今日は、東京・池袋の立教大学で行われた立花隆氏http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AB%8B%E8%8A%B1%E9%9A%86の講演会に行ってきました。1ヶ月ほど前に応募したら当選したからです。この手のものは良く当たります。
タイトルは「日本はどこへ向かうのか~大学と大学教育の未来~」というもので、会場のタッカーホールには1200人ぐらいの人が集まったのではないでしょうか。
講演は大学から招聘されたせいか、3分の1くらいは立教大学の宣伝みたいな話でしたが、さすが、立花さんらしい薀蓄のある話でした。
立教大学は、キリスト教の聖公会の大学です。そのカトリックとプロテスタントをプラスしたような聖公会の伝統の影響から、大学教育には、一つの立場だけを絶対視せず、対立する視点を合わせて飲み込む幅の広さを持つ、と立花さんは指摘していました。いい意味で「あいまいさ」で、大学出身OBを見ればそれが分かる。例えば、マスコミで目下活躍している徳光和夫http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BE%B3%E5%85%89%E5%92%8C%E5%A4%AB それに、みのもんたhttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%BF%E3%81%AE%E3%82%82%E3%82%93%E3%81%9F 古舘伊知郎 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%A4%E8%88%98%E4%BC%8A%E7%9F%A5%E9%83%8E らは立教出身。彼らを見てみると、早稲田大学出身の田原総一郎、筑紫哲也、久米宏らと比べるとその違いに分かるでしょう。今の世界を悪くしているのは、原理主義です。テロを起こしているのも、正義を振りかざしているのも…。そういう意味で、自由とあいまいさを信奉する立教大学は素晴らしい、と持ち上げるわけです。
面白いことに、黒沢清、万田邦敏、青山真治、塩田明彦、周防正行といった今はときめく新進気鋭の映画監督は、全員立教大学出身で「立教ヌーベルバーグ」と呼ばれているそうです。彼らの共通点は、映画論の蓮見重彦教授の門下だったということです。
もちろん、安倍晋三さんに対する批判も忘れていません。安倍さんが尊敬崇拝する「お爺ちゃん」の岸信介http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B2%B8%E4%BF%A1%E4%BB%8Bについて「安保世代」の立花さんが痛烈に批判するのです。立花さんは東大に1959年入学、ということですから、当然、「安保世代」そのもので、1960年安保騒動では、デモに出かけています。
立花さんは言います。5月19日を境に運動はまるっきり様変わる。5月19日までは、デモ隊は数千人から1万人規模だったが、19日以降は、連日連夜何十万人という人が「岸退陣」のデモを行う。安倍さんは、これまで出版した自著の中で祖父の業績ばかり褒め、安保騒動の時でも、自宅付近に来たデモ隊に対してたじろぎもしなかった、と書いておきながら、この5月19日のことをひと言も書いていない。!と立花さんは言うのです。
5月19日に何が起きたのか?子供だったので、よく覚えていない私などは、「樺美智子さんが殺された日かな」などと思ったのですが、その日は「岸がクーデター起こした日」だったというのです。
5月18日から19日にかけて、岸首相(当時)は、安保特別委員会の審議を打ち切って、議場の中に、警官500人と何と広域暴力団の松葉会http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%BE%E8%91%89%E4%BC%9Aの組員300人も入れて、反対派を排除して、わずか30分で議決したというのです。
「そんなことをやったのは、日本の歴史上、ほかに誰もいない」と立花さんは怒るのです。
「岸はやってはいけないことをやった。クーデターに近いことをやった。それで、5月19日を境に『民主主義を守れ』という運動に変わる。彼(安倍)は、安保反対者を馬鹿と力説しているが、この歴史的事実を全く認識していない」と言うのです。
当事者の発言なので、大変重みがありました。