過敏性腸症候群 

もう最近では、人の口に上ることはなくなってしまったのですが、安部前首相が突然辞任した理由は、健康問題で、病名は、過敏性腸症候群(IBS)だった可能性が高いようですね。

これは、心因性の病気で、心理的なストレスで腹痛や下痢や便秘などが慢性的に持続し、不安や神経症なども併発するそうです。安倍前首相もストレスで、「晩年」は、食事も思うように摂れなくなり、ひどくやつれていたことを思い出します。

「そうです」と書きながら、私もかつて、この病気に罹ったことがあるので、よく分かっています。私の場合は、「出社拒否症」と「帰宅拒否症」が原因でしょう。後者の場合は、笑って済ませすが、前者は、本当に発狂しそうになるくらい苦しい病気でした。

原因が分かっているからです。しかし、情け容赦なくIBSは襲ってきます。私の場合は、下痢の方で、自宅を出る直前に二回も三回もトイレに行っても、電車に乗るともよおしてきます。途中下車してトイレに駆け込むことが何度もありました。しかし…、こういう時に限って、恐らく同じ病気を抱えた人でトイレは満杯なのです。卒倒しそうになりますよ。悪循環で、電車拒否症になるといった具合です。

最近、年を取ったのか、開き直ったのか、IBSは襲ってきませんが、今でも念には念を入れて、途中下車の駅のトイレの場所をすべて把握して、出社時間の一時間前に着くように、家を出ることにしています。電車もトイレも空いているからです。

なぜ、大腸が心因性の病気に罹りやすいのかー。福士審著「内臓感覚」(NHKブックス)によりますと、腸は発生学的にいっても、脳に一番近い臓器だからだそうです。そもそも、脳は、腸の神経細胞組織が進化してできたもので、腸はいつも脳に神経信号を送り、脳からも常に信号を腸に送っているのです。恐らく、人類は長い間、飢餓と闘ってきたからでしょう。

だから、心理的プレッシャーがあると、腸の具合も悪くなってしまうのです。これは、両者が呉越同舟で、運命的につながっているせいだったからなのです。

 

この伝でいきますと、脳には常にプラスの肯定的な自信の持てるような前向き志向の信号を送っていけば、腸の働きもよくなるということになります。「自己暗示」でも「だまくらかし」でも何でも構いません。腸の健康のためには最後の手段です。

最近、私が、IBSに襲われなくなったのは、常に自己肯定的なメッセージを脳に送っているからだと思っています。何があっても、「すべて、すべて、そうなるようになっているんだ」「私は運命的についている」とプラスに捉えるようにしたのです。

日々、生きていけば、誰でも何らかのトラブルに見舞われます。それを、いい方に解釈して、好転させるように努力するのがいいのです。

例えば、何でもいいのですが、床屋に行ったとします。すると、混んでいて待たされたとします。以前の私なら、「ああー、僕は忙しいのに、何てこった。待っていられない。他の店にしようかなあ」と、ついていないことを呪っていました。それが、最近では、すべてを「良い事しか自分には起きない」「そうなるようになっている」と肯定的に考えていると、事態は好転するのです。目の前に週刊誌があり、新聞で見出しを読んでいて、買うまでもないけど、いつか立ち読みでもして見てみようか、と思った週刊誌だったのです。単なる待ち時間ではなく、充実した待ち時間になったわけです。

例えば、恋人と待ち合わせしたとします。恋人は、電車に乗り間違えて「30分遅刻する」とメールで連絡してきたとします。誰でも「何てこった!僕は30分も前に来てるのに!もう帰っちゃおうかなあ」と思ったりします。しかし、「そうなるようになっていた」と冷静になると、ふと近くに宝くじ屋さんがあるのに初めて気が付きます。めったに買わないのですが、「確か『ロト6』がキャリーオーバーで4億円になっていたなあ。暇つぶしにやってみようか」とやってみると、不思議と当たったりするのです。

昔はマルクスではありませんが、「すべてを疑え」という言葉が身に染みていて、私は、いつもすべてを懐疑的に見る癖がついていたのですが、現状を肯定的にとらえるようになると、腸の具合もよくなりました。

つまらない私の経験なのですが、皆さんにも役立てればと思い、書きました。