シムズ理論は国民を幸福にするのか?

竜宮小僧?

黒田さんが日銀総裁に就任して5年も経つのに、デフレ脱却と2%インフレ目標の達成は、結局うまくいかず、いわゆるアベノミクスも失敗に終わったようです。

黒田さんの標榜した異次元の緩和とやら、国債をジャブジャブと発行して買い漁り、遂には、マイナス金利という禁じ手の金融政策を導入しながら、大衆の消費は伸びず、景気も上がらず。

笛吹けども踊らず、というより、無い袖は振れず、ということなのでしょう。

所詮、無理な話なのです。

賃金も上がらず、年金もカットされれば、大衆は馬鹿じゃないですから、敢えて欲しい物は我慢することでしょう。

竜宮小僧?

今は、スマホという大変な武器がありますから、これさえあれば、ゲームも出来れば、新聞雑誌も読めれば、百科事典にもなり、料理本にもなり、教則本にもなり、テレビにも映画にもなりますから、敢えて少ない可処分所得から消費動向に貢献しないでも済んでしまっているわけです。

そこで、ここにきて、金融政策の限界説から、財政政策にシフトして、今「シムズ理論」なるものが脚光を浴びてます。

何知らない?

今や経済専門紙・雑誌で取り上げられない日はないくらいですから、知らない人は潜りですよ(笑)。

竜宮小僧?

何の潜りか分かりませんが、私も潜らずに浮かび上がってみました。しかし、このノーベル経済学賞を受賞したプリンストン大学のクリストファー・シムズ教授の「物価水準の財政理論」を理解できる人は、世間ではそうザラにはいないだろうと確信しました。

何しろ、基礎的財政余剰の実質値やら、貨幣発行益の実質値やら、専門用語の基礎知識がなければまずお手上げです。

とはいえ、こんな専門用語なんて、その筋の符丁と同じような虚仮威しで、怖がることもないのです。

ある経済評論家が、分かりやすく解説してくれたところによると、このシムズ理論というものは、政府が財政赤字を放置して、政府は借金を返済できないのではないかと国民の不安を煽ることによって、通貨価値を下落させ、物価を上昇させて目標を達成するという実に強引というか、ヤクザのような手口なんですからね。

こんな財政政策が国民の幸福に寄与するというのでしょうか?

謀略と裏切りの物語。「昭和解体 国鉄分割・民営化30年目の真実」

中国 Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

 崇敬するジャーナリスト、牧久氏から新著を贈って頂きました。「国鉄分割・民営化30年目の真実」という副題の付いた「昭和解体」(講談社)です。

 日経の副社長まで務められた牧氏は、東京五輪の開催された昭和39年(1964年)に経済専門紙ながら社会部記者としてジャーナリスト生活をスタートし、国鉄本社の記者クラブに常駐するなど国鉄の動向をつぶさに観察してきた人です。

 記者生活から離れても、好奇心を失わず、その国鉄解体の過程を歴史というより、「同時代の目撃者」として書き残したいという熱望を長年心に秘め続け、ついに大願成就したわけです。

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 牧氏の凄いところは、世に送り出した著作のほとんどが、ご自身の体験に基づいたノンフィクションだということです。ベトナム特派員時代の体験に基づいた著作が「サイゴンの火焔樹」「安南王国の夢」「特務機関許斐氏利」などです。

 国鉄体験は、以前に国鉄総裁を務めた十河信二の評伝を「不屈の春雷」のタイトルでまとめております。

 2年前は、満蒙開拓団の指導者として戦後指弾された加藤完治と張作霖爆殺事件の実行犯東宮鐵男を中心に、彼らを歴史的に再評価をした評伝をまとめた「満蒙開拓、夢はるかなり」を発表しています。

 昨年後期高齢者の仲間入りを果たされながら、大変な労作とも言うべき意欲作を次々と発表される牧氏のバイタリティーには頭が下がります。

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 さて、この「昭和解体」ですが、まだ読了しておらず、ほんの少し序章等を読んだだけですが、そこには本書の全体像が克明に描かれています。

 牧氏は、16ページから17ページにかけてはっきりと書いております。

 …国鉄の分割・民営化は、25兆円を超える累積債務(これに鉄建公団の債務、年金負担の積立金不足などを加えると37兆円)を処理し、人員を整理して経営改善を図ることがオモテ向きの目的であったが、そのウラでは、戦後GHQの民主化政策のもとで生まれた労働組合、なかでも最大の「国鉄労働組合」(国労)と、同労組が中核をなす全国組織「日本労働組合総評議会」(総評)、そしてその総評を支持母体とする左派政党・社会党の解体を企図した、戦後最大級の政治経済事件でもあった。…

 なるほど、今の左翼勢力の低迷というより崩壊に近い状態と極右勢力の台頭は、わずか一(いち)国有企業(とは言ってもあまりにも巨大過ぎますが)の消滅によるもので、結局、国鉄解体が戦後日本の政治体制、ひいては既成勢力の政治思想と大衆の思想信条にも多大な影響を与えていたというのです!

