細川護熙元首相まで藤原氏の末裔だった

倉本一宏著「藤原氏」(中公新書)をやっと読了できましたので、書評ではなく、備忘録として書いてみたいと思います。

登場人物を一人一人、家系図で追いながら、いちいち人物相関図を確かめていたので、通読するのに2週間以上掛かりました。 前回書いた時は「大学院の修士課程レベル」と書きましたが、訂正します。「大学院の博士号課程レベル」でした。ここに登場する天皇、藤原氏、皇后、中宮、家系図、分家図を全て諳んじて言うことができれば、博士号取得は間違いないことでしょう。

それでは行きます。

・藤原鎌足を継いで中心に立った二男の史(ふひと)は、鎌足が亡くなった時、まだ14歳だった。幼少期は、百済系渡来人田辺氏の許で、養育された。権力取得した後は、史を「等しく比べる者がいない最高名」として不比等と改名した。

・藤原氏の礎を作った不比等の四兄弟が、その後の藤原氏の繁栄の祖を作る。(1)南家の武智麻呂(2)北家の房前(3)式家の宇合(4)京家の麻呂ーの4人だ。あいにく、この4人とも同じ疫病で亡くなった。何の疫病だったのか、この本には書かれていなかったが、洋泉社ムックの「藤原氏」には、天然痘と書いてあった。

・「御堂関白記」を残した藤原道長は、関白には就ていなかった。内覧と太政官一上(だいじょうかんいちのかみ)と左大臣のみ。天皇の外戚を利用して、摂関政治の頂点に立った。

・道長のピークはちょうど今から1000年前の寛仁2年(1018年)10月、三女威子を後一条天皇の中宮に立て、二次会の宴席で、「この世をば 我が世とぞ思ふ 望月の 欠けたる事も 無しと思へば」という有名な句を詠んだ。道長の21年間に及ぶ絶対的な権力政権により、政治が安定し、女房文学の繁栄がもたらされた。(道長の末子長家の子孫が和歌を司る冷泉家)

・道長は1028年に62歳で死去。道長を継いだ頼通は、4人の妃を後宮に入れたが、皇子を儲けることが出来ず、外戚の地位を得られなかった。これが摂関政治の衰退に繋がり、院政の道を開く。道長の死後は、頼通より4歳年長の姉彰子(一条天皇の皇后で、後一条天皇と後朱雀天皇の母。紫式部、和泉式部らが仕えた)が権力を握ったが、頼通は51年間もの超長期政権を築いた。

・北家冬嗣の兄である参議真夏を祖とする日野家からは、親鸞や、室町八代将軍義政の室となった日野富子らがいる。

・北家魚名の五代目に当たる秀郷は、承平・天慶の乱を鎮圧したとして有名だが、その後、「武将の祖」と仰ぎみられ、奥州藤原氏、足利氏、北面の武士佐藤義清(西行)らを輩出する。戦国武将の大友氏、立花氏なども秀郷の子孫を自称するも確かな証拠はないらしい。

・現代の細川護熙元首相は、熊本藩主の子孫としてよく知られているが、母親温子(よしこ)は、近衛文麿の娘で、実は藤原氏の末裔でもあった!

パソコン繋がりました お騒がせしました

最近、どういうわけか、お蔭様で、《渓流斎日乗》の読者の皆様がそこはかとなく増えているような気がします。1日平均100アクセスぐらいだったのが、最近では200アクセスぐらいになっています。

これもまた、わざわざアクセスして頂いている皆様のお蔭です。どうも有難う御座います。

ということで、あまり書きっぱなしでは、皆様の気をやきもきさせてしまうのではないかと拝察し、なるべく以前書いた記事のフォローをさせて頂こうかと存じます。

昨日書いた新しく導入した(大袈裟な=笑)パソコン(米デル製 5万9651円)は昨晩、悪戦苦闘した結果、やっと繋がりました。

原因はやはり、NTTコミュニケーションズのWi-Fiが原因で、昨日は、「1日使い放題」540円分を払って、自宅でWi-Fiを利用したのですが、驚くほど回線速度が遅く、30分も1時間も待っても反応しないのです。昔、インターネットを繋ぐ時は、ダイヤルアップ接続で、静止画像をダウンロードするだけで、随分時間が掛かった時代がありました。あれと一緒です。

