年収90万円で生き抜く経済学

銀座~東銀座~新富町~八丁堀

本日2016年9月30日(金)をもちまして、私事渓流亭高田朋之介は、長年通っておりました学校を卒業することに相成りました。

「無遅刻・無欠席の金時計」どころか、遅刻(主に人身事故などの交通機関によるもの)、大病による長期欠席で、学校には迷惑を掛けっぱなしでしたが、ま、それでも卒業証書が貰えるということで、大変おめでたい話ではありまする。

これで、根無し草(デラシネ)の全くの風来坊となりますけんど、今すぐ、社会から独り立ちすることも、理由(わけ)があって当初の目論見通りには行かず。今回、ご縁があって、昔からの知り合いだった尾崎君から、満鉄調査部嘱託の仕事をお世話になることができまして、内務省特別高等警察の目が行き届かないうちは、そこで暫く御厄介になろうかと考えております。

尾崎君の場合は、同じ満鉄調査部でも高級嘱託なので別格です。大川先生は月200圓、尾崎君も月100圓ぐらいの給金を得ているようですが、小生はまだ版元から瓦版を出していないし、学校の成績が全く良くなかったので、「月10圓で賞与なし」という涙が出てくるような嬉しい待遇です。

西暦2003年に、森永キャラメル君が、「年収300万円時代を生き抜く経済学」を出版して世間をアッと言わせて、ワーキングプア階級に衝撃が走りました。あれから13年、阿部総理と玄田日銀総裁がタッグを組んだマイナス金利政策の大失敗で、デフレ不況が蔓延して、今では「年収90万円で東京ハッピーライフ」なる本がよく売れているそうですね。

まさに、あたしのために書かれた本なのかもしれませんなあ…(笑)。

グローバリズムの破綻

皆さん、こんばんは(ミラノのホテルで)

「暑さ寒さも彼岸迄」のはずが、お彼岸を過ぎても都心では30度近くあり、なかなか過ごしやすくなりませんね。

特に、べとつく不愉快な高い湿度は、やはり、日本はアジアだなあ、という感じがします。そう言えば、イタリアは随分乾燥してました。

ところで、フランスの歴史人口学者エマニュエル・トッド氏が、来月来日するということで、事前にインタビュー記事が、本日の朝日新聞に掲載されており、興味深く拝読しました。

来日講演は是非とも聴きたかったのですが、生憎、仕事で行けず残念です。

トッド氏は、かつて渓流斎ブログ(消滅)で何度も登場しましたが、サルトルの親友でもある作家ポール・二ザンの孫で、ソ連邦崩壊などを「予言」した人としても知られています。

以下は、インタビュー記事をざっと速読しただけの感想ですが、今回、トッド氏は、米国のユナラテラリズム(単独覇権主義)は凋落し、かなり、国力を牽引してきたはずの働き盛りの白人が、相当疲弊し、自殺者が増加していることを指摘しておりました。

自殺までいかなくても、ストレス肥満や薬物依存や退職後の生活不安などに苛まれているようです。その現れが、トランプやサンダース両大統領候補に対する熱烈な支持で、特に、トランプ氏に関しては、彼の暴言は行き過ぎであっても、彼を支持する白人貧困層には一理ある、と認めていますね。

これら白人貧困層を追い詰めた要因の一つが、グローバリズムであることを喝破したことは、いかにもトッド氏らしい。

昨日、栗林提督からコメントが御座いまして、「欧州では、ナショナリズム=ナチズムと思われても仕方ない」といったご趣旨の批判を受けましたが、そのナショナリズムが、欧米では現在、妖怪のように跋扈していると言ってもいいでしょう。

トッド氏は、その具体的な現れの一つが、「英国のEU離脱だ」と明解に答えています。

同時に、民主主義は(狭い)国内=ナショナルでしか通用せず、EUになると、その責任の所在が曖昧になって機能しない、といったような趣旨の発言もしていました。

確かに、ブリュッセルのEU官僚が年収2000万円かそれ以上も貰って踏ん反り返っていては、貴族社会の「王制復古」みたいですからね。

私自身は、これらのトッド氏の発言は、「近いうちに、EUやグローバリズムは崩壊する」と予言しているのではないかと解釈しました。

地頭の悪い渓流斎

日本に賠償金を請求した戦後イタリア

カラバッジョ「メディウス」(フィレンツェ・ウィフィツィ美術館)

