昨晩は、小さな小さな美術出版社の社長と遅くまで飲んでしまい、またまた、いつ、どうやって帰宅したのか分からないほど、泥酔してしまいました。
彼とはもう二十年近い友人で、私の試験合格祝いをしてくれたのです。色んな面白い話が聞けました。
例えば、クオークとかインデザインとかモリサワとか聞いて、何のことか分かりますか?私には初めて聞く言葉で、さっぱり分かりませんでした。
いずれも印刷ソフトに関連したものです。業界の人だったら、まず知らない人はいないでしょう。でも、マスコミに勤めている人でも、編集だけしか携わらない人でしたら、知らない人がいるかもしれません。
要するに、原稿を印刷会社に出す前のデザインやレイアウトまで完成した形を作るためのソフトなのです。今は、昔のように職工が活字を拾って本を作るわけではありません。パソコンで簡単に活字だけでなく、写真やイラストを挿入することができるのです。パソコンもDTP(デスク・トップ・パブリッシング)がしっかりできるプロが使うやつは、十年前は200万円ぐらいしたそうなのですが、今では、それ以上の性能で20万円台で手に入るそうです。
以前は、印刷ソフトとして、「クオークエクスプレス」の独壇場でしたが、印刷業界最大手の大日本印刷が「インデザイン」を採用したところ、一気に、印刷業界ではインデザインが席捲したそうです。モリサワは、活字のフォント(書体)を提供する会社で、以前、写植全盛時代は、写研のフォントが圧倒的なシェアを占めていましたが、今はモリサワが完勝しているそうです。(どうやら、モリサワを作った森澤さんは、写研に勤めていましたが、上層部との意見の相違で独立して会社を作ったようです。)
イラストを挿入するソフトは「イラストレーター」、写真を挿入するソフトは「フォトショップ」が圧倒的なシェアを誇っていますが、実は、この2つのソフトと大本のページレイアウトとデザインができるソフト「インデザイン」はいずれも米国のアドビー社adobeのものだということです。何かあると思いませんか?
私なんか、何にも知らなかったですね。このDTPをマスターすれば、個人でも誰でも簡単に本や雑誌が作れてしまうのです。皆さんも挑戦してみたら如何ですか?
件の美術出版社の社長には、現代のアジアの美術マーケットの話を聞きました。4月に有楽町で「アートフェア東京」が開催されます。今年で3回目で、昨年は売り上げが10億円と2005年と比べ、5倍と飛躍的に伸びました。しかし、他のアジア諸国と比べると、情けないほど規模が小さい。北京では、年に2回もアートフェア(美術品を個人や団体が売買する)が開かれ、売り上げは60億円。韓国では年一回、ソウルで国際アートフェアが開かれ、東京の1・8倍の18億円ぐらい売り上げがあるそうです。
世界第二位の経済大国の名が笑われますね。日本人はいまだに、ゴッホやピカソの絵には何百億円も出すというのに自国のアーティストには本当に冷たい。パトロンが芸術家も育てるということもない。
経済的に急成長を遂げている中国では、金持ちになった人たちが、自国の画家の絵を買い支え、欧米のオークションでも、2億円、3億円で取引されているというのです。
張睦剛(ジャン・シャオ・ガン)、岳敏君(ユ・ミン・ジュン)、方力鈞(ファン・リー・ジュン)、王廣義(ワン・グアン・ギイ)の四人が、今「中国の四天王」と呼ばれ、かなり高額で作品が売買されているそうです。
皆さん、一人でもご存知でしたか?