結局、回線の込み具合が緩和された夜中の10時過ぎになって、やっと繋がるようになったわけです。いやああ、本当に疲れました。夜中にパソコンを操作したので、昨晩は目が冴えて眠れませんでしたね。

皆様にも私のイライラが伝染していたら、申し訳ないと思い、早速弁明させて頂きました。

今は、ネットが無料で使える駅前の某喫茶店に行って、このブログを書いています。

パソコンに内蔵されているオフィスのワードやエクセルなどを使えるようにしようと思い、操作したら、マイクロソフトのアカウントを要求され、これまた、随分前に登録したので、パスワードを忘れ、悪戦苦闘しました。やっと思い出して、これも、うまくいきました。

今はこうして、新しいパソコンに向かっているわけですが、快適ですね(笑)。テクノロジーの進歩は、日進月歩ですから、7年前に買ったパソコン(NEC ラヴィ 12万0430円)と比べると価格が半分になったのに、起動時間が早いし、機能も2倍どころか20倍ぐらい進歩した感じです。

ネットで買ったパソコンには、マニュアルが付いてなくて、起動の仕方は分かってもも、シャットダウンの仕方が分からない(笑)。急いで「Windows10」のマニュアルも買ってきましたよ。

とにかくお騒がせ致しました。

「万引き家族」は★★★★★

今日はついにネットで買ったパソコン(米デル製 6万6980円の15%引きで5万5233円+税4418円=5万9651円)が自宅に届き、色々と設定してみましたが、NTTコミュニケーションズのWIFIが良くなかったのか、うまく繫がらず、結局失敗。半日も無駄にしてしまいました。

凄いフラストレーション。時間がもったいなくてイライラしてしまいました。

それはともかく、午前中、是枝裕和監督の映画「万引き家族」を観に行ってきました。この作品がカンヌ映画祭のパルムドールを受賞していなければ、わざわざ観に行くことはなかったと思います。けど、観てよかった。うまく騙されました。(この先、少し内容に触れますから、これからご覧になる方は、ここでやめておいた方がいいと思います。さようなら)

映画は大抵、美男美女が出てきて、色んな災難やイジメや嫌がらせなどに遭いながら、それらを努力やら周囲からの助けやら超能力やらで克服して、あとはめでたし、めでたしのパターンが多く、観る者もそんなお約束事を安心して観るのがお決まりでした。

しかし、この映画に関しては、真逆です。美男美女が出て来ないどころか(失礼!)、主役は「犯罪者」なんですからね。

罪状は、万引き、誘拐容疑、年金詐欺などですが、舞台が、グローバリズムやフィンテックなどの世界の最前線から取り残された東京下町で、題材も極めて日本的な話。こういう作品が国際映画祭で最高賞を受賞するということは、話がドメスティックであれば、ドメスティックなほど、人種や国籍や性別を超えた実に人間的な共感と普遍的な感動を得るものだと思いました。

主役の治役のリリー・フランキーは、素顔はインテリの作家・芸術家なのですが、風采は失礼ながら、パチンコや競輪競馬三昧で、いかにもコップ酒が似合う日雇い労働者風。演技をしなくても、見事に役をこなしてました。

その妻信代役の安藤サクラは、初めて主役作品を観ましたが、決して美人ではないのに、実に魅力的で、親(俳優の奥田瑛二と安藤和津)の血を受け継いでいるのか、抜群に演技がうまい。つまり、ドキュメンタリーを撮っていると観る者を錯覚させるほど、自然で、演技をしているように思わせないのです。

特に、警察署の取り調べで、「貴女は、(誘拐してきた)じゅり(佐々木みゆ)ちゃんに何と呼ばせていたの?」と婦警(池脇千鶴)に聴かれて、「何と言ってましたかねえ…」と言いつつ、自然と涙が何度も何度も溢れる場面は秀逸でした。そこの近辺だけでももう一度観たいぐらいでした。

人物構造図がちょっと複雑で、最後に種明かしされます。おばあちゃん初枝役の樹木希林は、まあ別格ですが、信代の妹の亜紀役の松岡茉優、そして、息子の祥太役の城桧吏もカンヌで大喝采されたぐらいですから、やはり、演技が上手く、違和感なく映画の世界に溶け込んでおりました。