こうして、電車の中で、スマホでブログを書いてますと、「果たして一体、どなたが読んで下さっているのでしょうか」「昔の読者の方は復活されたのかなあ」なぞと、真っ暗闇の中で手探りしながら、歩みを進めている感じです。

とはいえ、何人かの奇特なメル友さんからは、「あら、イタリアに行ってたんですか」「ブログ再開おめでとうございます」といった感想を寄せて下さるので、励みになってます。

そんな中で、難関書を毎月50冊読破するあの栗林提督から、こんなメールを頂きました。

「イタリアといえば、ムッソリーニを追放したイタリアはちゃっかり連合国側に立って、あろうことか日本に戦争賠償を要求してきました。イタリアは都市国家の集合体で,日本のような『自然国家』ではないので、こうしたことも起こりえるのでしょうか。ひところ、北部が貧しい南部を切り離して独立すると騒いでいたのも、同根なのでしょうね」

えっ?本当? イタリアは、日独伊の三国同盟を締結した数少ない(笑)同盟国でしょ?何でそんなことが…。

ということで、調べてみましたら、これは紛れもない歴史的事実でした。今の中年以降の人でもこの事実を知っている日本人は、少ないでしょう。何故なら理由があるからです。

事実は、昭和48年の「外交青書」にこう書かれています。

◆イタリアの対日賠償請求問題の解決
1952年以来懸案となっていた第2次大戦(1937年7月7日からの支那事変を含む)中の損害に関するイタリアの対日賠償請求問題の解決について1972年6月5日から22日までローマにおいて日伊両国代表の間で話し合いが行なわれたところ,わが政府が総額120万合衆国ドルの見舞金を伊政府に一括支払うことにより最終的に解決することで合意が成立し,7月18日在イタリア高野大使とメディチ伊外務大臣との間に本件に関する公文が交換された。9月18日わが政府が前記支払を下したことにより,戦時損害に関するイタリア政府および同国民のわが国に対する賠償請求問題はすべて解決された。

恐らく、上記を読まない人がいるので(笑)、簡略しますと、日本は戦後27年も経った1972年(しかも、私の誕生日に=笑)、イタリアに120万ドルの損害賠償をした、というのです。

ただし、日本政府の立場は、あくまでも「賠償金」ではなく、「お見舞い金」と見栄を張っているわけです。これでは、学校では教えられないし、歴史の教科書にも書かれないはずです。ということは、日本人の多くはこの事実を知らないということです。

イタリアは、日本の明治維新と変わらない時期に出来たばかりの「人造国家」です。それまでは、ヴェネチアにしろ、ナポリにしろ、言葉が通じないほど別の都市国家でした。

戦後、何でイタリアがあろうことに日本に賠償請求したのか、理由は以下の通りです。

第2次大戦中の1943年、イタリアは、ムッソリーニを元首とする北部の「イタリア社会共和国」と南部の「イタリア王国」に分裂して内戦となります。

 ドイツの支援を受けて創設したイタリア社会共和国は、ドイツ敗北を受け、1945年4月25日に政権崩壊に追い込まれ、元首ムッソリーニも銃殺されます。

一方の南部イタリア王国のバドリオ政権は、終戦一カ月前の45年7月15日に、連合国側に立って日本に宣戦布告します。これで、「戦勝国」となったイタリアが、「敗戦国」日本に戦争賠償補償金を請求する根拠にしたのです。

なるほど枢軸国イタリアは、敗戦国ではなかったのですね。

ちなみに、日本政府は、被害を与えた中国や東南アジア諸国は勿論のこと、直接交戦がなかった「永世中立国」スイス、デンマーク、スウェーデン、アルゼンチン、ギリシャなどにまでも、真面目に賠償金を支払っています。(占領米軍の駐留経費、家族宿舎の建設などインフラ整備代等すべてが日本人の血税で賄われました)

