「亜硝酸ナトリウム」「ソルビン酸」「リン酸塩」「トランス脂肪酸」には気をつけろ!!!

先日、週刊誌をわざわざ購入したのは、薬師寺管長のスキャンダルが読みたかったみたいな感じになってしまいましたが、本当は、「食べてはいけない『国産食品』実名リスト」という記事が気になっていたからでした。

(1)亜硝酸ナトリウム(発色剤)→発がん性物質

(2)ソルビン酸(保存料)→蕁麻疹

(3)リン酸塩(決着剤)→腎臓疾患

(4)トランス脂肪酸  →冠動脈疾患、肥満、アレルギー性疾患

の表示には、これから気を配って、なるべく買わないように心掛けようかと思ってます。

記事によると、(1)亜硝酸ナトリウムと(2)ソルビン酸の両方が入っていると、相乗毒性があるといいます。(1)亜硝酸ナトリウムと(2)ソルビン酸と(3)リン酸塩の全てが含まれるもので、比較的多かったのが「丸大食品」と「プリマハム」のハム、ソーセージ、ウインナーと名指ししてます。

やばい!あたし、しょっちゅう、スーパーで安くて手頃なので買ってました!製品の裏に貼ってある「成分」や「原材料名」など熱心に見たことなんぞありませんでした。

このほか、塩分と油分の過剰摂取で問題視されているのが、インスタント麺。食べてはいけない実名リストに、日清食品の「カップヌードル・キング」と「どん兵衛 特盛てんぷらそば」、まるか食品の「ペヤング ソースやきそば 超大盛」を挙げてます。私も、かつては、よくインスタント麺を食べてましたけど、調味料のグルタミン酸などは神経に影響があるそうです。

(4)トランス脂肪酸は、意外にもチョコレート菓子に含まれているとか。森永製菓の「チョコボール(ピーナッツ)」「小枝」、明治の「フランオリジナルショコラ」、ロッテ「コアラのマーチ」などが、槍玉に上がってます。

これを暴いた週刊新潮には、当然、お菓子屋さんやハム屋さんなどからの広告は入らず、大企業を敵に回すと大変なことになることは分かってるでしょうから、大したもんです。はっきり言って、覗き見主義の週刊新潮の論調は皮相的で、嫌いですけど、「これこそジャーナリズム」と感心しました。無くしてはいけないメディアです。

しかし、これでは食べるものがなくなってしまうと心配する人たちのために、最後に同誌は、ハム、ソーセージなら「無塩せき」と表示されたもの。コンビニでおにぎりを買うのなら、「ほぐし鮭」より、元の素材に近い「塩鮭」の方が安全性が高いと勧めてます。

ま、いつも高級食材でしか食べない皆様には関係ない話でしたね(笑)。

宗教界のトップが辞めらざるを得ない理由

昨日は、関西方面にお住まいの御住職さまが、「大変だ、大変だ、管主が辞められてしもうた」と大騒ぎしてたものですから、世界遺産にも登録されている奈良・薬師寺の村上大胤管主(71)の記事が今日発売の「週刊新潮」に出ていたので、それを早速、買ってみました。わざわざ。

いわゆる一つの不倫で、44歳の美貌の銀座のホステスが、売り込んだようですね。なんて、書き方をしてはいけませんね。何しろ、管主は、仏教の説く「不邪淫戒」を破戒していたわけですから。奥方様は闘病中だったともいわれてます。

薬師寺は、白鳳時代の680年、天武天皇が皇后(後の持統天皇)の病気平癒を祈願して建立したと伝えられています。宗派は、南都六宗の一つ、法相宗です。小生不勉強で知りませんでしたが、法相宗は、僧侶の「肉食妻帯」は認めれているということなのでしょうか。

薬師寺の管主ともなれば、宗教界のトップの一人ですから、法話や講話や講演、説教などで、全国の小中学校、高校大学から、一般企業、NPOに至るまで引っ張りだこでしょう。20年前に亡くなった高田好胤(1924~98)管主もテープ本が飛ぶように売れるほど大人気でしたからね。私も、中学校の修学旅行で行った際に高田管主の法話を聞いたことがあります。