原案、脚本なども手掛けた是枝監督は、台詞を極端に切り詰めて、役者に背中で演技をさせるような過酷な演技指導をしたのではないかと思わせました。

また、小津安二郎に影響を受けたのか、彼のどの作品でもそうですが、食べるシーンが異様に多い。所詮、人間なんて、食べて、交わって、寝て、家族が支え合って、笑っていられればこれ以上の幸せはないと言いたげでした。

久し振りにイイ映画を観させてもらいました。

【追記】

昨晩、ふと、是枝監督がこの映画で一番言いたかったことはこんなんではないかと想像しました。

主人公の「万引き家族」は、確かに社会から抹殺されるべき悪人ですが、それなりに、それぞれが小さな幸せを感じながら健気に生きています。一方、女児が誘拐された夫婦は、実は自分の子どもを虐待し、「こんな子を産まなければよかった」と子どもの前では邪見にしていたのに、マスコミの前では、しっかりとスーツを着込んで可哀そうな実直な被害者を演じていました。こんな「偽善家族」と「万引き家族」を対比して、是枝監督は、人間の本当の幸福とは何かを訴えたかったのではないか、と思ったわけです。

やられたあ…Apple ID 乗っ取りか?パニック

昨晩、急にアップルのサポートセンターから以下のメールが来ました。

ご利用の Apple ID(○○○○○@yahoo.co.jp)に、2018年6月7日20:45:23 GMT+8付けで以下の変更が行われました。
生年月日
セキュリティ質問と答え
お客様がこの変更を行っていない場合、または他人が不正にお客様のアカウントにアクセスしていると思われる場合は、速やかに https://appleid.apple.com の Apple ID アカウントページでパスワードを変更してください。

何じゃあ、こりゃあ!

てな感じです。

このヤフーのメルアドで Apple IDを登録した覚えがありませんが、もしかして、昔、iTunesを使うために、パソコンで登録しことがあるかもしれません。しかし、全く忘れていました。

いずれにせよ、私自身が生年月日やセキュリティ質問と答えを変更したことは一切ないので、他人が不正に侵入したことは間違いありません。

一番怖いのは、クレジットカード番号まで侵入して不当な請求があった場合です。

ITに詳しい石田先生に相談したら、「そのApple IDは使えないように削除した方がいいよ」ということで、Apple IDのサポートセンターの連絡先まで教えてくれました。

そしたら、セキュリティ質問が何と!中国語に変更されていて、意味も分からなければ、答えも分からないのです。Apple IDのサポートセンターに1時間以上も通話して、IDを削除しようとしましたが、結局、その中国語の質問と答えが分からず、それ以上先に進めず、Apple IDのサポートセンターは「こちらでも、もうどうしようもできません。もし、被害が出た場合、対処することができます」との返事。

このサポートセンターの担当高橋さんという方はとっても良い人で、後からもう一度電話を下さって、「中国語の質問の意味が分かりましたので、思い出せる答えを入れてみましょう」と言うのでやってみましたが、犯人が答えを変えてしまっては、どうしようもありませんからね。これもうまくいきませんでした。

京都 Copyright  par Kyoraque sensei

そこで、万が一を考えて、「事前にiTunesから引き落としがあった場合、ストップするか、事前にご連絡できますか?」と契約しているクレジット会社に電話したら、「事前にはできません。もし被害が出たら、その時もう一度ご連絡ください」とのこと。