 ここまで意図・企画して図面を書いたのは、当時の元首相中曽根康弘氏で、牧氏はしっかりと98歳(当時)の中曽根氏にインタビューされているので、これから読むのが楽しみです。

 もちろん、「三人組」と呼ばれ、のちにJRの各社長に就任する国鉄の若きキャリアの井出正敬(いで・まさたか)、松田昌士(まつだ・まさたけ)、葛西敬之(かさい・よしゆき)の各氏らも登場します。

 「そこには策謀と裏切り、変節、保身、憎悪、怨念など、さまざまな人間の情念が渦巻いていた」と牧氏は明記しているので、どんな展開になるのか、既に事実を知っていても愉しみです。

 【追記】

 現在、映画「わたしは、ダニエル・ブレイク」が公開中のケン・ローチ監督。ネット情報によりますと、ローチ監督は2003年に「高松宮殿下記念世界文化賞」を受賞します。彼はこの賞のスポンサーが「反動的」メディアであるフジサンケイグループであり、中曽根康弘氏がバックにいることも知っていたが、敢えてこれを受けた。彼は、その賞金の一部を、日本のどこか適当な労働運動に寄付したいと考え、人の勧めで国鉄分割民営化に反対したためにJRから閉め出された闘争団に寄付した、と書かれておりますね。

片岡みい子さんのお別れの会

神楽坂「紀の善」のクリームあんみつ

昨日は東京・神楽坂の日本出版クラブ会館で行われた翻訳家・フリーライターの片岡みい子さん(1950~2017)の「お別れの会」に参列してきました。

彼女の交流の深さと人徳でしょうか、およそ170人もの友人知人が集まりました。亡くなったのが2月7日ということでしたが、まだこれから先のあるお若い年齢であの世に旅立たれたので、多くの方から惜しまれる声が聞かれました。

本当に、多くの友人知人に恵まれました。旧ソ連の反体制派の人々の支援運動家として活動した正垣親一氏(1947~2001)を支えるパートナー、妻として、毎年東京・銀座の渋谷画廊で発表する「It’s 展」会員の芸術家として、世間ではよく分からないおつな寿司セミナーの世話役などとして日々社会貢献されてきたせいか、彼女と関わってきた人たちが縁の下で働き、会場には、彼女が翻訳した数多くの本や、描いた絵画なども展示され、パワーポイントで作成された写真や動画も公開されていました。

これらは、すべて、残された友人知人が手分けしてボランティアでやったわけで、とても人徳がなければ、こんな形で盛大な会が催されることはないと思いました。

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小生は、(2014年に解散した)おつな寿司セミナーのメンバーの一人として、もう30年近いお付き合いでした。大学の後輩であったので、「先輩」と呼び掛けると、よく「先輩はなしにしましょうねえ」と怒られたものでした(笑)。

それでいて、「渓流斎君、これちょっと調べといてくれない?」「渓流斎ブログで本の宣伝してくれない?」なぞと、さりげなく頼りにされたこともしばしばでした。いや、ほんの数回程度ありました(笑)。

彼女の辛酸を舐めるような人生体験は、著書「たいへんよく生きました」(論創社)に詳しいのでここには触れません。

ただ、とても、しっかりとした方で、苦悩は表には出さず、むしろ、物事を前向きに明るくとらえて、話が暗くなったりすると、「そっかー」と相槌を打ちながらも、「もうその話は終わりにしましょうねえ」と言う方でした。

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そして、準備のいい方で、遺言として以下の言葉を我々に残してくれました。

「皆さま、生前は大変お世話になりました。仕事や旅行や会食や趣味や、色んなプロジェクトでご一緒でき、本当に楽しかったです。いろいろ教えていただき、誘っていただき、心配していただき、美味しいものを御馳走していただき、見守っていただき、有難うございました。私はお先に参りますが、もし精霊になったら、皆さまをしっかり応援することをお約束します。