週刊新潮も最近は、不倫摘発週刊誌化してきましたね。そんな風に、書いてはいけませんね(苦笑)。この週刊誌のおかげで、これまで泣き寝入りしていた女性たちが、大いに助かったことか。

築地「ふく」 さば塩定食900円

いずれにせよ、同誌は、薬師寺は年間200万人が訪れていると仮定して、拝観料の平均を800円とすれば、年間16億円の入ってくると試算してます。宗教団体ですから無税ということなので、まるまる、寺院の収入ということになるのでしょう。もちろん、伽藍の修復など必要ですが、これは、写経の納経料などで年に3億5000万円ほど入ってくるようです。

道理で、高級外車を購入したり、一晩10万円(あたしの月給じゃおまへんか)ぐらい銀座のクラブで豪遊してもビクともしないはずです。

村上元管主は、自ら高級外車ボルボのセダンを運転して、「デート」していたと事細かく書かれ、最後に「売り込んだ」ホステスは、管主と関係した回数と時間まで、週刊新潮の記者に伝えております。

ご興味ある方は是非お読みください(笑)。

でも、フト、高尚なタメになる法話や講話よりも、「金の切れ目が縁の切れ目」といった俗世間で言われる戯言の方が浮かんできて、自分で書いていても、何か暗い気持ちになってきました。。。

今、薬師寺の公式ホームページを見たら、既に村上大胤管主の名前など全て削除されていました。素早いこと!

片岡みい子さんのお導きで素晴らしい方とお会いしました

昨晩は濃厚な時間を過ごすことができました。

いや、誤解しないでください(笑)。昨晩は、わざわざカナダから帰国したその筋の日本人男性と銀座のフレンチレストランで会食し、実りのある話をお伺いし、有意義な時間を過ごすことができたというお話です。

その筋といっても、裏社会の人ではありません。れっきとした表社会の紳士です。今は引退されておられますが、現役時代は、ファッション関係とフード・コーディネーター等の仕事をされていたようです。

仮名として、杉下さんとしておきます。奇遇といいますが、偶然といいますか、必然といいますか、回りくどいので、単刀直入で言いますと、この《渓流斎日乗》を通して知り合った方でした。

このサイトで、昨年(2017年)2月7日に、おつなセミナーの仲間だった翻訳家で画家だった片岡みい子さんが亡くなったことや、その後のお別れ会のことなど実名で書かさせて頂きましたが、カナダ在住の杉下さんが、たまたま検索して見つけてそれらを読まれ、先月4月14日にわざわざ、メールで感想を投稿してくださったのです。(個人的な内容なので、投稿は公表しませんでした)

それによると、杉下さんは、片岡さんの夫で仕事のパートナーだった故正垣さんと、東京の中高一貫のエリート学園の同級生で親友だったといいます。勿論、片岡さんとは生前何度もお会いしたことがあるといいます。

なにぶん、杉下さんは現在、カナダにお住まいのため、何度かメールを交換させて頂きました。こちらが10行ぐらい送ると、100行ぐらいで返信が来るといった感じでした。どういう話の展開だったのか、力道山が刺された赤坂の「ニュー・ラテン・クオーター」や芝公園の中華料理店「留園」(汪兆銘政権を擁立した影佐機関を支援した盛一族が亡命して創業)、それにビートルズを呼んだ興行師として名を馳せたキョードー・トウキョウ創立者の永島達司さんらについて異様に詳しいというより、かなりインサイダー情報をお持ちの方で、一体、この方、どちらの組関係の方なのかと戦々恐々としてしまったわけです。

こちらも、10年近く探訪記者として、その方面だけを取材していたため、かなりの構図を普通の方より理解し、ある程度の知識はありましたが、それ以上の情報通です。

種明かしをすると、杉下さんのご尊父は、東京・赤坂などで大型のナイトクラブ数軒を経営する顔役だったというのです。杉下さんもご幼少の頃から、芸能・スポーツ関係者から政財界の大物を身近に接してきたわけです。

で、5月に久しぶりに帰国されるというので、懇談する機会をつくってくださったのです。

お会いすると驚きました。てっきり、肩で風を切って歩くような映画に出てきそうな怖い方を想像していたら、物腰も柔らかく、言葉遣いも大変丁寧な真の紳士だったのです。何と言っても、お酒は一滴も呑めないか、呑まないというんですからね。