何ぃーー!!怒りで震えました。いつ被害に襲われるか分からないのに、毎日チェックして、脅えて暮らせ!と言明されたようなもんですからね。

とにかく、厄介なものに巻き込まれてしまいました。

犯人は、中国人だけとは限りませんが、中国語と日本語を巧みに操る集団なのでしょう。お金目当てなんでしょう。

俺は紀州のドン・ファンじゃないのにねえ。嗚呼、もう少し穏やかな生活をしたいものです。

お稚児さんと禿の秘密

京都の京洛先生です。
 愈々、京都も「祇園祭」の時季なってきました。一昨日(6日)は、「長刀鉾」のお稚児さんと、禿2人が決まり、報道陣に発表されました。
 京都新聞HPを検索されると記事が出ています。
 稚児、禿の三人はいずれも小学三年生の8歳~9歳ですが、東京では、5歳の女児が親に虐待され亡くなくなりましたが、年齢に大差はありません。親の違いや境遇で、こうも、幼い人生が大きく違ってくるのか、と思うと、厭な世の中で、嫌な気分です。
 ちなみに、このお稚児さんになると、大変なもの入りです。「もの入り?、と言うのことは、おカネがかかるという事ですか?」と、野暮な渓流齋さんは目をシロクロされるでしょう。
 そうなんですよ。大体、選ばれる基準やプロセスが一般には全く分かりませんね(笑)。
 「透明性!透明性!」と、いつも声高に叫ぶ、マスコミ各社、報道機関もどういうわけかこれには沈黙です。
 さらに、「大相撲の土俵に女性を上がらせない!、「男女差別だ!」と、文句を言う人たちは、この、お稚児さんが、祭祀で、母親は勿論、女性の世話を一切受けることが、「厳禁」なのに、これまた問題にしませんね。世間とは、本当にいい加減なものですよ(大笑)。
 「民間の祭祀だから」という皮相な見方もあるでしょうが、実相は、”舞台裏”には、大変な、おカネ、予算がかかっていて、今時の、建前を言っていては「スカタンか!そんなこというてたら、やってられまへんえ」ですよ(笑)。
 稚児の世話をする周囲、関係者への、心づけ、気配りなど半端ではありませんね。言ってみれば”消費の世界”です。
 着物を着て、何処へでも、ウロチョロするだけの、サンドウィッチマン程度の京都市長や、京都役所がお金を出すわけがありません(笑)。八坂神社も出しません。鉾町は下働きはしても、それ以上でも、それ以下でもありません。当然、稚児の費用は、お稚児さんの家が受け持つわけです。
 「どれくらいかかるものですかね?」と、下品な探訪記者の習性、根性で、すぐ、下種の勘ぐりに走るでしょう。当事者に、直かに聞かれれば、正確なことが分かると思いますが、そんなことは、口が裂けても、家人が言うはずがないでしょう(大笑)。
 巷間、一説には、「一本とか、二本とか」言われていますね。
 貴人の事だから「え!一本とは、つまり百万円ですかね?」なんて言いそうですが、桁が違いますよ。まあ、一流大会社のサラリーマン風情の子供ではとても無理でしょう。
 5歳の女児の虐待死と重ねて思うに、「階層社会」は、厳然とあるという事です。
 写真は新緑の大徳寺の境内と、過日、渓流斎ブログで取り上げて頂いた京洛人士による「昼食探訪の会」で出かけた、洛西のはずれの「すしごはん 馬ん場」の、評判の「海鮮丼」です。ランチタイムのこの時間は、食欲旺盛、体力ある大学生、若いサラリーマンが押し掛け、店内は満員御礼。食が細っている「還暦」を過ぎた年寄りには、ヘビーな分量でした(笑)。
All photos Copyright by Kyoraque-sensei

気の毒過ぎる結愛ちゃん

東京・目黒区の女児虐待死事件。

今月の話かと思ったら、事件はもう3カ月前の3月2日の話だったんですね。しかも、2年以上も前から香川県で虐待が続いていて、犯人の両親は児童相談所から逃亡目的なのか、今年1月に東京に引っ越して、東京でもしつこく虐待を続けていたようです。殺された結愛ちゃん(当時5)は「反省文」まで書かされ、「もっともっときょうよりかあしたはできるようにするから もうおねがい ゆるして ゆるしてください」とまで書いていたそうです。

胸が締め付けられほど気の毒な話です。

父親の船戸雄大(33)容疑者は何と無職、母親の優里容疑者は25歳だったとか。2人は結愛ちゃんに食事を1日1食しか与えず、死亡時の体重は、同年齢の平均より7キロも少ない12キロしかなかったそうです。

何故、可愛い我が子なのにそこまで虐待するのか、良心の呵責も罪悪感もないのか、はたまた悪魔なのか、全く不思議で理解不能でしたが、結愛ちゃんは、雄大容疑者の子ではなく、2人の間に他に1歳の男の子がいると聞いて少しだけ分かるような気がしました。