2017年2月 みい子」

あの世に旅立ち、精霊になったら見守ることを約束する、なんて実に彼女らしい。彼女の性格がモロ表れていました。

お別れの会で、司会進行役を務めた方は、彼女と親しかった元民放の女性アナウンサーの方でしたが、この文章を読みながら途中でもらい泣きさえしておられました。

 中国 Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

私も、多くの方が集まる会合は3年ぶりぐらいで、久しぶりに参加しました。

会場には、おつな関係の方は、全体からみると意外と少なく28人程度でしたが、それでも多かったようです。

中には、3年ぶりのYさん、5年ぶりのHさん、10年ぶりぐらいのSさんら久しぶりにお目にかかる方もおりました。自分を棚に上げて何なんですが、皆さん、さすがにお年を召しました。

会が終わって、せっかく神楽坂にまで出て来たものですから、私の行きつけの料亭に行く予定でしたが、そんなものあるわけなく、いつものことながら、一体何人集まるのか分からないので予約もできず、その場で決めてしまうのですが、京都から下って来られた京洛先生がお入りになった所は、何と、近くの目の前に飛び込んできた焼き肉屋さんでした。

そこには後から合流した方も含めて12人ぐらいの大所帯になり、朝鮮の濁り酒のマッコリをガバガバ飲んで、「おつなの会って何なのですか?」と聞かれ、なんやらかんやらお話をして帰りました。この中で、この春、O氏の御子息が名門校から赤門大学に現役合格された話や世界シェアナンバーワンのベンツのバスがなぜ日本に参入できないのかといったKさんの講義は面白かったですね。

このまま帰る予定で一人、皆さんと別れたところ、途中で、悪い人たちに捕まって、何と、昼間は行列ができる老舗甘味処「紀の善」に入って、クリームあんみつまで食してしまいました。

昔は、お酒を呑んだ後はラーメンが定番でしたが、今はもう、お酒を呑んだ後はあんみつの時代になりましたか(笑)。

ここでは、重職に就いているY君が54歳にしてパパになる話(ママは何と犯罪的にも21歳も年下!)や、スウェーデンから帰国中のH氏が、意気盛んにも若い女性からもてているという自慢話をさんざん聞かされて盛り上がりました。

本当にごちそうさまでした!

サイバー攻撃には気をつけろ!

Invalid

この世は悪意に満ちた世界なのか。

庶民の必死の防衛策として、先日、銀行の振込手数料が格安か無料になるいわゆるインターネット・バンキングを申し込んだところ、サイバー攻撃犯罪のニュースを聞きました。

スパムメールや、マルウェアウィルス等を送りつけて、ID、パスワードを盗み、遠隔操作するという奴らの手口は分かっていました。

だから、決まったパスワードではなく、瞬時にしてコロコロと変わる使い捨てのワンタイムパスワードなら大丈夫かと思ったら、何と、今のハッカーの皆さん(なんて言う必要もないか?)には、そんなもんでさえ簡単に打ち破ることができるんですね!

我々庶民は、どうせよと言うんじゃいと、力なく苦笑するしかありません。

世の中、悪人だけが住んでいるわけではありません。

そんな悪意のソフトが、パソコンやスマホやタブレットに紛れ込んでいるか無料で診断してくれるサイトを、一般財団法人「サイバー犯罪対策センター」が公開してくれました。

このニュースは、瞬く間に広がったせいか、このサイトにアクセスするとかなりの民衆が雲霞の如く押し寄せているようでなかなか繋がらず、かなり待たされます。

それでも辛抱強く待っていると、繋がり、数秒で診断してくれます。

私もやってみました。

大丈夫でした。でも、インターネット・バンキングを利用する前に、毎回、診断をやってみようかと思ってます。

先日も、東京都税局と名乗る収税人から、ネット登録して納税すれば楽ちんよ、と勧誘のお手紙が届きましたが、その数日後に、都税局のサイトにサイバー攻撃があり、何万人かの住所氏名年齢から口座番号等がハッキングされたという ニュースを聞き、嗚呼、ネット登録しなくて良かったと安心したものでした。

やはり、毎日、毎時、ニュースに接していなくては、現代社会を生き抜いていくことができません。新聞も一紙だけ読んでいては駄目です。複数紙読んで初めて違いが分かり、各紙の趣味趣向も分かり、欠けた部分も補うことができます。

ワンタイムパスワードを盗み取る事件も、某大手紙には一行も載っていませんでした。私は、ラジオのNHKニュースを聞いて知りました。

稲田防衛相の父君

都内
甲子園球場です。

森友学園の快進撃は止まりません。下馬評に違わず、三回戦、準々決勝は、楽々突破し、今、準決勝にまで勝ち進みました。

このままいけば、確実に決勝で安倍学園と激突するはずです。

さて、一昨日、偶然にも森友学園のキーパーソンの一人である「日本会議の研究」作家菅野完氏と遭遇したことを渓流斎ブログに書いたところ、普段読んだことも見たこともない人までが多勢アクセスされて、サーバーがパンクしたようです。