払う方も払う方ですが、賠償金を請求したこれら非交戦国は、あたしに言わせりゃ、火事場泥棒ですよ。

まさに鬼畜欧州。

「キトラ古墳壁画体験館 四神の館」訪問記(あたしじゃないけんど)

par M. Kyouraku sensei

関西ライフを満喫されておられる京洛先生から、充実行脚のリポートがありました。

…9月24日(土)に、奈良県明日香村の「キトラ古墳」そばにオープンした極彩色壁画を保存・公開した我が国初めての施設「キトラ古墳壁画体験館 四神(ししん)の館」に、3日目の26日に行ってきました。
 古墳の中から壁画が見つかり、既に33年経ちましたが、石室にあった崩落寸前の壁画を修理・保存して文化財の新たな保護のありようを求めた一例として注目を集めています。…

ほう、いつの間にか、考古学者に転向されましたね(笑)。

 …出来たばかりの「四神の館」はキトラ古墳の北側にあり、延べ床面積2500平方メートル、1階に実物の壁画を保管、地下1階は石室と同じ模型や壁画の映像が流れたモニターが設置され、ちょっとしたミュージアムになっていました。
 オープン記念は、24日から10月23日まで、キトラ古墳壁画のうち、白虎、朱雀と天文図の実物を無料で見られます。小生は、「事前申し込み」をしていたので、目の前で白虎、朱雀、天文図をじっくり鑑賞できました。…

あら、事前申し込みまでされていたのですか。ご熱心ですね。

 …石室内の副葬品の飾り金具、金銅製鐶座(かんざ)金具類も展示され、7世紀末から8世紀初めの時代空間を手繰れた気分でしたね。内部の写真は撮れませんでしたが、「四神の館」の玄関と周囲の写真を撮ってきました。…

いつも有難うございます。

 …ちなみに「平成28年度キトラ古墳壁画特別公開(第1回)」は、「文化庁」のホームページから事前申し込みが出来るようになっています。試しに同ホームページを検索してみてください。今後は、残る玄武、青龍も特別公開されることになっています。…

文化庁も小出しで出してくるんですね。やるな、文化庁!

 …来月は恒例の「正倉院展」もあり、奈良は大勢の人がキトラ古墳にもやってきそうです。…

関西は、古代遺跡が豊富なので、羨ましい限りです。

苦天の正体見たり枯れ尾花

モーニングセット

学生時代の同級生が、本を出版していることを新聞の広告で初めて知り、ネット通販の苦天で注文してみました。

そしたら、驚き桃の木山椒の木です。

新書なので定価800円ですが(物語を単純化するため、数字は概算)、最安値でも送料が何と500円もかかるのです。つまり、この新書を手に入れるのに、本屋さんに行けば800円で済むところ、苦天は1300円もするのです。

これは最安値ですから、「ポイント10倍」が付くという謳い文句の同じ本は、送料が700円もして、計1500円もするのです。

これは明らかに暴利でしょう。「送料」というのは建前で、実質上は「手数料」です。英語で言えば、コミッション、もしくはリベートです。これだけ莫大の暴利を貪れば、プロ野球やプロサッカーのチームを持てるはずです。

阿漕な商売とはいえ、私のように、それでも買う人がいるということは、こんなビジネスモデル(というより、利権構造といった方がいいでしょう)でも成り立つわけです。

でも、はっきり書きましょう。本の卸値は定価の8割です。しかし、苦天の場合は、7割4分とか7割5分あたりで仕入れる強気な商売をしているのかもしれません。店舗を構えているわけではないので、これで利益は十分取れるはずです。送料だって、宅配便会社を相当安く叩いていることでしょう。つまり、儲けが二重構造になっているわけです。

私は、ほとんど、滅多にコンビニを利用しませんが、例えば、スーパーなら2缶100円のコーラ(つまり、1缶50円)が、同じ銘柄でも1缶100円で売っています。それでも、売れるのは、スーパーのコーラは、冷えてなかったりしますが、コンビニは、冷えていて、今すぐ飲めるという利便性があるからです。

つまり、消費者は、商品を利便性という付加価値がついた上乗せ価格で、手に入れているということになります。

まあ、こんな話は当たり前で、取るに足らない今さら何さ、せこいなあ、といった世界ですが、ほんの少し立ち止まって考えてみると、現代人は、「早い」「便利」「手間要らず」という恩恵を受けている半面、何か大切なことを犠牲にしたり、失ったりしていることを、そして、明らかに悪徳商人に踊らされている事実を、我々は、もっと気付くべきだと思っているのです。

余計なお世話かな?

