリをしている視聴者も皆グルだからです。

 

お笑いやヴァラエティーとして「他人事」として笑って見ているのなら、まだ許されているでしょうが、この本には、そんなことでは済まされない驚愕の事実がこれでもか、これでもか、といった調子で書かれています。

 

著者が断罪する「女ヤクザ」細木氏の商法が暴かれています。

 

①テレビ出演料(フジテレビ系「幸せって何だっけ」、TBS系「ズバリ言うわよ」など)約4億円

 

②占い本印税(「六星占術」累計6500万部など)約4億円

 

③携帯アクセス代(「六星占術」会員約100万人)約12億円

 

④講演・勉強会、鑑定、墓石・仏壇販売マージン等で約4億円

 

合計年収約24億円!

 

信じる人も信じない人も「たかが占い」ということで、「人畜無害」で済めば許されるでしょうが、細木氏に限って、その影響力は絶大です。テレビで有名になって、占い本を買わせて、鑑定や講演会で「先祖を大事にしなければ、地獄に堕ちるぞ」と脅迫して、墓石や仏壇を買わせるどこかの宗教団体の「霊感商法」みたいなカラクリが暴かれているのです。細木氏は、若い頃、暴力団「小金井一家」8代目総長で二率会会長代行の堀尾昌志氏と30年間内縁関係にあったなど、裏社会に精通しており、その「恐喝」ぶりは筋金入りだと暴露されています。

 

そもそも、「六星占術」自体が、神・真理星占学会会長の神熙玲(じんきれい)氏(本名小林真津子)の「六大天冲殺」の資料をパクッたものであるという事実が本書で初めて明らかにされています。

 

借金を抱えて困っていた歌手の島倉千代子は、まだまだ「金のなる木」であることを察知して、細木氏は彼女に取り入って、マネジャー役を買って出て、結局、9億5千万円もの大金を手にしていった話なども圧巻です。

 

まあ、ほとんどの日本国民はこの本を読むことはなく、細木氏を「先生」と崇めて、本を買い、仏壇を買い、墓石を買っていくことでしょうね。

 

テレビの高視聴率がそれを証明しています。

レディーフィンガー山

以前、このブログで紹介したことがある「ガルーダとナーガ」http://blog.goo.ne.jp/keiryusai/d/20061105に登場する山本悦夫さんから、綺麗な山々が載った彼のブログを紹介されました。初めて見る景色でした。

あまりにも綺麗なので、勝手にリンクさせてもらいました。

 メールの説明文として

「今、パキスタンのガンダーラから中国との国境に向かっているところです。ヒマラヤ、カラコルム、ヒンズークシュ山脈などを眺めながら中国の新彊、タクラマカン砂漠の方に出ます。5000メートルに近いクンジュラブ峠を越えれば中国です」と書かれています。

ご興味のある方は、下をクリックしください。

http://garudatengu.no-blog.jp/index/

ジョン・レノンの命日

ヴェニス

公開日時: 2006年12月8日

今日は、どうも気持ちが不安定だなあと思ったら、ジョン・レノンの命日でした。彼が狂信的なファンにNYの自宅マンションの前で射殺されてもう26年の歳月が経ちました。早いものです。と、月並みな感想しか出てきません。

NYのセントラルパークの一角にある「ストロベリー・フィールズ」でファンによる追悼が行われるようですが、公園内なので、条例により、騒音を出すことが禁止されています。「でも、この日は特別な日なので、少しは緩和してほしい」というファンが当局に要望したという記事を数日前に見かけました。

ジョンは、奥さんが日本人だったせいか、日本にはかなり関心を持っていたようですね。歌舞伎や能や禅や書など、短期間で日本の文化をかなり吸収していたようです。「晩年」は毎夏のように軽井沢の万平ホテルを定宿にして訪れていました。私の大学時代の先輩の友人が当時、このホテル http://mampei.co.jp/で、ボーイのアルバイトをしていて、目の前を、ジョン・レノンが通り過ぎた時、思わず、直立不動して何も声が掛けられなかったという話を聞いたことがあります。