というのは、ポスト真実です。実際はほんの少し増えた程度です(笑)。

◇千両役者の登場

森友学園物語も、かなり芸達者な千両役者が出揃いました。

最初は、何が何だか分からず、そのまま深みにハマって、まるで、実況中継のようなことをこの渓流斎ブログで始めましたが、今でも実際、どんな方向に展開するのか見当もつきません。

昨日は、森友学園の籠池理事長が「安倍首相から100万円貰ったでがんす」と、テーブルがひっくり返るような爆弾発言を野党議員団の前で発言し、慌てた自民公明与党は、あれ程拒絶していた籠池理事長の証人喚問を、渋々どころか、今度は積極的に決定したということですから、リング最前席の観客からも大きなどよめきが聞こえました。

◇日本会議人脈

さて、森友学園物語には、沢山の千両役者が登場したことに触れましたが、地下水脈のように繋がっているのは、日本会議人脈だと言えます。

籠池理事長本人も、日本会議大阪支部の幹部ですし、安倍首相、鴻池参院議員、稲田防衛相ら名前が出た政治家もほとんどが日本会議シンパの議員連盟として名を連ねております。

周囲に大阪府の松井知事と財務省理財局長らの高級官僚、狂言回し役者として、ノンフィクション作家の菅野氏と、まさに社会派の広津和郎か石川達三や山崎豊子が飛び付きそうな題材です(笑)。

ここ数日、脚光を浴びているのが、何と言っても稲田防衛相でしょう。お膝元では、南スーダンにPKOとして派遣された日報隠し疑惑問題が浮上しているのに、籠池理事長との浅からぬ関係まで暴露され、針の筵に座らされているようです。

私は、稲田氏のことは、もう9年前の2008年に上映禁止問題で揺れて、結局、警察官が劇場の出入口で立ち会いしてまで公開された映画「靖國」の中で、絶叫しているお姿を拝見したのが初めてでした。

当時は、まさか、防衛大臣にまで昇り詰めるとは想像もつきませんでしたが、安倍さんがこの映画を御覧になって、スカウトされたのではないかと、勝手な想像が働いてしまいました。

◇「頑張れ日本!」の椿原氏登場

稲田氏は、早稲田大学を出た弁護士として著名ですが、なぜ、ここまで民族主義的な愛国者になられたのか不思議でしたが、稲田氏以上に輪を掛けて、愛国主義の急先鋒とも言えるのが稲田氏の父君椿原泰夫(1932年~2016年10月8日)氏だったことは、新聞、テレビではあまり触れられておりませんが、ネットの住人の世界では、ごくごく当たり前のことになっていたのです。

椿原氏は、福井県出身で、京都大学文学部を卒業(フランス文学専攻)。そのまま大学院まで進学されております。

その後、教職に就かれ、京都府立洛北高校の校長まで務めました。

政治運動家としても活動し、「頑張れ日本!全国行動委員会」の京都本部代表となり、桜チャンネルに御出演されて持論を展開されておりました。

実は、これらの情報は、一昨日遭遇した作家の菅野完氏のツイッターを見ていたら、出てきたことでした。

彼は、かなり、言葉遣いが荒いですが、籠池理事長の「安倍首相から100万円貰った」発言が昨日明るみに出るもう何日も前から、御自分のツイッターでこのことに触れておりました。

既成のメディアは何をやってるんでしょうかね?

あの京都にお住まいの京洛先生も御存知なかったかもしれませんが(笑)。

森友学園関係者らしき人物がマスコミに囲まれていた現場に遭遇。いや、関係者ではなく、菅野完さんでした

フランス大使館
昨年は、引退を表明し、「終わった人」に成り果てた渓流斎ですが、昨晩は見事現役復帰致しました。

もしかしたら、完全復活かもしれませんね(笑)。

それはさておき、毎日、自宅と銀座の職場の往復です。最近全く遊んでいません。居酒屋にも行かず、痛飲もせず、咳もクシャミもせず、髭も剃らず、仕事が終わればそそくさと真っ直ぐにお家に帰る謹厳実直な毎日です。

銀座も飽きました(笑)。

そんな時に、かのフランス大使館から招待状が届きました。勲章授与式に出席せよとの仰せです。あのナポレオンが制定したレジョンヌ・ドヌール章です。残念ながら、何の功績もない小生に与えられるわけがありません(苦笑)。他の偉い日本人です。