ライオンやチンパンジーなど、前のオスから生まれた子どもは、殺してしまう習性を持つことを昔読んだ本などで知っていたからです。自分の血統を残すためです。

それにしても、人間には理性があり、理性があるのが人間です。私も、前の結婚で生まれた子どもと一緒に、夫婦になった友人を知っておりますし、(彼は「不労所得だあい」と嬉しそうに可愛がってました)、その後に子どもを授かっても、血の繋がりのあるなしで兄弟を区別することなど決してありませんでした。

幼児虐待の背景には大抵、このような要素がありますが、他に何かできなかったのか、手立てがなかったものか、といつも悔やまれます。行政だけに任すだけではなく、前の旦那さんが引き取ってもいいでしょうし、祖父母もまだ40代か50代で健在でしょうから庇護してもいいはずです。頼れるのは親しかなく、全く無抵抗の女児の魂が全く浮かばれません。

藤原氏を知らなければ何も始まらない

ここ2週間も日本の歴史を語るときに欠かせない「藤原氏」にはまっています。

倉本一宏著「藤原氏 権力者の一族」(中公新書・2017年12月25日初版)を読み続けていますが、なかなか読了できません(苦笑)。登場する人物を一人一人、「系図」で確かめて、人間関係を確認しながら読んでいるためです。

ですから、新書と言いながら、内容は濃密過ぎるほど深く、恐らく大学院の修士課程レベルではないかと勝手に思っています。この本だけで、理解することが難しいので、洋泉社ムック「藤原氏 至上の一族の正体」まで買ってしまったほどです。これを読むと、官位制や藤原氏から分かれる「近衛」「九条」「一条」などの公家一族の流れなどが一目で分かり、とても参考になります。

この本は、本人も「はじめに」に書かれておりますが、そして、以前私もこのブログで取り上げた「蘇我氏 古代豪族の興亡」(中公新書)の続編に当たります。藤原氏は、天皇の外戚となって権力を握った蘇我氏のやり方をそのまま踏襲したことになります。倉本氏といえば、先に「戦争の日本古代史」(講談社現代新書)も読んでいましたので、その博学ぶり、碩学ぶりには感服を通り越しておりました。

倉本氏は、「古事記」はもちろん、藤原不比等が撰修に深く関わった「日本書紀」、「続日本紀」(仲麻呂)、「日本後記」(冬嗣)、「続日本後記」(良房)、「日本文徳天皇実録」(基経)、「日本三代実録」(時平)の「六国史」、「藤氏家伝」「日本紀略」…とほぼ全ての原本に当たり、想像もできないほどの文献を読破しておられるようで、まあ、とても生半可な気持ちで読んでいてはとてもついていけません。

この本の内容を一言でまとめるのはまず困難です。少なくとも言えるのは、中臣鎌子=藤原鎌足を祖とする藤原氏は、この後、1300年間も日本の支配層の中枢の中枢を占めて、歴史を動かしてきたことは事実であり、奇跡的です。途中で藤原氏が天皇に成り代わろうと乱を起こしたり、摂関政治時代は特に、藤原氏が、数多いる親王の中から次の皇太子、天皇まで決めており、何だか、「万世一系」の天皇制といわれても、実は「藤原制」ではなかったのか、と勘繰りたくなってしまったほどです。

藤原氏といえば、平安時代の藤原道長は誰でも知っているでしょうが、幕末の三条実美も、近現代の西園寺公望も近衛文麿も藤原氏の末裔と聞くと少なからずの人は驚くことでしょう。1300年間、ずっと日本を動かし続けてきたのです。

それだけではありません。平泉で栄華を誇った奥州藤原三代も藤原氏。今も名前が続いている佐藤は、左衛門尉の藤原から、加藤は、加賀の藤原から、伊藤は伊勢の藤原、後藤は備後の藤原から来ていると言われていますからね。

武将の源氏も平氏も藤原の血が流れているので、まさに藤原氏抜きに日本の歴史を語れないわけです。

本日は、ちょっと官位制についてだけ、触れます。21世紀の現代になっても、叙位叙勲の制度があることは御存知かと思います。公立の小中学校の校長や大学教授も、亡くなった後や、88歳の米寿を迎えた場合、叙位叙勲されます。

このうち、例えば、大体ですが、小中学校の校長は、「正六位」か「従六位」、高校の校長は「正五位」か「従五位」か「正六位」、大学教授は「正四位」か「従四位」辺りで叙位されます。