2時間半にわたって、みっちりお話を伺ったり、こちらから一方的にしゃべったりして、あっという間に時間が過ぎてしまいました。

もう半世紀近い昔の話とはいえ、色々差し障りがあるといけませんので、昨晩の会談の内容を詳しく書けないのが残念ですが、どんな方が登場したかと言いますとー。

大行社と日本青年社、ホテル・ニュー・ジャパンの横井英樹さん、ベニハナのロッキー青木さん、ポール・アンカとナツキ(後のデヴィ夫人)、サミー・デービス・ジュニア、東声会の町井さん、東日貿易の久保さん、高倉健さん、児玉さん、岸信介さん、宝塚と岡村吾一さん、田中清玄さん、銀座の福田さん、菅官房長官と藤木組といった方々、そして、3億円事件とロッキード事件の真相です。ご興味がある方は、最後に参考文献を何冊か挙げておきます。

一番驚いたのは、トランプ米大統領が、はるか昔、若き青年実業家の頃、ある若い日本人に対して行った陰徳の話でした。その日本人は、杉下さんの従兄弟に当たる人だというのです。この詳しい話もここでは書けませんので、悪しからず。(苦笑)

最後に杉下さんが強調したことは、2020年の東京五輪の選手村の食事でした。1964年の東京五輪では、杉下氏のご尊父が親しかった元日活ホテル総料理長の馬場久氏が陣頭指揮を取って、世界最高級の食事を提供したらしいのですが、今度の20年五輪は、かなりレベルが落ちる料理関係者が落札したか、しそうなんだそうです。「日本の調理業界はかなり心配してます。小池都知事にはしっかり判断してもらいたい」と杉下さんは仰ってました。

帰り、東京中のショップで探したというドイツ製のワイン「聖母=歳暮」まで手土産に頂いてしまいました。仮名ですが、杉下さん、その節は大変お世話になりました。いつか、カナダに行くようなことがあれば宜しくお願い申し上げます。コラ!(笑)。

【研究者のための参考文献】

・ロバート・ホワイティング著「東京アンダーグラウンド」(角川書店)

・山本信太郎著「東京アンダーナイト“夜の昭和史”ニューラテンクォーター・ストーリー」(廣済堂出版)

・山本信太郎著「昭和が愛したニューラテンクォーター ナイトクラブ・オーナーが築いた戦後ショービジネス」(DU BOOKS)

・城内康伸著「猛牛(ファンソ)と呼ばれた男―『東声会』町井久之の戦後史」(新潮社)

・野地 秩嘉 ビートルズを呼んだ男―伝説の呼び屋・永島達司の生涯 」(幻冬舎文庫)

・大須賀瑞夫インタビュー「田中清玄自伝」(筑摩書房)

・木村勝美山口組若頭暗殺事件―利権をめぐるウラ社会の暗闘劇」 (文庫ぎんが堂)

・後藤忠政著「憚りながら」(宝島社)

・山平重樹著「実録 神戸芸能社 山口組・田岡一雄三代目と戦後芸能界」(双葉社)