それでも、私は喜び勇んで参加しましたね。目的は、高級ワインとシャンパーニュです(笑)。
フランス大使館

普通の人間でしたら、フランス大使館なぞ、そう滅多に足を踏み入れることなんかできません。

私は、皆様御存知の如く、普通の人間ではないので(笑)、仏大使館は7、8回目です。(何度行っても、方向音痴なので迷いますが)また、都内の数ある大使館には何カ所かお邪魔したことがあります。

一番風格があるのは、歴史がある半蔵門の英国大使館でしょう。まあ、麻布のフランス大使館も引けを取りませんけど。

虎の門の米国大使館は、何となく機能的過ぎます。面白みに欠けると言ってもいいかもしれません。

斬新なのは赤坂のカナダ大使館です。居心地が良かったのは、代々木八幡のベトナム大使館でした。

最も、セキュリティーが頑丈なのは、何と言ってもイスラエル大使館です。二重三重、四重五重の関所があり、その度に金属探知、持ち物検査があります。

ロシア大使館もそれに負けず劣らぬ厳しいセキュリティーですが、案外、拍子抜けするほど厳しくないかもしれません。警察官の数は異様ですが。

いずれにせよ、どこの大使館も事前に訪問客は予約、もしくは登録されており、後は顔の照合といった感じですから、まず、普通の方はお呼びでないと御理解されてもいいでしょう。

森友学園関連でマスコミ殺到

で、何で、完全復活だのと大袈裟な物言いをしたかといいますと、この小生が御招待された麻布のフランス大使館の近くで、報道関係者らしき集団が、あるマンションの前で張り込みをやっていたからでした。

新聞各社とテレビカメラが4、5台あり、東京の民放キー局と天下のNHKと全て揃っている感じでした。

一体何の取材かなあ、と思いつつ、仏大使館での勲章授与式がありましたから、私は先を急ぎました。

そしてレセプションが終わり、大使館からの帰路、再び彼ら報道陣と遭遇しました。今度は、しっかり、集団で、マンションの前で誰かにインタビューしておりました。

この人垣の周辺は公道ですから、2、3人の警視庁巡査が交通整理に当たっていました。

一般人の私は、報道陣に紛れ込んで、人垣の後ろから話を聞いてみました。そしたら、顔の知れた芸能人でも政治家でもなく、40代ぐらいの何となく政治家秘書といった風情でした。

その彼の口から出る言葉は「籠池さん」だの「森友学園」だの、なーんと、今ときめく森友学園問題の話だったのです。

どなた様か分かりませんが、東京のテレビ局が全局集まるぐらいですから、相当なキーパーソンだったのでしょう。

私も、昔取った杵柄で、久し振りに少し興奮してしまいました。

勿論、私の目の前の若い女性の音声さんは、胡散臭そうなおじさんが野次馬のように後ろから潜り込んできたので、さぞかし、迷惑だったことでしょうが…(笑)。

でも、悪いですけど、私は、場馴れしてますからね。報道陣とはいっても、所詮、烏合の衆なんです。イッタレー、という気分でしたよ。
南麻布

森友学園の籠池元理事長は昨日、東京の日本外国特派員協会で会見する予定だったのに、ドタキャンしましたからね。

それにしても、偶然にしても程がある。東京は凄い所だということを再度認識した次第です。

【追記】

今朝の朝刊を見たら、報道陣に囲まれていた人物は、ノンフィクション作家の菅野完(すがの・たもつ)さん(42)だったことが分かりました。

年格好は当たりましたが、森友学園関係者でもなく、政治家秘書でもなく、大外れでした。

しかし、この方の顔を知らないなんて、報道陣に紛れ込むぐらいですから、潜りでしたね(笑)。

この方、「日本会議の研究」を出版され、極右から極左まで世間から猛攻撃を受け、今最も注目されている作家さんだったのです。若い頃、解放同盟から脱退したり、ホームレスになったり、まさに凄まじい経歴の持ち主です。

先日、森友学園の籠池元理事長にインタビューして、稲田防衛相と親密な仲であったことを引き出し、国会でも取り上げられた程でした。

まさにキーパーソン。いやあ、本当に凄い人と遭遇しました。

インタビューを受ける菅野完氏(Photo par Keiryusai)

稲田姫、万事休す

東京・東銀座にてのひと時

週末の土曜日に都内で開催されるおつな会のお仲間、故片岡みい子さんのお別れ会には、何と、200人近い方々が、スウェーデンをはじめ、世界各国から駆け付けて、参集されるようです。