古代から貴族の叙位は21歳以上になると行われ、大宝律令で定められた蔭位制(高位の親のお蔭で位を引き継ぐ)によりますと、皇族の親王は従四位下からスタート。藤原氏のような超有力臣族ともなると、従五位下からスタートするのです。(親が正一位や従一位の場合)

現代の校長先生や大学名誉教授が亡くなったりした時の最高の叙位が、21歳の若者のスタート地点だったことが分かります。

簡単にこの叙位と職掌の関係で言いますとー。

正一位・従一位=太政大臣

正二位・従二位=左右大臣・内大臣

正三位=大納言

従三位=中納言

正四位下=参議

従四位上=左右大弁

正五位上=左右中弁

正五位下=左右小弁

従五位下=少納言

といった具合です。

これは、何も、江戸時代や古代、中世の話ではないのです。現代も脈々と続いているということが言いたかったのです。

だから、偽証の佐川元国税庁長官やセクハラの福田元財務事務次官らがどれくらいの位階なのか、ちょっと興味ありますねえ(笑)。

森友文書改ざん事件の処分が甘い

私ごとき菲才がとやかく言っても始まりませんが、森友文書改ざん問題の処分は、納税者として全く納得いきませんね。

識者によると、この処分とは(1)刑事責任(2)行政責任(3)政治責任の三つがあるそうです。それにならえばー。

(1)の刑事責任には先週、色目を使った検察(大阪地検特捜部)が嫌疑なしとして、不起訴処分にしました。国有地を8億円も値引きしたことが刑事責任を問うほど因果関係があるのかどうか立証できなかったらしいのですが、理由は何とでも言えます。最初から、何処からか圧力を受けたのか、責任追及するつもりがなかったってことでしょう。安倍首相がかつて勤務していた神戸製鋼には、民間ということで、検察が強制家宅捜索してますからね。検察当局が、身内かわいさか、財務省から予算を減らされたら困るからなのでしょうか?

(2)の行政責任は、昨日、麻生財務相が20人の処分を発表しました。これだけの大人数なのに、麻生財務相は「組織的だが、組織ぐるみではない」とわけの分からないことを開陳するのです。矛盾してませんか?

結果的に、平たく分かりやすく言えば、筆頭責任者の佐川宣寿・元理財局長が、罰金500万円、監督責任者の麻生財務相が罰金170万円で幕引きを図る魂胆。

何しろ、日本の歴史始まって以来の大それた公文書改ざん事件ですよ(最近やっと、財務省も「書き換え」ではなくて「改ざん」と認めたようですが)。

国のかたちの根幹である公文書が偽造されれば、何もかも信用できなくなります。学者だって、ジャーナリストだって、企業広報だって、公文書を引用して論文を書いたり、記事を書いたりするわけでしょう。その根幹が間違っていたら、国民は何を信じたらいいのでしょう。

(3)の政治責任は、政治家以上にその政治家を選んだ国民を追及するべきかもしれません。しかし、(安倍晋三首相が)「私や妻が関わっていたら、総理も国会議員も辞める」と言ったのが全ての始まり(2017年2月17日)で、その一言がなければこんなことになっていない。官僚がまるで全て悪いかのごとく言われるが、あんなことやりたくてやった人は誰もいない」と発言したのが野党議員なら分かりますが、政権自民党の石破茂・元幹事長ですからねえ。

これにはホント、魂消た。

加計理事長は何処??