ミシュランの三ツ星に異議あり 世界を動かす投資会社は表で繋がっている

 京都の古刹 建丹寺の住職 怒庵路慶大禅師から飛脚便で、渓流斎の下に巻物で直筆の書状が送られてきました。
…前略 一筆啓上仕ります。
「ミシュラン」か「身酒乱」か知りませんが、あんな「インチキ番付」ガイド本を今なお信じている賢くないマスコミや人間が日本にはまだまだいるのですから、本当にどうしようもない日本及び日本人です。厭になります。…
 何か穏やかではありませんね。
 …低空飛行の安倍政権が生き延びられるのはよく分かります。何はともあれ、「京都で、”ミシュラン三ツ星店”が、火災!!」の報道騒ぎのことです。
 あの店は2010年に食中毒を出し、当時、新聞にも報道された「名店」(笑)なのです。食中毒はマスコミで言えば誤報と同じで、致命的な大事故です。「美味い!」「まずい!」の以前の問題で、飲食店では致命的な事件なのです。…
 あら、そういうことでしたか。
 …ところが、ミシュラン関係者は、日本語が読めないのか、それとも、食中毒でも評価するのか、この事件が起きてからも、三ツ星か、四ツ星か知りませんが、この店をずっと表彰してきたわけです。マスコミはそれを指摘しなかったのも酷い話ですが。…
 確かに酷い話。ミシュランの評価を見て、海外からわざわざ予約して来店する観光客も多いと聞きますからね。
京都市内
 …最近、スウェーデンの「ノーベル文学賞」の権威が堕ちて、馬脚を現しましたが、「番付」「権威付け」が、如何にいかがわしいものか、よく分かる例証ではありませんか。…
なあるほど。
 …そう言えば、「類は友を呼ぶ」とはよく言ったものです。火事を出した飲食店には、「ノーベル文学賞」関係者も出没しています。この際、かの著名な笈川探訪が作っている「マスコミ人犯罪帳」と類似の「名店・食中毒多発帳」を作ってみては如何ですか。これは人気を呼ぶでしょうね。…
はい、承っておきます。
 …あ、さて、三井物産の社内誌「中外商業新報」から幾星霜を経て、福沢諭吉が創刊した時事新報の廃刊によって日本を代表する経済紙になった日経が、5月15日付朝刊で、日本を代表するヤフーが「大企業病」になって、メルカリなどといった新興台頭を許して凋落している様を報じていますね。ヤフーが落ち目になれば、ソフトバンクも駄目になる。ソフトバンクが駄目になれば、何十兆円もの貸付があるメインバンクのみずほ銀行も危うくなるという、風が吹けば桶屋が儲かる逆のパターンが起きるやもしれませんぞ。…
 えっ!? そんな話、初耳ですよ。
…日本の経済メディアは何で真実を隠して、どうしようもない観測記事ばかり垂れ流すんでしょうかね。そんな神のみぞ知る占い師も分からない将来の業績など誰が分かるというのですか。…
 御意。
…それより、世界最大の投資会社米ブラックロックのことを日本のマスコミはほとんど報じませんね。何か、隠したいという裏でもあるんでしょうか?誰がやっても同じの日本の首相の一日の動静を報道するくらいなら、世界一の投資会社のローレンス・フィンク会長兼CEOの動向を追ってもらった方が、観測記事なんかよりも余程タメになりますよ。ある日はアラブの石油王に会ったとか、ある日は、アマゾンの社長と会ったとか、それだけで、ダウもニッケイも大幅に動くというものです。…
 えっーー?世俗を離れた御住職にしては、随分とお詳しいですねえ。。。
…フィンク会長が日本法人の会長兼CEOを委託した井澤吉幸氏は元三井物産副社長からゆうちょ銀行の社長まで務めた人。日本法人社長の若き有田浩之氏は、一橋大を出て、を興銀(現みずほ銀行)ニューヨーク支店勤務から、同地のブラックロック本社に転職した叩き上げの人ですが、めったに報道されないので、誰も知らないでしょう。…
 ええ、確かに知らないことばかり。。。しかし、出てくるのは、日経、三井物産、みずほ銀行、ソフトバンク…と何か、皆さん、裏じゃなくて表社会で繋がっている感じがしますね。
…ムワハハハ…その通りじゃ。…
あれっ? 大禅師! 何で、飛脚便で巻物書状を送って来られながら、私の所感にすぐ反応できるのですか?
…当たり前じゃ、書状が届いたかどうか確認したワシの電話で今、繋がっとるんやないか。…
あちゃあ、これまた失礼しました!