いやあ、大変な驚きです。

あたしなんか、どう考えても、たとえ生前葬をやったとしても、5人も来てくださればいい方ではないでしょうか。改めて、片岡さんの人徳の厚さと人望の深さを感じます。

片岡さんは生前、もしもの時に知らせてほしい、という連絡先の1人に私め渓流斎の名前もあったということを漏れ伺い、当日は、「世話人」として参加させて頂くことにしました。

世話人といっても、木偶(でく)の坊ですから、皆様の邪魔にならぬよう、世話を焼かせないよう気をつけるだけですが、粗相のないよう頑張って務めさせて頂く所存です。

◇稲田姫が危ない

さて、防人守(さきもりのかみ)大臣(おおおみ)稲田姫こと稲田朋美防衛相(58)が、森友学園の余波で窮地に立たされ、青息吐息のようです。

まあ、主権の最高国家機関である国会で嘘を言っちゃ信頼問題に発展してしまうという好例ですかね。

稲田防衛相は当初、森友学園の籠池泰典元理事長との関係について、国会で「籠池夫妻から何らかの法律相談を受けたことはない」「裁判を行ったこともない」などと答弁してきたのに、実は2004年12月に、森友学園が起こした民事訴訟の第1回口頭弁論に、原告側代理人弁護士として出廷した記録をマスコミから暴露されて、前言を撤回。虚偽答弁は否定したものの、「記憶違い」などを理由に謝罪するというとんだ失態を仕出かしてしまいました。

まるで三流の時代劇を見ているようです(笑)。

「知らぬ存ぜぬ」が、証文を突きつけられてからは一転して、謝るようでは、何か後ろめたいことがあったのではないかと、ヒトは勘繰りたくなりますね?

稲田防衛相の事務所には籠池夫妻から献金までされたというのに(しかも6000円ずつもの大金!)、稲田姫は「10年ほど前に籠池さんから大変失礼なことをされて関係を絶った」と、いきなり告白するんですからね。

えっ?な、な、なんですか?その失礼なこととは? とヒトはスキャンダルに飢えていますから、突っ込みたくなる心情もよく分かりますよ。

それにしても、こんなスキャンダルが告白されたりしている場所は、国会の予算委員会ですよ。日本国民よ、こんなことばかししていていいんですか?

本日、籠池元理事長が、外国人特派員協会で記者会見するようですから注目しましょう。

DeNAをもっと糾弾すべきでは?

皇居

DeNAとかいう新興企業が、「まとめサイト」に他人のブログなどからの写真や記事を無断転載して荒稼ぎしていたという問題。

 昨日の3月13日、弁護士4人でつくる第三者委員会が277ページにわたる原因究明の「調査報告書」をDeNAに提出し、10サイトで無断転載の可能性がある画像が最大74万7643件、記事が最大約2万件あると指摘しました。

第三者委員会には、処罰も勾留もなーにも権限がないので、これで、はい、お終いなんでしょうが、それにしても、酷い会社ですね、DeNAとかいう会社は。

こんな会社がプロ野球球団なんかを保有してエスタブリッシュメントの仲間入りを果たしてしまったので、誰も文句を言わないのです。マスコミも批判しない。弱者は泣き寝入りするというあまりにもお決まりのパターンです。

皇居

今回の事件で一番笑ってしまったのが、「肩凝りの原因は、霊が取り憑いているからだ」と真顔で公表したことでした。

何やら、これらの「まとめサイト」とか称するものは、時給1000円で学生アルバイトを雇って、好き勝手放題にやらせていたらしいですね。

いや、好き勝手放題というのは正確に言うと間違いで、会社の方針で、できるだけアクセス数が増えるように記事を仕立てるよう指導していたというじゃありませんか。

これじゃあ、トランプさんの言うポスト真実は笑えませんね。

そもそもこうした情報は、ジャーナリズムの風上に置けないと言うべきか、そもそもジャーナリズムそのものが胡散臭いか、のどちらでしょう。

しかし、ジャーナリズムの世界は、それなりに伝統があって社内や社外での厳しい訓練や教育もあるようです。その一方のDeNAは、寄せ集めのお互い会ったこともない素人がコピペしているだけですから、誰でも目と鼻があれば機械的にできる作業なわけです。

このようにポスト真実だの、DeNAの盗作事件だのといったような虚偽情報が氾濫するのは、インターネットが、ここにきて歴史上世界最高の無敵の広告媒体に躍り出たからだと私は睨んでいます。

グーグルにしろアマゾンにしろ、ネットは、物を売らんかなの宣撫活動媒体に過ぎないことを多くの人がもっと肝に銘じるべきです。

アクセス数を最も多く獲得した者勝ちなんです。アクセスがなければ、存在しないのと同然ですから、大衆の耳目を浴びようと、より過激に、より虚飾に満ち、嘘八百のお話を並べ立てようとするのです。

プロ野球球団を持つ社会的影響の強いDeNAが起こした事件は、根が深いと思っています。

南場さんとかいう創業者が代表権のある会長に復帰するらしいですが、どんな面さげて…と思いたくなりますよ。

桶狭間の戦いは情報戦だった!

