L&G事件考 

全国約5万人から1千億円以上のお金を集めたとされる健康食品販売会社「L&G」が、ついに摘発されました。この手のマルチ商法は、現れては消え、現れては消え、本当になくならないものなんですね。L&G一家の頭目の波和二(なみ・かずつぎ)容疑者は、1970年代からマルチ商法を手掛けた「先駆者」らしく、74歳というご高齢ながら、とてもそんな年に見えず、溌剌として、元気いっぱい。50歳くらいに見えます。何しろ確信犯ですから、自分が悪いことをしているという意識はサラサラなく、捕まっても、その後も、生きていれば、手を変え品を変えて、新たな商法を生み出すヴァイタリティーのある御方とお見え受け致しました。

 

この手の事件が起きると、いつも、「騙す方が悪いのか、騙される方が悪いのか」という論法が先立ちますが、まあ、どっちもどっちなのでしょう。何しろ、今時の低金利の時代に「100万円預ければ年利36%」なんというやり方がありうるわけはないし、業務として成り立つわけがなく、いずれ破綻が目に見えています。(その逆のサラ金しかありえないのです)「欲に目が眩んだ」と言われれば、返す言葉もないのかもしれません。

 

しかし、半ば強制的に会員に登録された人もいるでしょうし、一概には言えません。3万人から2000億円を集めたとされる「豊田商事」事件でも、身寄りのないお年寄りを付け狙って、篭絡するように、なけなしの老後資金を奪ったケースが多かったからです。

面白いことに、と言っては怒られるのですが、マルチ商法は、その時代、その時代に合った形で出現してくることです。バブル期1985年の中江滋樹会長による「投資ジャーナル事件」(7800人、580億円)では、株。2000年の「法の華三法行」事件(2万2千人、950億円)では、新興宗教。2007年の「平成電電」(1万9千人、490億円)、「近未来通信」(3千人、400億円)では、IT・通信…といった具合。

今回のL&Gは、健康食品ですが、その手段が、独自の擬似通貨「円天」を使い、インターネットで「円天市場」なるものを開設して、商品を販売していることです。(今でも閉鎖されず、会員向けには見られるようです)。

会員向け説明会では、同社幹部は「アラブの王様やネバダ州の富豪が金を出す」と言っているそうですが、随分、浅墓な言い逃れですよね。

中には1億円以上も出資した60歳代の女性もいるとか。こういう事件を耳にするたび、いつも気が滅入ってきます。