苦天は、新書の本体と送料が変わらない、というあまりにも酷い暴利を貪っているので、敢えて書きました。

イタリア余話もうええわ

ミラノ大聖堂ドゥオモ

イタリアでは、800枚以上写真を撮ってきましたので、頭の中でも整理がつかず、カオス状態です(苦笑)。

実のところ、帰国して3日も経つのに、時差ボケです。日本とイタリアの時差は7時間で、昼夜が逆転してますから、しょうがないでしょう。一昨日はまだ、緊張していたのか、時差ボケはなかったのですが、昨晩辺りから夜寝づらく、朝からボーとしている状態です。

ですから、渓流斎ではなく、渓流亭木瓜作にでも改名しようかなあ、と愚考している次第。

◇イタリア人気質

まだ、イタリア旅行の話が続きますが、お世話になった添乗員Kさんのイタリア人気質の話が面白かったので、ご紹介します。

??イタリア人の血液型は、B型でマイペースな人が多く(B型の人は失礼!)、何よりも仕事よりバカンスの方が大事。

お金がなくても、借金をして休暇を取って、遊興費に使うそうな。そして、その借金を返すために仕事をするという人生パターンだそうです。

A型で真面目勤勉な人が多い日本人とは対極です(笑)。ちなみに、どうでもいいですが、小生はO型。

??ローマ市民は自転車に乗らない。事故が多く、すぐ盗まれてしまうからだそうです。自宅マンションの敷地に置いておいても盗まれるので、エレベーターで部屋の中にまで運ばなければならないそうです。

たまたま、ローマ市内で自転車に乗っている人を見かけたら、その人は、ローマ市民ではなく、観光客。

ヴェニスでは、自転車走行は禁止されているそうです。確かに見かけなかった。

一方、ボローニャあたりでは自転車が多く、事故も多いそうな。

ローマ市内では、歩道信号が少なく、歩行者が渡る意思表示を明確にして歩道を渡ります。優柔不断だと運転手は突っ込んできます。多少、命懸けです。

(ドトールで、アイスコーヒーとミラノサンドを注文して、イタリアを懐かしんでいます)

【追記】
そう言えば、(とはいっても、たった今、京洛先生からのメールで啓示を受けたのですが)イタリアには、ビットリオ・デ・シーカ監督の名作「自転車泥棒」がありましたね。伝統だったとは…?

イタリア余話

ラオコーン ヴァチカン

困りましたなあ。
天下のyahooが、ハッカーによって情報漏洩したらしく、小生のところにも、旅行中にメールで連絡がありました。

笑ってしまいますが、深い謝罪の文面なし!とにかく、情報漏洩の事実経過と、「早くお前のパスワードを変更しろ。さもないと痛い目に遭うぞ」と、事務的な文句を並べるだけ。いかにもアメリカらしい(笑)。

そう、いつのことか忘れましたが、私も一度、日本のヤフーではなく本家アメリカのyahooに登録していたのです。しかし、アドレスもパスワードも忘れてしまい、変更どころではありません。

何しろ、登録していたこと自体すっかり忘れていたので、どこまで個人情報を登録していたのかさえ覚えていません。住所氏名はともかく、まさか、銀行口座まで登録していないことを願うばかりです。

◇ヴェローナにはコロッセオまであった!