皇居

【存在が意識を規定する】

日本人横綱稀勢の里。昨日が初日だった大阪場所では危なげない横綱相撲。やはり、存在が意識を規定する?

皇居

BS11の「尾上松也の古地図で謎解き!ニッポン探求」。
先週放送された「第72回 桶狭間の戦い なぜ敗れた?今川義元の実像」は実に面白かったですね。

今川義元と言えば、戦国武将とは名ばかりで、公家趣味が高じて、白粉まで顔に塗って軟弱な、そして愚鈍なイメージがありました。

何しろ、圧倒的有利と言われた桶狭間の戦いで、織田信長に敗れて、信長の引き立て役となり、愚かな弱者というイメージが定着してしまいました。

しかし、それに異議を唱えたのが、この番組のゲストの小和田哲男静岡大学名誉教授でした。

今川義元は、実は「海道一の弓取り」と言われ、最強の呼び声も高い戦国大名だったというのです。

しかも、今川家の五男として生まれながら、その4人の兄を乗り越え、抑えて今川家の家督を継ぐくらいですから、相当な強者(つわもの)だったのです。

義元はもともと、家督争いを避けるために、幼少期に仏門に入ります。そこで、「戦国一の軍師」と言われた大原雪斎に非凡な才能を見出され、武道だけでなく、兵法などの学問も叩き込まれるのです。

そんな義元がなぜ桶狭間の戦いで敗れたのか? 2万5000人の今川軍に対し、織田軍はわずか3000人。そこにはやはり、義元の慢心と油断があったからなのです。

まともに戦えば、信長が勝てるわけがありません。それでもなぜ信長が勝利を収めたのかと言えば、それは、小和田氏によると、信長の巧みな情報戦略による勝利だったというのです。

信長は、他の武将には目もくれず、義元の首級を取ることだけに集中します。そのために、間者を放ち、ありとあらゆる諜報活動を展開します。

そして、今川義元は、わずか5000人で桶狭間(現名古屋市)の山頂に本陣を張っているという情報をつかみます。残りの2万騎は、1万人ずつ別個に行動して、他の出城を攻撃していました。

5000人対3000人なら、万が一でも勝てないことはありません。信長は、桶狭間から見える所にわざと本陣を張り、幟旗をはためかせて全陣がいるように見せかけ、そこには1000人だけ残し、残りの2000人で雨の中を奇襲攻撃をかけ、大将の義元だけを目指して、結局、勝利を収めるのです。

皇居

この番組の進行役の歌舞伎俳優尾上松也は現在、大河ドラマ「おんな城主 直虎」で今川義元の嫡男氏真(うじざね)役を演じてます。

桶狭間の戦いで敗れた今川家は、そのまま滅亡したものと思っていたら、今川氏真は江戸時代まで生き延びるんですね。

小和田名誉教授は、その理由ついて、今川義元の人質だった松平元康(後の徳川家康)が、氏真とは幼馴染だったため、情状酌量で助命したのではないかというのです。

これで、今川義元観も、徳川家康観もすっかり変わってしまいましたね。

いやあ、久し振りに面白い番組を見たものです。

なぜ「君の名は。」 は大賞を逃したのか?

中国 Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

 昨年8月26日に公開され、2017年3月6日の最新時点で、歴代興行収入第4位の245億円となり、社会現象ともなっているアニメ映画「君の名は。」(新海誠監督)を遅ればせながら、見てきました。渓流斎、それにしても遅い(笑)。

 ※ちなみに、ご参考として歴代興収は以下の通り。「君の名は。」はもうすぐ「アナと雪の女王」を抜いて、歴代3位になるかもしれません。

第1位=「千と千尋の神隠し」308億円(2001年7月20日公開)
第2位=「タイタニック」262億円(1997年12月20日公開)
第3位=「アナと雪の女王」255億円(2014年3月14日公開)
第4位=「君の名は。」245億円(2016年8月26日公開)
第5位=「ハリー・ポッターと賢者の石203億円(2001年12月1日公開)

