山崎元著「投資バカにつける薬」

 Nouchavilla

1月13日に書いた渓流斎ブログ「人間にはひねくれた性質があるらしい」に「金満家」さんから貴重なコメントを頂きました。

あのコメントを読んで、私も発奮しましたよ。何しろ、私は自他ともに認める金融リテラシーが大幅に欠けた人間ですからね(笑)。

難しいことは分からないので、やさしそうなものを片っ端から読んでみました。例えば、小宮一慶著「現金は24日におろせ!」(KKベストセラーズ)、同著「お金を知る技術 殖やす技術」(朝日新書)、澤上篤人著「10年先を読む長期投資」(朝日新書)等々です。

なるほど、世の中、こういう金融システムで動いているのか、と入門書としてなかなか勉強できました。

ただ、一番ショックを受けたのが、例のコメントをして下さった「金満家」さんが名前を挙げた山崎元氏の著書でした。「投資バカにつける薬」(講談社)という本です。

実は、まだ途中なのですが、目下、「金融リテラシー界」(そんなもんないですか=笑)で広まっている「常識」に果敢に挑戦し、「こんなことを暴いたら、金融界のボスから暗殺されるのではないか」と思わされるぐらい、著者は、金融界の内幕を暴露しています。

これまでの社会通念といいますか、「常識」への問いかけとその反論で、この本は成り立っています。

例えば、「いま投資すれば、確実に儲けることができます」と言われたら…。「だったら、何故自分で投資しないのですか?」と問え、というのです。要するに販売する証券会社も銀行なども、客(業界ではドブと言っているらしい)の販売手数料さえ取れれば「営業成績」になっていいだけの話で、自分たちは損すると考えているから投資なんかしない、というわけです。

澤上篤人さんの「10年先を読む長期投資」を読んで、「そっかあー、投資は、長期でするものなんだなあ」と感心していたら、山崎さんは「投資に『短期は不利』『長期は有利』という法則は当てはまらない」と、バッサリと袈裟懸けに斬りまくります。

「はじめに」で山崎さんは、「本書の内容は、売り手(銀行、証券会社など)にとって不都合な話ばかりです。こういうことばかり言っていると、私もそのうち売り手に嫌われてしまうかもしれません。(中略)いずれにせよ、個人投資家は自ら理論武装し、正確な知識を身に着けて『投資バカ』を治療し、自分で考えて投資を行えるようにならなければなりません」と明快に書いています。

その上で、「運用商品のほとんどが投資に値しない」「セールスマンの『相場観』は当てにならない」「『売り手の儲けは借りての損』―これはすべての金融商品に当てはまる法則だ」と明記しています。

これからも、世知辛い世の中が続くと思います。既に、変なものに投資してしまった人は、大いに反省して、「理論武装」するしかありませんね。まあ、これだけのことを書いても、著者の山崎さんは、干されたりされないで、今でもご活躍中ですから、彼の「理論」に、皆さんも一度接近してみたらいいかもしれませんね。