イタリア旅行の余話ですが、今回初めて訪れたヴェローナという街は、意外にも大きな街だったので驚いてしまいました。

シェークスピアの「ロミオとジュリエット」の舞台になった街で、戯曲の世界なのに、ちゃんとロミオやジュリエットが住んでいた館があり、特にジュリエットの館にはジュリエットの像がありました。

そのジュリエットの像の胸を触ると幸福になるという言い伝えがあるらしく、観光客は列をなして、公序良俗に反する行為を白昼堂々と行って、あろうことか、男も女も写真まで撮って歓呼の雄叫びをあげておりました(笑)。

このヴェローナの街は、自然のアディジェ川と高さ5メートルぐらいの要塞に囲まれて、敵からの浸入を防ぐようになっていました。

そして、驚いたことに、ローマと同じようなローマ帝国時代のコロッセオがあり、その日は、何かの音楽公演で使われていました。2000年以上前に建てられたのに、いまだ現役とは!

「ロミオとジュリエット」は、確かにシェークスピア作ですが、10年程前に、ポーツマス大学のブレンダ・ジェームズ講師らによって、一連の作品の作者は、外交官で国会議員だったヘンリー・ネビル(1562~1615)ではないかという説が提起されました。

10年も経っても、定説が覆っていないので、シェークスピアとは今でもグローブ座の座付作家兼俳優ということになっていますが、このシェークスピアは、庶民階級で一度も英国外に出たことがないというのが、長年、疑惑の一つになっています。

シェークスピア作品の中で、「ロミオとジュリエット」と「ヴェニスの商人」「ジュリアス・シーザー」などはイタリアの話ですし、「ハムレット」もデンマークが舞台です。

ネビルは、オックスフォード大学を出て外交官になり、フランス大使にまでなった人で、海外経験は豊富です。貴族出身なので、宮廷や貴族マナーに精通しています。シェークスピアより2歳年長で、ネビルのいとこがシェークスピアの友人であったことから、いとこを通じて二人は知り合ったのではないかといわれています。

ネビルは、作品を通して政治的メッセージを伝えるのに、シェークスピアのゴーストライターになる必要があったというのがジェームズ氏らの説です。

(中途半端ですが、一旦ここまで)

イタリア、Itali、いたりあ

 ミラノの大聖堂ドゥオモ(初めて中に入りました)

1週間ぶりのご無沙汰でした。

9月15日(木)から22日(木)まで、7泊8日でイタリア旅行を敢行しておりました。人にはそれぞれ、諸般の事情と人生の区切りというものがありますからね。

この渓流斎ブログは、「安否確認情報」も兼ねておりますので(笑)、渓流斎は、天候にも大変恵まれ、無事、怪我も事故も盗難もなく、元気に帰国できましたことをご報告申し上げます。大袈裟な…(笑)。

 ヴェローナ(「ロミオとジュリエット」の舞台)は世界中からの観光客でいっぱい

実は、イタリア渡航は、これで4度目でした。今回は、北部ミラノからヴェローナ~ヴェネチア~フィレンツェ~サンジミニャーノと南下しまして、最後はローマ、ヴァチカン市国といったコースでした。

「ロミオとジュリエット」の舞台になったヴェローナと、中世に皇帝派と法王派との間で血生臭い争いが繰り返され、70もの塔が建てられたサンジミニャーノが今回初めて行く所でした。

旅行中は、新聞も読まず、イタリア語が分からず現地のテレビを見てもあまりよく分からず。ホテルのWi-Fiを使ってスマホでちょっとネットニュースを確認した程度ですから、今は、「ここは何処? 私は誰?」の浦島太郎さん状態です。

まあ、たまには「情報過多」からの避難・脱出も、精神衛生にはいいことでしょう。

安心安全なツアーに参加したため、朝早くから夜中遅くまで、引き回されまして、大変疲れましたが、1週間、ただただ旅行漬けで、他のことを全く考えなくて済みました。

 ヴェニス(「水の都」はまた水浸しでした)

本も一切読まず、イタリアの空気を吸い、イタリアの料理を食べ、イタリアのベッドで寝るという肌で体感する毎日でした。

生まれて初めてイタリアに行ったのは、もう37年も大昔なのですが、当時はそれほど観光客でごった返していなかったような気がします。

しかし、今回は、どうやら、噂では、テロの襲撃に見舞われたフランスやドイツやベルギー等への旅行が控えられ、世界中の観光客がイタリアに押し寄せたらしいのです。だから、大混雑。