 ということで、まだ、やってたんですよね(笑)。公開から7カ月も経っても…。
 最近の映画は驚くほど世界各国で量産されていますから、普通、半年もすれば、忘れ去られて、ヒット作だけはしっかりと元を取ろうとDVD化されます。

 「君の名は。」に限っては、まだ、DVD化されず、半年を過ぎても全国でロードショー公開、つまりロングランされているようです。今年1月の時点ですが、累計動員は1815万人だそうです。

 お隣の韓国では、今年1月4日から公開され、8日までの5日間で観客数100万人を突破して、22日には観客動員数は300万人を超えて日本映画で過去最高となったそうです。

 そして、世界最大の映画市場である中国でも昨年12月に公開され、16日間の興収約90億円、タイでは公開14日間の興収約1億4000万円を記録し、両国で公開された日本映画の歴代興収の新記録を樹立したそうです。

 国際市場での興収を見てみると、米国のBOX OFFICE MOJOという興収調査会社による調べですが、今年1月8日時点での日本を含む全世界の「君の名は。」の興行収入は、2億8101万2839ドル(337億円)を超え、「千と千尋の神隠し」の2億7492万5095ドルを超えて、トップに躍り出たそうです。  

 中国 Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

 ※以下は映画の内容に触れますので、これから観る方は、この先はお読みにならないようにしてください!

 これだけの話題作なのに、米アカデミー賞ではノミネートすらされず、日本で最も権威があると言われるキネマ旬報社のベストテンでは圏外ですからねえ。(ちなみに、ベスト1位は、私も大賛成のアニメ「この世界の片隅に」でした)

 どうしてなのかなあ、と思いながら、観てみました。

 まず、映画を観る前は、漏れ伝わってきたところで、東京都心に住む高校生の男の子立花瀧君と、飛騨高山地方の田舎の村に住む女の子宮水三葉ちゃんの2人の身体が入れ替わるという単純な映画かと思っていましたら、かなり複雑で錯綜したプロットだったんですね。

 これは、アニメとはいえ、子どもさんには分かりづらいかもしれないと思いましたね。正直、観ていて長すぎるなあとも思いましたが…。

 そして、あまりにも複雑な要素を取り入れすぎてしまったので、最後は論理的に破綻しておりました。

 つまり、彗星の墜落で死んだはずの三葉ちゃん、そして、瀧君が図書館で調べた通り、新聞などには死亡者名簿の中に掲載されていたはずの三葉ちゃんが、最後は東京に出てきて生きていたということなんでしょうか?

 アニメなんですから、そんな堅いこと言っちゃいけませんね。嫌われますね(笑)。

 中国 Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

 まあ、堅いこと抜きにすれば、大人の鑑賞にも耐えるつくりになっておりました。
 
 スマホなど現代風俗をふんだんに取り入れながら、神事などの伝統も重要なファクターとして取り入れ、2016年を代表する映画になっていました。

 そして、現実と夢と過去と未来が交錯して奔放自在に物語が展開し、アニメでしか表現できない作品だったと思いました。

 アニメ製作に関しては素人なのでよく分かりませんが、相当作業が大変なようですね。エンディングロールで、数百人にも及ぶスタッフの名前を見て驚いてしまいました。しかも、日本人だけなく、韓国系の人や中国、台湾系の人と思われる人も名前を連ねていたので、この作品自体がグローバルだったのだなあと改めて気づかされました。

 蛇足ながら、そんな莫大な製作費を回収する目的と思われる企業のコマーシャルが何気なく「設置」されているのも気になりました。サントリーの缶コーヒー「ボス」の自動販売機と主人公らが呑む場面は、もろ宣伝ですねえ(笑)。

 このほか、東京の山手線か中央線の電車内や駅の広告もわざとらしく展示され、オカルト雑誌の代名詞だった学研「ムー」まで登場するじゃありませんか。

 かつて、この「ムー」は、オウム真理教の麻原死刑囚の「空中浮遊」の写真を掲載して、信者拡大につながったと言われるいわくつきの雑誌ではなかったのかなあ、と思いましたら、しっかり、最後のエンディングロールの「協力社」の中に、学研「ムー」も明記されておりました。

 はっはあ、「君の名は。」が大きな賞を逃したのは、こうしたサブリミナル(潜在意識に訴える)宣伝広告が、頭の良い一部の映画評論家らに嫌われたのかなあ、と勘繰りたくなってしまいましたよ。

 賞は、豊洲問題と全く同じように、水面下で交渉されますから、真相は分かりませんけどね。