仮想通貨で300億円も資金洗浄されたとは驚き

いやあ、驚くばかり。

先週土曜日の12日に放送されたNHKスペシャル「仮想通貨ウォーズ ~盗まれた580億円を追え!~」は、自分の知らない「ホワイトハッカー」だの「カリスマ・プログラマー」だのといった存在を初めて教えてくれ、大変興味深く見ることができました。

コインチェック社の580億円もの仮想通貨「NEM」が、恐らく国際的な犯罪集団によって、どういう手口で盗まれ、換金されていったかを追うドキュメンタリーで、仮想通貨は、もともと匿名性の強いことが利点だったのが、これを逆手に取って犯罪に使われ、結局、追跡が困難か、長期戦になることで番組は終わっおりました。

仮想通貨は2009年のビットコインの誕生が初めてらしいですが、今や、1500種も発行され、時価総額40兆円なんだそうです。これじゃあ、ちょっとした国の国家予算規模です。驚きですね。

それが、今朝14日(月)の毎日新聞のスクープによると、東京に拠点がある指定暴力団が、振り込め詐欺や違法薬物取引などで集めた収益金を仮想通貨で資金洗浄したといいます。その額、何と300億円!なんだそうです。

記事によると、仮想通貨の中の「Zcash(ジーキャッシュ」「Dash(ダッシュ)」「Monero(モネロ)」は「匿名3兄弟」と呼ばれ、特に匿名性が強いことから、悪用されやすいそうですね。

「だんご3兄弟」じゃあるまいし。。。実行犯の仲介役の中国人の男性が、匿名3兄弟を使って、複数の交換所の口座間で移動を十数回繰り返して、追跡を困難にして、2016年から計約300億円を洗浄して日本円に換えたことを毎日新聞に、匿名で証言しております。

でも、こんことしゃべったら、分かってしまうに決まってます。東京に拠点がある指定暴力団も、実行犯も、その筋の関係者だけでなく、公安、警察関係も既に把握していることでしょう。

◇◇◇◇◇

今や、小学生でも簡単なゲームやハッキングのプログラミングができてしまうという時代です。生まれたときからパソコンやスマホがある、いわゆる、「デジタル・ネイティブ」世代の時代です。

誤解を恐れずに言えば、私のようなアナログ世代とは、何か、全く別の人類に思えてきてしまいます。

ダン・ブラウン最新作「オリジン」はなかなかの力作

「我々は何処から来たのか   我々は何者か   我々は何処へ行くのか」(ゴーギャン)、進化論か神による創造か、無神論か原理宗教主義か…といった根本的な人類の問題に挑むダン・ブラウンの最新作「オリジン」上下(角川書店、2018年2月28日初版)を読破して、「やられたなあ」と少し感服してます。

お馴染みのハーバード大学宗教象徴学者のロバート・ラングドンが活躍するシリーズ第5作です。前作の「インフェルノ」(2013年)以来4年ぶりです。私自身は、それほど熱心な愛読者ではありませんが、2004年に帯広時代に読んだ彼のシリーズ第2作「ダ・ヴィンチ・コード」以来久し振りの感動を味わえました。

恐らく、本作もまた、トム・ハンクス主演で映画化されることでしょう。ですから、何となく、最初からハリウッド映画の脚本を読んでいる感じです。息もつかせぬ急激な場面とストーリー展開は相変わらずです。文章のうまさは、読者をグイグイ引きつけます。

銀座一丁目「日替わりチキン定食」850円

スペインはビルバオにあるグッゲンハイム美術館で、ラングトンの教え子で今や40歳の世界的権威の未来学者になったエドモンド・カーシュが、宗教界を揺るがす前代未聞の衝撃的な謎を解き明かす映像を発表するというところで、暗殺されます。その謎とは一体何か。カーシュは何を発表しようとしたのか。謎が謎を呼び、カトリック教会やスペイン王室まで巻き込む大騒動になり、謎を追跡するラングドン教授とスペイン王子と婚約した美術館の美人館長アンブラ・ビダル、そして、人工知能のウィンストンの活躍もあり、次第にその謎が明らかになっていくというお話です。

既に、これだけスマホが世界中に行き渡って、瞬時に情報が取れ、SNSで世界中が繋がってしまっている時代に、どういう目新しい物語が提供できるか、それは作家の腕の見せどころですが、本作では半分、成功し、半分は肩透かしのような感じもしました。

前半から散々、気を持たせた未来学者カーシュが明かしたかった驚きべき衝撃的な事実は、椅子から転げ落ちるほどそれほど衝撃的でもなく、極めて有り得る話で真っ当ですらあったからです。こんなんで殺人まで起きるとは…。