とにかく、文豪ゲーテにしろ、音楽家メンデルスゾーンやドビュッシーにしろ、芸術家たちが引き寄せられる、あまりある魅力がイタリアにあることは間違いありません。

 フィレンツェ(ウフィツィ美術館のボティチェリ「春」は人気ナンバーワン)

イタリア旅行については、また、これから、追々書いていくと思いますが、今日は、帰国早々の感想を並べてみたいと思います。添乗員・ガイドさんらに聞いた話、街を歩いて感じたことなどです。

・イタリアといえば、何と言っても古代帝国の首都ローマがナンバーワンだと思っておりましたが、今回見直したのはフィレンツェでした。フィレンツェは、イタリアの古都として知られ、日本の京都と姉妹都市を結んでいるそうな。

・皆さんご存知の通り、イタリアは、1861年に全国統一(Risorgimento=リソルギメント)される前まで、諸国に分かれておりました。トスカーナ、ヴェネチア、ナポリ、サルデーニャ(ヴィットリーリオ・エマヌエーレ2世)、ローマ教皇領などです。ということで、各地域の言葉が通じないほど、違っていて、現在もかなり「なまり」があるそうです。

・この中で、一番綺麗なイタリア語は、ローマではなく、フィレンツェなんだそうです。(1865~70年は、イタリア王国の首都だった)。フィレンツェは、何と言っても、盛期ルネサンスの中心地で、レオナルド・ダヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロの三大巨匠が活躍した都市です。

 サンジミニャーノ(中世の塔の街。13~14世紀、皇帝派と法王派が血と血で争って70もの塔が建てられたとか。現地特産の白ワイン「ヴェルナーチャ・ディ・サンジミニャーノ」は、お買い得。コープで4・90ユーロ。ミラノ空港免税店では、1本13・50ユーロと3倍近く跳ね上がっていました)

・これら、三代巨匠芸術家らを保護していたのが、市の君主だったメディチ(Medici)家でした。メディチ家は、金融業で莫大な財産を築いて政界に進出して、実権を握りますが、もともと、医者の家系だったらしく、英語のmedicine(医学、薬)は、このメディチ家からきたらしい。

・また、このメディチ家から、フランスのアンリ2世妃カトリーヌとアンリ4世妃マリの二人の王妃を輩出します。(他に、クレメンス2世とレオ10世の二人の教皇も)。フランス王家に嫁いだこの二人の王妃は、メディチ家から料理人を何百人もフランスに連れて行ったそうです。当時のフランスは遅れた国で、ナイフとフォークさえなし。4本に分かれたフォークはメディチ家が伝えたそうです。もちろん、後に、隆盛を誇るフランス(宮廷)料理も、もともとはイタリア料理だったというわけです。

・フィレンツェ共和国出身のミケランジェロは、ローマ市庁舎の階段と庭園設計や、サン・ピエトロ寺院の「ピエタ」、ヴァチカンのシスティーナ礼拝堂の天井壁画(「最後の審判」など)を製作して、ローマで大活躍しますが、お墓はフィレンツェのサンタ・クローチェ教会にありました。

・このあまりにも有名なシスティーナ礼拝堂の壁画ですが、ローマ教皇ユリウス2世から依頼されて渋々応じたそうです。なぜなら、ミケランジェロの本職は彫刻家で、フレスコ画を描いたことがなかったからです。しかし、4年の歳月をかけて、艱難辛苦を跳ね除けて堂々と完成させるのですが、色んなエピードもありますので、ご興味のある方は、参考書を手に取ってみては如何でしょうか。

 ローマ・コロッセオ(ローマといえば、コロッセオかな?今でも、猛獣と人間が剣闘していると思っている人がいました。とはいえ、2000年以上昔の建物なのに現在も公演などに使われています)

・とにかく、何処に行っても、人、人、人でした。この時期、日本のような「シルバーウイーク」ではあるまいし、皆さんお仕事していないんでしょうかねえ?ま、小生と同じように、休暇を取ってらっしゃった、と解釈しましょう。