名古屋の篠田先生です。
…6月3日付毎日新聞朝刊のコラム「時代の風」で、作家の中島京子女史が「泥船に乗っている我々」というタイトルで、加計学園、森友問題に触れています。
 この中で、中島女史は、報道機関は、日大の運動部やタレント、芸能人のゴタゴタ問題は、必死に、懸命に追いかけるというのに、加計学園の加計孝太郎理事長を追いかけているところはない、という指摘をしています。思わず苦笑してしまいました。「忖度しているのか」とも書いてありましたが、全くその通りです(大笑)。…
確かに、この一年、これだけ話題になっている渦中の人なのに、どこの新聞もテレビも追っかけたこともありせんね。
 …安倍首相の友人で、ゴルフ、別荘仲間で、この問題の一番要(かなめ)の”ご本尊”なのに、何処のマスコミも、直撃インタビューする様子も気配もなく、中島女史ではありませんが、これでは手心を加えているか、忖度していると言ってもよいでしょう。…
確かに、その通りですね。
 …「国会」でも野党が、加計理事長の証人喚問を要求しているのに、マスコミは、彼の自宅や大学など、加計理事長を追い回し、張り込んでいる様子はありませんね。
 「プライバシーの侵害!」で訴えられるのを恐れているのでしょうかね。安倍首相と実は、裏でツーカーの「北朝鮮」にでも逃亡しているんですかね(大笑)。…
 まさか!そんなことはないでしょう。
 …「定年」過ぎた共同通信社のしがない広報老人をあれだけ糾弾しておいて、”安倍人脈”の方は追及しない、追いかけない、では片手落ちです。そんなことばかりやっているから、テレビは、巨悪よりゴミネタばかりを追いかけ回すことになるのです。…
 最近では、広報老人より、赤坂クラブ出身の彼のやり手奥さんの方が有名になっているのでは?(笑)
 …何処かの新聞社が「加計王国の虚飾を剥ぐ」の長期連載でもやればよいのです。面白いので、読者は激増するでしょう。今は”平成版 マムシの周六”はいないのでしょうかねえ?…
 マムシの周六とは、明治〜昭和初期の醜聞紙「萬朝報」の創刊者黒岩涙香のことですね。当時最大の権力者だった伊藤博文や山縣有朋らの妾を暴いたという。今や新聞社には、そんな骨太のジャーナリストは皆無に近いし、そもそも新聞社には若い優秀な人材も集まらなくなっているらしいですよ。
 …所詮、既存体制(エスタブリシュメント)の宣撫情報機関で、”リベラルエリート”の欧米大手マスコミと、それを追認するだけの日本のマスコミですから、こういう今の体たらくな状況になったのは、「当たり前」と言えばそれまでですがね。…
穿った意見ですね。
 …それにしても、真面目な話、加計孝太郎さんは何処に逃げているんですかね?一説には、安倍首相が「何処かにとんずらしてくれと!」教唆したという噂も出ています。朝日新聞の「伊藤律インタビュー」と同じように「架空インタビュー記事」でも出てくれば面白いのですがね。あの紀州のドンファンみたいにならないことを祈ってますが。…
彼の「御近影」として、帽子を被った加計学園の入学式の写真があるので、理事長室に毎日出勤しているんじゃないですかね。…それなら、なぜマスコミが突撃取材しないのか本当に不思議、不思議。いや、謎めいていますね。

天保年間の老舗「花園万頭」が破産申請

 奈良の西大寺先生です。
 近所の図書館で今晩(1日)の夕刊を眺めていたら、東都は新宿の老舗「花園万頭」が破産申請したというベタ記事が出ていました。
 赤羽先生と違ってインテリゲンチャで読書人の貴人は「え!そんな饅頭屋がありましたかねえ?」と言いそうですが、記事によると天保5年(1834年創業)です。
 「ぬれ甘なつと」が売り物で、デパートでも売っていて、迂生も、在京中は何度か食したことがありました。なかなか美味かったですね。負債総額は20億円だそうで、おそらく、経営多角化で、身の丈の合わないような、事業、投資に手を出して、この始末だと思いますね。
 創業184年。饅頭、和菓子だけを、堅実にやっていれば、そういう事態は起こらなかったと思いますが、儲かっていると、傍に悪魔の「甘いささやき」がくるものです。
 新宿本店は6日まで営業しているそうですが、工場が製造停止で商品は少ないようですね。江戸時代からの老舗が消えるのは東都の一大事件ですよ。ブログに書かないと駄目ですね。失格ですよ(笑)。
 天保はもう、江戸末期に近く、家斉、家慶の治世下で、天保8年が「大塩平八郎の乱」、同10年が「蛮社の獄」、同13年に水戸の「偕楽園」が出来ました。それよりも創業は古いのですからね。
 こういう、破産記事は、天下の日本経済新聞夕刊には出ていませんね。いい加減な「経済新聞」ですよ、ホント(笑)。今朝(2日)の朝刊にも日経新聞は「花園万頭」の破産記事は出ていません。
 奈良特派員の西大寺先生でした。