宗教か科学(無神論)か、で人類はかつてさんざん戦争まで起こして争い、いわば「炎上」を起こしかねない論争も、最後は、小説とはいえ、無難にまとめており、拍子抜けしました。

それでも、最後の巻末の「謝辞」では、著者がこの本を書くに当たってお世話になった編集者や科学者や宗教学者や歴史家らの名前を100人近く挙げていることから、かなり綿密に取材していたことが分かります。

著者のダン・ブラウンは、内村鑑三や新島襄らも留学した米アマースト大学出身で、英語教師から作家に転身。父は数学者、母は宗教音楽家、弟は作曲家、妻は美術史家というインテリ一家だったんですね。

いずれにせよ、この本を読んで、舞台になったスペイン・バルセロナにあるガウディのサグラダファミリア教会やビルバオのグッゲンハイム美術館に行きたくなりました。スペインだけは、これまで縁がなくて一度も行ったことがないからです。

「狐狼の血 」は★★★★★

本来なら、岩波ホールでかかっている真面目な「マルクスとエンゲルス」を観るつもりでしたが、金曜日の各紙夕刊(ご存知、金曜日夕刊は、映画批評を各紙特集しております)を読んでいたら、東映のヤクザ映画「狐狼の血」が全面広告までして、かなりお金(製作、宣伝費)を掛けていることが分かり、意外にも私の信頼する著作家も推薦し、そう言えば、銀座の地下街でも、かなり大きなポスターを貼って広告しているなあ、と目立ち、どういうわけか催眠術にでもかかったかのようになり、気が付いたらネットで予約していました(苦笑)。

翌日になって「何で、『仁義なき戦い』のオマージュみたいな映画を予約してしまったんだろう」と後悔してしまいましたが、仕方なく観ることにしたわけです。

そしたら、最初から最後まで、騙されっぱなし。つまり、映画という虚構の世界にドップリ浸かってしまい、最後は、ポロリと涙まで出てくるではありませんか。作り物と分かっていながら、最後までうまく乗せられ、騙されました。

何しろ、原作は柚月裕子さんの同名作で、日本推理作家協会賞を受賞しているらしいですね。この美人作家さんは、心底「任義なき戦い」の大ファンなんだそうで、本当に、この作品へのオマージュとして書かれたようです。舞台は広島の呉市(映画では架空の呉原市)で、暴対法が施行する前の昭和63年(1988年)の話になっているようです。ちょうど30年前です。

30年前ともなると、もう一世代前の昔の話で、こうして映画になると、歴史になってしまった感じでした。黒電話や、当時の「最新型」の自動車も登場して懐かしい限り。(今の若い人は黒電話など知りませんから、受話器も番号の回し方も分からないそうですね)

内容を書くとネタバレになるので、あまり触れないようにしますが、予告編でちらっと見た役所広司が、服装といい、物言いといい、てっきりヤクザの親分役かと思ったら、マル暴担当の刑事大上(おおがみ)役。役所は、善人役より悪役がハマる俳優ですが、最後にどんでん返しがあります。

この役所広司の「相棒」として付き添う新米の若い刑事日岡役が、松坂桃李。何で、こんなヤワな俳優を採用したのか、観る前は、違和感を覚えてましたが、まさに、彼の「成長物語」であり、適役、ハマり役。白石和彌監督の手腕には感服しました。

意外な人も出ていて、後で確かめてみたら驚きもありました。倶利伽羅モンモンのいかにも悪そうな加古村組の「真珠男」は誰かと思ったら、お笑いに近い北海道の演劇集団で大泉洋の仲間である音尾琢真、失踪した金融業の男の妹で、大上刑事と昵懇になる潤子役は、MEGUMI、薬局のアルバイト薬剤師桃子役は、阿部純子だったんですね。

私は、悪い癖で、主役よりも脇役の演技に注目してしまいます(笑)。

考えてみれば、主役の松坂桃李は、1988年生まれですから、この時代を知らないわけです。全くのフィクションの世界を、ゼロから実に多くの人間が関わって共同作業で作る映像芸術の醍醐味を味わった感じでした。

ただし、グロテスクな場面が多いので、よゐこの皆さんにはお薦めしません。ストレスの溜まってる人なら解消になるかもしれませんが、私は観てよかったので、相当ストレスが溜まってるんですね(笑)。