・観光客は圧倒的に白人が多かったです。でも、何処の国の人か分かりません。言葉を聞けば少しは分かりますが、外見ではさっぱり分かりません。イタリア在住20年のガイドさんが面白いことを言っていました。「私には、何人(なにじん)か分かりますよ。服装を見れば分かります。イタリア人とフランス人は、ファッションの国ですから、まあ、ファッショナブルな格好をしています。それに比べて、スペイン人は、少しダサい(笑)。ドイツ人の服装は、機能重視という感じです」。

・そう言えば、イタリアは先進国とはいえ、失業率も高く(ナポリは30%だとか。ひえー)、日本以上に貧富の格差は大きいようです。それに、民族差別といえば、言い過ぎかもしれませんが、どうしても、ルーマニアなど旧東欧系は低くみられる傾向があるようです。街で、物乞いをしている人は、その顔だちから、ほとんどがロマーノ(ジプシー)系。犯罪スリ集団もロマーノ系が多いようです。ローマのテルミナ駅周辺で、手持無沙汰で屯していたのは、中東系、インド、アジア系とアフリカ系。道路の「中央分離帯」で掃除や植栽しているのは、イタリア人ではなく、ほとんどアフリカ系でした。道路で、観光客相手に、スマホの「自撮り棒」などを売っているのは、圧倒的に、アフリカ系か、インド系の人でした。イタリア人はいなかった。

・道で物売りしているアフリカ系のお兄さんからは、よく「ニイハオ」と我々のツアーは声を掛けられた。これも、30年前にはなかった現象。「俺たちゃ、日本人だあぁぁ」。

 ヴァチカン市国サン・ピエトロ寺院(エレベーターで中2階まで登った後、恐怖の閉所300階段。しかし、昇った人しか見られない光景が!)

・イタリアは4度目と書きましたが、今回初めて、ミラノの大聖堂ドゥオモの中に入りました。入場料2ユーロ。

・何と言っても、ハイライトだったのは、ヴァチカン市国サン・ピエトロ寺院のドームに登ったことです。入場料8ユーロ。途中までエレベーターで行けますが、そこからは、人間一人が登れるスペースしかない階段を300段以上も昇るのです。膝が笑いました。

・しかし、ドームの屋上からの眺めは絶景。エヴェレストでは大袈裟なので、高尾山の頂上に登った気分でした(笑)。

・前回行ったときもそうでしたが、ヴェネチアのサンマルコ広場は、最初はよかったのですが、帰りの集合時間の14時までに戻ろうとしたら、またもや広場は水浸し。歩くのが大変で、集合時刻に間に合うか、冷や冷やでした。

・旅行中、添乗員さんが気をきかして、プッチーニの歌劇「トゥーランドット」の「誰も寝てはならぬ」をパヴァロッティの歌唱で聴かせてくれましたが、イタリアで聴くと何とも感動が倍増し、涙が出てきました。その土地の乾燥した風土といいますか、気候といいますか、そんなもんが音楽に作用されることに初めて気がつかされました。

・イタリアは、やはり、ロックは似合わないでしょうね。やっぱり、カンツォーネ。そして、何と言ってもオペラです。

・帰国して、無性にイタリア映画を観たくなりました。フェデリコ・フェリーニもいいですし、あらかた観てしまったヴィスコンティでもいいですし、「ニューシネマ・パラダイス」「鑑定士と顔のない依頼人」のジュゼッペ・トルナトーレでもいいです。最新作「ある天文学者の恋文」もいいかな?