私もそんな感じになるでしょうね。

ビートルズ・フリークの私なので、幸運にもポールとジョージとリンゴの3人は来日公演で、彼らの勇姿を見ることができましたが、ジョンだけは、会うことができませんでした。それだけが心残りです。

今日は部屋でジョンのCDをかけまくることにします。

 

敗者でも被害者でもなく

昭和新山

アメリカのベーカー元国務長官らが率いる超党派組織「イラク研究グループ」が、ブッシュ大統領に対して、イラク政策見直しの報告書を提出しました。それによると、駐留米軍の戦闘部隊を2008年3月までに段階的にイラクから撤退させることを求めています。

遠回しな言い方ですが、米軍のイラク敗戦ということでしょうか。イラク戦争では、11月末の時点で、米軍は第2次世界大戦で戦った3年8ヶ月を越え、死者も2900人を超えています。一説では、アフガン、イラク戦争で、身体的に精神的に負傷、障害を蒙った米兵は15万人以上と言われています。

米国の独立戦争が6年9ヶ月、南北戦争が4年、ヴェトナム戦争が8年5ヶ月続いたそうです。3年9ヶ月はこれに迫る期間の長さです。

第2次大戦の米軍の死者は約40万人、ヴェトナム戦争では約5万6千人、朝鮮戦争では約3万3千人と言われています。

アメリカの威信が失墜しています。中間選挙に敗れたブッシュ大統領は、最近、見るも無残なほど元気がありません。アメリカの傘の中にいる小さな島国が、この先どうなってしまうのか心配です。

ただ言えるの、もう軍事力だけで、他国を支配できる時代は終わったということです。

最近、この小さな島国に住んでいると、世間では「勝った、負けた」「やった、やられた」「いじめた、いじめられた」の二元論のみで思考と行動パターンが施行されているような気がします。

先日、ある人からメールをもらいました。

「あなたは、敗者でも被害者でもない。自分の心に聞いて、良心に恥じない行動をしてください」

この言葉には、ひどく感銘しましたね。

私への個人的な諫言でしたが、世界の指導者にも聞いてほしいくらいです。

格差社会の申し子

上海

公開日時: 2006年12月6日 @ 09:22

最近、新聞紙上でも格差社会の申し子のような人々がたくさん登場するようになりました。

例えば、5日付の朝日新聞朝刊。一面に連載されている連載企画「分裂にっぽん 政府の役割」の中で、同世代の単身世帯の生活保護基準(月約13万円)より低い賃金しかもらっていない京都市の保育園の職員(24)が登場しています。非常勤採用で時給840円。朝8時半から夕方5時まで働き、手取りが月10万円前後。アパートの家賃が4万円。食費は1日700円から千円で、卵やモヤシなど安い食材で自炊する生活。

同紙生活面の連載企画「漂う雇用 派遣法20年の現実」では、時給1100円で自動車部品工場に派遣社員として働く42歳の男性が登場しています。妻(39)と小学生の息子の3人家族。大学卒業後、東京でIT関係の会社に勤め、妻と合わせ収入が1000万円の時もありました。海外旅行や高級レストランで食事をしてバブル全盛期を楽しみました。それが、8年前に故郷にUターンし、年収550万円の仕事も見つけ、マンションを購入し、新生活も順調にいってましたが、3年前に人間関係に悩んで再就職先を退職。新たに始めた損害保険の代理店もうまくいかず、結局、派遣社員の道に進んだといいいます。恐らく年収は230万円程度ではないでしょうか。

以前、紹介した内橋克人さんの「悪夢のサイクル」に書いてあった通りの現実です。

重要な話なので、再録します。

・日本の一世帯当たりの年間所得の中央値は476万円で、その半分の238万円以下の所得で生活する貧困層が6・5世帯に1世帯もある。

・極端なリストラが進んだこの10年で460万人の正社員が失われ、代わって663万人ものパートやアルバイトが増加。正社員の平均年収が454万円なので、派遣社員(平均年収204万円)ならその半分、パート(同111万円)ならその4分の1の賃金で労働力が確保できるため、非正社員化に拍車がかかった