「終わらなかった人」映画化 贋作「東京物語り」

大学は出たけれど、定年になって大学に入り直す男を描く壮大な家族劇「終わらなかった人」(「日の入り」連載の外館牧子原作のベストセラー小説が原作)が、巨匠小田安二郎のメガホンで、活動写真が撮られたそうですね。主演は、猫ひろしと黒樹瞳。華族出身の入江たか子が友情出演。6月から有楽町の邦画座を始め、全国一番館でロードショウ公開です。

築地・中村家のランチ弁当850円(京都「宮武」の日替御膳880円に対抗しました)

花の都、東京では、銀座の柳も春風に揺られている今日この頃です。

巷の弐番館ではニュース映画がかかってます。

「満洲某重大事件」のニュースの後、「車は作らない」柳瀬元秘書官が「記憶にございません」と能面のように表情一つ変えない答弁で、能吏ぶりを発揮。「私はあなたと違うんです」福田元事務次官は「全体的に見れば私はやってません。だから血税が原資の5000万円の退職金は返しません」と、高らかに宣言しています。

扨て、銀座の柳通り。

ナウいアヴェックが、モボ、モガスタイルで、ミルクホールで逢引を重ねてます。ジルバを踊って、リキュルをあおり、すっかりいい気分。でも、当時はセブンイレブンがなかった!

ソフト帽を被った彼の名前は白澤明。近くの交詢社内にある時事新報の記者。十五代目羽左衛門に似たハンサムな顔立ち。真っ赤な口紅の彼女の名前は原田節子。今はときめくエレベーターガール。今売り出し中の女優原節子似の美人さんだ。

「なあ、節ちゃん。今度の休みはキネマに行かないか。小田安二郎の『終わらなかった人』がかかるんだよ」

「へえ、題名だけだと、つまんなそうね」

「新朝社の『日の入り』に連載された小説が原作なんだよ。大学は出たけれど、定年になった田代宗助が主人公…」

「何か、余計、つまんなそう。いっそ、小田急で逃げましょか」

「節ちゃん、それじゃまるで、『東京行進曲』じゃないか」

「まあ、明さんもよく流行り唄をご存知のこと。それより、今、霞ヶ関で流行っている『接吻はらはら』とかいう遊び、どんなのか、教えてくださらない?『万朝報』のゴシップ欄に出ていたわ」