お知らせ丸

ワニノ駅 Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

渓流斎ブログの愛読者の皆様へ

いつも、たまに(笑)、この「渓流斎日乗」のご愛読有難う奉りまする。

ブログ主宰人は、明日から一週間ほど旅に出ます。ので、更新がなくても、再び「もしや?」といった事態になったり、このブログ自体が消えてしまったりするような事案は、よもや、ないものと想像しておる次第で御座います。

それでは、また。

渓流亭主人

 ワニノ駅 Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

下手人は大縄の弘=怒りまくる海老譜羅江先生

サンフランシスコ講和条約調印

名古屋にお住まいの海老譜羅江先生が、怒り心頭のようです。

…お江戸は豊洲の土壌汚染問題は、実に酷いですね。渓流齋先生も紙爆弾でもっと批判しなといけませんよ。
今、始まったように瓦版も電気紙芝居は報じていますが、豊洲移転が決まる以前から土壌汚染問題は分かっていたことです。市場関係者が移転賛成、反対で対立して大騒ぎになっていたことは、皆、報道されていたことですがね。健忘症というか、大衆伝達は「痴呆症」の末期症状です(笑)。…

魚市場移転問題のことですね。

…豊洲に移転を推進した会長さんが「いやあ、怒りを覚える」と電気紙芝居の質問に応じているのは、呆れてものが言えません(笑)。
「お前はそれを押し切ったのじゃないか!」「お前が、酷い!という資格はない」と反対派の人の声が聞こえてきます。…

確かに。

コカコーラあります Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

…安物の寿司を食わして、しこたま儲けた、あの寿司屋の大将が、豊洲出店の撤退を決めましたが、本人は「俺の判断は間違ってなかっただろう!」と部下に誇らしげに言っているでしょうね。確かにその通りなんですね。ケチの付いた物件に手を出す人間は世の中にそうはいませんから。…

あ、あの「寿司ぜんざい」とかいう店でしたっけ?

…また、大衆伝達も、今は、江戸県令のことを「大池大明神!」と報道していますが、これからの展開次第で、どういう軌道修正をするのかも見ものです。…

早速、「反大池派」の週刊誌が醜聞を撒き散らし始めましたね。

松花江畔スターリン広場 Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

…それより、こんな大騒ぎの裏で、大縄の弘(政争研究院大学教授)という、”御用学者”というか、”権力と同衾者”が議長就任した国会よりも上位の権限を持つ「規制改革推進会議」が昨日、発足しましたね。
選挙で選ばれたのでもない人間が、強引に幕府の最高の政策機関になり、強力に進めるのですから、これまた酷い話です。
この暴走に止めに入るというか、軌道修正、微調整するのが、恐らく日民党の二階堂幹事長になるのでしょう。
その時、大衆伝達は「二階堂が悪い。彼奴は守旧派だ!」と、単純に二階堂を批判するでしょう。しかし、それよりも、もっと薄汚れた「大学教授」の美名に隠れた、”学者崩れ”の、薄汚れた利権屋、斡旋師の実態をもっと報じないと可笑しいですよ。…

あ、それは、完全なる死角でしたね。湯島の昌平黌教授ともなると、その偉さに隠れて、何をしているのか黒穴になってますからね。

…中外商業日報は今日の紙面で早速「構造改革仕切り直し」「農業や医療を軸に」「痛みに踏み込む姿勢 カギ」と大きく持て囃していますが、幕府の医療、介護・福祉制度をズタズタにして、弱者切り捨てのとんでもない方向を打ち出すわけです。
何も知らない無知な庶民は、あとでまた「酷い!酷い!」と怒り、批判するわけです。大衆伝達がその本質を正確にきちっと報道しない典型例です。…

なあるほど。

…これでは、「規制改革推進会議」ではなく、「利権・払い下げ推進会議」と言うのが正式な名称ですよ。くのいちの修行もしたと言われる大縄の弘は、長谷川平蔵の女子分で、大学教授でありながら、長谷川が仕切る石川島人買い人足の役員でもあるのです。
文字通り、利益相反です。江戸地検特捜部が、なぜ捜査に乗り出さないのか不思議ですね。これでは司法・検察も同罪で、大衆は”必殺仕置人”に、頼むしかありません。…

藤枝梅安先生のことですかえ?違ったかな?

松花江はるか Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

…幕府の「三権分立」は、今や機能不全で、骨抜きで、一強多弱の「行政」が「司法」「立法」すべてを抑えて一元化しているのが、今の老中阿部幕府統治の実態です。
せめて、旗本二階堂さんには頑張ってほしいものです(大笑)。…

あらま。