満洲秘話

ヴェニスにて


昨晩は、友人のT君と北浦和の居酒屋「和民」で痛飲。安いチェーン店なのに、越乃寒梅をしこたま飲んだら、目の玉が飛び出る金額を請求されてしまいました。


T君とは、学生時代からの付き合いなのに、話が尽きません。昨晩、彼の両親のことを聞きました。二人とも、戦時中に満洲に居たというのです。初めて聞く話でした。母親は彼が中学3年生の時、病気で亡くなり、父親ももう10年以上前に亡くなりました。


母親が本当に謎だらけの人で、本名でさえ、家族のものに明かさなかったというのです。父親は昭和4年生まれで、「私は一歳上の年上女房よ」と家族に公言し、「けいこと呼ばれているけど、本名は辰子なのよ」と話していたそうです。1歳上なら昭和3年生まれになり、その年は、辰年なので、それが、真実だと思われていました。それが、亡くなった時、戸籍を調べたら、大正15年生まれだったのです。もともと、長崎出身でしたが、長崎から船に乗って神戸に着き、それから、流れ流れて三重県に辿り着き、彼の父親と知り合うのです。その間に、満洲にも居たらしいのですが、真相は不明です。


彼の父親は、満鉄(南満洲鉄道)に勤めていたそうです。年齢を逆算すると、15,6歳ですから、少年の下働き仕事だったと想像されます。そこで、日本人の残虐性を目の当たりにしてしまったそうです。「人間、ここまで、苛烈に残酷になれるものなのか!?」と衝撃を受け、その後の彼の人生を貫く虚無感が形成されてしまったようです。何の罪もない中国人を捕まえてきては、新兵に「試し斬り」をさせたり、婦女子を強姦したりする日本人を沢山みてきたそうです。墓穴掘りまでさせられたそうです。


私も満洲に大変興味があり、沢山の本を読んできましたが、ここまで、リアルに語った話は読んだことがありませんでした。「大東亜共和圏」だの「五族協和」だの高邁な精神だけは叫ばれましたが、実態はこういうものだったのですね。また、「自虐史観」だと批判のコメントが書かれそうですが、こういう無名の人の話を無視してきた、強者からだけ見た歴史には私自身は疑問に思っています。

今年の風邪

美瑛

風邪を引いて、もう10日以上経ちます。熱はないのですが、咳が止まりません。夜中に咳で目が覚めてしまうこともありました。

仕方がないので、診療所に行ってきました。耳鼻咽喉科です。喉の腫れもなく、原因不明で、一応咳止めの薬などももらいましたが、「咳は馬鹿にできません。結核、異型肺炎の恐れもあり」なるどこかの雑誌の記事のコピーも渡されました。

人間、病名を付けると安心するものなのですね。

患者でなくて、医師の方がです。

ブログとフログ

ヴェニス

公開日時: 2006年12月2日 @ 19:48

案の定、私のブログの「個人的な」書き込みには、何の反応もないのに、防衛省のことなど「政治的な」ことを書くと、コメントが殺到するのですね。投稿子は、匿名なので、どなたか存じ上げませんが、恐らく自分のことを言われたと思ったから、反論されたのでしょうね。だから、他人の個人的な体験などに対しては「他人事」なので、コメントしょうがないのです。

予想した通りの展開でした。だから、あそこに書いた通り、個人の戦争体験記など読まれないのです。大岡昇平のように文学の芸術の域にまで、高めなければ、相手にもされないのです。

今年3月末の時点で、日本にはブログの利用者が約868万人いるそうです。

インターネット上には、6月現在で、5300万件以上のブログがあり、毎日15万件増えているようです。

そんな数多くのブログの中から、たまたま、「検索」で引っかかったにせよ、私のブログを閲覧して戴き、歓喜に耐えません。

ですから、コメントはそのまま、残すことにしました。

最近、ブログの体裁をしておきながら、自分の利益になるような誘導情報や虚偽の情報を掲載するブログも増えつつあります。英語のfake(嘘の) とblog(ブログ)を造語して、そららはflog(フログ)と呼ばれるそうです。

私のブログは、フログではないことは確かです。ただ、物申したがりの日記に過ぎません。悪しからず。