「だめだめ、子どもがそんなことに興味を持っちゃだめ。美人薄命だよ」

「なあに、それ!? チョベリバ」

「チョベリバ?」

「卍まんじ」

「節ちゃん、余計、分かんないよ」

「えへへへ、明さんも、天保生まれだから、水滸伝しか知らないんでしょ」

「あに言ってるんだか…」

赤塚公園のニリンソウ自生地

若い二人には明日がある。熱血指導マスターの掛け声で、二人は、銀座・交詢社通りの人を押し分け、搔き分け、夕陽に向かって走っていくのでした。

おしまい

京都・花街島原近くの「宮武」は旨くて安い穴場の店どす

うまいめん食い村の村長、京洛先生です。最近、横田英樹さんの教えを受けて、渓流斎日乗の乗っ取りに成功しました(笑)。
 昨日9日は、洛中でも、こんなに旨くて、安い定食を食べさせるお店があったのかあ、と感心する出来事があったので御報告させて頂きます。
 ”花の銀座”や、”東都の花街・新橋”、さらに、日本一高い高級鮮魚”を扱う築地河岸を控える所で、連日、豪勢なランチを食べている方(あたし、のことじゃん!)には信じられないでしょうが、860円で上の写真のような、旨い出汁がしみたカレイの煮つけを主肴に3、4品の小鉢がつくのですから、貴人も吃驚仰天でしょう(笑)。繁盛するのは至極当然だと思います。
 この店は、知り合いの京都府警OB氏が、「京洛先生、美味くて安い昼飯を食わせるところを案内しましょうか」と、お誘いがあり、これに素早く対応した次第です。さすが、”地回り”ですね。庶民の動静をよくご存じです(笑)。
 場所は”洛中の台所”である、京都中央卸売市場の傍でした。迂生のほかに、これまた知人の大学教授、洋画家先生も誘って、昨日朝早くからノコノコ出かけた次第です(笑)。
 「朝10時半からやっていますが、朝一番なら大丈夫ですよ」という適切な助言もあり、朝食を控え、朝・昼兼用のランチ懇談に、指定された「宮武」にまいりました。玄関は上の写真の通りです。
 同店のホームページを検索してご覧になれば分かりますが、今は歴史遺産になっており、新撰組も通い、その時、大暴れした刀傷も残る花街・島原に隣接したところで、食事後はちょっとした歴史探索も出来ます。
 10時30分からの”朝食・昼食ランチ”でしたが、出てきたおかずの多さには一堂吃驚しました。ご飯もお替り自由です。
 日替御膳の「カレイの煮付」は期待通り、甘辛く煮込んであり、玉子もたっぷりついて大満足でした。おかずも、それぞれ、下ごしらえが十分してあるのがよく分かり、味がしみて、美食家の洋画家先生は「これは、嬉しいですね、毎日、食べに来たくなりますね」。大学教授も「860円でこれだけの料理が食べられるのですから、朝からお客さんが大勢来るのは当然です。旨くて、安い店は皆さんよく知っていますね」と感心しきりでした(笑)。
 店内には、ちょとした中庭があり、夜は予約もOKで、府警OB氏は「夜は店の入口が薄暗くて、風情が漂いますよ。値段も、そんなに高くありませんから」とのアドバイスもありました。
 同店のコンセプトは、「料亭クラスに限りなく近い旬の魚料理を居酒屋としてお出しする」という事で、魚のプロとして厳選された新鮮な素材に拘り、旬の魚を使用した料理を一人でも多くのお客様に堪能してもらうのが目標なんだそうです。
 
  歴史散歩好きの渓流斎先生が次回、上洛された折は「宮武」及び、島原界隈をご案内しましよう。
 以上
 All photos copyright by Kyoraque-sensei

京都国立博物館の「池大雅展」は見どころ一杯

渓流斎先生ともあろう人が、じゃあーなりすとを気取っておきながら、よっぽど才能が劣化したのか、ネタが尽きたように思われますので、またまた、いつものように、タネをご提供申し上げましょう。
あ、申し遅れましたが、皆様ご存知の京洛先生です。
  迂生は、連休中に京博の「池大雅展」を見てきましたが、4月29日の祝日は、がら空きで、国宝、重文多数をゆっくり見ることができました。
 文豪川端康成が愛藏した国宝「十便十宜」(川端康成記念會蔵)は、大雅と与謝蕪村の合作ですが、確かに川端が手元に置いておきたかった名品、優品であるのが分かりました。
  来場者が少ないので、ガラスケース越しに、ゆっくり15分くらい、自分の所有物のように眺めることができました(笑)。
 このほか、国宝「楼閣山水図屏風」(東博蔵)、国宝「山水人物図襖」(遍照光院蔵)や、重文「蘭亭曲水・龍山勝会図屏風」(静岡県立美術館蔵)、重文「魚楽図」(京博蔵)、重文「五百羅漢図」(萬福寺蔵)などなど、どれも堂々として、画面いっぱいに、大雅の心意気が伝わります。
 池大雅は本名は「池野」だそうですね。京都の銀座の下っ端役人の子供で、彼が生きた享保(1704年)から元文、寛保、延享、寛延、宝暦、明和 、安永(1780年)までの、18世紀の洛中は、ちょうど与謝蕪村、円山応挙、長澤芦雪、伊藤若冲らも活躍していた時代でした。
  大坂に住んでいた皆様ご存知の木村兼葭堂(画家、本草学者)も京都に池大雅を訪ねて、あれこれ交流し、サロン活動を繰り広げていたようです。江戸時代も、幕末に向かう前の頃ですね。
 頼山陽も18世紀後半の生まれで、大雅より年下ですが、恐らく、池大雅らの影響を受けたりしていた思います。
  会期は今月20日までですが、今から出かけてもゆっくり見られると思いますよ。
 京博の近くにある真言宗智山派総本山「智積院」にもついでに立ち寄り、躑躅(つつじ)なども撮ってきました。
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